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第68話 幻視したのは過去の住民達でした

ちょっとグダグダしたかも?

 登録者の変更などがあって戸惑いはしたものの、やっと中に入る事が出来る。【全ての地図】を使えば罠や中に何があるのかなどわかるのだが、少しぐらいは楽しみにしたいという気持ちを優先して部屋に入る事にしたのだが……この時ばかりはしっかりと事前確認をしておくべきだと思った。

 何故そう思ったのか?それはこの部屋の光景が原因だった。



「これは……皆ストップ!部屋に入らないでくれ!特にモニカ達は駄目だ!絶対に入るな!」



 部屋の中に広がっていた光景は決していいものでは無かった…大量の白骨死体が広がっていた。一体この部屋で何があったんだろう…いくら何でもこれはおかしいだろう。開いた入り口から中を見てみると入り口の周辺と部屋の一番奥に死体が集中しているようだ。本当にこの部屋で何があったのだろう。



「……うん、リィサとセラそれとセルスだけ入ってきてくれ。それ以外のメンバーはそのまま部屋の外で待機だ。」


「えぇ~ずるいよユーラくん。私達も中に何があるのか見てみたいのに~。少しでいいから見せてよ~。」


「駄目だ!モニカ!中にはかなり多くの死体が散乱しているんだ。さっきのように気を失いたくはないだろう?」



 中に死体が広がっていると聞いたモニカが小さな声で「ヒィッ!」と言った後に後ずさっていく。今度は気絶させる訳にはいかないからな。今回はしっかりと事前に止める事が出来た様だ。



「じゃ、じゃあ私達は部屋の外で待ってるね?後はお願いね~。」



 俺が返事を返す間もなく声がフェードアウトしていく。わかってはいたが、そこまで嫌か…しょうがないか…それにこれだけの死体の数だ、まず間違いなく気を失うだろうし仮に気絶をしなかったとしてもパニックに陥る可能性が高い。そうなったら探索どころの話じゃなくなるだろう。



「そうだ、セルスにもお願いしたけど、もし見るのが辛いようならモニカ達と部屋の外で待機していても良いぞ?」


「いえ…大丈夫です、それよりも一緒に確認をさせて下さい。もしかしたらここに私が知りたい事があるかもしれないので、お願いします。」



 もしかしたら俺は迂闊な事を言ったかもしれない。ここには彼女を聖棺に閉じ込めた奴らがいたはずだ。少なからずショックを受けるかもしれない。あぁ…本当にまずったなぁ。仕方ないな…ここはリィサとセラにセルスのフォローをお願いしておこう。ちゃんと【ハイ・テレパシー】で連絡しておこう。



 セルスに気付かれないようにリィサとセラに頼むと二人はセルスに見えない様に合図をしてくれた。これで大丈夫かな?あまり心配し過ぎて周囲への警戒を怠るとまずいので、様子を見るのを切り上げて部屋の中を調べてみる。一見するとただの部屋に見えるのだが、それだけでは無いはずだ。そうでもなければ何故ここでこんなに沢山の人間が死んだのかの説明ができない。



 これだけの人数が死んだのか…中には子供もいたようだ。小さな白骨死体もある…かなり年数が経ったようでかなり風化してはいるが、折り重なっている白骨死体を見るとそのときの光景が見えてくるようだ…って、うん?何かおかしいな?俺は今幻でも見ているのだろうか?半透明の人が動いてるのが見えるのだが…コレ何?



 俺の目がおかしいのかと思ってリィサ達を見てみると、普通に部屋の中を調べている。現に今リィサ達とぶつかる位置にいたはずなのに、ぶつからずに透けていった。目の前にいるにも関わらず全く反応しないという事はやはりリィサ達には見えていないのだろう。この光景は俺だけが視えているのだろう。



 今視えているこの光景はここで死んだ人達と何か関係があるのだろうか?部屋を調べるのはリィサ達に任せておいて、俺はしばらくこの光景を視てみる事にしてみた。



 似たような服装をした老若男女が開いた扉を押しのけるように部屋に押しかけて来ている。声までは聞こえないのだが、何やら慌てている?いや、違うのか?何かから逃げてきたのか?一体何をそんなに慌てているのだろうか?そのまま続きを視てみるか。



