第2話 女神様のお誘い?
今回はだいぶ少ないです。
「ふぁ~あぁ、朝か~、ん?なんかいつもより妙に眩しいな。カーテン開けっ放しだったかな?ぅん?ここは何処だ?あれ?本当にどこなんだよ。」
俺、新石 優良は目覚めたばかりでいきなりのパニックになった。起きたと思ったらまったく知らない場所にいたからだ。
それに、何故だか作業服のままだからだ。いくらなんでもおかしい基本的にはものぐさではあるが、それでも仕事から帰ったら風呂にはしっかり入る方だ。むしろ、帰ったらすぐ風呂だ。浴槽につかる事は無いが、シャワーで洗い流すあの時間は至福の時間だ。
そんな、自分だからこそだ。今のこの状況はありえないのだ、今更ではあるが、気になって周りを見渡すが誰も居ないし。何も無い。不自然に何もない。それと、またまた今更ではあるが視界がどうもおかしいのだ。
周りの風景の色彩を感じ取る事が出来ないのだ。真っ白のような気もするが、真っ黒のような気もするし、虹色のようにも見えるが、透明といえばいいのか色そのものが無いようにも見えるのだ。流石におかしすぎる、それに気分が悪くなってきた。まるで船酔いのような感じだ。
ちょっとこの場を離れたいと思い歩き出した瞬間に声が聞こえたような気がした。
あたりを見渡して見る…誰も居ない。気のせいかと思い歩きだす…また聞こえたような気がした。再度あたりを見渡す…やはり誰も居ない。…やばい…なんか怖くなってきた。
急いで走って行こうと、駆け出した瞬間。今度は、はっきりと聞こえた。
『…ゆう君!起きてよぉ!ゆう君!』
え?この声は葉津梛ちゃん?何処に居るんだろう?それに、どういう事なんだ?俺は、ちゃんと起きているぞ。なんで、起きて!なんて言ってるんだ?マジでよくわからん、どうなってんだ?
『それはここが、【死】に最も近い場所だからですよ。新石 優良さん。』
振り返るとそこには、絶世の美女と言ってもいい程の人がいた。
「っ!あなたは…誰でしょうか?申し訳ありませんが、覚えが悪いもので差し支えなければ教えていただきたいのですが…。」
『フフッ!こんな場所に来てまで丁寧な対応をされるとは、驚きですね。普通の方は、慌てふためくだけか若しくは怒りにまかせて八つ当たりをしたりするのですがね。本当に変わった方ですね。』
いや!充分驚いてはいるんだが、なにせ警戒心のほうが強くあるというだけなのだが…。まぁ、それはいいとしても……何というか…その…すごい格好をしているな。サラフワで腰の下辺りまで伸びた金髪、サファイアブルーの瞳に柔らかそうな唇。それに抱きしめたら折れてしまいそうな細い腰。
そして、爆乳と言ってもいい程のお胸様!それと!!大きなお尻!!!素晴らしい!(エクセレント)イイものだ…とってもイイものが目の前にある!!それが、透けてしまいそうな薄い布のようなもので覆われているのだ。見るなと言うほうがおかしいのだ!
『え~と、あのね…そういう目で見るなとは言いませんが、今の現状が気にならないんですか?』
ハッ!しまった!なんて事だ。【死】に近い場所に居るといわれたのに、何故こんな暴走をしてるんだ?あっそうか!なんか【死】に近くなると子孫を残そうとする防衛反応がナンタラカンタラってやつに違いない。きっとそうだ!
「失礼しました。それでは、あなたの事をお尋ねしてもよろしいですか?」
『では自己紹介を、私は女神メリセレーネと申します。異世界【トレワール】を管理する神の一柱です。それと今回あなたの前に私が来た理由ですが、あなたを腕の立つ職人として異世界【トレワール】へ招待したいと思って参りました。』
「え~と?今、職人としてとおっしゃいましたか?俺、いや自分はそんな腕の立つ職人とは言い難いのですが…。」
『いえ、そんな事はありません。私が、調べた限りではあなたはかなりの腕を持っています。大丈夫です、今は自覚がないだけで【トレワール】へ来て頂ければいやというほど実感できるでしょう。』
「いや、しかしですね…。」
『大丈夫!です。さぁ、今から異世界【トレワール】へと参ります。思い残したことはありませんね?さぁ、行きましょう!すぐにでも行きましょう!』
なんだろう?話をきいてくれないんだが…気のせいか、何かを必死に隠そうとしているような気が…。
『何も隠してませんよ?えぇ、隠してませんとも。それよりも、早く参りましょう。この場所は、あまり長居してよい場所ではありません。あまり、ここに居すぎると二度とどの世界にも帰れなくなってしまいますよ。』
「え!初耳なんですが、なんでもっと早く言ってくれないんですか!?あと、自分の心のなかで考えてたことを言い当てませんでしたか?」
『ですから先程から、早く参りましょうと言ってるではないですか。それはそうと、あなたの心の中の考えは私にはダダ漏れですね。』
マジで!じゃあさっきのちょっといやらしい目で見てた事とか、バレてると言うのか?だとしたらマズイな不敬だったりしないだろうか?
『フフフ、それぐらいなら問題にはしませんよ。それより、そろそろ参りましょう。いい加減ここから離れませんと面倒な存在が現れるので…それと、先程聞こえたと思いますが、あの声はあなたが知っている方たちで間違いありませんよ。なので、伝えたい事があるなら今の内におっしゃって下さい。
私がそれを伝えるお手伝いをさせて頂きます。』
「あの…自分は、もうむこうには帰れないんですか?そのまま、死んでしまうんでしょうか?」
『いえ、先程も言いましたが、あなたは私が管理する世界である【トレワール】へと行ってもらいます。申し訳ありませんが、他の選択肢はありません。』
やはり、あの足場から落ちてしまったのがまずかったのか。3階建ての高さから落ちたからなぁ~。あの高さじゃきっと助からなかったんだろうな、きっとこれも女神様の恩情なのだろう。それならば、その恩に報いるのもアリだろう。
よし、そうと決まれば…。
「わかりました。女神様、俺は【トレワール】と言う場所に行こうと思います。よろしくお願いします!それと、俺の言葉を向こうに伝えてくれるんですよね?」
『決断していただけましたか、ありがとうございます。では、伝えたい言葉を声にだしておっしゃって下さい。それを、そのまま向こうの方へ伝えますので。』
「じゃあ、『葉津梛ちゃん、和津梛ちゃん今まで迷惑ばかり掛けてごめんね…。それとありがとう…。バイバイ…。』」
「…………。」
『もうよろしいのですか?』
「…はい、これ以上は…何を伝えていいのか、わからないので…」
『そうですか。では、参りましょう…。』
メリセレーネがそう告げると、優良の体が眩しい光に包まれていく。直視する事も出来ない光があたりに広がる。しばらくすると光が徐々に収まっていき、優良とメリセレーネがいた場所には誰も居なかった。
次の話は多めで頑張ってみます~。