第4話 ポンコツ女神様からのプレゼント
投稿時間がバラバラですいません。慣れるまで時間がかかりそうです。
『それはだな…うむ…そうだのう、優良君は今の仕事は好きかね?』
「今の仕事ですか?う~んそうですね。嫌いでは無いのですが、若干苦手意識があります。」
『ふむ、それはどうしてか聞いてもいいかの。』
「簡単に言えば劣等感だと思います。勤めていた会社の皆は一流といってもいい程の仕事をしていました。それを見て自分の仕事をこなす速度、手際の良さが如何に駄目なのかが分かってしまって自分は居るだけで足を引っ張ってるのではないかと思うと、もしかして自分はこの仕事に向いてないのかなと思ったりするんです。それでどうしても苦手になってきてしまって…。」
『ふむ、それぐらいならどうにかなりそうじゃの。もう一度聞くが嫌いでは無いんじゃな?』
「はい!嫌いではないです。こう言うと言い訳になるかもしれませんが、自分のペースでゆっくりやらせてもらえるなら、作業の質自体は上げていけると思っていますし、自分で考えて自由に作る事ができれば楽しくできると思っています。」
『そうかそうか!では、そうしてもらうかのぉ。今はとりあえずそのままでいてくれたらいいぞ。』
「えっと?それはどういう意味があるんですか?…。」
そう聞き返してみたが、それに対する答えは返ってこなかった。
『メルよ。お前が判断して今の彼に必要なものを与えてみなさい。優良君がこの世界で安心して生きていけるようにするんじゃぞ。』
『え!?本当に?いいんですか!わかりました。しっかり考えてやってみます。』
「その~一体俺に何をするんですか?なんかすごく怖いのですが。」
『む、失礼ね!変な事はしないわよ。あなたは気にしないでそこに立ってるだけでいいのよ』
『これ!そんな事を言ったら余計に気になるじゃろうが。すまんの、優良君。なに、お主がこの世界で生きていくのに必要なスキルやら道具を与えておこうと思っての~。ばあさんが言った通りにこの世界は殺伐としてるからの。ある程度自衛できる力と生活に必要な適性を与えておかんとならんからな。』
おぉ!それは嬉しい!嬉しいのだが、それを与えてくれるのが女神様でなければなんだがな。また、何かしでかさないかと気がかりだな。
『それは、大丈夫じゃよ。儂等もおるからのちゃんと見とるからしっかりと受け取って問題ないわい。』
おじいちゃん神が言うなら大丈夫かな!よし、心構え完了だ。バッチコイ!
『ふぉふぉふぉ、そら準備完了だそうだ。メルよやってみなさい。』
『何気に私に対して失礼な気がしないでも無いけど、さっきの事もあるから多めに見てあげるわ。』
そこは自業自得だと思うんだが、それを言って変なもの渡されても嫌だから黙っていよう。
『ねぇ、あなた私も心を読めるの忘れてないかしら。まぁいいわ、いくわよ!女神メリセレーネの名において彼の者に相応しきものを与えん!【女神からの誕生日箱】(バースデープレゼント)!
何故バースデープレゼント?意味がわからん、やはりこの女神様は天然なのだろうか?それとも頭がおかしいのか?そんな事を考えていると女神様のその手が光りだした。そして、その光は真っ直ぐ俺の胸に向かってきて吸い込まれてしまった。
ヤバイ!変なものでも打ち込まれたか!と思ったのだが…
「お、おぉ!なんか胸のあたりが暖かいんだけど、なんですかこれ?」
『特別に私が創ったスキルで、今のあなたに必要なスキルと特別な道具それとちょっとした自衛手段ってところね。ちゃんと良いものを選んで渡したからこれでさっきの事はチャラにしてよね!それとね、誰が頭おかしいよ!天然でもなければ頭もおかしくないわよ。それにね、バースデープレゼントってのもねこの世界に来て新しく生を謳歌出来るようにって願いを込めてつけたのに、頭がおかしいとか失礼にもほどがあるわよ!』
素晴らしいものをくれたらしいし悪い事を思ってしまったなとは思うが、俺は決して口には出してないし勝手に人の考えを読むから悪い。聞きたくないなら考えを読まないようにすればいいのに…。考えを読む事が出来るなら読まないようにする事もできるのでは?