 慌てて入ってきた人達は最後の人であろう人物達がしばらく部屋の外を見ていたが、ある程度の時間が経つと扉を閉めた。扉を閉めた人達は気が抜けたのか扉にもたれかかりズルズルと地面に腰を落ち着けた。かなり汗を掻いているので、急いでここまで来たのだろう事が伺える。

 


 だが何から逃げてきたのだろうか?と思いながらその光景を視ていると何やら異変が起きたようだ。扉にもたれかかっていた人達が一斉に立ち上がり部屋の奥に逃げていくのが視えた。扉の前に何かが来たようだ。何かはわからないが皆一様に扉の向こうにいる何かに怯えているようだ。



 唐突に視ていた光景が変わった。先程までは扉から離れていた人達が、今度は扉に向かって叩いたり扉の隙間に手を入れたりしている。もしかして扉を開けようとしているのか?しかし、入ってきた時とは違い扉を開ける事が出来ないでいるようだ。扉の前とは別に部屋の奥を視てみると……あれは、もしかして死んでいるのか?まるで動く様子がない。今の白骨死体と見比べてみると配置がそっくりに視える事からおそらく間違いないだろう。



 またしても視ている光景が変わる…今度は扉の前で動かなくなった人達の姿が見える。この時点で倒れた人達の配置と白骨死体の位置がほぼ一緒だ。おそらく彼ら彼女らも死んでしまったのだろう。



 今まで視ていた半透明の人達が消えていく…今のが最後の光景だったようだ。…しかしこれはどういう状況だ?せめて声が聞こえたら良かったのだが…生憎と声までは聞こえなかったので自分で想像する以外ないな。だが、自分一人だけでは答えを導き出すのは難しい。皆の知恵を借りる事にしよう。



 部屋を調べているリィサとセラ、セルスを呼んで今視た光景を伝えてみる。すると、その事に思い当たる節があるとセラが伝えてきた。



「私が経験した事ではないのだけど…友人の精霊…友人?まぁいいや、その友達の精霊が今のユーラと同じ経験をした事があるって言ってたのを覚えてるわ。」


「その友達には会う事が出来そう?」


「……ちょっと無理かも、今どこに居るのかわからないから。精霊ってかなり自由な所があるからこの国にいるのかもわからないし、もしかしたら自分の領域内に引きこもってるかもしれないし。どちらにせよ直ぐに連絡を取ったりするのは無理。最短でも2~3日は掛かると思う、長いと1ヶ月から半年…1年は見た方が良いかも?」


「ふぅむ、そうか……ならリィサはどう思う?何でもいいんだ。気になる事があれば教えて欲しい。」


「単純に何だけど…それでも良いのかしら?」


「あぁ構わないよ、今のこの状況を少しでも理解できるならどんな事でも。」


「そう…なら、多分だけどユーラが見たのってその人達がその当時にしていた行動なのだとして、逃げる様に見えた、じゃなくて文字通り逃げてきたんじゃないの?」


「逃げてきた…か、それで?」


「これも推測になるけど…ユーラが見た人達は元々さっきまで私達がいた3階層に住んでいたって事は無いかしら?で、何から逃げていたかって言ったら…居たでしょ?私達が討伐したアレが。」


「そうか…やっぱりそうなるのか、俺も何となく予想はしていたけど…うん、そっちの方がしっくりくるんだよなぁ。で、だ。セルス何か思い当たる節はあるかな?」



 今まで敢えてセルスには何も聞いていなかった、大凡の予想を聞かせる事で落ち着いて欲しかったからだ。何故セルスに落ち着いて欲しかったか?それは、彼女がこの部屋に入ってしばらくしてから急に軽い興奮状態にあるからだ。



 先程何気なく部屋の中を鑑定しながら見渡していたら、偶々目の前をセルスが通った瞬間セルスの【状態】が表示されたのだ。その時の【状態】が興奮状態(弱)となっていた。何か昔の事で思い出したのだろうか?しかし、何を見てそうなったのかが、わからない。

 今尋ねた事で何かわかれば良いんだけど…。



「…このここに倒れている死体の幾つかが知り合いが着ていた衣服にとても似ているので…もしかしたら………。」



 知り合い…ね、セルスをあの様にした奴らがこの中にいる可能性もあるという事なのだろうか?それとも単純に知り合いか?セルスに無理やり聞き出すのもどうかと思うし……今はまだ様子を見ておこう。俺もハッキリと何かが分かった訳ではないからな。



