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閑話 破天荒な姉妹達

すいません今回も閑話です。閑話の連続投降は今の所今回だけですが、いずれまた本編を進めつつ間に投降していきたいと思ってます。何卒よろしくお願いします。

 静姉を筆頭に情報をかき集め続けて、静姉の言っていた3日になったけど、静姉からは何の連絡もない。連絡がない、という変な言い方をしているのは3日前に帰ってきたばかりの静姉なのだが…連絡先を調べてくると言ってまた出掛けてしまったのだ。



 私達なりに情報をまとめて置いたのだが、伝えたい本人は今だ帰ってくる様子がない。せめて連絡があれば良かったのだが、なんの音沙汰もない。

 こちらから静姉に連絡を取りたいのだが、よくよく思い出してみると以前の連絡先では繋がらない事を思い出していた。あ~連絡先ぐらいは聞いておけば良かった、まさか帰ってきた当日にすぐに出掛けるとは思いもしなかった。なんとも自由な姉だ、こちらの身にもなって欲しいよ。



「和津梛~静姉から連絡あった~?」


「いえ何も連絡は無いですね…それにしても本当にどこに行かれたのでしょうか?何かあったのでは無いか心配になりますね。(葉津梛姉さんには静梛姉さんの連絡先を知ってる事を教えないほうがいいですね…静梛姉さんに迷惑を掛けそうです。)」


「本当だよ~、自由にするにしても限度があるよね。」


「………(あなたがそれを言いますか…葉津梛姉さん。)」


「どうしたの?和津梛。」


「いえ…なんでもありませんよ、気にしないで下さい。」


「ふぅ~ん、まぁいいか!それにしてもどうしようか?やっぱり私達も外に出て情報を集めに出掛けた方が良かったのかなぁ。う~ん、ねぇ和津梛?私達も今から出掛けてみる?」


「え!?今からですか?流石にそれはやめておいた方が良いと思いますが…。」


「だってさぁ~こ~んなに待ってるのに全然来ないし、それどころか連絡すらないじゃん。もしかしたら行き詰まってるかもしれないよ?それなら私達の方で少しでも情報を集めておいたら何か切掛ぐらいにはなりそうじゃない?」


「(こんなに自由な事ばかり言ってるから人には言えないはずなのですが…自覚は無いでしょうね…はぁ…どうすればこの姉を落ち着かせる事ができるでしょうか?)」


「何々?どこに行くか決めたの?どうする?どこに行けばいいと思う?」


「(これは…早い段階で行く気が無い事を伝えないと面倒な事になりそうですね。もう少し落ち着きを持って欲しいものですが…葉津梛姉さんには無理ですかね?取り敢えず今はこの姉が暴走しないように落ち着けないといけませんね。)」


「ちょっと~和津梛~さっきから何で答えてくれないの~私一人だけ話してたら馬鹿みたいじゃんか~。ちゃんと相手してよ。」


「あぁすみません葉津梛姉さん、少し考え事をしていたものですから。」


「うん?考え事?何を考えてたの?」


「いえ…大した事ではないから大丈夫です。しかし、葉津梛姉さん外出するのはやめておいたほうがいいと思いますよ?もしかしたら行き違いになってしまう可能性もありますから、素直に待っておいた方がいいと思いまず。」


「うぅ~ん確かにねぇ。和津梛が言うように待っていた方が良いのかなぁ?」


「私はそうした方が良いと思います。」


「そっか…わかった!じゃあ待ってようか?」


「(…妙に素直ですね…いつもならごねるというのに…余計な行動を起こさなければ良いのですが…心配ですね。しばらく目を離さないようにしましょう。)」


「和津梛~私しばらく部屋に居るから、静姉が帰ってきたら教えてね~。」


「…わかりました。帰ってきたらすぐに呼びにきます。」





 さて、私こと和津梛は姉である葉津梛姉さんが部屋に下がったのを見送りながら何かを企んでいるのでは無いかと思ってます。あの自由奔放な人物である葉津梛姉さんが素直に部屋に下がったのがどうにも怪しいと思っています。

 あの姉の事ですから何か余計な事をしでかす可能性が大いにありますから、警戒をして置かなければいけません。それはそうと静梛姉さんは今だに連絡が無いのは流石に気になりますね。静梛姉さんは割と勝手気ままなイメージがありますが、しっかりとした方ではあります。以前家から飛び出して行ったのもあのはた迷惑な男性のせいであり、決して静梛姉さんが自分勝手な性格をしているからではありません。

