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第44話 衝撃の出会いと敵討ち成功?

途中視点変更があります。主人公から戦乙女ヴァルキリオン視点になります。

「…さっきの続きだけどな…アンタらあそこに降りたいんだよな?自分達だけでどうにかする為に…。そこに間違いはない、それで良いんだよな?」


「…あぁそうだ、私達は自分達の力だけであの魔物を…師匠の仇を討ってみせる!だから私達を降ろしてくれ!」



 少しだけ時間を置いてもやはり無理だったようだ…。残念だよ…だけどいつまでも俺が縛り付ける訳にはいかないだろう。あまりやり過ぎても逆に俺が傲慢だと言って来そうだな…仕方ない彼女達を降ろすか…生き残れるかどうかは彼女達次第だろう…。



「わかった…アンタらを降ろそう。ただし条件がある。俺達はアンタらを降ろすのと同時にこの場所から離れさせてもらう。アンタらが自分達の我を通そうと言うのならすればいい。だが、それに俺達を巻きこないでくれ。それでいいなら降ろさせてもらおう。どうだ?」


「っ!…それは…すぐに行かれるのですか?ユーラさん。」


「あぁほんの少しも待つ気はない。アンタらが無事にあの魔物を倒したとしても、俺はアンタらを連れて行く気はないな。自分達の我儘を通すんだから当然だろう?まさかとは思うが、自分達の我儘だけを通して俺達の意見が聞けないとか言わないよな?」


「…どうしてもだろうか。」


「くどい!同じ事を何度も言わせるな!自分達の力でどうにかするんだろう?ならすればいい。それは倒した後でも一緒だろう?都合の良い所だけ力を貸して貰おうなどと思うなよ。やるなら最初から最後まで全部自分達の力でやれ!」


「…わかった…。今までありがとう、世話になった…どうか降ろしてほしい。」



 脅しのつもりで言ったつもりなのだが…やはり駄目だったか。昔に何かの本で読んだな。復讐とは一番自身の目を曇らせる感情だと…きっと彼女達は復讐心に駆られすぎて現状を理解してない。

 恐らく下に降りた瞬間あの毒霧?毒ガス?にやられてしまうのではないかと思っている。それが予想の範囲でとは言え分かっているから止めて居るのだが、最早止める事は出来なさそうだ。それにこれ以上引き止めてリィサ達に何かをされてしまうのが一番困る。俺ならばすぐに止める事は出来るだろうが、万が一を考えると危険に晒す可能性もある。だから俺はリィサ達を選んだ、悪いとは思うが…これ以上何かを言っても聞いてはくれないだろう。



 彼女達を降ろす準備は出来た、後は彼女達次第だ。…出来るなら俺の手を取って欲しいと願っているが…難しいだろうな。ちなみに馬車内部に対する毒ガス対策は単純に人だけが出入り出来るように出入口にシールドを張った、人は自由に出入り出来るがそれ以外を不純物とみなして侵入を拒むようにしてある。チートというのは本当に便利な物だ。



 そうこうしてる内に戦乙女ヴァルキリオン達の準備は出来たようだ。彼女達は何かを言いたそうにしているが、話し合いが決裂した時点で俺から彼女達に対して何かを言う気はない。俺自身もこれ以上は何を言って良いのかわからなかったからだ。もしかしたらもっと良い解決方法があったのかも知れない…けど俺にはそれを導き出す事ができなかった。後は彼女達が師匠と呼ぶ人物を助ける事が出来なくとも倒して自身の感情に折り合いをつける事を祈るだけだ。



「…その…ユーラ殿先程は本当にすまなかった。あれはいくら何でも言い過ぎたので謝らせて欲しい。

本当にすまなかった。」


「あぁ謝罪は受け取るよ…準備はもういいのか?なら安全を確保出来る高さまで降ろした後は出入口を開けるからすぐに出てくれ。俺はこの場所の空気を危険だと認識しているからな。ここの中にまで外の空気が入ってきたら困るんだ。だから出入口が開いたらすぐに行動してくれ。いいな?」



 俺はそう言って彼女達を睨みつける。悪意を持って言っているのではなく口にこそ出してはいないが「本当に良いんだな?」という最後通告のつもりである。ここに至ってわかってくれるとは思えないが一応しておきたかった。



