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第56話 探索開始!

ようやくダンジョンです。

 イルディオさんとリビングに向かうと既にリィサ達は紅茶らしきものを飲みながら話をしていた。特にモニカは侯爵に捕まり生きていたなら何故早く姿を見せなかったのか?と問い詰められていた。あらぁ…ちょっと涙目になってるなって、お!モニカが俺に気づいたな。何かこっち来いみたいな感じで視線を送ってきている。流石に俺なしでは説明をしづらいだろうし、行きますかね?



「エーデルよ…何故答えてくれないのだ?ワシはこう言っては何だがお前がシェイラ達を置いて居なくなった後かなり広範囲に渡って探していたのだ。恩を着せる訳ではないが、せめて何処で何をしていたかを教えてはくれないか?」


「え~とですね…教えたくないのでは無くてですね。うまく説明が出来ないんですよ~(うわ~んユーラく~ん早く助けて~当事者の私じゃうまく説明できないよぉ~。)」



 ヤバイヤバイ…急がないとモニカがドンドン追い詰められている。俺自身もうまく説明できるかわからないけど、こうなったら当たって砕けろだ!



「エーデルよ…やはりワシを…いやワシら侯爵家を恨んでいるのだろうか。ワシらは…お前の両親を奪ってしまったようなものだからな…何も言いたくはないか…すまんな。本当にすまない。」


「えぇいや…えっと違うんですよ~(あぁ~変な勘違いさせてるよぉ、私はとっくに両親の事は気にしてないのに~お願いユーラくん!早く説明してあげて~。)」


「侯爵様少しよろしいですか?その説明は自分にさせて欲しいのですが、よろしいですか?」


「ム?ユーラ殿がか?それはまたどうしてなのだ?」


「それはですね?モニカがこうやって生きて戻ってくるきっかけを作ったのが、自分だからです。」


「なんと!エーデルを連れ帰ってきたのはユーラ殿だというのか?…そうか、それは詳しく教えてもらう訳にはいかないか?」


「えぇそれなら問題ありません。まず自分がした事は……。」



 俺はモニカを救う過程を侯爵に説明していった、皆には申し訳ないが自分が仕出かした事はほんのりと誤魔化させてもらったが…。一応問題ない程度には説明できたと思うけど…大丈夫かな?

 チラッとモニカを見てみるとホッとしたような表情をしているのでおそらく問題ないと思う。



「そうか…それは本当に奇跡としか言いようがないな。ユーラ殿改めてお礼を言わせてくれ。ありがとう、貴殿が居てくれて本当に良かった。もしこの場にエーデルが居らねばシェイラ達があの様に笑っている事もなかっただろう。本当にありがとう。」


「いえ…自分もモニカが居てくれて…シェイラ達が居てくれた御蔭で自分も助けてもらった所もありますので、特に何の問題もありませんよ。」


「だがそれで私が…いや我が侯爵家が助けてもらった事にもなるのだ。…そうだなこの件に関して何か礼をして置きたいのだが…何か欲しいものは無いか?ユーラ殿。」



 来た!まさかこのタイミングで報酬の話が出るとは思わなかったが、渡りに船というやつだな。せっかくなので【叫びの洞窟】に入る許可を貰おう。あとついでに中で手に入れた物をそのまま貰えないかも聞いてみよう。



「では侯爵様幾つかお願いがあるのですが、よろしいですか?」


「おぉ何かあるのなら構わないぞ、いくらでも言ってくれ。」


「ではまず1つこの街に来る前に見た【叫びの洞窟】に入る許可を下さい。そして2つ目が中で手に入れた物をそのままいただく権利を下さい。あとは…う~ん今の所はこれだけですかね?その2つの許可をもらいたいのですが…どうでしょうか?」


