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第25話 求めるはチャージラビット?

少し早めに書けたので上げておきます。ですがやはり基本は2日の執筆時間を取らせていただきますのでよろしくお願いします。

 さぁてとまずは伯爵家を出ようかな。おぉっと勘違いをしないでくれよ?決して逃げる訳じゃないんだ。ただ街を出る前に行きたい所があるから、どうしてもそこに行ってから街を出たいんだ。ちなみに割と近いし、以前に行った事がある場所だ。それは……。



「ところでユーラ?いつこの街を発つのかしら出来たら事前に旅の準備をしておきたいから、いろいろ買い物をしておきたいのだけど。」


「そうですね、私も買い物に行きたいので連れて行ってくれると嬉しいんですが…。」


「買い物か~何を買うの?服とかそういったもの?」


「私は違うかな、どちらかと言うと武器を買いたいのよ。今まで街から出る事がなかったから武器を持ってないのよ。旅をするのに手ぶらで行くなんて考えられないでしょ。だから、それと身を守るための防具も何か良いのがあれば良いかなって思ってるわ。」


「そっかリィサはわかったよ。それでレナリアさんは何を買うの?」


「私は何かお土産になるものを買って帰りたいです。何かここの特産物があれば買っておきたいと思いまして…えっと、駄目ですかね?」


「いや、駄目と言う事は無いんですけど、そもそも何ですけどレナリアさんって俺達と一緒に来ても大丈夫なんですか?ほら、元々は騎士団を率いて視察と言う名目でこの土地に来たんですよね?それなのにそのまま俺達と旅をしても良いのかな?って思ったんですけど。」


「…それは、そうなんですけど…私が一緒に行っちゃ駄目でしょうか?」


「俺が駄目と言うよりは、王都に連絡をしないでも良いのかと言うのと、一応は一般市民の俺達とそのまま行動して問題ないのかと思いまして。」


「それは!確かに…そうなんですけど…ユーラさん達と一緒に居たいなって思って…だから…。」



 う~んどうしようか?こればっかりは流石に俺が勝手に決めていい事じゃないからなぁ。レナリアさんが俺に任せるというなら、ハッキリと一緒に行こう!って言えるけど、レナリアさん自体が王家から自由にしていいよ。と言われた訳では無いし、レナリアさん自身からも別に問題無いとも聞いていない。それに死んでしまった騎士達をいつまでもそのままにしておく訳には行かないだろうしな。どうしようか?ここに来て難しい問題にあたってしまったな。



「一応聞きますが、レナリアさん騎士達の事はどうするんです?その連絡はしてありますか?」


「その事でしたらマシイナ伯爵が王城に連絡をしてあるそうです。いち早く連絡をした方が良いだろうとテイマー便を使ったそうです。襲われたその日にはすぐに依頼したそうなので、今日あたり連絡があると思います。」



 レナリアさんがそこまで言った所でドアをノックする音が聞こえてきた。セルディオさんだろうか?



「失礼致します、セルディオに御座います。ユーラ様こちらにレナリア王女様は御出になられてますでしょうか。」


「えぇ居ますよ。少しこの後の旅の予定を話していました。とりあえず部屋の中に入りますか?」


「よろしければお願い致します。渡したい物も御座いますので。」


「わかりました。今ドアを開けますので、ちょっと待って下さい。」



 すぐにドアを開けるとセルディオさんとその後ろにはマシイナ伯爵も立っていた。俺に用なのか、それともレナリアさんに用があるのか、どっちだろうな?



「失礼するよユーラ殿。レナリア王女様も失礼します。…君は確かリィサ君だったかね?失礼するよ。

では早速ではありますが、用件をお伝えします。先程テイマー便で王城より手紙が届けられました。そちらを読んだ所この様な内容が書かれておりましたので、お伝え致します。では『第一王女レナリアはしばらく帰らずともよろしい。用があればこちらから連絡をする、よってそれまでは自由にしてもよろしい。旅をして見識を深めるのも良し、トライフルの街に逗留しその時が来るのを待つのも良し。どちらを選んでもいいし、どちらも選ばずに他の目的を持って何かをしても構わない。但し国外には行かない事それだけを守れば何をしても構わない。


ツイスタニア王国 国王 ライル・プリムス・ツイスタニア』となっています。どうされますかはレナリア王女の自由だそうなので、我が街に滞在してもよろしいですし、旅をされたいとおっしゃれるのであれば、いくらか人数を揃えておきますが、如何なさいましょう。」



 これまたタイミング良いと言うか…それとも伯爵が何かを吹き込んだか?どちらにせよこっちとしては都合がいい。これで心置きなくレナリアさんを連れていけるな。あとはレナリアさんが伯爵に返事をすればいいだけだ。だが何やらレナリアさんの様子がおかしいどうしたのだろうか?



