第71話 ハーレムの今後を考える…
お待たせいたしました。
ダンジョンの中で迎える朝、あいにくと太陽が登っているのは確認できないが時計代わりの腹時計がなっているので間違いないだろう。規則正しい起床を心がけているといつも同じ時間に腹が減るものだ。それにしても……昨夜のアレはヤバかったな。
◇
夕飯を終えてゆっくりとしているとセルスとレナリアさんが近づいてきた。何か用だろうか?お腹もいっぱいになって眠くなってきたので、あまり時間の掛かる事じゃなきゃ良いけど…と、この時の俺はかなり油断していた。よもやセルスとレナリアさんが真っ先に…しかも何の前置きもなく仕掛けてくるとは予想だにしなかった。
「ユーラさんセルスさんが助けて頂いたお礼をしたいそうなので、受け取って頂けませんか?」
レナリアさんの言葉を聞いた時の俺は単純にセルスがお礼の言葉を言ってくるものだとばかり思っていたのだが、そんな俺に対してセルスは驚くべき行動を仕掛けてきた。
「ユーラさん今回は本当にありがとうございます。是非私のお礼を受け取って下さい。」
「あぁ気にしないで下さい、俺がしたくてしただけなのでっ!―うむぅ!チュゥゥゥゥ!」
いきなりキスをしてきた!しかもかなりディープなやつだ。頭がクラクラしてくる。ここまでのキスは今のメンバーの誰もしてこなかったので、耐性がないのもあってボーッとしてしまっていた。セルスは俺のその隙をついて押し倒してきたのだ。
「ちょ、ちょっとセルス!こんな所で何をするんだよ!いつ魔物に襲われるかわからないんだぞ?そういうのは、安全な場所でするべきだぞ!?」
「フフ…スルのは構わないんですね?あと周囲の事を気にしないでも良いですよ?皆で協力してかなり強力な結界を張ってありますので何の問題もありませんので、気にせず励みましょう?」
「え?皆で協力して?それってどういう…。」
俺の言葉を遮ってリィサが答えてくれた。
「ユーラはきっかけが無いと初めての女の子には絶対に手を出さないでしょ?私達はセルスなら一緒でも構わないと思ったの。それに…セルスは初めてユーラに勝てそうな娘だもの。誘ってみたらセルスもユーラの事好きだって言うからね?私達で協力してみたのよ。」
なんと言うことだろうか…まさか皆で俺を落しに掛かってきていたとは……そうか…そんなに俺とヤリあいたいのか…ならば!タチ塞がるのが俺がするべき事だろう!よし!掛かってこいや!
あとはもう大変な状況になっていった。リィサを筆頭に交互に俺に挑戦してきたが俺は一人ずつダウンさせていく、一人また一人とダウンしていく中で最後まで残ったのがセルスだった。
セルスは強敵だった、俺から精気吸収で得た力を命気変換で体力に変換して回復して房中術でせめてくるを繰り返してきたが、俺にも体力のみならず性欲や精力を回復するスキルがあるので、まるで千日手の様相を呈してきたが、ここで俺は心を鬼にして自身の行動にブーストを掛けてセメテいった…。
夜が明ける前には俺はセルスに勝つ事ができた。俺はセルスの永久機関とも言える攻めに勝つ事ができたのだ!簡単には勝ちを譲ってはやらんよ?精進したまえ皆の衆。
◇
それにしても……ここまでスタイルの良い皆がこうして寝ている光景は……絶景だな!こんな素晴らしい光景を独り占めできるというのは男としてはたまらないものがある。まぁそれはそれとしていつまでもこんな状態を放っておく訳にはいかないだろう。もう少し眺めていたい気はするが皆に毛布くらいはかぶせておくか!あ、あと快復魔法も掛けておこう。皆がもうしばらく休ませているその間に朝食の準備をしておこう…きっとしばらくは動けないだろうしな!
俺が朝食を作り終える頃には皆起き上がってきていた。快復魔法が効いたみたいだ、良かった良かった。皆の様子を見て一人勝手に納得していると、皆が俺を見て納得がいかない表情をしていた。
「またユーラに勝てなかったわ…私達の彼氏は一体どういう体の構造をしているのかしら?普通なら一人や二人…多くても三人も相手にすれば体力も精力も尽きそうなものだけど…ユーラの場合人数が増えても変わらないどころか増々パワーアップしてない?」
おっと?とうとう気づかれたかな?その通りで御座いますよ、お嬢様方。スキルも何もない状態の俺ならきっと一般人と変わらない程度だったのだろうが…スキルに恵まれた、いや恵まれすぎた俺は最早底なしと言ってもいい程になっている。実際昨日の夜から朝方までガンバったにも関わらず俺はすこぶる元気だ。この事を皆が知ったらどうなるだろうか?絶望したりしないよね?そんな哀しい事にはならないよね?