「ん?たったそれだけで良いのか?もっと言っても良いのだぞ?お金が欲しいとか女が欲しいとか他には無いのか?」



 侯爵が女が欲しいとかの部分で皆が一斉に俺を見てきた。怖!なんで俺を見るんだよ!俺何も言ってないよ?怖いからそんな目で俺を見ないでくれよ。



「え~とその女の人は別にいらないですかね?こ、恋人はしっかりと居ますので…。そ、それよりもどうですか?洞窟の中に入るのは問題ないですかね?」


「ム?あぁそれなら何の問題も無いのだが…中には長い事誰も入っていないから中は魔物だらけの筈だが…構わぬか?」


「えぇ、それに関しては問題ないです。ちょっとした魔物ぐらいなら自分でどうにかできるので問題ありません。」


「そうか、ではこちらとしても問題はない…と言いたいのだが、実はユーラ殿にワシの家を直してもらうのとは別に頼みがあるのだが、聞いてもらえないだろうか?」



 頼み事か~あまり変な事でなければ別にいいかな?取り敢えずは聞いてから判断しよう。



「まずは内容を聞かせて貰えませんか?それから出来るかどうかの判断をしたいと思いますので。」


「うむ…それは今ユーラ殿が言った【叫びの洞窟】に関する事なのだが、その原因を調べて解決できるならして貰えないだろうか?もし、解決できたならそれとは別に報酬を払わせて貰おう。どうだろうか?」



 う~ん、原因がわからない以上は安請け合いもマズイ気がするんだよなぁ…。少しボカして答えておくか。



「流石に原因がわからないと必ず解決できるとは言えないので、可能なら対処する。という事でどうですか?」


「ウム!それで構わないぞ?ワシも自分が解決出来なかった事を無理やりさせる気は無いからな。もし無理なら洞窟から出る時は必ず扉を閉めて鍵をしっかりと掛けてから戻ってきてくれ。」


「分かりました、ではその様にさせて貰います、ありがとうございます。」


「いや…礼を言うのはこちらの方だよ、ユーラ殿。お主には本当に感謝しか無い。ありがとうユーラ殿。」



 礼を言いながら頭を下げる侯爵…トライフルの街で話した時は、勝手な人物かと思ったがこうやって話すとちゃんとした人物であるのがわかる。前の時は興奮してたか何かでああなってしまったのかもしれないな。



 侯爵の許可を得たので【叫びの洞窟】に入るのは問題ないので、後はいつ行くのか?だけど、今日はもう日が暮れるから…明日の朝からでいいかな?取り敢えず皆が疲れていないようなら洞窟に出発という事にしておくかなぁ。



 侯爵を含む皆で食事を終えた後は特に何かあったという事もなく、割と普通に賑やかに食事をする事ができた。貴族と食事といえば物静かに音を立てずに食べるイメージがあったのだが、決してそんな事もなく話もしながらなので楽しく食事を取る事ができた。また、俺の食事量を見た侯爵が唖然としていたのだが、これでも食べすぎないように抑えていたつもりなのだが…それでも多かったかな?まぁ次からはもう少し自重する事にしよう。



 食事の後に皆に意見を聞いた所さほど疲れてもいないので、明日に出発しようという事になったので、明日の出発の為に早めに寝る事にした。色々してもいいかなぁとは思いもしたが、初めてちゃんとしたダンジョンに潜るという事もあり結構楽しみなので、ソウイウ事は後回しにさせてもらった。





「う…ん、ふぁぁぁっ…もう朝になったのか…しっかりと寝たつもりだけど、まだ眠いな…。でももう外がほんの少し明るくなってきているから、そのまま起きておくか。よし!ダンジョンに潜る為の準備でもしておこうかな?」





 俺が起きてから1時間ほどしてから皆も徐々に起き始めて、朝食まではと言う侯爵の勧めもあり朝食をとってから出発となった。侯爵の屋敷を出る時にメイド達と執事のイルディオさんに見送られながら出発した。侯爵は仕事があるようで見送りには来なかったが、イルディオさんから侯爵が『早く戻ってくるのを楽しみにしてる』との言葉を貰った。かなり期待してるみたいだが、まずは見てみない事にはなんとも言えないので頑張ります。とだけ伝えておいた。



 自分達の馬車を出して出発、街を出て【叫びの洞窟】を目指す。街を出る時にまた注目されるかと思ったが、朝も早いからなのかあまり人が居らずに意外と普通に街を出る事が出来た。



