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第32話 馬車?で移動する事になりました

やがて10月になろうと言うのに何故にこうも暑いのか…。外で仕事をしているのでしんどい毎日です。早く涼しくなってほしいですね。

「(なぁリィサ今の話聞いて何かおかしいと思わないか?普通屋敷にいましたって報告しただけで金貨5枚も貰えるか?おかしくないか?)」


「(そうね私もそう思うわ。平民として育てられたと言っていたからてっきり捨てられたのかと思っていたのだけどそうではないみたいね。もしかして何かしらの勘違いがあるのかもしれないわね。)」


「(もう少しユリーナさんから話を聞いたほうが良さそうだな。この件は放置しないほうがいい気がするから、しっかりと聞いておこう。)」


「(珍しい事を言うのねユーラ?何故そう思うの?)」


「(ハッキリ言えばただの勘だな、でも以外と馬鹿に出来ないんだよね。それで何度も助かった事があるからさ。今回に関しては放置すると主に俺が厄介な目にあうと思うんだよね。だからさ面倒な事になる前に手を打てるなら打っておこうかとね。)」


「(なるほどね、それならこの件に関してはユーラに任せるわね。私は何かあった時の補佐に回るわ。何か困った事があったら言ってね。)」


「(わかったありがとうリィサ。)」


「ユーラさんとリィサさんずるいですよ~。私に話をさせといて~2人だけでイチャイチャするのは卑怯ですよ~。」


「そ、そうです!私達もイチャイチャし、したいです!」


「い、いや別にイチャイチャしてたわけじゃないんですけど。」


「そうよ、別にそんな事はしてないわよ?ただ確認しておきたい事があったから話してただけだよ。」


「それよりも聞きたい事があるんですけど聞いてもいいですか、ユリーナさん?」


「いいですよ~何でも聞いて下さ~い。私の3サイズはですね~え~とムグゥ?」


「その様な事を聞いてはおりませんよ。尋ねられるまでは黙っておいた方がよろしいかと。」



 …聞きたかったあの兵器の戦闘力サイズを…それなのにレナリアさんに阻止されてしまった。仕方ない次の機会に期待しよう。



「まぁそれはさておき俺が聞きたいのはそれではなくてユリーナさんの境遇ですね。平民として偽装して育ってきたと言ってましたが、生活はどんな感じでしたか?やっぱりマシイナ伯爵のような屋敷に住んでいたりしたんですか?平民のように。」


「ユーラ?いくらなんでもそれはおかし…。」


「はい~そうなんですよ~。平民としてですけど~マシイナ伯爵様の家よりもう少し大きい家に住んでましたよ~。平民なら当たり前ですよね~。」


「それはおかしいでしょう…なんでそれが平民の普通になるのかしら?」


「やっぱりか……何かおかしいと思っていたけどな…。」


「どういう意味ですか、ユーラさん?今の話で何に気づいたんですか?」



 どうやらレナリアさんは気づかなかったらしいな。それとは逆にリィサは直ぐに気づいたな。まぁ当たり前と言えば当たり前か…そんな平民居るわけがない!これはもうどう考えてもおかしいな。多分だが平民として育てて隠さなければいけない何かしらの理由があるんじゃないのか?その理由があるからもしかしたらこんな離れた街にいたのではないだろうか?でも、少し疑問も残る。それは、ユリーナさんがあの街からの旅立ちを決めた事だ。何かあの街を離れなければいけない理由があったのだろうか?もう少し探りを入れてみよう。



「あとでまとめて説明しますのでもう少し待ってくださいねレナリアさん。ユリーナさん追加で幾つか聞きたいんですけど、聞いても?」


「大丈夫ですよ~じゃんじゃん聞いて下さいね~。」


「それじゃあ何故あの街を出ようとしたんですか?これも何か実家から手紙でも来たんですか?」


「はい~そうですよ~よくわかりましたね~。お父様から~今すぐその街を離れて実家に戻る準備をしなさいって~手紙に書いてありました~。結婚する可能性があるから~今すぐ帰ってきなさいって~でもですね~私はそればかりは聞けないと思ったので~旅に出る事にしたんですよ~。実家のお仕事は~しっかりと努めたつもりなので~後は好きに生きてもいいんじゃないかなぁ~って思ったんですよ~だから今回ちょうどユーラさん達に出会う事が出来たので~一緒に着いていきたいな~って思ったんですよ~。それに~ちょうどユーラさんに私の初めてを差し上げる事が出来たので~これから先も一緒に居られるからちょうどいいなぁ~って思っていた所なんですよ~。フフフ。」


