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閑話 失ったてがかり

お伝えしたとおり閑話を投稿させてもらいました。楽しんで頂けたら嬉しいです。

 大兄たいにいが水晶を調べると言って持ち出してからそろそろ2週間になる。あれから一切情報らしい情報は入ってこない。もしかしたら私達が持っている方が情報を手に入れる事ができたんじゃないかと和津梛かずなと話していた時だった。慌てた様子の大兄が私達をリビングに集まるように言ってきた。もしかして何か分かったのだろうか?期待してリビングに行くと既に大兄と連兄れんにいそれに公佳きみかさんが集まっていた。3人共何やら暗い顔をしてるけど一体どうしたんだろう?



「大兄~どうしたの?もしかして何かわかったの?」


「姉さん早とちりしないで下さい。もしそうじゃなかったら後でがっかりしますよ?」



 和津梛はそういうが期待するぐらいいいじゃんか!そうやって期待するぐらい私はゆう君に会いたいの!



「なかなか辛辣な言葉だね和津梛。だけど今回ばかりはそれを否定できないんだよ。」


「どういう事ですか大樹たいじゅ兄さん?何も手がかりが見つからないぐらいなら大して気にはしませんが…私は。」


「私は気にするよ~ゆう君に会えるかもしれない手がかりなら早く見つかって欲しいじゃんか~。」



 私のその言葉に大兄は一瞬辛そうな顔をした。一体何があったと言うのだろう?いい加減教えて欲しいんだけど。



「大樹君もし言うのが辛いなら2人には私が伝えるわよ?」


「いや…しっかりと調べると言っておきながら、それが出来なかったのは僕の落ち度だからね…2人にはちゃんと僕が伝えるよ。」


「…そう…ならいいのよ。」



 さっきまで辛そうな顔をしていた大兄は顔を上げて私と和津梛を見ると話を始めるのかと思ったら急に頭を下げてきた。



「2人ともゴメン!預かった水晶だけど実は…なくしてしまったんだ。本当にゴメン!」



 えっ?なくした?唯一の手がかりとも言えるあの水晶を?なんで!?



「どういう事なの!大兄!なくしたって?何でなくしたの?あれは大切なゆう君の繋がりだったんだよ!どうしてなくしたなんて簡単に言えるの?どうして!」



 私は大兄に掴みかかり問い詰める。どうして簡単になくしたなんて言えるの?大兄はゆう君が大事じゃないの?



「落ち着け葉津梛!そんな事を大樹の兄貴に言ってもしょうがないだろ!兄貴だってなくしたくてなくした訳じゃないんだぞ!」


「そんなの関係ないよ!なくしたなら一緒じゃんか!大兄が任せてって言ったから渡したのに…それなら私が持ってるほうが良かったじゃんか!」



 そこまで私が言った瞬間私は自分の頬に衝撃を受けた。何?と思ったら公佳さんが手を振りかぶった後だった。どうやら私は公佳さんに頬を叩かれたらしい。



「いい加減にしなさい葉津梛ちゃん!大樹君だってなくしたくてなくしたわけじゃないってさっき連枝君も言ってたでしょう?何で最後まで説明を聞かないの!あなたが優良君を好きだったのはわかってるわ、でもだからこそ少しでも冷静になって情報を集めないでどうするの?もう少し落ち着きなさい!」



 そんな事分かってるでも…でも落ち着ける訳無いじゃんか!大切な…好きだった人が…目の前からいなくなった気持ちがあなたにはわからないんだ!



「公佳さん…落ち着けって言ったけど、どうすれば落ち着けるの?私達の目の前で居なくなった人の手がかりがなくなって…また会えるかもしれない手段を失ったのにどうすれば?公佳さんにはわからないんですよ…だって公佳さんは大切な人が…大兄が手の届く場所にいるから…だからあなたに私達の気持ちはわからない…。」



 それだけを言い残して私は自分の部屋に戻っていった。連兄が何かを言ってた様な気がするけど、私の耳には届いてこなかった。



「…僕の考えが甘かったようだよ。まさかここまで葉津梛が優良君に思いを募らせていたなんて…僕はただ優良君を兄が1人増えた程度ぐらいに思っているだけだとばかり……。情けない兄だな、僕は…。」