 邪魔するものも無いのでサクサク進んでいく事が出来た。移動する間は魔物に遭遇する事も無くあっという間に目的地である【叫びの洞窟】につく事ができた。着いてすぐに目に入ったのはおそらく洞窟を塞いでいる大きな岩だった。

 え?これで塞いでるの?それともこれはただそこにあるだけで入り口が別にあるのだろうか?取り敢えずこの岩の周囲を確認してみよう、もしかしたら何処かにちゃんと入り口があるのかもしれない。






 皆と協力して周囲を探ってみたのだが、入り口らしい物は何処にもなかった。と言う事はやはり入り口はこの岩の下にあるという事なのだろう。でも…こんなデカイ岩どうやってどかせば良いんだ?この岩大きさが高さに3mほど幅に至ってはその倍の6mはゆうに超えている。

 持ち上げれば良いのか…それとも転がせば良いのか?俺がどうしようかと考えていたら、ニーナが岩の前に立ち両手を添えているのが目に入った。何だ?一体ニーナは何をしようとしているのだろうか?



 ニーナが何をしようとしているのかが気になったので、少しの間だけ見守る事に…。どうするのかなぁと見ていたら、なんと!ニーナが岩を持ち上げてしまったのだ。

 おいおい…マジでか…普通に持ち上げちゃったよ、そしてそのまま持ったまま邪魔にならない場所に―ドドォン!―うわぁ…すっげぇなぁ。もしかしたら俺も持ち上げる事できるのかな?まぁ今はいいか…ニーナが誇らしげに胸を張ってるからねぇ、今俺が持ってしまったらニーナがしょげてしまうかもしれないしね?さぁて!洞窟に入ってみるとしますか!



 岩をどかした下には地面の岩を削ったであろう階段があった、それを降りて行くとそこには大きな鉄の扉に行き当たった。中々ゴツい扉だな、これには俺もびっくりした今までこの世界にこんな技術があるとは思いもしなかったからだ。結構しっかりしてるし建て付けもガッシリとしてる。おそらくこれなら簡単には壊れたりする事もないだろう。



 しかしこの鉄の扉なのだが、取っ手らしきものが見当たらないし鍵も見当たらない。まずったなぁ…てっきり普通の木製の扉を予想していたので扉の開き方までは聞かなかったからなぁ。まずは、周囲を探してみよう。もしかしたら何処かにこの扉を開ける為の何かがあるかもしれない。



 周囲を探してみると意外と簡単に見つける事ができた、レバーのような物があったのでそれを下ろしてみると目の前の分厚い鉄の扉が重量感のある音を立てながら開いていった。とその時だった、開きかけの扉の隙間から何かが飛び出てきた!何だ!と思った時にはウィリルが持っていた片手剣で素早く切り払っていた。何を切り払ったのかと思いよく見てみると何やらアメーバ状のものが広がっていたので、これが何かを聞いてみた所どうやら洞窟の様な湿った場所を好んで生息するスライムの一種だそうだ。

 このスライム自体は大した強さは無いのだが、体にとりつかれるとダメージは受けないのだがとてもヌルヌルしてものすごく気持ち悪いらしい、その上にこのヌルヌルだが時間が経過するととても臭くなり不愉快極まりないそうだ。

 ウィリルが急いで斬り伏せたのもダメージを負うから危ないとかではなく、スタート地点からいきなり臭い思いをしたくないからだったそうだ。そんな目に合わなくて良かった。流石に皆にクッサ!とか言われたら猛烈にヘコんでしまうだろうし…。



 このまま進むと暗くて何も見えないだろうからと思い光魔法の【ライト】を使おうと思った時だった。ちょうど【ライト】の魔法を発動する瞬間扉から中に入った途端洞窟の中が一気に明るくなったのだ。まるで昼間を思わせるような明るさで一瞬視界が真っ白になるほどだった。しばらくして目が慣れてきたのか視界が元に戻ると、正に洞窟という感じの光景が目の前に広がっていた。