 うぅん!失礼、話が逸れてしまいましたね。そういう訳で本来はしっかりと約束事や時間に対しても正確な姉でありますので今日の約束の日に遅れるというのは何かしらのトラブルがあったのでは無いかと思ってしまいます。何事も無ければ良いのですが…本当に心配です。



 今の時刻は午後3時過ぎになります。私としては明日まで待っても良いのですが、葉津梛姉さんがいつしびれを切らして余計な行動を取るかわかったものではありません。ですので、あと一時間ほど待っても戻られないようであればこちらから電話を掛けてしまいましょう。それで、何事もないならそれで構いませんし、もし何事かトラブルに巻き込まれているようであれば大樹兄さんや連枝兄さん少し卑怯な手段を用いたいなら公佳義姉さんに頼むのも良いかも知れません。正直公佳義姉さんは切札ジョーカー的な方なのであまり頼りたくはありませんが、いざとなったらそうも言ってられませんからね。



 …2階の自室にいるはずの葉津梛姉さんが妙に大人しすぎる気がします。寝ているのでしょうか?それなら五月蝿くないので別に構わないのですが…あの葉津梛姉さんがただただ大人しく待つでしょうか?いえ、あの姉が大人しく待つとは思わない方が良いでしょう。3時休憩に誘うふりをしてこちらで予定している時間まで話をするフリをして見張っておきましょう。そうと決まれば早速行動しましょう、時間を置けば置くほど私の不安が増してしまいます。



 今私は葉津梛姉さんの部屋の前に来ていますが…妙に静かすぎます。寝ているのであれば静かなのも頷けますが、私の今までの経験からあの姉が大人しく寝ているとは思えないのです。部屋をノックしてみましょう。



「―コンコン―葉津梛姉さん私です和津梛です、よければ今から3時休憩をしませんか?前に大樹兄さんが現場の方から差し入れで頂いてきたお菓子がありますので、それを食べながらお茶を飲みましょう。」


『うぇ!な、何、和津梛?な、何か用かな?』



 …妙にどもっていますね…やはり怪しいです。もう一度声を掛けてみましょう、もしかしたら急に声を掛けられて焦っただけの可能性もほんの少しありますからね。



「どうかしましたか?葉津梛姉さん。何でも無ければ下で一緒に休憩をしませんか?ただ待つよりもいいと思いまして声を掛けに来たのですが…どうでしょうか?」


『えぇっと…もう少し待って貰っていいかな?あと…10分ぐらい。そしたらもう一回呼びにきてもらえる?ちょっと今手が離せなくてさ…アハ、アハハハ。』



 この曖昧な返事の仕方…間違いないですね。何かをしでかそうとしてますね。…決めました、突撃しましょう。もしかしたらトンデモナイ光景を目にしてしまうかもしれませんが、私の勘が違うと感じているので行きましょう!



「姉さん少し失礼しますね?―ガチャ、ガチャガチャ―葉津梛姉さん何故普段はしない施錠をしているのでしょうか?何か疚しい事でもしているのでしょうか?もしそうでないのならこの鍵を開けてくれませんか?」


『何?何でドアを開けようとしているの?下で待っててって言ったじゃん!入ってきたらダメだよ!』



 やはり何かをしようとしていましたか…これは必ず阻止しなければいけませんね。しかし、その前にこのドアの鍵をどうにかしないといけませんが…仕方ありませんね…あまりこの手段は取りたくありませんでしたが、どうせ葉津梛姉さんが素直に開けるとは思えませんので、大樹兄さんから教わった技術を使わせてもらいましょう。



「葉津梛姉さん…このドアの鍵を開けて下さい。もし開けない場合は強行手段を取らせていただきます。10数える間に鍵を開けて下さい。1、2、3、4、…。」


『ちょっと待ってよ~開ける!開けるから今は待って!』


「ダメです、これ以上時間を取らせる訳にはいきません。6、7、8、9、10。では強行します、―カチャカチャ、カチッ!―完了です。入りますよ?葉津梛姉さん。」



 難なく部屋の鍵を開ける事ができた私はドアを開けて中に入るとそこには…窓からロープを垂らしそれを伝って降りようとしている葉津梛姉さんの姿だった。



「あ!こら!そんな危ない事をするなんて何を考えているんですか、葉津梛姉さん!部屋に戻りなさい!」


「や~だよ!じっとしてるなんて私に似合わないもんね!と、いう訳で私は行ってきま~す。」


「あ!待ちなさい!葉津梛姉さん!」



 クッ!部屋が2階にあるからと油断してましたね、まさか窓から脱出を図るとはこういう所は本当にあの人に似てますね。きっとこうやってロープまで用意するだけでなく、このような高所から降りる方法はあの人に教わったのでしょう。あまり変な事を教えて欲しくないものです。



