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第54話 インペスタの街へ到着!

すみません…今回も少ないです。

 あのあといろんな意味で皆に癒やされた後、今回最も傷つけたであろうセラとシファにもちゃんと謝っておいた。俺がしっかりと頭を下げて謝った為二人は慌てて俺の頭を上げさせようとしたが。これだけはしっかりとさせてほしいと言って頭を下げた。

 もともとは自分の所為でもあるからとセラは言ったが、今回…いや以前からしても俺はあまりいい態度を取って来なかったのは明白なので、皆には悪いと思っているのだが今回こうやって浮き彫りになったのはある意味で良かったのではないかと自分では思っている。

 あとは自分が悪い方向にいかないようにしっかりと自制して皆を同じ目に合わせないようにしていかなければいけないだろう。



 皆に一通り謝った後、俺は馬車内部で自分が私室に使っている部屋に来ている。多少遅くなりはしたが夕食を済ませた後に少しやりたい事があるからと1人自室に籠もっている。

 その理由はありがちではあるが皆に迷惑を掛けたのと恋人と称しておきながら今まで何もプレゼントをしてない気がしたからだ。ちょっとしたものなら上げた事はあるが、恋人としてという枠で考えると寂しい気がしたからだ。



 と、いう訳で…俺は恋人にプレゼントと言ったら?ありがちかもしれないが何かアクセサリーを自作して皆に上げたいと思ったのだ。だがただ自室に籠もってもこの部屋には指輪を作れるような道具や設備などは置いてない上に広すぎる馬車内部を仕切っている壁に関しても簡単に作ったものなので完全な防音ができないはずなのでハンマーを使った時の音などが響いてしまい五月蝿くしてしまう可能性がある。



 そこで俺は以前【マイシェルター】の応用で【クラフトルーム】を創ってみたのだが結果としてこれは大成功だった。内部に入るとまず音が漏れない、内部でしてる事から秘匿性が持てる、中に居る間の時間を調整出来るようにしたのでバッチリだろう。こういう事が出来るのも以前にラノベなどを読んでいたからできる発想なのだろう。発想力がある人というのは羨ましい限りである、いつか自分も自分発信のものが出せる時がくるだろうか?…いや難しいかも?かなり出し尽くされてる感があるし。

 新しい物を生み出すとなればそれだけで時間を取りそうだ。素直にアイデアをp…オマージュしておこう。



 早速【クラフトルーム】へと移動した俺は【マイバッグ】から使えそうな鉱石類を取り出してみたのだが…あぁ…これは無理だな。【マイバッグ】に残っている鉱石が大量の鉄鉱石とごく僅かな銀鉱石と金鉱石しかない。この量じゃあ精製しても大した量にはならないだろう。せいぜい作れても2~3人分ぐらいがいいとこだ。

 どうせ作るなら一生物にしてあげたいので、使う金属はこだわりを持ちたい所だが…今から鉱石類を探しても間に合わないだろうし、もうそろそろインペスタの街にも着く頃だ。あれ?待てよ?今の段階で既に鉱石は数が少ない上に量も少ない。あれ?これってマズイんじゃないか?マシイナ伯爵の所で奮発しすぎたせいで、ゴリラ侯爵の所で使う分がない…どうしよう?

 それになるべくなら鉄鉱石は武器製作の為に取って置きたいので鉱石類の確保は最重要事項だ。



 実は以前に手に入れた鉱石は大森林の中で見つけた浅い洞窟の中で掘り当てたものだ。奥行きが100mぐらい高さが約2mほど幅は1.5mほどの場所だった。この洞窟を見つけたのは偶然で何か食べれる木の実はないかと散策してる最中に見つけたのだ。何か居るかもしれないとは思ったが、冒険気分を味わいたくて興味本位で中に入ると真っ暗な中にほんの少しだけ輻射した太陽光が洞窟内部をほんのりと照らしていた。しかし、それも入口から5~6mぐらいまででそこから先は魔法の光で照らしながら進んでいった。そうして進んでいくと奥の行き止まりにはいろんな種類の鉱石が土に埋まっていたのだ。先程も言った金鉱石や銀鉱石そして少量の水晶と大量の鉄鉱石、銅鉱石などもあったので身体強化と採掘術をフルに使いそこから取れなくなるまで採掘しまくったのだ。



 仮に【転移無法】を使い大森林の洞窟に向かったとしても残っているのはわずかに残った小さな欠片ぐらいだろう。ここらへんで洞窟もしくはダンジョンなどがあったりしたら良いんだけど…そう上手くいかないだろうなぁ…どうしようか?