「そ、その初めての件に関してはありがとうございますと言っておきますね。しかし旅に出るのは本当に大丈夫だったんですか?何か妙に引っ掛かる気がするんですが…もしよければ送られてきた手紙を見せて貰う訳にはいかないですか?」


「ちょっとユーラ?いくら何でも親とやりとりしてる手紙を見せて貰うのはやりすぎだと思うわよ?貴族だと機密性の高い内容もあったりするから、もしバレたりしたらそれだけで死刑になりかねないわよ。」


「そうですよ!それは流石に見せてはくれないと思いますよ?下手すれば既に焼却処分してる可能性もありますよ。」


「大丈夫ですよ~ちゃんとまだ持ってますから見ますか~?」


「えっと…それは俺が見ても問題ないものですか?もし無理そうなら別に構わないですよ。無理してまで見るものでもないので。」


「全然問題ないですよ~。ハイ!どうぞ~。」



 そうして受け取った手紙を見せて貰ったのだが、手紙の内容を見た俺は絶句してしまった。これはヤバい!何がヤバいってどう考えても娘を嫌いで追い出したのではなく娘を過剰に可愛がってる内容にしか読めないのだ。百聞は一見に如かずというからな、見たほうが早いだろう。と言う訳で今回の原因になった手紙を公開しよう。



『やぁ!私達の大事な娘ユリーナ元気にしてるかい?私達は元気だよ。いつも書いてるがその様な魔物のはびこる街に送ってしまってすまないね。もう何度も手紙に書く度に書いてるが何度でも謝らせてほしい。ごめんねユリーナ…そうそう謝ってばかりでは話が進まないね?だから手短に書かせてもらうよ。

トライフルの街に関して私の下調べが不完全だったせいでその街にクズな貴族未満が居るのに気付くのが遅れてしまったんだ。もしソイツに私達の大切なユリーナが目を付けられてしまったら、ソイツは絶対ユリーナを自分の妾にしようと結婚を迫るはずだ。そうなれば何の為にユリーナを平民としてその街に逃したのかわからない。だからこの手紙を受け取り次第直ぐに実家に帰る準備をして欲しい。すぐに迎えをよこすからソイツにバレないように隠れていてほしい、一応そのクズの名前を書いておくね!ソイツの名はバレブロ・ノランク・インペスタだ。このクズにはくれぐれも注意してね。ソイツは女性と見たら平民・貴族問わずに孕ませようとする人間としても男としてもクズだ!だから絶対に近づいちゃいけないよ。それとこの手紙は読んで覚えたら直ぐに燃やしてほしい、他の貴族に見つかると厄介だからね。では私達の大切な娘ユリーナ、君が無事に帰ってくるのを待ってるよ。


 ユリーナの事を心から心配する父より』



 ヤバいなぁ、マジでヤバい!何がヤバいってその大事にしてる娘さんの初めてを俺がいただいてしまった事だ。なんてこった!自分で厄介事を引き寄せてしまった!ど、ど、どうしよう!本気でヤバいぞ!これは流石に俺が悪い!冷や汗が止まらない…とりあえず落ち着こう、こういう時こそ皆に相談しよう。



「リィサにレナリアさん…あのさちょっとこの手紙を読んでみてどうしたらいいか意見を聞きたいから読んでみてくれないか?」


「ん?何か重要な事でも書かれてるの?読む事自体は構わないけどどうしたのユーラ。妙に汗をかいてるけど…。」


「私も読んだほうが良いんでしょうか?ユーラさん。」


「是非2人とも読んでほしい、そしてそれを読んだ上で意見を聞きたいんだ。」



 俺に促されてユリーナさんの手紙を読んだ2人は何故か顔を引き攣らせている。ん~?俺が焦ったりするのはまだわかるが、何故あの2人が引き攣った顔をするんだ?俺の事を心配してくれてるんだろうか?だがそれでも意見を先に聞いておきたいな。



「2人ともどうだろうか?何か対策みたいなものがあったりしたら教えて欲しいんだけど。今回俺がユリーナさんに手を出してしまったからさ。リィサとレナリアさんが居るにも関わらず手を出した俺が悪いのはわかってはいるけど、恥をしのんで頼む!この事態を解決するためのアイデアを考えてほしい。」



