第43話 身から出た錆
ユニーク数が5000を超えておりました!やったーー!これだけの方に見て貰えてると言うのはとても嬉しいです!皆さんありがとうございます!!
ようやく鑑定を手に入れる事が出来た俺は早速あの魔物の情報を得ようと思ったが、そう言えばどれくらいの距離から使えるのだろうか?使い方に関しては鑑定したいと思えば出来るとしか聞いていないが、もしかして距離は関係ないのだろうか?試してみるか。
操作室の窓から外を見ると相変わらず頭の部分にある花を閉じたまま毒沼の中心に居座っている。あの魔物を追い詰める事で頭にある花を咲かせて中から今の寄生体を吐き出して、新たに寄生体を取り入れるのか…巫山戯た魔物だ。絶対に俺が何とかしてやるからな!
まずはこの操作室の窓から見て試してみるか、よし『鑑定』!…すると俺の予想に反した性能を見せてくれた。
――――――――――――――――――――――――
パラサイトフローレンス(寄生体・モニカ・エーデル:衰弱・中)()内は寄生体の情報
【LV】27↑(23↓)
【HP】1294↑(887↓)
【MP】―(97↓)
【種族】寄生植物・希少
【魔法】―
【スキル】毒散布・毒刺・毒蔓・寄生体取込・寄生体放出・種子萌芽
【状態】汚染・毒
――――――――――――――――――――――――
【備考】寄生体・モニカ・エーデルの救出方法
パラサイトフローレンスの核だけを破壊しそれ以外のダメージを与えずに倒す事。
なお一度でもダメージを与えるとパラサイトフローレンスが警戒状態になる為、核を寄生体に移植してしまう為、寄生体が死亡する可能性大。
寄生体を救出した後は素早く火魔法・火炎魔法による殲滅が必須。それを怠ると種子萌芽のスキルを使い周辺に居る生命体に寄生する種を寄生させ、自身の同胞を生み出そうとする為非常に危険。
【備考2】パラサイトフローレンスの行動
パラサイトフローレンスは通常時は花を閉じたまま動く事はなく、一箇所に定住する。しかし、外部から攻撃を受けると対象を撃退した後に定住箇所を求めて移動しその周辺の環境に馴染む為に周囲の物を取り込みそこに落ち着く。
なおパラサイトフローレンスは核を攻撃されそうになると根を操り防ぐ為、核を狙うなら一撃で仕留めるのを推奨。
【弱点】根の中心で保護されている核
――――――――――――――――――――――――
これは…凄いぞ!ここまで正確に分かるのか!攻略法は弱点まで分かるとか…凄すぎるだろ…。
これならどうにかなるな、だけど…これは俺がやったほうが確実だと思うんだよな…。それをどうやって彼女達に説明するか、何だよな~。
俺があの魔物を倒せばほぼ間違いなく中に捕らえられている人物を助ける事ができるが…彼女達の力で助けられるか?と言えば…恐らく無理だと思う。今彼女達を見て鑑定をしてみたが、LVが低いルティアで23LVが高いニーナで27となっている。しかもLVが高いニーナは物理特攻になっているので、一撃で根の防御力を突破できるかと言えば…可能性が無いとは言わないが、あまりにも博打要素が高い。
やはりここはしっかりと彼女達に説明をして俺に任せてくれるように頼んでみるか。はぁ~俺って本当にお人好しが過ぎるなぁ…あれだけ冷たい態度を取ろうとしていたのに結局非情になりきれないんだからな。
まぁいいか…非情になる事が良い事ではないし、それに…ゲスな事を言わせて貰うなら彼女達といい仲になれたらなぁとか思っていたりするので、必ずしも善意だけで行動してる訳ではないので別に良いかな?と思っている。
目的の相手を目の前にしてあまり待たせすぎても彼女達も落ち着かない筈なので、早速俺の提案を聞いてもらおう。彼女達も自分達が師匠と仰ぐ人物が助かるなら俺の提案を受け入れてくれるとは思うのだが…それも俺がしっかりと彼女達が納得するだけの説明が出来るかどうかに掛かってるんだよなぁ。少しだけ不安だ。その前にリィサ達には伝えておこうかな?