 皆にアクセサリーを作って上げようと思いながらも物が無いのでは何の意味もない。でもまぁぶっちゃけ【創造魔法】があれば鉱石ぐらい簡単に生み出せるとは思うが、どうせなら自分で苦労して手に入れた物で作りたい。ただの自己満足ではあるが簡単に生み出して作ってしまうと謝罪の意味を込めた物にはならない気がしたからだ。きっと人によってはそうでもないかもしれないが、今の自分自身がせめて謝罪とお世話になった思いを込めたいという気持ちからなのでどうにかして手に入れたい所だ。



 だがここらへん…どころか俺はこれから先移動する場所全てが今まで訪れた事のない場所だ。ここらへんに何があるとかは全く知らない。…仕方がない、ここは恥をしのんで皆を頼ろう。贈り物をするのにその贈る相手を頼るのもどうかと思うが、1人で考えすぎて変な方向に行くよりはマシだと考えよう。

 さて…変に考えを歪める前に皆に話をしに行こうかな?



 皆はちょうどリビング代わりに使っている部屋でセラとシファを中心に会話に華を咲かせているようだった。ちょっと…いやかなり声を掛けづらいがここで足踏みをしていてもしょうがないのでさっさと話をしてみる事にした。



「えぇ~と皆ちょっといいかな?少し聞きたい事があるんだけど?」



 俺が声を掛けた事で話が止まってしまったようだが、別段問題はなかったようだ…良かった、なにやら妙な緊張感を持って話しかけたけど気にし過ぎのようだった。今皆は俺の方を向いて何かな?みたいは表情で待っている。待たせすぎても何なのでさっくりと本題に入らせてもらった。



「えぇ~と、さ?ここらへんで手頃な洞窟かダンジョンってないかな?ちょっとインペスタ侯爵の所で使う鉱石類が足りなさそうなんだよね。だから街に着く前に事前に手に入れて置きたいんだけど、何処か良い場所知らないかな?」



 俺からそう聞いた全員が考え始めたのだが、早々にリィサとレナリアさん、ユリーナさんモニカが知らないと言ってきた。リィサとレナリアさんユリーナさんはあまり出歩く事が無かったらしいので分かるが元とは言え冒険者だったモニカは本当に知らないのだろうか?そう考えていると、俺の考えを察してかモニカが俺に話しかけてきた。



「以前の…パラサイトフローレンスに捕らえられる前の私なら色々知ってると思うけどね~、だけどあれからどれぐらいの年数が経ったと思ってるのさ?私が知ってる状態で残ってるかもしれないけど、崩壊してる可能性もあるからね。それなら今を確実に知っているあの子達に教えてもらったほうが確率が高いと思うよ。」


「ん~まぁそう余程の事がない限り簡単に崩壊するとは思えないけど…今は確実な方が良いかな?わかったよ、じゃあ今回はシェイラ達から聞いてみる事にするよ。モニカは次の機会にでもお願いね。」


「どこまで役に立てるかはわからないけど、わかったよ。今度は何か出来ると良いな。」


「大丈夫だよ、モニカは結構物知りみたいだし頼む機会はいくらでもあると思うよ。」



 は~い、と返事したモニカに礼を言ってシェイラ達の元に移動してみると、5人+精霊2人で話し合いをしている所だった。



「どうかな?どこか良い所ありそうかな?」



 俺の問いかけにいつもならシェイラが代表して来るのだが、今回はウィリルが俺の質問に答えてくれた。



「そうね…この辺で言ったらあたし達が知る限りだと【叫びの洞窟】かしら?他にもあるんだけど、鉱石が取れそうな場所で言ったらそこが一番だと思うわ。」


「へぇ~そうなんだ?あ!肝心な事聞いてなかった!その洞窟…えっと叫びの洞窟って場所って勝手に採掘して大丈夫なのかな?どこかの管理に置かれてたりしない?」



 俺が疑問に思っていた事に対してウィリルはそんな事か、と言わんばかりの表情をして答えてくれた。



「確かにその洞窟って元々はインペスタ侯爵様の管理にあったんだけどね?洞窟の名前にある通りに洞窟の中とか入口あたりにいると何かの叫び声が聞こえてくるのよ。その所為でそこを管理していた人達が皆嫌がるようになったの、初めの内は侯爵様が管理してる人達に『弛んでる!』とか言ってたらしいんだけどね?だけど、偶々そこを管理してる内の1人が精神的に参っちゃってね…ある日発狂して倒れちゃったのよ。で、偶然その光景を見ていた人達がきっと声の主に呪われたに違いないって言っちゃったものだから、それがあっという間に広まっちゃたのよ。そしたらそれを真に受けた人達が、『もうやっていられない!』って侯爵様に直訴したの。侯爵様も何とかその人達を説得して管理を続けさせようとしたらしいんだけど、どんなに金を積まれても嫌だっていわれたらしくてね…それからは管理する人が居なくなったものだから仕方なく侯爵様は一時閉鎖って形にしたけど、もうかなり前から全くの手つかずになってるのよ。ある意味での放置…まぁハッキリと言えば手放したって言うのが本当の所でしょうね。」