「構わない…本当に今までお世話になった…ありがとうユーラ殿…。」


「…そうか。」



 どうやら最後の意思確認すらも無駄に終わったようだ。もしかしたら俺の意思がうまく伝わってないのではないかと思ったりもしたが…それはなさそうだ。彼女達の目つきがそれを証明している。「絶対に行く」とそう言ってるような気がした。だから俺は見送る事にした…もう無理だろう。



 馬車の高さを安全に降りれる程の高さまで降ろして出入口の扉を開け放った瞬間、扉の外側に一面の紫色が広がる…この光景だけで彼女達が決して無事ではすまないだろう事を物語っている。そんな様子を見ながら彼女達もその外の光景に一瞬躊躇ったが、シェイラさんが先んじて降りるのと同時に皆が一斉に降りていったのを見計らい俺は扉を閉じて中に毒が侵入していないかを確認した後に…馬車を安全な高さに上昇させてこの場を離れていった…。







 私達はユーラ殿の乗り物から急いで飛び降りた。これ以上彼の顔を見る事が出来なかった。初めに出会った時は凄く優しく接してくれて戸惑ったが、それが彼の素だと理解してからは少しずつ彼に惹かれていった。きっと師匠の仇討ちという目的がなければ、私は彼の元に残った事だろう。そしてそれは皆も一緒だと思う。昨夜うまく眠れずに話をしていたのだが、皆彼に対して凄く好意的だった。

 今まで出会ってきた傲慢な態度を取る貴族や冒険者達とは違い、優しく頼りがいがあってちょっぴり…いやかなりエッチではあったが、それでも彼にならと思える程には気にならなかった。



 しかし…私は先程とんでもない失態を犯してしまった。彼に対して思ってもいない事を言ってしまったのだ。本当ならそんな事を言うつもりは無かったのだが、つい口走ってしまったのだ。

「あなたには関係ないだろう!私達がどうなろうとも!あなたに何の関係があるんだ!所詮ただの他人同士なんだ!どうせあなたも私達の体だけが目当てなんだろう?そんな奴の世話になどこれ以上なりたくないんだ!さっさと私達を降ろしてくれ!いい加減うんざりだ!」…今でも後悔している、なんで私はあんな事を言ってしまったのだと。



 だが一度口から出てしまった言葉を覆す事は出来ない。私達はユーラ殿に対する全てを諦めて師匠の仇討ちだけを見据えて、覚悟を決めてユーラ殿の所有する乗り物から飛び降りたのに……しかし、飛び降りて地上に着いた瞬間に理解した。どうやらユーラ殿が全てに置いて正しかったのかもしれない…。



 飛び降りた瞬間から体にまとわりつくように漂っている紫色の空気が私達の体にゆっくりと浸透していくようだった。役に立つかどうかはわからなかったが、直接空気を吸わないように私達は全員手ぬぐいを口に当てていたのだが…ただの徒労に終わってしまったようだ。降りて1分もしない内にめまいがし始めて気分が悪くなってきた…思考が定まらない…体全体からゆっくりと力が抜けていく、うまく力が入らないのだ…立っている事すら困難な状況で…戦闘ができるか?と言われれば無理としか言えないだろう。



 私達とあの魔物の間には20m程の距離があった筈なのに…気づけば10mぐらいの位置にまで近寄っていた。どうやら私達の誰かを新たな寄生体として取り込もうとしているのだろう。顔を上げるとうっすらとここから離れていくユーラ殿達の乗り物と逆に近寄ってくる魔物の姿が目に写った、しかもその頭上の花は開き始めている…私達全員が戦闘はおろか動く事さえ出来ない。



 …更に魔物が私達に近寄ってくる…頭上の花はほぼ開ききっており、その中から寄生体として取り込まれている師匠が見えた…はっきりと周囲の状況さえ見えないというのに…何故か師匠の表情が見えた様な気がした………その顔は泣いているかのように見えた…そしてそれを最後に私達は…意識を手放した………。





「やっぱりな…だから言ったんだ。」



 操作室の窓から彼女達を見ながら馬車を操作してこの場から離れていく。万が一を考えてここから離れて置かなければならないからだ。しかし、俺が何も言わずにこの場を離れていくのをリィサ達が止めに入ってきた。



