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第22話 自信作が出来ました!

ようやく建築に携われた…自分の説明で読んでくれる方に伝われば良いのですが…。物を文字で表現するのはなかなか難しいですね。

 屋敷に着いた俺はさっそくセルディオさんを探す事にした。でもあの人って俺が探さなくても勝手に現れそうなんだよな。こう神出鬼没と言うかね?と正にそんな事を考えていると屋敷の裏手にある庭から歩いてきたよ。この人屋敷内なら人が考えてる事がわかるとかじゃないよね?いや、馬鹿な考えをしてないで、屋敷の正面入口のドアを作らせて貰えないか聞いてみよう。



「セルディオさん尋ねたい事があるのですがいいですか?」


「おや?ユーラ様。私に用ですか?何かありそうだと思っておりましたが、私にでしたか、どうぞなんなりとおっしゃって下さい。」



 え?何かありそうだって何?そういう気配を察知したの?もしかして、それで俺に向かって歩いてきたの?セルディオさん凄いな!こんなにも有能なのかと思う反面何で離れている人の考えてる事がわかったの?妖怪なの?と言う若干の恐怖を孕んだ気持ちもある。きっとこの世界の妖怪に違いない。サトリ的なやつだよ。



「フフフ…失礼しました。どうやら妙な事を考えて御出おいでのようですが、私は普通に執事としての仕事をこなしているに過ぎません。ですので私がユーラ様が何か用があるのでは?と思ったのも執事として当然なのでございます。」



 そんな執事は居ないと思うの。あなたは絶対に妖怪の類だと思います。そう思わないと不思議な生き物で片付けなきゃいけなくなる。



「いえ、特に変な事は考えてませんよ?それよりもですね、実はセルディオさんにお願いと言うか頼みたい事といえばいいのか。微妙な問いかけになりますが、俺にこの屋敷の正面玄関のドアを作らせて貰えませんか?」


「ふむ、私はただの執事なのですがね…まぁ良いでしょう。いつかわかってくれる時が来るでしょう。それよりも、屋敷の扉を作らせてほしいとはまた変わった事をおっしゃいますね、ユーラ様は。しかし、なぜ急にその様な事を言い出されたので?理由をお聞かせ願えませんでしょうか?」



 自分をあくまでもただの執事だと言い張るのか。しょうがないここはスルーしておこう。本題になかなか入れなくなってしまうな。



「いえあくまでも自分の主観になりますが、伯爵という地位にあり尚且領主もしている方の屋敷のドアがあれでは流石に貧相かな?って思いましてね。それなら泊めてもらっているお礼にといっては何ですがあれよりはマシなものを作らせて貰えないかと思いまして。」



 俺の言葉を聞いたセルディオさんは「ふむ」と言ったきり黙ってしまった。言い方がまずかったかな?少し上から目線になってしまったかもしれない。いくら何でもあまり偉そうにする気は無いけど一年近く人との交流を持ってなかった弊害が出てしまったかもしれない。次からの言葉に気をつけよう。



「ユーラ様は扉を新しく作って下さるとしてどの様な物を作ってくださるのでしょうか。大まかでもよろしいので聞かせていただけませんか?」



 言葉遣いは問題なかったのかな?それとも聞き流しただけだろうか?とりあえず俺が気をつければいいか。



「そうですね…まずは木製か金属製にするかなんですが。屋敷と庭の雰囲気に合わせて木製にしようと思っています。それとデザインなんかはそうですね…セルディオさん伯爵は家紋とか何か紋章になるものもありますか?」


「えぇ御座いますよ。旦那様の家紋は代々この辺境の地を隣国と大森林から来る魔物から守る者という立場から城壁と大盾をモチーフにした家紋が使われておりますが、それが何か関係するのでしょうか?」


「あぁそれはですね。作ろうと思っているドアにその家紋をこしらえようと思ったんです。あとはその家紋の周りにいくつかの模様を彫って飾りたてようかな?と思いまして。」


「なんと!その様な考えをされていたとは…少しお待ちを。直ぐに返事をさせていただきたいのですが、この屋敷の主である旦那様の許可を得ない事には勝手な真似をする訳には参りませんので、今許可を頂いて参ります。」



 そう言い残して素早く立ち去っていった。速!まさか戦闘職も出来たりしないよね?セルディオさん。本当に謎な人だ。



 5分と待たずにセルディオさんが戻ってきた。さっきと一緒で速いな、なんか特殊なスキルをもってそう…。さて?どういう答えが返ってくるかな?