「ソレに関してユーラは思い当たるフシは無いの?」
やはり突っ込んできたか…うむ、どうしようか?真実を伝えるべきか否か。よし!適当に誤魔化そう!それっきゃないね!
「よくわからないかなぁ…ただ調子が良いのは確かだよ?」
「………そう、まぁ今はそれで良いわ。それよりもせっかくユーラが朝食を作ってくれたみたいだし冷める前に食べてしまいましょうか。」
「そ、そうだね。せっかく作ったしね、冷める前に食べてくれた方が嬉しいかな!ハ、ハハハ…。」
何とか誤魔化せたか?誤魔化す理由はひどいとは思うが、相手にされなくなるのは困る!俺も今の年齢は若いので相応の性欲を持っているのだ。今更、相手にしてられねぇ!とか言われたら物凄くショックだ。皆には悪いがそのまま気づかないで欲しいものだ。と、皆が準備してある朝食の場所に移動する中リィサだけが俺に近寄ってきてこう言ってきた。
「本当は知ってるんでしょ?鑑定なんてものが使えるのに知らない訳ないでしょうし、ね?後でこっそり私にだけ教えて頂戴?」
「…ハイ、ワカリマシタ。」
残念!リィサには見抜かれていたようだ。あぁ…説明して引かれなければいいけど。そんな事になったら本当に凄いショックだぞ?楽しいはずの食事が尋問前の待機時間に思えてきた。せめて時間を掛けて少しでも引き伸ばしてやろう。と、無駄な事を考えるのであった。
そして、その無駄に時間を引き延ばそうという考えは他ならぬ自分自身で駄目にしてしまった。食べるのが大好きな俺がゆっくりと食べる事をできる訳がなかった。無意識に早く食べ終えていた。普段から早食いの大食いなのであっという間に食べ終えた。俺は自分自身で尋問室への速度を早めてしまったようだ。
チラッとリィサを見ると…ニコリと笑って手でまねいている。あらやだ、可愛い笑顔だこと。しかし、今の俺にはそれすらも素直に受け止める事が出来ない。きっと俺が来るまでずっとああしてる気だな。他の皆に見られる前に素直に従っておくとしよう。リィサだけなら何とか抑え込めるかもしれないし!
尋問官の前にやって参りました、テンションはだだ下がりだがここでどうにかうまく誤魔化す事ができなければ俺に明日はない!ガンバって誤魔化してやるぜ!
「さぁ…何のスキルであの状態を維持しているのか教えてもらおうかしら?誤魔化すのは一切無しよ?もし、誤魔化すような事を言ったら金輪際シテあげないわよ?」
ニャンだと!くそぅ…驚きのあまりついつい猫語がでてしまった。全く関係ないのに…。それにしてもいきなり核心をつかれたな、俺が誤魔化そうとしてるのに気づいていたというのか!何たる事か!しかも誤魔化したら二度とサせてくれないとか…うぅ無理だ。俺にコレ以上の抵抗はできそうにない。一番の弱点を突かれた気分だ…仕方ない、素直に話すとしよう。
「あら?素直に話すと決めたみたいね?素直なのは良い事よ?ユーラ。」
何故にまだ何も言っていないのに俺の決めた事がわかるのだ。もしかしてリィサはエスパーなのだろうか?