 追い詰められた俺はリィサとレナリアさんに頭を下げてお願いしたのだが、2人は黙ったまま何も言ってくれない。やはりヤルだけヤッといて都合よく意見を聞いてきた俺に怒っているのだろうか、それとも呆れてるのか。俺は恐る恐る顔を上げてみると2人はなにやらヒソヒソ話をしている。俺をどう処断しようかと相談してるのだろうか?どうやら覚悟を決めておいた方がいいようだ。



「(どうしますレナリアさん?これってどう考えても私達がユーラを誘導してユリーナさんを私達の仲間に引き入れた事が原因だと思うのだけど。少し面倒な事になったわね。)」


「(そうですね、これってどう考えても私達が悪いですよね。どうやってユーラさんに説明しましょうか?そうだ!リィサさん、ユリーナさんも一緒に話をしましょう!もしかしたらこの事態をうまく回避する案を出してくれるかもしれませんよ?)」


「(それはいいですね、ただそろそろしっかりと移動したいからユーラに移動する間に相談をしておくからと伝えて移動する事にしましょう。いつまでもここに立ち止まっていてもしょうが無いですから。)」


「そうですね、そうしましょう!」



 急にレナリアさんが大きな声を出すからびっくりした!俺の処分が決まったのだろうか?たとえどういう処分が下っても俺は受け入れなければいけないだろう。おとなしく沙汰を待つ事としよう。



「ユーラこの件に関してはとりあえず移動しながらにしない?ほら、ユーラ馬車を用意してるって言ってたでしょう?それで侯爵の領地に移動してる間に3人で相談して決めておくから、それでどうかしら?」


「わ、わかった。じゃあ馬車を取り出すから少し離れて貰っていいか?少しばかり大きめな馬車だからさ。」


「わかったわ、レナリアさんユリーナさん少しユーラから離れましょう。今馬車を出してくれるそうよ。」


「わかりました。早速離れましょう。」


「は~いわかりました~。」



 3人が離れたのを確認した俺はマイバッグから馬車を取り出す事にしたのだが、俺が作ったこれって馬車と呼んでいい物かどうか…とりあえず出すか。



「う…んーっと、良し!あった。じゃあ出しますよっと。よいしょっと。」



 俺が馬車?を出したのだが、3人が目を丸くして見ている。それもそうだろうな。だってこの馬車って馬がいない上に宙に浮いているからな。初めは普通に車輪がついてる魔力で走行する馬車だったのだが、走行中の衝撃が凄くてそれを無くそうとサスペンションを付けようと思ったのだが、俺はサスペンションの構造をよく知らなかったので創造魔法も使ってみたがうまく創れなかったのだ。どうしようかと悩んでいたのだが、その時見本として以前レナリアさんが魔物に襲われた時に壊された馬車を参考のために出していたのだが、その馬車は車輪が壊れて無い状態になっていたのだ。それを見た俺は閃いたのだ。そうだ!地面を走らせて衝撃が来るなら宙に浮かしてしまえばいいじゃないか!と。



 そこからは仕様を一気に改良して出来上がったのがこの馬がいない宙に浮く名称ばかりの馬車なのだ。



「ね、ねぇユーラ?気のせいかしら。この馬車?浮いてるように見えるのだけど…。」


「そうですね~浮いてますね~。最近の馬車は浮くようになったんですね~。すごいですね~。」


「いや、浮きませんから!普通の馬車はこんな風に浮きませんよ!ちゃんと車輪が付いてて馬が引っ張っていくのが馬車ですから!」



 おぉ!内のパーティメンバーはツッコミ不在だと思っていたが、ここにツッコミ役が隠れていた。良かった、これで内のパーティーは安泰だな!



「ユーラさん!一体この馬車はどうなっているのですか!説明して下さい!」


「そうね、これが何なのか説明は欲しいかしら。」


「すごいですね~この馬車~早く乗ってみたいです~。」


「早く!説明を!して下さい!」


「わ、わかった!わかりましたから、揺さぶらないで、レナリアさん!」



 何が気に入らないのか俺の肩を掴んで前後に揺さぶってくるレナリアさん。や~め~て~揺さぶらないで~気持ち悪くなるから~。



「と、とりあえず乗りましょうか、それから後の話は中でしましょう。いつまでもここにいてもしょうがないでしょ?」


「わかりました…ですが中に入ったら必ず説明して下さいね、ユーラさん。」


「私も聞きたいかしらね、一体いつの間にこんな物を準備したのかをね。」


「早く乗りたいです~ユーラさ~ん。」


 ユリーナさんあなたはさっきから全くぶれないね。俺達のやりとりを気にする事なくずっと早く乗りたいと言ってるな。マイペースにも程がある人だ。まぁ早く乗って旅の続きを再開したいのは賛成なので皆には早いとこ乗ってもらおうかな。