 流石に私はこのような場所から降りるような技術は持ち合わせてないですから、私が下に降りて追いかけていては間に合いそうにありません。ですので私が持ちうる最強の切札を切らせてもらいましょう。



「もしもし私です、和津梛ですが実は……。」



 フフこれで葉津梛姉さんの方は問題無いでしょう。日頃から私に迷惑を掛けても平然としてますからね…偶には痛い目にあうと良いでしょう。





 やった!和津梛を出し抜いてやったぞーー!このまま手掛かりを探す為にまずは移動手段が必要だから暇を持て余してそうな知り合いに連絡をしてみよう。絶対にゆう君の手掛かりを見つけてやるんだからね!と私は家から脱出した事で周囲の警戒を疎かにしてたのが駄目だった。

 この時の私は気付く事が出来なかった、和津梛の手により私を捕らえようと追跡者が放たれている事に……。そして、その追跡者はとっくの昔に私の背後まで迫っていたのだ!



「さ~てまずは~暇を持て余してそうと言えば……ヒナちゃんあたりかなぁ?早速電話を…。」


「暇を持て余してる人に電話?そんな葉津梛も随分と暇そうね?何をしようとしているのか私に聞かせてもらえるかしら?」



 !!こ、この落ち着きながらも怒りを隠そうとしない喋り方は!間違いない!この私の後ろにいる人は…でも何で!?今は旅行に出掛けていていない筈なのに!どうして?



「いつまでそうしてるつもりかしら?早くこちらに振り返ってみなさい?私がどういう顔をしてるかで私の考えてる事が…あなたならわかるんじゃないかしら?ねぇ葉津梛?」



 ふ、振り返りたくない!後ろにいるのは間違いなく般若だ!その顔を見た瞬間私は地獄に落とされる…今はまだ捕まる訳には行かない!よし!逃げよう!後で怒られるかもしれないけど今逃げられればそれでいい!



「あら?もしかして今逃げられると思ってるのかしら?一応言っておくと無理よ。既にあなたが逃げそうな場所は確認してあるから今逃げても確実に追い詰めてみせるわ。それでもいいなら逃げていいわよ?」



 駄目だ…逃走は不可能だ。仕方ない、諦めて投降しよう…はぁ手掛かり探したかったなぁ。



「ようやく諦めたようね、ホラ!さっさと帰るわよ、全く2階からロープで降りるなんて危険な事を誰が教えたのかしら?私はあなたをそんな女らしくない育て方をした覚えは無いのだけど?」


「うぐぐ!だってさ…静姉がゆう君に関する情報を手に入れてだよ?もしそれがゆう君に伝わるような事になったら私の優位が無くなっちゃうじゃん。」


「だからって2階の窓から降りてまで宛もない情報を探しに行く人がありますか!全く本当に後先考えない所はあの人そっくりね…聞いてるの?葉津梛。」


「ちゃんと聞いてるからそんなに言わなくてもいいじゃんか~もう~。」


「あなたの返事が曖昧だからよ、わかってるのならちゃんと返事をしなさい!」


「もう~わかったってば!だからそんなに怒らないでよ、お母さん!」



 全く~和津梛もよりによってお母さんに言わなくてもいいのに!旅行に行ってた筈なのにいつの間に帰ってきたんだか…御蔭で行きそこねちゃったよ。はぁ…仕方ない諦めよう。私がどんなに運動神経が良くてもお母さんから逃げれる自身はない。この母私達を生んでなお今だに運動神経がいいのだ、逃げるなんて論外だ。おそらく10mも逃げる前に即座に確保されるだろう。



 私はお母さんが来てしまった時点で…いや和津梛がお母さんに連絡した時点で既に逃げる事自体が不可能になってしまったのだ。この母は外見だけで見ればどう見ても私達とあまり変わらないので一緒に歩いているとナンパされてしまうぐらいだ。その上スタイルは私達よりもいいし…胸は私達姉妹の誰よりも大きいし、腰なんて細くてモデルみたいだ。お尻だって弛んでおらずキュッとしてとてもキレイに見えて羨ましい限りだ。