『出来るわよ!出来るけどなるべくならあなたが何を考えてるか知っていたいからしょうがないでしょ。』
何やら恥ずかしい事を言いだしたな?自分が何を言ってるのかわかってるのでしょうか。この女神様は…。もし自覚してないなら、とんだ残念女神様だな。それとさっきは流したがチャラにしろ的な事を言っていたな。言ってる事が厚かましいな、どんだけ面の皮が厚いんだ。
『なんですって!そんな事を言うならぼっしゅ、―バシッ!― きゃん!いったーい!何するのよ!おじいちゃん!』
『はぁ~お主は本当に反省しとるのかのぉ~、もういいわいメルお前は下がっておれ。もう充分じゃ、そろそろ送り出してやらにゃいかんからな。』
え?もう行かなきゃいけないのか。女神様がじゃれついてきたせいでまともな説明を聞きそびれたな。やばいなんか段々緊張してきたな…俺、本当にこの世界で生きていけるんだよな、うぅ~下っ腹が痛くなってきた。
『フフッ、忙しなくてごめんなさいね優良君。でも、ここは普通の人が長居していい場所じゃないの。だから、早々に送り出すのを許して頂戴ね。』
「あっいいえ!すいません気にしないで下さい。一生懸命頑張りますので!」
ふぅ~いけないいけないおばあちゃん神に迷惑を掛ける所だった。よし、俺だって腐っても男だ!向こうに居た時の全てが忘れられたわけでは無いが、とりあえずは生き残ることを考えよう。
『そろそろいいかの。では、地上に送るぞ。』
『ちょっと待って!おじいちゃんその役目私がやるわ。』
『ん?メルお主がか?ふむ、優良君は構わないかね?』
マジか!また女神様が出張って来やがった!正直不安はある…だがあまり女神様に不安ばかり抱いてもしょうがないのも確かなんだよな~…よし!なるようになるだろう。
「わかりました。女神様でも構いません。お願いします。」
『本当に失礼な事ばかり考えてるわね。もういいわ、私が悪いのは本当のことだし。よし、じゃあ送り出すわね。』
そう言って俺に近づいて来た女神さまは…チュッと俺の頬にキスをした。
『おわびと感謝の気持ちよ、受け取っておいてね!じゃあ、いってらっしゃい!』
その言葉を最後に頬に暖かいものを感じたまま、俺の意識はゆっくり閉じていった。
『おぉ、メルなかなか大胆な事をしよったのぉ~ふぉふぉふぉ。』
『う、ぅぐ。それは、その~おわびというかなんというか。』
恥ずかしそうに顔を赤らめている女神を真剣な眼差しで見ているおばあちゃん神は女神に聞くことにした。
『お詫びはいいとしても、あなたがした事の意味はわかってますか、女神メリセレーネ?』
いつもの穏やかな雰囲気とは違った真面目な雰囲気を感じた女神はしっかりと答えることにした。
『わかっています。自分がした事が何を意味するか、何を与えたかもしっかり理解しています。そのうえで言いますが、後悔はしてません。』
女神のその答えにおばあちゃん神の態度が和らいだ。
『そう…そうですか。それならいいんですよメルちゃん。ならこれからは、しっかりと優良君を見守り(・・・・)ませんとね。困ったことがあったら相談するんですよ。フフッ』
『ッ!わ、私そろそろ行きませんと、まだ仕事が残ってました!それじゃ、もう行きます!』
そう言うと同時に女神は顔を真赤にしてもの凄い勢いで立ち去っていった。
『なかなかにイジワルじゃのうばあさんや。あんなからかい方せんでも普通に帰らせることも出来るであろうに。』
『イジワルは否定しませんが、あの子の覚悟も確認しておきたかったので。それで、おじいさん優良君には何を追加されるんですか?』
『ん?んん~気づいとったか。まぁ、いろいろじゃな。さすがにアレじゃマズイと思うしのう。さてと、手伝ってくれるかのう、ばあさんや。』
『はいはい、言われずともお手伝いしますよおじいさん。とりあえずは、戦闘面でのスキルはどうでしょうか?あの子、全くと言って言いほど何も渡してないでしょう?』
『あぁ、「職人」としてのスキルや道具は今すぐは問題ないが、資材集めの際にはどうしても戦いが必須の場合もあるからの。いくらメルが手違いで優良君を連れてきたとしても、儂等にも監督責任というものがあるからの。彼が死んでしまわない様にそこらへんをしっかりと見繕って渡しておこうかの。』
『そうですね。では、彼が地上に降りてある程度落ち着いてから与えることにしましょうか。』
優良が知らない所で、戦闘面でもしっかりと強化される事が決定したのだった。
ポンコツな人って結構周囲に居る気がしません?