「マシイナ伯爵この手紙は間違いなく王城からなのですね?」


「えぇそれは間違いないですが、どうされましたか?」


「…伯爵もご存知のはずです…そのような返され方をする必要はありません。」


「しかしレナリア王女様それは流石に…如何にユーラ殿と言えど知らせる訳には…。」


「おそらくですがユーラさんは私が王城でどのような扱いをされてるか気付いているはずです。ですよねユーラさん。」



 あ、そこで俺に振るのね…はぁ本当ならトラブルは面倒だ!と言いたい所だが、レナリアさんは俺の恋人の1人だ。見捨てるわけにはいかないし、しょうが無いか。



「おおよそでいいなら把握してるつもりですよ?おそらく王位継承の為に万が一すら許さない状況を作る為にこの辺境の地に送られたのではないですか?あわよくばこの地で死んでくれればラッキーって所ですかね?だけどレナリアさんは騎士団の犠牲の上に生き残った。その報告を受けた『誰か』は王都への帰還をさせない為にこの手紙を準備させて伯爵に届けさせた。って言うのが今の段階で俺が考えられる限界ですかね?合ってます?」


「これはまた…ユーラ殿はまるで見てきたかのようにおっしゃるのですね…。正直驚きましたよ。ここまでしっかりと当てられると、追加の説明すらいらないですね。おっしゃるとおりです。かなり面倒な事になってるようですが、それでも今はまだ問題ないようです。」


「マシイナ伯爵…お父様…国王陛下はまだ大丈夫なのですか?まさか既に…。」


「ふぅーあまり言いたくは無かったのですが、レナリア王女様も聞かないと落ち着かないでしょうし、陛下はまだ存命でおられます。が病状は進行してるようですね、但し今すぐに状況が悪くなる事は無いとの事です。」


「その情報は確かですか?偽の情報を掴まされてるという事は?」


「それに関しては間違いありません、レナリア王女様。私が最も信頼してる筋からの情報ですので確実です。」


「そうですか…わかりました。では私は手紙にもあるように旅に出ます。あ、それと護衛はいりません。ユーラさん達と一緒に行きますので。」


「なっ!レナリア王女様それは一体どういう事ですか?何故ユーラ殿達と一緒に行かれるのでしょうか?差し支えなければ教えて頂けないでしょうか?」



 そう言いながら俺を見てくる伯爵。何でしょうかね?なにか言いたいことでも?大丈夫だよ、ただ一緒に旅をしながらイチャイチャするだけだから、だから大丈夫だよ?



「気にせずとも大丈夫です。それに次はゴリニテ侯爵の領地に行くとの事なので行ってみたいと思います。一度も行った事がなかったのでちょうど良かったです。」


「叔父上の領地にですか?それはまた何をしに行かれるのでしょうか?」



 伯爵が何やら期待した目で俺を見てきた、はいはいおそらくあなたが思っている通りですよ。頼まれた物を作りに行きますよ。



「ユーラ殿もしや叔父上のお願いを聞いて頂けるのですか?もしそうならとても有り難いのだが、どうなのだろうか?」


「えぇ行きますよ、頼まれた物を作りに行きましょう。但し一緒には行きませんよ。侯爵の領地までは別行動にさせてもらいます。それと、報酬はしっかりと貰いますよ?その条件が飲めるなら受けます。あ~一応言っときますけど別行動とか言いながら俺達の後を着いてきたりして屁理屈を捏ねたらその時点で侯爵のお願いは無かった事にしますから、しっかりと連絡しておいてくださいね。」



 俺のその言葉に心なしかがっかりした様子の伯爵。せっかく2人とイチャイチャできるチャンスになんでゴリラを同伴せねばならんのか。そんなのは絶対に嫌だ!