 また見た目が良いだけじゃなくて頭も回るのだ。勘もいいので予想外の動きにも反応が良く、その勘の良さから今まで色んな危機的状況を回避してきたそうだ。そんな経験をしてきた家の母が相手なのでこの状況から逃げ出すのはあまりにも難易度が高すぎるので、大人しく家に帰る事にした。



「それにしてもお母さん、父さんと一緒に旅行に行ってた筈でしょ?何でもう帰ってきたの?」


「あぁ…それね~確かに本当なら今頃幹悠みきひさ君と温泉に入っていたんだけど…静梛が大事な話があるからって電話を掛けて来たのよ。だから幹悠君と話し合って一旦帰る事にしたのよ。」


「え!?静姉から電話が有ったの!それっていつの話!」


「それ?昨日の夜よ?だから昨日の内に和津梛に明日帰るからって連絡を入れておいたのよ?もしかして聞いてなかったの?」


「き、聞いてない…くぅぅ!和津梛~教えてくれてたら~…もう!」



 お母さんが帰ってくる事がわかっていたらちゃんと別の手段を取ったのに!和津梛め…わざと私に教えなかったな?



「どうせあなたに伝えたらそれを見越して勝手な行動ばかり取るから切札として敢えて伝えなかったんでしょ?日頃の行動がまともじゃないからそうなるのよ?あと今回のバツはしっかりと取らせるから。」


「そんなぁ、ちょっとゆう君の手掛かりを探しに行こうとしただけじゃん。まだ迷惑を掛けてないのにバツがあるの?」


「あなたの場合はある程度バツを与えておかないと勝手な行動が過ぎるからよ?実際和津梛にはそんな事してないしね。」


「え~ひいきだよ~、私ばっかりそんな風に扱うなんて…ずるいなぁ。」


「何を言ってるの?それならあなたも和津梛の様に余計な手間を掛けないようにすればいいだけよ?そうすればこうやって私に怒られるような事も無いんだから。」


「それじゃあ私らしさが無くなるっていうか…ね?お母さんも分かるでしょ?」


「そうね、あなたがそういう子だというのはよくわかってるわ。だからこそこの扱いも妥当だとは思わないかしら?」


「うぅ!駄目だ…お母さんには口では勝てないよ…とほほ。」


「何を言ってるの葉津梛?口も勝てない、でしょ?今のあなたが私に何か1つでも勝とうなんて10年早いわね。」


「うぅ、当たっているだけに言い返せないよ~。こんな時にゆう君が居てくれたら、きっと私の味方をしてくれるのになぁ…はぁ、逢いたいな…ゆう君に…。」


「…葉津梛…どうしたの?もしかしてもう諦めたのかしら?それならそれでも良いのよ?誰もあなたを責める事はしないわ。今この場に居ない人を思い続けるのは辛いわよ?早く楽になりたいんじゃない?いい男なんて世の中には山のように居るわよ?」



 その言葉は流石にお母さんから聞くのは嫌だった…けど、それが私達を思っての言葉だというのもわかってるので、お母さんに当たるような事はしたくなかった…だけど一言だけ言っておきたかった。



「ねぇ、お母さん?世の中には良い男の人がたくさん居るって言ったけどね?私にとって良い男の人は…ゆう君だけだよ。どんなに性格が良くてもどんなにお金持ちでもどんなに見た目が良くてもそれは変わらないよ。ゆう君だけが私にとっての良い男なんだ…だから諦めたりなんかしないよ。」


「ふぅ…本当に頑固ね、一体誰に似たのかしらね。そうね、でもそれなら…そんな顔してないでシャンとしなさい?そんな顔してちゃ肝心の優良君に会えても心配されてしまうわよ?頑張りなさい、私の娘なら、ね。わかった?」


「わかったよ、お母さん。諦めたりなんかしない…絶対にゆう君に会ってみせるよ!」


「えぇ…出来るわよ、あなた達なら…。」



 もしかしてお母さんはただ和津梛に言われて私を止めに来ただけじゃなくて、私を元気付ける為に来てくれたのだろうか?もし、そうならどれだけ心強いだろうか。頑張ろう諦めたりしたら今までの努力が全部駄目になってしまう。

 諦めずに頑張ればいつかはきっとゆう君に会えるはずだ。そして…その機会がそう遠くない日に近づいて来てる事に今の私にはまだ知る由もなかった。




最近ブックマーク数や評価pt、PV数も増えてきてとても嬉しく思っております。モチベーションがあがるのでとても書いてて嬉しいです。

 皆様本当にありがとうございます!

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