「ちょっとユーラ?本当に彼女達を助けないの?流石にさっきのは冗談のつもりで言ったのだけど…。」


「そ、そうですよ!ユーラさん!先程のはあくまでも冗談であって本気では無かったのですよ。だから彼女達を助けに行きましょう!」


「駄目ですよ、ユーラさん?引き返して彼女達を助けましょう。でないとユーラさんが一生後悔しちゃいますよ?」



 どうやら本格的に勘違いをさせてしまったようだ。俺は彼女達を助けない訳ではない、ただ助ける際にこちら側に被害を受けないように避難してるだけだ。俺自身はステータスそのものは高いが、戦闘が得意という訳でもないし、またこの毒を魔法などで中和させるにせよ、どうなるかわからないからこそ出来るだけ距離をあけているのだ。それにどうせ向かうのは俺一人だ、リィサ達にはこの馬車で留守番をしておいてもらう。



 さて、急がないとな。離れてる際にあの魔物を見ていたが頭上の花を開き始めていたので、もしかしたら彼女達の誰かを代わりに取り込もうとしているのかもしれない。そうなったら今の寄生体も助からないし、彼女達自身も助からないだろう。それでは困るのだ、見捨ててしまえば俺自身が歪んでしまいそうで怖いのだ。



 それならば体を張ってでも彼女達を助けたほうが、まだ俺らしくいられるし何よりおじいちゃん達にそんな俺の姿を見てほしくないと俺自身がそう思っているから…。


 


「リィサ、レナリアさん、ユリーナさん俺はちょっとばかし行ってくるから、留守番よろしくね。

あと俺達の分とは別に6人分の食事を準備して待っててくれ。じゃあ行ってくるよ!」



 そう言い残して俺は今まで一度も使わなかった時空魔法【転移無法】を使った。その名前の通りルールに囚われること条件で行きたい場所に移動できるのだ。これを使えば充分間に合うだろう。



「ちょっとユーラ!?6人分ってどういう事なの?まさか…ユーラ寄生体の人まで助けるとでも言うの?…。」



 リィサが何かを言っていたが既に転移を始めていた俺には聞こえなかったが、緊迫感を感じなかったので問題はないだろう。もうすぐ戦乙女ヴァルキリオンの側に辿り着くはずだが、すぐに戦闘が始まる可能性が非常に高い。なので、事前に考えていた方法を試す事にしよう。その方法とは…。



 俺が彼女達の側に着くと同時にパラサイトフローレンスによる蔓を使った攻撃を受けそうになったが、素早く払い除けた。躱したり受け流す事はできない、何故ならそれを避けてしまうと戦乙女ヴァルキリオンのメンバーの誰かに当たる危険があるからだ。彼女達は全員が意識を失っているのが鑑定した事で分かっている。



 彼女達は【状態】毒汚染・意識喪失中(危険度・中)となっている。非常に危険な状態だが、先にパラサイトフローレンスをどうにかしたい。なので先程考えていた方法を試す事にした。

 俺はこの周囲一帯を氷魔法により凍結させる事にした。彼女達にはシールドを張っておき氷魔法の影響を受けないようにしておく。よし!これで準備は出来た、後は一か八か凍らせてパラサイトフローレンスの動きそのものを止めてみる。その間に根の中心にあるというコアを破壊して寄生体である彼女達の師匠モニカ・エーデルを救出しよう。



「氷魔法【凍結暴風ブリザード】!これで周囲一帯を凍らせればこの毒霧も発生源も凍るだろ!どうだ!」



 まず始めに周囲の毒霧が凍りつきダイヤモンドダストになり散り落ちていく。そしてドンドン温度が下がっていき、目の前にいるパラサイトフローレンスが花を完全に咲かそうとしてる最中に凍りつき動かなくなった。

 よし!ここからが本番だ。急いでパラサイトフローレンスに近寄り根の部分に蹴りを当てると、凍結した根がまるでガラスが割れるような音と共に砕けていった。

 根が多すぎて一撃では中心に達しなかったようなので、もう一度蹴りを当てると仄かに赤く光る部分が見えた!恐らくこれがコアなのだろう。



 何となく…本当に何となく破壊するのではなくコアをもぎり取った。これを素早くマイバッグへと収納し、ついで花の部分に飛び乗り寄生体の様子を確認すると、切り離す瞬間だったようで、既に分離した状態になっていた…のだが、鑑定した結果は死んではいないし俺が治療すれば人間としてしっかりと生きていけるだろう、そこまではいい…良いんだ。

 こんな時に何をというのかも知れないが、是非とも聞いて欲しい。これはもしや魔に連なるものなのだろうか?俺は真っ先にそう思った。いまいち何を言ってるかわからないかも知れないから一言だけ言わせてもらおう!