 おぉ…この世界に来てから初めてのダンジョン!異世界の定番だ!ようやく俺もダンジョンマスターへの一歩を踏み出したのだ!(壮大な思い込み)



 俺が先頭になりダンジョンを進もうと勇んでいたら、シェイラ達に待ったを掛けられた。



「ユーラ殿少し待ってくれ、もしかしてこの人数でそのまま進むつもりなのか?流石にこの人数は多すぎると思うのだが…。」


「え?もしかして駄目なの?ダンジョンは人数制限があるとか?」


「いや…その様な事は聞いた事は無いが、だがあまり人数が多いと移動するのも大変だし何より戦闘時にまともに戦う事ができないと思うぞ?」


「そうなの?この道?でいいのかな、結構幅もあるし高さもあるから意外と平気なのかなって思ったけど…やっぱり人数は絞ったほうが良いの?」


「私達は一応5人で行動しているが、師匠と一緒に過ごしていた時は6人だったな。他のパーティーでは8人とかも聞いた事はあるが、今のメンバーだとそれ以上になっているから流石に多すぎると思ったんだ。なるべくなら次の敵に出会う前にメンバーをある程度にしたほうが良くないだろうか?」


「そうか…皆一緒じゃ駄目か~、う~んどうしようかな?俺はダンジョンに入るのは初めてだから勝手がわからないんだよなぁ、どうすればいいと思う?」



 俺の問に対してモニカが逆に俺に尋ねてきた。



「他の人がどう?というよりはユーラくんはどうしたいの?」


「流石に仲間はずれは作るのは嫌だからなぁ…でももしかしたら危ないかもしれないのは確かだし…う~ん…そうだ!取り敢えずは一度このまま全員で進むのはどうかな?それでもし人数が多すぎて危なかったり行動しづらい様であれば、まず希望者を募ってみて多ければ…その時に決めよう!」


「そうだね…まずはそれでいいんじゃないかな?あまり深く考えてもしょうがないし、楽しくないからね?」


「し、師匠!そんな考えは危険です!考え直すべきですよ!」



 珍しくシェイラがモニカに意見している、いやこれはAランク冒険者として今までやってきた経験があるからなのだろうか?俺は冒険者ですらないし、ダンジョンもここが初なので取り敢えずどういう意見があるのか聞いてみる事にしよう。



「無理してこの大人数で進めば誰かしらが怪我をする可能性もあるのですよ?しっかりと考えて適正は人数で行くべきです!」


「ふぅん…でシェイラそれはどうしてそう思ったの?」


「え?それはって言われてもギルドではそれが推奨されているからです。冒険者の常識でしょう?」


「その常識は何に基づいての常識?」


「それはその人数が探索もしやすいですし、戦闘もしやすい上に何かあった時に離脱しやすいからです。」


「ユーラくんがいてその常識って必要かな?」


「…………。」


「………必要?」


「必要ないですね…。」


「なら問題ないよね?」


「それもそうですね。じゃあこのまま行きましょうか?」


「ユーラくん問題ないってさ!早速皆で探検しようか!きっと楽しいよ~。」



 うまく問題が片付いてのは良いんだけど…その言い方じゃ俺が非常識みたいじゃないか…合ってるかもしれないけど…その言い方はやめてほしい。



「ホラホラ!そんなにヘコまないで?あとでちゃんと慰めてあげるから、ね?しっかりと抱きしめてあげるよ?この胸で。」



 ホレホレと自分の胸を手で持ち上げながらたゆんたゆんとさせて俺に見せつけてくるモニカ…そうだな…後でじっくりと癒やしてももらおうかな?きっと安らげるに違いない。魅力的な谷間が俺を待っている。皆が俺の事をジーッと見てくるが大丈夫だよ?俺皆にも癒やしてもらうつもりだから。



 さて?今だにスタート地点から出発してないが、いい加減進むとしよう。これからは魔物が来れば戦闘も行い尚且移動しながら鉱石も探さなければ!そして、機会があれば宝も見つかれば嬉しい限りだ。これからどうなるか非常に楽しみな探索になりそうだ。


早めにダンジョン攻略させたいけど…色々仕込みたい気もしてます…。

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