『リィサ少し良いか?聞いて欲しい事があるんだけど…今大丈夫かな?』
『ユーラ?どうしたの?まだ夕食には早いと思うのだけど…もう少し待っててくれないかしら?ユーラやユリーナに比べて手慣れてない人が約1名ばかり居るのよ…教えながら作っているから、もう少し時間を貰えないかしら?』
『あぁいや食事の催促じゃなくて、あの魔物の討伐に目処が立ったからそれを伝えておこうかと思ってね。で、彼女達にそれを伝えて魔物を倒しにいこうかと思ってね。』
『それってユーラが魔物を倒しちゃうの?あの魔物は彼女達の師匠の仇でしょ?それをユーラが倒してしまったら面倒な事にならないかしら?』
『それを今から説明しようと思ってね…それに彼女達じゃ色々とまずいんだよ。俺じゃないと駄目なんだよ。目的を達成する為にはね。』
『ユーラ目的って何?ただ倒すだけじゃないの?』
『今はまだ聞かないでくれ…うまくいくかわからないから口に出したくないんだよ。ゴメンな?』
『……わかったわ、ユーラが何をするのか知らないけど気をつけてね?彼女達には悪いけど彼女達の師匠よりもユーラの方が大切なの、だからちゃんと無事に戻ってきてね?レナリアさんとユリーナには私が伝えておくわ。』
『ありがとうリィサ…理解のある彼女を持てて俺は幸せ者だな…。じゃあ早速彼女達に俺の考えを伝えに行ってくるよ、うまくいくように祈っていてくれ。』
『えぇ頑張ってねユーラ。』
リィサに今からする事を伝える事が出来たので、今度は戦乙女に話をしようと彼女達が集まっている場所に移動した。
相変わらず5人して深刻な表情をしてうつむき加減だ。仮に自分達があの魔物を討伐するとして、こんな状態であの魔物を何事もなく倒せると思っているのだろうか?それとも、怪我をしようが何だろうが師匠の仇として倒せればそれで良いのだろうか?
もしそうであると言うのなら絶対にこの馬車からは出してやらんがね。例え彼女達に嫌われる事になるとしても死なせるぐらいなら俺は無理矢理にでもあの魔物を倒しに行く。
「なぁ少しいいか?あの魔物の事で話があるんだが…聞いてくれないか?」
俺の言葉を聞いて俯いていた彼女達が顔を上げて俺を見てきたのだが…先程遠目に見た時には気づかなかったのだが、5人ともかなり顔色が悪い。この状態であの魔物に対処しようとしたのか?
彼女達の顔を見るまでは彼女達と共にどうにか戦って見ようかと思っていたのだが…気が変わった作戦変更だ。
「あの魔物なんだが…俺が倒して来ようかと思ってる、ついては一応アンタらに報告だけでもしておこうかと思ってね。」
俺のその発言に彼女達は先程の顔色の悪さから打って変わって表情を激変させた。まさに憤怒の表情と言っていい顔つきだ。さっきの時点でこうならまだ良かったが、いざ魔物を目の前にした時にしっかりと対処出来るかわからない。彼女達の態度からは不安要素しか感じ取れない。
今も俺を睨むようにして見ているが、正直怖さなど全く感じられない。むしろ不安な気持ちに押し負けそうな感情を無理矢理に押し込めようとして失敗してる風にしか見えない。
やはり無理だな…彼女達は誰ひとりも連れて行く訳にはいかない。もし、抵抗するようなら悪いが動けないようにさせて貰おう。死んでしまうよりは良いはずだから…。
「ユーラ殿…あなた達には先程しっかりと説明をしたはずではないか?あの魔物は私達の師匠の仇なのだと…あの魔物を倒してこそ私達は前に進む事が出来るんだ!それなのに…それなのにあなたは私達からその機会を奪おうと言うのか!…ユーラ殿あなたは確かに強いのだろう…あの魔物を倒すのも私達が倒すよりも簡単に倒すだろう…だが…だがな、あなたが強いからといって私達の邪魔をしても良い権利なんてあなたには無いんだぞ!何様のつもりなんだ!」
「…そうね…確かにユーラさんには色々助けてもらいました。でもこの機会だけは…師匠の仇を討つ機会だけは決して誰にも譲れないのです。私達を『家族』と呼んでくれた師匠の為にも…私達『家族』が仇を討たねばならないのです!幾ら恩義があろうともあなたにも私達の邪魔はさせない!」
「そうよ!私達師匠の『家族』がやらなきゃ意味がないの!赤の他人は引っ込んでて!私達の邪魔をしないで!」
「…ユーラさんにはお世話になったけど…師匠の仇は私達にとってとても大事なの…だからあなたには邪魔をさせない…。」
「オレもだぜ!確かにさっきは腑抜けたツラをしてたかもしれねぇ…でもな、師匠はオレ達を守る為に犠牲になったんだ!ならせめてあの魔物から師匠を解放するのもオレ達の役目だ!アンタにだって邪魔だけは絶対にさせないぜ!」
…奮起してみせたのは良いが、どうかな?ただ怒りに任せて言いたい事を言っただけで、倒せるともいい案があるとも言わないがそこの所はどうなんだろうな?