「大樹君…それを言うなら私もだわ。葉津梛ちゃんに好きな人が目の前にいるあなたにはわからないと言われた時…何も言い返せなかったわ。実際そのとおりだし私に葉津梛ちゃん達の気持ちはわからないと言われてもしょうがないわね。」


「兄貴…公佳さん…そう言えば和津梛お前はどうなんだ?葉津梛みたいに怒ったりしないのかよ?」



 今までずっと黙って聞いていた和津梛は連枝れんじにそう言われてようやく口を開いた。



「そうですね…怒ってないかと言われれば、怒ってはいますよ。ただ公佳さんは最後まで説明を聞きなさいと姉さんに言ってましたよね?だから話に続きがあるのでは無いかと思い我慢してます。なので続きがあるのでしたら教えて下さい、大樹兄さん。」


「和津梛…そうだね、じゃあ今から教える事を後で葉津梛にも教えておいてくれるかい?今の僕が教えに行っても聞いてくれないだろうから…。」


「わかりました、では教えてくれますか?」


「まず、なんだけど僕はこういうオカルトや霊現象、そして悪魔崇拝等に詳しい人物に心当たりがあったんだよ。あの時その人の事を思い出したからこそ僕は水晶を預からせてくれと言ったんだ。そして僕はすぐに公佳と一緒にその人を訪ねて水晶を調べて貰えないかとお願いしたんだ。そして昨日その人から連絡があってね、すぐ来るように言われて行ってみたんだよ。そうしてその人を訪ねて水晶に関する詳細を聞いてる最中にこの水晶がどういう物なのかを試して見せると言われたのでお願いしてみたんだよ。ここまでは良いかい?」



 大樹の同意に大してコクリと首を縦にふる和津梛。同意を得る事が出来たので更にと話を再開した。


「その人が水晶に手をかざして何かを言った後僕らが何をしても反応しなかった水晶が急に光りだしたんだよ。そのあとまるで意思を持つかのように水晶が宙に浮き始めたと思ったら2つを残して消えてしまったんだ…。その残った水晶は何故か元の容器に落ちないで僕の手元に来て僕の手に落ちたんだよ。ちなみに手元に残った水晶はこの2つだよ。」



 そう言って大樹が見せたのは青色の水晶と緑色の水晶だった。そうこの水晶は2人の体を光らせたあの水晶だった。



「これってもしかして…前に私達が持った時に光っていたあの時と同じ水晶ですか?」


「うんそうだよ、その時の水晶だよ。何故かこの水晶だけが手元に残ったのかはわからない。そして残り3つの水晶がどこに行ったのかも僕にはわからないんだ。だからこそ僕はなくしたと表現したのだけど…あまりにも説明足らずだったね。」


「…良かった…完全に手がかりがなくなった訳じゃ無かったんですね。」


「うん…そうだね。それとその水晶だけどどうする?感情に反応すると言う事以外は今だ解明されてない事が多すぎてね。調べてくれた人もこれがどういう物かまではわからないと言っていたよ。それともしそれ以上調べるならどうしても専門機関を訪ねて調べないと無理らしいよ。だから僕はここらが潮時だと考えるけど…どうだい?」


「…私達で保管してもいいですか?できれば身につけておきたいです。もう…手放したくないので…。」


「わかった…保管に関しては2人に任せるよ。でも約束して欲しい。何か気になる事があれば必ず僕達に言う事、これは絶対だよ。もし守れないというならそれを渡す事は出来ないよ。例え葉津梛や和津梛に恨まれる事になったとしても僕は絶対にこの水晶を渡さないよ。約束出来るかい?」


「大丈夫です、約束を守ります。それともう一つの水晶を渡して貰えませんか?私から姉さんに渡しておきますので。」


「そうか…なら葉津梛に…。」


「ちょっと待って!その水晶渡す役目を私に譲って貰えないかしら?和津梛ちゃん。」



 間に入ってきた公佳を見て目を細めて鋭く睨みつける和津梛。明らかに敵意を滲ませている。そんな風に見られているにも関わらず、それでもなお譲ってほしいという公佳に少し態度を緩ませて公佳に尋ねてみた。