「…わかりました。できればユーラ殿に同伴していただければ安心出来たのですが、こればかりは仕方ないですね。叔父上にはしっかりと伝えておきます。それとユーラ殿は明日には街を出るとの事ですが、今日までは屋敷に滞在すると言う事でよろしいですか?」


「あ~それなんですがね、行きたい場所があるので今日は街の宿屋に泊まります。なので、何も準備をしないでもいいですよ。」


「それはレナリア王女様をお連れしてという事だろうか?流石に警備の問題上安全な場所に宿泊してほしいのだが…。」


「申し訳ないですが如何に伯爵のお願いでもこればかりは譲れませんね。どうしても街を出る前に行きたいので。」


「ユーラ殿がそこまで言うのは珍しいですね。一体どこに行かれるのか聞かせて貰えないだろうか?」



 伯爵は真剣な眼差しで俺を見てきたので、しっかりと伝えておこう。これは俺にとってとても重要な事だから…。



「それはですね、森の宿屋です。」


「え?えっとユーラ殿聞き間違いかもしれないので、もう一度教えて貰えないだろうか?どこに行かれるのか…。」


「だから森の宿屋です。そこに行きたいのです。」


「えっと…もしかして私達に何か不備でもあったのだろうか?もしそうなら謝罪させていただけないだろうか。」



 なんでそうなる?ただ森の宿屋に行きたいと言っただけじゃないか。別に怒っても居ないし、何か問題があった訳でもない。ただ単純に俺が街を出る前に森の宿屋に行きたいだけなのだ。1人でこの街を散策した時にわかった事なのだが、森の宿屋じゃないと「アレ」が無い事が分かったのた。だからどうしても森の宿屋に行きたいんだ!



「ユーラさん?あの伯爵の意見に賛成という訳では無いのですが、何故街の宿屋に泊まりたいのですか?問題が無いならマシイナ伯爵の屋敷に泊めてもらっても問題ないのでは?」


「そうね…私もレナリア王女と同じ意見ね。何故わざわざ街の宿屋に?」



 2人の意見を聞いて伯爵とセルディオさんが首を縦に振って同調している。なんか腹立つな。まぁいいやここで揉めてもしょうが無いので、しっかりと理由を伝える事にした。



「それはですね…。」


「「「「それは…?」」」」


「森の宿屋じゃないとチャージラビットの丸焼きが食べられないからだ!」


「「「「えっ?」」」」


「だから!森の宿屋じゃないと!チャージラビットの丸焼きが!食べられないの!分かった!」


「え…っとそんな事で宿に泊まるのですか?ユーラさん。」



 何?そんな事だと?分かってない…分かってないぞ、レナリアさん!良いでしょう、存分に説明して差し上げましょう!


「そんな事とは聞き捨てなりませんね、レナリアさん?いいですか、まず食というの人にとってとても重要な事です。食べなければ人は死んでしまいますからね。その大事な食というものを更に楽しくより美味しく食べるためには食そのものを楽しむ気持ちが必要なんです!では楽しむためにはどうすれば良いのか?それはただまんじりと食べるのではなく心から美味しいと思えるものを食べるのが一番なんです。今回のチャージラビットの丸焼きが正にそれなんです。ここを離れたら、またいつこの味を楽しめるかわからないんですよ?それならせめて旅立つ前にもう一度食べておきたいと思うのはしょうが無い事だと思いませんかレナリアさん!?」



 言いたい事を言い終えた俺を唖然とした表情で見ている4人。これで俺の気持ちは伝わったに違いない、フフ…俺は満足だ。



「そのユーラ様、そのチャージラビットの丸焼きは確かにこの街では森の宿屋じゃないと食べる事は出来ませんが、もしお望みなら屋敷持ってこさせる事も出来ますが、それでは駄目なのでしょうか?」


「駄目です!何も分かってないですね、セルディオさんは!いいですか?ああいう食べ物はその場に行き自分で注文して持ってきて貰うまでの時間を楽しみにしつつ、完成するまでに厨房から漂ってくる匂いを嗅ぎながら待つのも楽しいんですよ?なぜそんな楽しみを奪うような行為をしようとするんですか?俺には考えられませんよ!全くなってませんね、ただ食べられれば良い訳じゃ無いんですよ!」


「そ、そうでしたか…それは…その失礼を致しました。」


「わかれば良いんですよ、わかれば。」



 俺の言葉に皆絶句している。そうだろうそうだろう、ようやく俺の言葉が伝わったようだ。皆しっかりと理解してくれたようで俺は嬉しいよ!