 さっきの一言を最後にセルスは黙り込んでしまった。死んでしまった知り合いを悼んでいるのか?それとも別の何かを考えているのか?だが、いつまでもここにいても仕方ないのでもう少し調べた後この部屋を出る事にしよう。



 【ハイ・テレパシー】を使いリィサとセラにセルスをしっかりと見ていて欲しいとお願いした後、部屋の外にいるモニカ達にもセルスが思いがけない行動を取る可能性があるので、気にかけておいて欲しいとお願いしてある。これで大丈夫かな?そう思い部屋の中を再度調べる事にした。



 しばらく部屋を調べていて幾つかわかった事があるその一つが彼らの死因だ、ここにいた彼らの死因はおそらく何かしらの毒による物ではないかという結論がでた。コレを調べてくれたのはリィサだ。何でも俺と一緒に行動する前にいた所で似たような感じで死んだ遺体を見た事があるそうだ。正確にはその属していた組織が持っていた標本の様な物だったそうだ。既に肉は落ちて骨だけではあったそうだが、その骨の状態がとても似通っているそうだ。ここにある白骨死体は一部が溶けていたりもしくはかなりの範囲で溶けていたりしている。リィサが見た遺体も似たような感じだったそうだ。で、その原因になったのが【溶酸】だった。



 リィサが見た遺体の【溶酸】は植物の魔物によるものだったそうだが、今回ので思い当たるものといえば…スクラップサーペントだろうか?確かスキルに【溶酸】があったはずだ、って事は彼らはスクラップサーペントから逃れる為にこの部屋に来たのか?



「リィサはどう思う?彼らはスクラップサーペントに追い込まれてここに逃げてきたのかな?って俺は考えているけど…。」


「さっきも言った通りね、ただ…ね。この部屋にこもったのは良いけど何故出られなくなったのかという事よね。どういう事なのかしら?」


「うぅん、俺もそれは考えていたんだよね…う~ん…。」


「どうしたの?ユーラ?何が引っ掛かるの?」


「なんと言えば良いのか…何か…こう…出かかってるのに、それが出てこないというか…何かを思い出せそうなんだけど…う~ん、何だったかなぁ。」


「何が引っ掛かってるいるの?この部屋の事?それともこの死体の事かしら?」


「いやそうじゃなくて…!そうそう、この人達ってこの部屋にどうやって入ったんだ?登録者が居るはずだろ?もし、登録者がここにいたなら出る事も出来るはずだ。それなのにまるで閉じ込められたかのような仕草をしていたんだ。そこが気になっていたんだよ。」


「……それって悩む様な事かしら?ユーラ。」


「ん?どういう事?リィサ?」


「ユーラ…あなた自分が言っていた事忘れている様だから言うけどね?さっき部屋の中に入る前に言ったでしょ?いつの間にか自分がいれば扉を開ける事ができる様になっていたって。そういったわよね?」


「あ~言ったね。そうか…何となく分かってきたけど、一応続きをお願い。」


「そう?なら続けるわね。…いつの間にか扉を開ける人が変わってた。というよりは3階層に居た魔物…スクラップサーペントを倒した事でユーラに変更されたのなら、討伐するという行動そのものが変更の条件か?もしくはスクラップサーペント自体が扉を開ける権利を持っていたか?どちらかだったんじゃないの?」



 あ~多分そっちだわ…鑑定したとおりなら聖杯所持者に権利があるみたいだな。鑑定内容をしっかりと見てなかったや…つまりこういう事か?



 元々の聖杯所持者がここのダンジョンに何らかの形で住んでいたけど、おそらく進化したスクラップサーペントに殺されてしまった、そいつが殺されたから聖杯所持者がスクラップサーペントになってしまった。その所為で部屋の中に居た彼らは扉を開ける事ができなくなってしまって出れなくなった。結果襲われた際の怪我を治療できずに死んでしまったって所かな?怪我をしてない人に関してはおそらくだが餓死したのではないだろうか?まぁこれ以上調べてもしょうがない事なのだけど…。



 取り敢えずは使える物がないかを調べたら、このダンジョンを後にして街に戻ろうかな?と計画していると、ふとセルスが俺を見ている事に気がついた。俺に何かを聞きたそうな感じだ。何やら躊躇っている様子なので、こちらから聞いてみる事にしよう。


まとめづらくてついグダッとしてしまいました。もう少し簡潔にわかりやすく書けるように精進します。

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