「じゃあみんな早速乗ろうか、順番に乗るから待っててね。」


「でもユーラこれどうやって乗るの?流石にあんなに高い位置にあると乗りづらいんだけど…。」



 今馬車は高さ2mぐらいの位置に浮いている。そんな高さにに浮いてるのに乗りづらいと言う言い方をすると言うことは乗る事自体は出来るんだな?リィサはやはりある程度の事はできそうだな。



「大丈夫だよ、ちゃんと乗りやすいように下に降ろせるから。ちょっと待ってよ~。」



 遠隔でも操作出来るようにしてあるので、乗りやすい高さまで降ろして馬車のドアを開けて3人を乗せていく。何故か乗り込む時に3人共俺が手を引くまでは頑なに乗り込もうとはしなかった。やはり女性をリードするのは今だに慣れないな。もっと気を配れるようにしないと。



 全員乗り込んだので早速出発する事にした。ついでにこの馬車の使用を3人に説明していく事にした。まず操作は非常に単純で馬車を操縦する為の操作盤に魔力を込めながら行きたい方向を思うだけでいいのだ。進んだり止まったり曲がったり速度を上げたりと全部の行動を思うだけでいいのだ思考操作とでも言えばいいのだろうか。その上この馬車外観全体に幻影魔法を仕掛けてあり、自在に姿を消す事が可能になっているその特徴を取って【惑わしの馬車】と名付けてみた。操作方法もマニュアルとオートがあり自在に切り替えが可能で目的地を設定すれば障害物や魔物をしっかりと避けながら移動してくれる。



 しかしこの馬車唯一の欠点がある、それは俺しか操作できないのだ。その理由が単純に魔力運用にかなりの魔力を使うのでそこらにいる魔法使い程度ではせいぜいが浮かすだけかノロノロと微速前進するぐらいしか出来ない。どうにか頑張って使用魔力量を抑えてみようとしたが、俺自身の知識不足でそれに至る事ができなかった。その為しばらくはこのまま使う事にしていずれ知識を得る機会があれば改良しようと思っている。



 ここまで3人に話した所で他に何か聞きたい事は無いかと尋ねた所、リィサから当たり前の様な質問が来た。



「ねぇユーラこの馬車?の操作の仕方はなんとなくわかったのだけど、肝心な事を聞いてもいいかしら?この馬車ってどういう仕組で浮いてるの?乗る度に何か浮く為の魔法を使っているのかしら?」


「あぁその事か、それは割と単純だよ。馬車の底に重力魔法を込めた魔石を取り付けてあるんだよ。この操作盤を通して魔力を込めると好きな高さに上げたり速度を出したり出来るようにしてあるよ。」


「この前の事件から思っていたのですが、【重力魔法】とは何なのでしょうか?今まで一度も聞いた事が無いのですが…。」


「ん?重力って聞いた事無いの?」


「はい、無いですね。前から見ててとても不思議だったんです。一体どうやって浮かせたりしてるのだろうかと。」


「ユーラってそんな魔法も使えるのね。もしかして他にもいろいろ使えたりするのかしら?」


「…まぁ使えるね、特に四大魔法は全部使えるよ。」


「!四大魔法の全てが使えるのですか?流石にそれは…少し信じられないですね…。王城に勤めている宮廷魔術師ですら、多くても2属性も使えれば天才と呼ばれる程ですのに。」


「ユーラさんはとても凄い人だったんですね~。私はとてもいい人に出会う事が出来たんですね~。」


「…ねぇユーラ聞いていいのかわからないけど、でもあえて聞かせて貰うわね。あなたは一体何者なの?

四大魔法の全てが使えて重力魔法という未知の魔法も使う。その上私と初めてあった時も、私の体を痺れさせる魔法も使ってたわよね。更にこんな見た事もない馬車を作った上に伯爵の屋敷ではあんな立派な扉も作ってたわね。とても普通の人とは思えない程の多才ぶり…私はあなたが神が遣わした人だと言っても信じるわ。」



 ここらへんが限界かな?いい加減俺が何者でどこから来たのか、何をしに来たのかを教えてないといけないな。今まで馬車を操作しながらだったが、馬車をマニュアルの操作からオートに切り替えて3人の前にいき腰を据えて話をすることにした。さてどこから話したら良いだろうか。


タイミングを見て神楽坂姉妹の閑話を入れていきたいと思っております。

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