「何故公佳さんが持っていこうしてるのかを聞いてもいいですか?場合によっては断らなくてはいけないので…。」


「葉津梛ちゃんに謝るためよ…私は葉津梛ちゃんの心情をしっかりと考えてなかった。それなのに私はろくに考えもせずに葉津梛ちゃんを否定して手を出してしまったから…。だからちゃんと謝っておきたいのよ。」


「…わかりました。但し条件があります、私も一緒でいいのなら許可します。それが駄目なら諦めて下さい。どうですか?」


「オイ!和津梛いくらなんでも信用しなさすぎだろ。流石に公佳さんに失礼だろ!」


「連枝兄さんは黙ってて下さい、それでどうしますか?」


「いいわ…和津梛ちゃんも一緒で問題ないわ。」


「公佳…本当に良いのかい?何なら僕も一緒に行こうか?」


「兄さん達は来ないで下さい、家族とは言え女の子の部屋に入るのは駄目です。」


「…そうまで言われたらしょうがないね、わかったよ僕らはここで待ってるよ。公佳すまないね。」


「うぅん大丈夫よ。もとより悪いのは私だから…じゃあ行きましょうか和津梛ちゃん。」



 そうして2人は葉津梛の部屋へと向かっていった。大樹と連枝は言ったとおりにリビングで待機する事になった。



「それにしても兄貴、本当に残り3つはどこに行ったのかわからないのか?実は持ってるとかそんな事はないのか?」


「いや本当に消えたんだよ。その人が言うにはあの手の物は何かしらの意思が宿っている可能性が高いと言ってたから、もしかしたら持ち主を目指して消えてしまったんではないかと話していたんだけど…本当の所はわからないね。」


「持ち主を目指して…か。そもそもどういう意思をもっているんだろうな、あの水晶。」


「前に葉津梛と和津梛は優良君の声が聞こえたとか、森の中に居るような気がするとか言ってたけど、それと何か関係があるのかもしれないね。」


「なるほどなぁ、まぁ俺が考えても答えが出るとは思えないからな。あとはなるようになるだろ。」


「本当に連枝はブレないね。ある意味で君が一番凄いよ。」


「……そうか?なんというか俺は一番凄いのはやっぱり兄貴だと思うぜ?」


「そんな事ないよ…僕なんて大した男じゃないよ。今だって結局解決する事は出来なかったしね。」


「いや…兄貴は凄いぜ?なんというか…その肝が座ってると言うかだな、え~とそう!何事にも動じない精神を持ってると思うぞ!」


「……さっきから気にはなっていたんだよ、うん。連枝はさ、何を見てそう思ったか言ってみてよ。」


「うぇ!いや…その何ていうかだな?あ~その兄貴のほらアレだよアレ!いや~凄いなぁ、流石兄貴だぜ!」


「そうか…所で連枝今日の僕の服を見てどう思う?個人的にはどうかな?って思うんだけどさ是非とも連枝の感想を聞かせて貰えるかい?」


「ぶふッ!いや兄貴は可愛かっこいいぜ!あぁイケメンだな?最高に決まってるぜ!」


「へぇ…そうなんだ、じゃあこれでもかい?」



 そうやっておもむろに椅子から立ち上がって着ていたワンピースのスカートの端を摘んでクルッと一回転して連枝の正面に止まりニコッと笑う大樹。そう例によって彼の着ている服は……。