「ユーラ様先程の件、旦那様が是非ともお願いしたいとの事ですので作って頂いてもよろしいでしょうか?」


「えぇ許可が貰えたのなら是非!では、早速作らせてもらいたいのですが、どこか適当な広さがある倉庫とか無いですかね?流石に庭先で作るのは難しいので。」


「広さのある倉庫ですか?それでしたら裏に新しい使われていないものがありますので、そちらをどうぞ。案内致しましょう。」



 そう言われて案内された場所はそれなりの大きさの倉庫だった。だがやはりと言うべきだろうか。倉庫というよりは作りが小屋?な場所は作りが雑な建物になっていた。これがあるからセルディオさんは大した事は無いと言ったんだろうな。それでもまぁ雨風が防げるだけマシなのかもしれないな。



「ここを自由に使って下さいユーラ様。それでいつ頃から作っていただけるのでしょうか?」


「それなら今から直ぐにかかりたいと思っていますが、お願いがあります。聞いてもらえますか?」


「はい勿論に御座います。どうぞ遠慮なく申して下さい。」


「いえ別に難しい事を言うつもりはありませんよ。ただ自分がこの場所を使って作ってる間は決して立ち入らないでほしいんです。集中して作りたいのであまり人の視線を感じていると気が散ってしまうので。」


「なるほどわかりました。余程の理由がない限りは誰もここに立ち入らないように徹底させますので、どうかよろしくお願い致します。」


「はい大丈夫だとは思いますが、セルディオさんも伯爵も俺が良いと言うまでは立ち入らないで下さいね。」


「はい勿論に御座います。しかしそうなると食事はどうされますか?流石に何も食べずにというのは身体に悪う御座いますので、しっかりと取って頂きたく思いますが。」


「う~んそれでしたらリィサかレナリアさんにお願いして貰えませんか?それなら問題ないので。」


「リィサ様かレナリア王女様ですか?リィサ様はわかりますが、流石にレナリア王女様にお願いするのは気が引けてしまいますので、リィサ様にお願いするという事でよろしいでしょうか?」


「わかりました。では、リィサにお願いして貰えますか?よろしくお願いします。」


「いえこちらこそよろしくお願い致します。良い物が出来上がるのを楽しみにしております。」


「はい。では今から早速作らせて貰いますね。」


「今からですか?ユーラ様はお仕事が早いのですね?では、邪魔にならないように私は自分の仕事にいかせていただきます。よろしくお願い致しますユーラ様。」


「はい自分から言ったからには良いものを作れるように頑張ります。」



 では失礼します。と礼をして去っていったセルディオさん。俺もしっかりと作らないといけないな。凄いものを作ってびっくりさせてやろう。



 さて、何気に誰も通さずに自分で仕事を取るのは初めてだな。失敗だけはしたくないな。自分の頭にあるイメージどおりに作れるように手を尽くそう。ちなみに製作に関しては魔法もしっかり使っていく。



 さぁまずは材料の準備だ。マイバッグから乾燥済みの木材を出して製材から始めよう。屋敷のドアは2枚で1組の観音開きのドアだ。今使われているドアは高さに約2m幅に3mといった具合で作りそのものは単純に厚みがあり幅10㎝程の板をいくつも横桟よこざんに縦張りした物だ。流石にこれじゃ高級感は出せないだろう。なので俺はまず板を7㎝ほどに製材し、それをくっつけて幅を出していく。製材した木材は大きめな物を使っても幅が1枚あたり60㎝ほどしか無い。それじゃ今の間口に大して小さすぎるので製材した後にほぞを彫って接合し1枚あたりの幅を1.5mぐらいになるようにしていく。それを2枚分加工して接着しておいてドアの縁取りを準備していく。



 せっかくだしドアの縁取りの見えない部分に何か付与したいな…。何が良いだろう?悪者が入ろうとしたら警報がなるとか?それとも、来客があったらチャイムみたいに音がなるとか?どれも面白そうだから勝手に付与しておくか。迷惑になるようならあとで解除すればいいし。あ~そうだいくらドア本体部を接合してもほぞだけで持たすのは頑丈さに難があるので、ここで魔法を使い1枚の板になるようにする。そのための魔法がコレです!