「(あの…リィサさん、ユーラさんは一体どうしたんですか?急に大声で力説し始めたので少し驚いてしまいましたが、いつもああなんですか?)」


「(いえ、少なくとも私は初めて見ましたよ?あんなに力説するユーラ。私の方が驚いてます。そんなに食べ物に恵まれて無かったのかしら?)」


「(では、ユーラ様はお怒りになってるわけではないのでしょうか?不手際があったのであれば謝罪をと思っておりましたが…。)」


「(いえ多分怒ってはいないと思います。なんか今も自分が振るった熱弁にうなずいてますから、単にそういう物なんだと思ったほうがいいと思います。)」


「(わかりました。では今の詳細は私の方から旦那様へとお伝えしておきますので、皆様はそのまま森の宿屋へと向かわれて下さい。)」


「(はい。では、私達はユーラと一緒に行かせて貰いますので後はよろしくお願いします。それとユーラに変わって泊めて頂いたお礼を。どうもありがとうございました。)」


「(はい確かに。では旅の無事をお祈りしております。)」



 俺がどういう風に続きを伝えようかと考えているとリィサに声を掛けられた。



「ユーラ、ほら早く行きましょう?いつまでもここに居たら伯爵様の迷惑になるわ。」


「おっと、そうか?でもまだ伝えてない事があるから、もう少し聞かせて上げないと…。」


「いいから!ほら、私とレナリア王女はまだその丸焼きを食べた事ないから案内して!無くなるかもしれないわよ。」


「それもそうだな!さっさと行って部屋を借りないといけないしな!あ~早く食べたいなぁ。チャージラビットの丸焼きを。」


「そ、そうですね!早く行きましょうユーラさん。私も気になりますので早めに行って待っていましょう。」


「おーレナリアさんも気になります?ですよね!じゃあさっそく行きましょうか。」



 まだ説明が足りない気がしたが、2人に言われた通り品切れになったら寂しい事になりそうだから、早めに行こうと思い部屋を出ていこうしたら、伯爵に止められてしまった。


「おぉっと少し待ってくれないか、ユーラ殿。屋敷を去る前にコレをもって宿に行くと良い。」



そういって渡されたものは一通の手紙だった。これが一体何なのだろうか?



「それを宿の店員に渡してくれればその宿の一番高い部屋に泊まれるから是非とも使って欲しい。結局私は扉の報酬に対してあまりいい仕事も出来なかったからね。せめてこれだけでも受け取ってほしいんだよ。」


 あ~なるほどね。気を使ってくれたわけね。せっかくだし貰っておきますかね。一番高い部屋ってヤツも気になるし。



「そうですね、せっかくなのでその好意に甘える事にしますよ。じゃあ頂いておきますね。」



 伯爵からその手紙を受取るのと同時にセルディオさんがソフトボールぐらいの大きさの革袋も一緒に渡してきた。もしかしてこれってお金じゃあ…。



「手紙だけでも十分ですよ、セルディオさん?あまり貰いすぎるのもどうかと思うので。」


「いやユーラ殿それも是非受け取って置いて欲しい。それを受け取って貰えないと私は一流の仕事をさせておいて大した報酬を払わなかったケチな貴族になってしまう。前にもいったがこの街には私達以外の貴族の目もあるのだ。済まないが私の地位を守ると思って是非受け取ってほしい。」



 流石にここまで言われて受け取らないのはひねくれ過ぎだな。まぁお金はあっても困らないだろうし受け取っておくかな。それに2人が買い物に行きたいと言ってたし丁度いいかもな。



「わかりました。それならありがたく受け取らせて貰いますね。伯爵ありがとうございます。」



 お礼を言いながらセルディオさんから革袋を受け取るとこれが結構重い、一体いくら入れたんだろうか?気になるがいくらなんでも本人たちの前で確認するのは失礼かもしれないしな。こういう貴族とのやりとりもレナリアさんに習っておかないといけないな。



「こちらこそ今回は良いものを作って貰って嬉しい限りですよ。他の貴族に自慢できますからね。では名残惜しいですが、また会える日を楽しみにしていますよ、ユーラ殿。」


「えぇまた会える日まで、ではそろそろ行きますね。どうもありがとうございました伯爵。」



 お礼を言いながら伯爵の屋敷を後にした俺達はまずは森の宿屋を目指して移動をする事にした。早く行かなきゃチャージラビットの丸焼きが俺を待っている!

なおも人材確保は続いてます。今の所は女性ばかりですが…。一応理由はあってそうしてますよ?

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[一言] そう言えば人格変わってね?社畜の時は言いたい事も言わずに言われっ放しにしてたのに
2019/12/06 13:26 退会済み
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