「ッブウフ!やり方が汚ねぇぞ、兄貴!そんな事されたら(笑いを)我慢できるわけねぇだろうが!」


「やっぱりだね…連枝が凄いって言っていたのはアレかい?普段から僕が女性物の服を着ているからその胆力が凄いって言いたいんだよね?そうなんでしょ?ねぇ?」


「しょうがねぇだろ!それに何で兄貴も公佳さんに言われるがまま女(の子)の服を着ているんだよ!断ればいいじゃねぇか。」


「……それは…そうなんだけどね…。」


「兄貴まさかとは思うが……自分から気に入って着てるとか言わないよな?」


「………そんな事はないよ?」


「ちょっと待て、マジか!その間の長さは怪しすぎるぞ。とうとう自らそっちに行ってしまったのか……。そうか…まぁなんだ兄貴の人生だからな、好きにするといいさ。」


「ちょっと待ってよ連枝~」



 と男同士でくだらないやりとりをしてると2階にある部屋から悲鳴のような声が聞こえてきた。



「ちょっと待て兄貴!今2階から何か聞こえなかったか?何か悲鳴のような…。」


「僕はよく聞こえなかったけど……とりあえずさっきの事もあるから見に行ってみよう。」



 2人は階段を上がり2階まで行くとちょうど葉津梛の部屋が開いていた。何事かと思い部屋にはいろうとしたが、急に部屋の中から声を掛けられた。



「2人とも…今は、は、ぁいらないでちょうだい。あと、からぁ!せつ…め…いす…ふぅうからぁ!」


「公佳?本当に大丈夫なのかい?何か苦しそうだけど?」


「らいじょ…ぶらからぁ!した…で…まっててぇ…ね。おね…がい…よ!ん!ふっ!はぁ!」


「はぁはぁ…ゆう君…しゅきぃ…らいしゅき~。」


「ゆう…ら…さん…して…もっと…!」



 一体部屋の中で何が起きているというのだろうか?しかし中に入ってはいけない気がした2人は大人しく下で待つ事にした。階段を降りている途中何故か喘ぎ声のような声が聞こえたような気がしたが、気にせずに降りる事にした。



 しばらくして公佳だけが降りてきたのだが、何故かその顔は火照っておりそれが妙に色気を漂わせて2人を戸惑わせたが、少しして落ち着いたのかようやく何があったのかを説明し始めた。



「単純に言わせて貰うなら、あの水晶のせいだと思うわ。初めの内は何でも無かったのよ。でも、私が葉津梛ちゃんに謝った後水晶を渡したら急に水晶が光りだしたのよ。そしたら同じように和津梛ちゃんの水晶も光りだしてね。もしかしたら2人が居なくなってしまうんじゃないかと思って私が2人を押さえようと思って抱きついたのよ。そしたら……その優良君の声と聞いた事の無い女性の声が聞こえてきてね…その…まるで……スをしてるような声に変わり始めたと思ったら、今度は声だけじゃなくて感覚まできて…ね。そしたらどうなるかわかるでしょ?」


「そうか…だから…その公佳が妙に色っぽくなってるんだね?」


「…言わんとしてる事は分かったけど…それって大丈夫なのか?」


「えぇ一応大丈夫よ、大樹君達が下に降りた後急に水晶の光が収まってね。その後から声も感触もなくなったのよ。それが落ち着いたから私は降りてきたってわけ。あ、でもしばらくはあの子達の部屋に行かないでね?ちょっと見せられない事になってるから。」


「わかったよ。なら後は公佳に任せてもいいかい?」


「えぇいいわよ。でも今は2人とも寝ているから後でまた様子を見ておくわね。それとね、大樹君にお願いがあるの。あのね…………して欲しいの。ダメ…かしら。」


「えぇっと流石に今は…ね後でなら良いんだけど…。」


「ちょっとこれ以上は無理そうなの…お願い…大樹君…ね?」


「あ~兄貴何か用があるなら行って良いぞ。もしアイツラに何かあるようなら電話すっからさ。」


「それなら…いいかな?じゃあ行こうか、公佳。」


「ゴメンね、連枝君。大樹君連れて行くわね。」


「あぁ…気にしないで行っていいですよ。」


「じゃあ行きましょうか、大樹君。」



 連枝にを済ませてくると言った後、腕を組みながら去っていく2人。どう考えても発情してるようにしか見えないあたりまぁシにいくのだろうと思い見送る連枝。



「はぁ俺も彼女欲しいなぁ~思いっきり甘えさせてくれる女がどこかに居ねぇかなぁ?」



 独り身の寂しい独り言が連枝だけがいるリビングに響き渡るのであった。

まだまだ神楽坂姉妹の出番を増やしていきたい、使い捨てになんかしないんだから!

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