【木魔法】樹木生成

樹木同士を綺麗に1つの樹木にする事ができる。たとえ種類が違う樹木でもつなぎ合わせる事が可能。他にも条件次第でいろいろな事が出来るようになっている。



 コレを使って1枚の板にしていく。なるべく今日中に付けてみたいので急いでやろう。



「では『木魔法 樹木生成』この板を1枚の板に!」



 そうすると継ぎ目のあった板が徐々に見えなくなっていき、完全に1枚の板になった。よし、成功だ!よかった~。何度か試した事はあったが、これだけのサイズは初めてだったからな。本当に良かったよ。この成功した瞬間はとても楽しいのだ。



 次は縁取りを付けるのだが、付与魔法はしっかり掛かってるかな。使用する魔力は周囲に漂う魔力を集める機構を込めているので、魔力が無くなり作動しないという事はないだろう。ついでと言う訳じゃないが、大森林で集めていた魔石を見えない場所に組み込んで補助動力がわりにしておいた。実はこれだけでも軽く10年は持たす事が出来る。さぁ説明はここまでにしておいて縁取りを付けていこう。まぁ別に難しい事はなく先程のドア本体と同じ様に取り付けていく。



 できたぁ!よしこれでいいだろう。次に移ろう。次はこの綺麗に平面な部分にマシイナ伯爵家の家紋を彫るのだが…少し迷っているのだ。彫り込んで着色をしていくか、それとも彫金細工を施すか。彫り込んで着色なら染料を探さないといけないのだが、やってみたい気はする。彫金細工に関しては大森林でいくつもアクセサリーを作った経験を活かせるので直ぐに実行に移せるんだよな。



 う~ん自分で今日中に取り付けをしたいと言ったので出来るなら有言実行といきたいので、今回は彫金細工を採用する事にしようかな。さっそく始めていこう。



 まずは伯爵家の家紋を2枚のドアに書き出していく。とは言ってもそこは魔法を使って投影した状態で火魔法を使って家紋の形に軽く焼入れをしていく。それが完了したら道具を取り出し陰影をつける感じで掘り出していく。彫り出しが終わったら綺麗にその部分を研磨がけしてなめらかに仕上げていく。そうする事で後で作った彫金細工をピッタリはめ込むためだ。彫り出した状態のままだとバリがでて綺麗にはめ込む事が出来なくなってしまうからだ。



 マイバッグから必要な鉱石を取り出し錬金術で錬成し、インゴットにしていく。金属で色を出していかないといけないので、選んで取り出してみた。まず、家紋の城壁と大盾の城壁部分から作っていく。城壁部分は明るい茶色にしたいので、配合を試しながら鉄と金を混ぜた合金にしていく。割といい色に仕上がったので形にしていく。と言っても目の前にサンプルがあるからその形に合わせていくだけなんだけどね。城壁部分はコレでよし!よく見かけるシンプルなデザインの城壁だ。下部は長方形の石材を千鳥ちどり積みしたもので、上部は凸凹が繰り返して積まれている感じのあれだ。



 お次は大盾の部分だね。コレがちょっと難しいかもしれないな。城壁に重ねて加工しようかと思っていたのだが、今の自分の技量じゃ城壁との重ね合いが難しいと思ったので、別で重くなりすぎない程度に薄い大盾を作ることにした。最早彫金というよりは鍛冶になってる気がしないでもないのだが。

言ってもしょうが無いので作業を続ける。まずはベースになる金属として加工しやすい銀を使用する事にした、銀を薄く伸ばして縦長の大盾を作りげていく。縁取りに銅を細く伸ばしてそのまま溶接するかのように貼り付けていく。家紋の大盾の真ん中は空白になっていたので、そのまま仕上げたのでは芸がないと思い、とりあえずライオンをあしらってみる事にした。何故って?何も思いつかなかったからですが何か?…次にいこう、流石にライオンを彫刻する技術までは持ち合わせてはいないので、ここは魔法を頼らせてもらおう。