「なるほどなぁ…結局その洞窟に入るのに許可とかは必要はないって事でいいのかな?」


「大丈夫…と言いたい所だけど、今まで入ろうと考えた事がないからね。問題ないと思うわ…多分。」



 それは…ちょっと困るなぁ、まかり間違って問題になったりしたらそれこそ貴族に大きな貸しを作る事になりかねない。俺1人なら何も問題はないけど、今は皆も居る上にその皆の中には王族のレナリアさんも居る。下手したら王族の顔に泥を塗ったとか言われる可能性もあるからなぁ。

 そこら辺俺だけじゃ判断が付かないから、ここもまた皆に相談してみよう。



「おぉ~いレナリアさ~ん、ちょっとこっちに来てもらっていいかな?聞きたい事があるんだけど。」



 俺に呼ばれたレナリアさんが何やら嬉しそうな表情でこちらに歩み寄って来てるんだが…なんだろう気の所為か、尻尾を振りながら駆け寄ってくる犬のような雰囲気を感じた。気の所為だよね?



「どうしましたかユーラさん!私に何か用ですか?」


「あぁ…ちょっと聞きたいんだけどね…。」



 俺はそうして先程の洞窟の件に関してレナリアさんに聞いてみた、俺からの説明を聞き終えたレナリアさんは、少しだけ考えていたが考えがまとまったのか話をし始めた。



「今回の事に関してはインペスタ侯爵が自分から手放したとは言ってないのですよね?あくまでも閉鎖という言い方をしたのなら、その権利はまだインペスタ侯爵にあります。幾ら管理をしていないと言っても人の敷地に無断で入って人の物を勝手に持ち出すような行為なので罪になってしまいますよ?ですから洞窟の中に入って採掘をしたいのであればしっかりと許可を取るべきですね。間違ってもバレなければいいだろう?なんて考えないで下さいね。」


「あぁ…はい、わかりました。ありがとうございますレナリアさん。」


「私はユーラさんのお役に立てましたか?」


「えぇバッチリですよ、こういう貴族が関わる事は全く知らないのでとても助かりました。これからもよろしくお願いしますね。」


「任せて下さい!これからも貴族関連だけじゃなくわからない事があれば是非力になりますよ!」


「は、はい、わかりました。レナリアさんがそう言ってくれると心強いですよ。」



フンス!と言わんばかりに気合が入っているレナリアさん…もしかしたら今までずっと頼って欲しかったのかもしれない…これからはもっと頼るようにしようかな。



 どうやらそのまま勝手に洞窟に入って採掘をすると問題になりそうなので、散々引っ張り続けたインペスタの街に向かう事にした。だが、そう待つ事もなくたどり着けるだろう。その証拠に操作室の窓から街らしき場所が見えてきた。はぁ…ここに辿り着くまでに本当に色々あったなぁ…。そのほとんどが自業自得の極みというのがまたなんとも言えない。だ、大丈夫だ!これからは今まで以上に頑張って行くと決めたんだ!だからきっと…多分?大丈夫だ!



 インペスタの街にかなり近づいてきたので、そろそろ地上に降りての移動に切り替えよう。今は馬車そのものが見えないようにしてはいるが、空を飛んだまま急に馬車が姿を現しでもしたらいらない混乱を招きそうなので、未だ遠目にある内にステルスモードを解除しておいて地上を行く事にした。



 地上を行く事しばらくしてようやくインペスタの街の入口にたどり着いた、今俺は馬車の中に居る。

本当は俺が降りて街に入る為の手続きをしようと思っていたのだが、俺がやるよりもシェイラ達の方が信頼性が高いのでシェイラ達にお願いする事にした。

 もしかしたらゴリラ侯爵が俺が来る事を伝えているかもしれないと俺が行こうとはしたのだが…ゴリラ侯爵を良く知るレナリアさんが言うには『…恐らく伝えていないと思います、あの方は豪快が過ぎる所がありますので、そういう細かい配慮が出来るとは到底思えません。』との言葉だった。

 ま、まぁこの言葉も信頼あり気での言葉だと思うし、それに俺も街に入る前から面倒な事になるのも嫌だしね。頼れる所は皆を頼らせてもらう事にした。



 流石Aランク冒険者とでもいうべきだろうか?本来ならこの街を治めるゴリラ侯爵の馬車以外は必ず馬車の中を改めないといけないらしいのだが、戦乙女ヴァルキリオンはかなり信頼が高いのか馬車内部を改める事自体をせずとも良いと言われたらしく中に誰が居るとかの確認もしなかった。

それで良いのだろうか?まぁ正直馬車内部は見られると困る物や人も居るのでありがたい事ではあるのだが…こんな感じで何事も無くうまくいけば良いのだけど、皆に力を借りて出来るだけ問題を起こさないようにしないとなぁ。



 街に入る時はそう思っていたが自分の思いとは別に結局騒ぎに巻き込まれる事になるとはこの時は全く思いもしなかったのだ。


良い所で区切ろうとすると短くなったりして、文字数の配分に迷います。まだまだ精進が必要だなと思いました。

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