「…ただ倒すだけか?あの毒からどうやって身を守るんだ?あの魔物をどうやって倒すんだ?ただ倒してしまえば次の標的に自分の仲間の誰かがなるかもしれないのに?どうやって?せめてそれぐらいは考えてるんだろ?それすらも説明出来ないと言うなら俺はアンタらを絶対に降ろさないぞ?さぁ、どうなんだ?」
「それは…。」
「それは?」
「あなたには関係ないだろう!私達がどうなろうとも!あなたに何の関係があるんだ!所詮ただの他人同士なんだ!どうせあなたも私達の体だけが目当てなんだろう?そんな奴の世話になどこれ以上なりたくないんだ!さっさと私達を降ろしてくれ!いい加減うんざりだ!」
シェイラさんのその言葉に流石に他のメンバーは言い過ぎだと思ったのか、シェイラさんを窘めようとしていたのだが、俺の方を向いた瞬間表情を凍らせていた。どうしたんだろうか?
「そ、そのユーラさん…すいません。シェイラの今の発言は言い過ぎだと思いますので、許して頂けませんか?シェイラ!謝って!いくら何でも言い過ぎよ!例え如何な理由があったとしてもあんな言い方は無いわ。それこそ師匠が今のセリフを聞いたら間違いなく激怒するわ。それに、あなたは礼儀知らずになる気なの?」
そんな事を言いながらもずっと俺の表情を気にしてる気がするな…本当にどうした?あなた達の体が目当てだったのは確かにあるかもな?さっきまでゲスな考えをしてたくらいだからな。だから、そんなに怯える必要はないだろう…気にするなヨ。ナァ…。
ガクガクと震え初めているが、どうした?そんなに俺が気になるのカ?キニスルナヨ…レイギシラズドモガ!
「ユーラ!一体何があったの…ユーラ?もしかして怒ってるの?落ち着いてユーラ。彼女達に何を言われたのか知らないけど、ユーラが怒りに任せて力を奮ったりしたらとんでもない事になるわ。だから落ち着いて…ね?」
俺を落ち着けるように話しながらゆっくりと俺を抱きしめるリィサの温かさが俺を少しずつ落ち着けてくれた。…良かったリィサがいて…本当に…。もしリィサがいなかったら俺は…恐らく取り返しのつかない事をしてたかもしれない。
俺がもう少し彼女達に対してしっかりと説明をしておけば良かったのだが、やはり対人関係には難ありだな…はぁ…。
「ふぅ………ありがとうリィサ、だいぶ落ち着く事が出来たよ…。悪いけどもうしばらくこうしててくれないか?」
「えぇ…大丈夫よ、ユーラの気が済むまでこうしててあげるわ。だから…落ち着いてね。大丈夫よきっと何かの行き違いがあっただけよ。…少しだけ彼女達から離れていましょう?」
「あぁ…そうしよう、今は何も話したくないから…。」
「向こうで少し休みましょう。」
『レナリアさんとユリーナ。ちょっと私達の所に来て!操作室にいるから。料理は少し置いてて頂戴。急いで!』
『わかりました!もしかしてユーラさんに何かありましたか?』
『それも来てから話すわ、今はとにかく来て頂戴。』
『わかりました~。今来ますね。』
そんなやりとりがあった事も感情を乱した今の俺には気付く事すらできなかった。
リィサ達のおかげでようやく落ち着く事が出来た俺は先程の会話をリィサ達に少しずつ感情を乱さないようにゆっくりと話した。話し終えた後に返ってきたのは3人の激怒だった。
「…礼儀しらずにも程があるわね。確かにユーラが彼女達の体を舐め回すように見ていたのは合ってると思うけど…それでも手を出していない以上彼女達に文句を言う資格があるとは思えないわ。」
「えぇ本当にそうですね。いくらユーラさんが彼女達の胸やお尻を舐め回すように見ていたとしても言って良い事と悪い事があります。彼女達は自分達の立場を理解していないのでは無いですか?」
「私もそう思いますよ~幾らユーラさんが私の胸を見た後に彼女達の胸を見て比べていたとしても~言ってはいけない言葉という物がありますよ~許せないですよ、本当に~。」
あ、あれ?これって今俺を擁護してくれてるんだよね?何か知らないけど遠回しに俺を批難してる気がするよ?それに心做しか俺を見る目が冷たい気がする…もしかして自業自得?