 頭の中で日本にいる頃にテレビで見たライオンを思い出す。獰猛な吠えてる顔をイメージしながら、金のインゴットに触れて頭の中のイメージをそのまま反映させていく。同様にもう一個創り出していく……出来た。よし!迫力がある物が出来た。これをそのまま大盾の空白部分にこれまた溶接するかのように貼り付けていく。よし出来た、これは置いておき城壁部分から先にドアへと付けてバランスを取りながら大盾部分を付けていこう。さぁもう少しで完成だ、早く組み立てていこう。



――――――――――



 ようやく完成したな。見事な組み上がりになったぞ。2枚の観音開きのドアの真ん中に伯爵家の家紋である城壁と大盾が綺麗な一対の作品になっている。1枚1枚に家紋をこしらえたので結構時間が掛かったな。魔法を使って所要時間は約3時間ってとこか、まぁまぁだな。さらに精進せねば。さて、まだ日は高いのでさっそく現状のドアの差し替えていこう。いつまでもあれじゃ伯爵っぽくないもんね。フフこのドアに差し替えて置けば伯爵はどう思うかな?許可は本人に出して貰ったがここまで金や銀を豊富に使ったドアなんて滅多に無いはずだ。あなたには存分に踊っていただこう。俺に貴族を後ろ盾に持ったほうがいいなんて進言したんだがら、自分も覚悟くらいはあるよね?いや~楽しみだなぁ。ケケケ!



 さっそく取り付けの為に玄関前にやってきた、きっとこのタイミングでセルディオさんなら来てくれるに違いない!あの人はそういう人なのだ。って言ったそばから来たね。アンタ流石だよ…。



「おや、どうされましたかなユーラ様?もしかして今は休憩中でしょうか?それならばお茶を準備させていただきますが、どうでしょうか?」



「いえ、今はいいです。それよりもドアが完成したので早速差し替えていきたいのですが、今やっても問題ないですか?」


「もう完成されたのですか?いくらなんでもこんな短時間で出来るとは思えないのですが…。」



 そう言ったセルディオさんの表情は期待してません。といった感じの表情をしている。ほほぅ、いいでしょう。存分に見せつけて差し上げましょう。どういう表情に変わるか実に楽しみだな。ハッハッハ!



「とりあえず完成はしたので取り付けたいのですが許可を貰えませんか?それとも見ないうちから大した物じゃないと思ってます?」


「!失礼致しました。あまりにも早い完成の知らせだったものなので理解が追いついておりませんでした。是非とも取替をお願い致しますユーラ様。」


「はい!承りました。早速やりますね。と言っても直ぐに終わりますがね。」



 いくら何でも1人でドアの建て付けを出来る訳がない。なのでここでも魔法を使わせていただきます。ここでは無属性魔法に属する【サイコキネシス】を使う。まずは取り外しからやっていこう。

現状の取り付けられたドアを開く屋敷の中が見えてそこから何人かのメイドがこちらを見ている。今は休憩時間かな?それはともかく丁番部分を見てみると、うわ!雑な取り付け方してんなぁ。釘が打たれるのだが、その釘が曲がっていたり折れたりしてる。それを一々手作業で外していたら時間がいくらあっても足りない。なのでサイコキネシスの力をドア全体に掛けておき浮遊状態を維持しておく。それから、釘の部分にもサイコキネシスの力を掛けて根本から一気に全部引っこ抜く。



 ―ポンッ!ポポン!



 釘が抜けてるとは思えない音が鳴り、全ての釘が抜けた。ドアは浮遊状態なので地面に落ちる事はない。外したドアは邪魔なのでマイバッグの中にとりあえずは入れておく。いきなりドアが消えて驚いてるセルディオさんとメイド達だが、今は無視だ。現在の状態はドアが無い状態なので屋敷の中のが丸見えになっている。



 では取り付けようかな?と思った所で、当屋敷の伯爵様と俺の恋人2人が何事かと見に来たようだ。せっかくのいい機会なので、是非とも驚愕していただこうではないか!(特に伯爵)

さて、貴族の後ろ盾とやら頂く準備が出来ましたよ、伯爵様?どういう風に俺に力を貸してくれるんでしょうね? 



ストックが尽きた…。これからは毎日投稿が出来なくなってしまいそうです。それでも出来る限りは…。

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