「ユーラがわかりやすいだけよ?私は何もしていないわよ?」
俺がわかりやすいだけでした。はぁ…もういいや。素直に話して楽になってしまおう。俺は渋々ながらも何故俺がへばらずにリィサ達全員を相手にできるのかを詳細にスキル効果を明かしていった。
「なるほどね…だからユーラは全く疲れないで私達全員を相手に出来ていたのね。ようやく合点がいったわ。…それにしても何故ユーラだけがそんなスキルを手に入れる事が出来たのかしらね?」
「それがわからないんだよね~、気づいたらあったって感じだからね。この世界の人達も気づいてないだけで意外とあったりするんじゃないの?」
「それこそわからないわね、確認する術があった訳でもないし。まぁ他はどうでもいいわ。問題はこれからの事よ。幾らユーラのスキルで私達も回復してるとは言ってもユーラ程では無いみたいだし、…そうね、もっと増やさないと駄目かしら?」
「何でそうなるのさ?もしリィサ達がキツイようなら俺ちゃんと自重するよ?」
「そうね…ユーラは確かにやろうと思えば出来るわよね?でもね?私達女性だって性欲が無いわけじゃないのよ?ユーラって自重すると何処までも我慢し続けるし、出来るでしょ?だけどね?出来るのなら私達だってしたいと思う時にユーラには手を出して欲しいもの。それをうまく調整するとしたら人数を増やせば良いのかな?って思ったのよ。」
「いやぁ…多分人数が増えても今みたいになると思うよ?」
「…それなら…もうそういうものなのだと思って受け入れるしか無いわね。(人数を増やす事は諦めないけど…。)」
なんか今最後らへんに何かを言っていた様な気がするな?変な事じゃなければいいけど…。
さてと、この話はここらへんにさせてもらおう。いい加減ダンジョンを出て街に戻りたい所だ。
「リィサ話はここらへんにしておこう、後は街に戻って事の顛末を侯爵に説明しないといけないし。」
「そうね…ここまでにしておこうかしら?私は皆に出発の準備をするように言ってくるから、ユーラは道具の後片付けを頼んでもいいかしら?」
「あいよ~後片付けは任せておいて。出発の準備と連絡はよろしく!」
「えぇそっちは任せて頂戴、それとユーラ?ここって結構場所的に危険な箇所も多いけど侯爵様にはそのまま説明するのかしら?」
「あぁ…それなんだけどね?実はここの3階層なんだけど…俺が居ないと下りる事が出来ないみたいなんだよ。」
「どういう事なの?」
「簡単に言うと…俺が3階層に家を持ってる感じ?で、そこに鍵を掛けて入れないようにしてある。っていう風になってるみたいだね。」
「みたいって…なら私達はなんで最初に来た時に普通に3階層に下りれたの?」
「それも簡単、スクラップサーペントが特に出入りを禁止にしていなかったからみたいだね。出入り禁止にしたらそれだけ餌がよってこないから特に禁止にしなかったんじゃないかな?もしくはそんな事が出来るとは思わなかった。か、それだけの知能が無かったか。というのが落とし所かなぁっと思ってる。」
「ユーラはその事をどうやって知ったの?」
「鑑定で!」
「その内容は?」
リィサが知りたいとの事なので聖杯の持ち主が俺になった時点で鑑定を掛けた時に表示された称号をここで紹介しましょう!
【聖杯の所持者】
聖杯の設置された一帯を管理する権限を持つ。管理者の許可で立ち入りの制限を掛ける事が出来る。
聖杯の起動・停止の権限を持つ。如何なるものでも管理者の権限なしに聖杯を使用する事は出来ない。
と、言う訳で万が一何かしらのきっかけで冒険者や騎士団なり一般人がこのダンジョンに来たとしても3階層には入れないと言う訳だ。これで聖杯を悪用される様な事にもならないだろう。
「それなら安心かしらね?下手に何処ぞの誰かが聖杯を悪用するような事にはならなそうで良かったわ。もし、そんな権限がないならユーラに壊してもらおうかと思っていた所だったから。」
「それなら安心したかな?何かあっても大丈夫そうだから、今の所は気にしないでもいいと思うよ?」
「そうね…気にしすぎてもしょうがないのかしら?」
「と、思うけどね。」
「……出発の準備をしてくるように言ってくるわ。」
「あいよ~。」
きっとリィサはセルスみたいな犠牲者が出ないようにという配慮からの発言なんだろうな。まぁ何の問題もないだろう。リィサには説明しなかったが、実はこんな一文も隠されていた。
【聖杯の所持者】
聖杯の設置された一帯を管理する権限を持つ。管理者の許可で立ち入りの制限を掛ける事が出来る。
聖杯の起動・停止の権限を持つ。如何なるものでも管理者の権限なしに聖杯を使用する事は出来ない。
なお現管理者である新石優良の許可なく不正に使用を試みようとすれば、神に連なりし名において天罰が降りかかるであろう。
下の一文を説明しなかった。何故かって?何かこれじゃあ俺が神様に名を連ねているかの様に思えたからだよ?俺は人であっても神様ではないからね?とても重要な事なのではっきりと言っておきますよ!言っとくがフリじゃないからな!
すいません…ちょっと立て込んでて時間を取りました。まだ、解決してないので次の投稿も今回ぐらいの間隔になるかもです。