「百歩譲ってユーラの自業自得だとしても、言い方という物をあるのだから…そうね、ねぇユーラ?あなたは彼女達を助けたいみたいだけど…正直あそこまで言われて助ける必要があるとは…私は思わないわ。彼女達が望むように降ろしてあげれば?そうすれば少なくとも自分達がどれだけ勝手な事を言ってるのかわかると思うわよ?ただ無闇矢鱈に人を助けるのが必ずしも良い事につながるとは限らないのよ?」
俺ってやっぱり自業自得だったのね…それなのに俺は怒りに任せていたのか…ショックだ。リィサ達に連続で言われてなおショックだよ。…とほほ。
「ユーラ、聞いてるかしら?私はさっきも言ったように彼女達を降ろしてあげればいいと思っているけど…結局はユーラ次第だから…どうするのかはユーラが決めて頂戴。少しは痛い目にあってもいいんじゃないかとは思うけどね…私は。」
レナリアさんとユリーナさんも頷いてるし、もしかしなくても3人共かなり怒っているんじゃないのか?
「ユーラ…もしかしなくても怒っているわ、どこの世界に自分の恋人をバカにされてヘラヘラしていられる人が居るというの?そんなの頭がおかしい一部の人種だけよ。普通は怒るわ、絶対に!」
「そうですね、普通は間違いなく怒りますよ?勿論私も例外じゃないです。」
「ユリーナさんもですか?」
「フフフ…そんなの当たり前じゃないですか~。何なら今すぐ首をちょん切って上げてもいいんじゃないかと思ってるんですよ~。」
ユリーナさんの怒り方が一番ヤバい!彼女達が怒ってるせいか何故か俺は段々と冷静になってきた。もしかしてそれを狙って言ってくれてるのかな?……無いわ…だってユリーナさんナイフ持って首を掻く仕草をしてるし…レナリアさんなんか頭を掴んでひねる様な動きをしている。リィサは大丈夫か?と思って見てみると…鋼線を手に持っている…首に引っ掛ける為なのか?輪っかを作って仕掛けを確認している。
オイ!やめてくれ!殺しはイカンぞ!早く落ち着かせなきゃ!大惨事を招きかねない。
「3人共落ち着いてくれ!とりあえずもう一度だけ話をさせてくれ。彼女達がどちらを選ぶにせよ俺がただ彼女達憎しで放り出してしまったら、お・れ・が後悔しそうだからもう一度だけ任せてくれないか?頼むよ。な?」
『俺が』の部分を強調して言っておく。そうすれば下がってくれるはずだ。…下がってくれるよね?
「…仕方ないわね、ユーラがそこまで言うならもう一度だけチャンスを上げるわ。でもまたさっきのような事を言うようなら……わかってるわね?2度目はないわよ?」
「わかったよリィサ。肝に命じておく。レナリアさんとユリーナさんはどうかな?俺にもう一度だけ任せてくれる?」
「もう一度だけなら許して差し上げましょう。しかし私もリィサさんと同じですよ?2度目はありません。必ず殺りますよ?ウフフ…。」
「私も1回だけなら大目に見ますよ?けど…2回目は焼き尽くして魔物のエサも良いかもしれないですね?…フフ。」
ねぇ何で?何でそんなに病んじゃってるの?お願いだから元に戻って!そう願いながらもきっと彼女達はこの件が無事に収まるまでそのままなのだろうなと思う瞬間だった。
くそぅ、もう少し俺が冷静であればとそう思っているのも、もしかしたら彼女達の策略なのかもしれない、そんな事を考えながらもう一度、戦乙女達と話す為に彼女達に近寄っていくのだった。
今回OVL大賞なるものに応募してみました、大きな結果を期待してのものではなくプロの方から見た意見が貰えれば更にわかりやすく面白くかけるのではないかと思っての事ですが、若干消してしまいたいという気持ちもあったりして迷っています。今しばらくはこのままでいってみますが…。