 寄生体は全裸だった…そしてお胸様がめっっっっちゃデカイ!



 間違いない魔乳というやつだ、きっとそうだ!リィサ達よりも戦乙女ヴァルキリオンの誰よりもデカイ!今までの人生を過ごしてきてお初にお目に掛かる!どうもM・A・N・Y・U・Uさん!

 俺があなたを助けましょう!だから俺のこの想い(?)も助けて下さい!



 イカン!変なハッスルをする所だった…。早く救出しよう。凍結した状態の寄生体であるモニカ・エーデルをパラサイトフローレンスから引き離し、シールドを展開した中に入れておき快復魔法【キュア】を使っておく。その1つランク下のライトキュアでも充分だと思うが念の為だ。これで彼女はまずは安心と言った所かな?



 氷が溶けるまでまだ時間がある…俺は戦乙女ヴァルキリオンを寝かしてあるシールドの中に入り彼女達の毒を一人ずつ治療していく。



 治療をし終えたので彼女達を起こすべく揺さぶっていたのだが……揺れてるなぁ…これはこれでいいな!鎧の隙間だったりローブの隙間から見える谷間が明らかに揺れているだろう状況は…いいね!

 先程の険悪感はどこへと言った感じでガン見する。早く起きないと大変だぞ~変態に大変な事をされちゃうぞ~?って俺は一人で何をやっているんだ?

 まったくそんな事は後から助けた報酬として要求すればいいのだ!これぐらいなら妥当な要求だといえるだろう?



 然程時間を待たずに彼女達は目を覚ました…最初に起きたモモリスと若干トラブったが、まぁいい思いをしたとだけ言っておく。

 全員が起きてまず初めに聞いた事はどうして俺がここに居るのか?である。まぁその理由は俺の都合で敢えて話さなかったのだが、それを言ったらどうなるのかわからないので適当に誤魔化しておこう。



 俺としてはすぐに彼女達に理由を話さなかったのは、万が一俺が彼女達の師匠であるモニカ・エーデルを救えるかも?と言って救えなかったら…それは彼女達を悪戯に傷つけるだけだと思ったからだ。



 だからこそ俺は彼女達に俺が倒しに行く。と伝えたのだ。詳細を伝えていなければ仮に失敗したとしてもただ討伐したと言えばそれで良いのだから。逆に伝えていた場合失敗したら彼女達は先程以上の怒りを見せたはずだ。彼女達が師匠と呼びまた家族とも言っていた人物を救えなければ総スカンどころの話ではなかったはずだ。



 何はともあれ彼女達の師匠であるモニカ・エーデルは救出済みなので、後はその仇であるパラサイトフローレンスにトドメを刺すだけなので、今の彼女達でも充分可能だろう。

 さっさと片付けて終わらせたいので彼女達に告げる事にしよう。



「今なら体も万全とは言えないが動くだろ?まだ俺が張ったシールドが有効な間にパラサイトフローレンスを砕いてこい、凍っているから問題は無いはずだ。わかったならさっさと行ってこい!」


「え?いや…行ってこいって言われても…あれはもう死んでいるのと同然なのではないか?ユーラ殿。」


「いや!アレにお前達の覚悟をぶつけて終わらせるんだ!さぁ行け!」


「いやだから…。」


「行くんだ!」


「その…だk「行けーーー!」はぁ…わかった、行ってくるよ。皆…既に終わっている様な気がするが…アレを砕いて師匠の仇を討ったとしよう…。」



 よし!なんとかなったな!かなり強引ではあったが、まぁいいだろ?自分達の手で砕いておけば敵討ちを終えたも同然…だと良いな?細かい事は気にすんなよ!ハッハッハ!



 彼女達がそれぞれの攻撃を放つ…片手剣で長剣で魔法で弓で矢を射ってそして最後とばかりに斧を振り下ろした所で…パラサイトフローレンスだったものは細かく砕けて無くなった。これで彼女達は師匠の仇を討ったのだ!いや~めでたしめでたし~。

シリアスに打ち止めを掛けてそろそろ悪ふざけを書いていきます。シリアスは難しいよ…。

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[一言] 断言して成功しなかったら傷つけることになるが可能性を示す事はしないといけないはず。
2019/12/06 17:00 退会済み
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