第21話 街の職人?は大した事がなかった
今日もPV数を確認したら4000を超えてました!本当に毎日のように見てくれる方々へありがとうございます。これでまた頑張っていけそうです。
……外が明るくなってきた。そろそろ夜が明けそうだ。自分の両サイドを見ると、まだ2人は眠っているようだ。さすがにそろそろ起きて着替えないとマズイ気がするんだがあまりにも二人共気持ちよさそうに寝ているので起こしづらい。まだ大丈夫かな?そう思っていたのだが、何やら物音がし始めた上足音も聞こえるようになった。もしかして、メイドの人達が起きて仕事を始めてるのかもしれない。だとしたら、いつこの部屋に来るかはわからないな。2人には悪いが起こさせてもらおう。
「リィサおはよう、そろそろ起きて。そろそろ誰かが起こしに来るかもしれないから着替えておいたほうがいいかも。それと、レナリアさんも起こしておいてくれないかな?」
「…うぅ~ん、もう朝なんだね、おはようユーラ。今から着替えるわね。それとレナリア王女だけどユーラが起こしてあげて?きっとその方がレナリア王女も嬉しいと思うから。」
そう言って着替える為に起きてベッドからおりていく。艶めかしい後ろ姿がイイね!っと見とれてる場合じゃなかった。レナリアさんも起こさなきゃ。
「レナリアさん、起きて下さい。そろそろ起きないと誰かが部屋を訪れるかもしれないので、早めに着替えておいた方がいいですよ。だから起きて下さい。」
「………おふぁようごじゃいましゅ…にゅーらさん…きょうもにょろしくおにゃがいしましゅ…。」
ヤダこの子カワイイ!舌っ足らずな喋り方がイイね!あと俺はにゅーらとかいう名前ではない。寝惚けているのはわかるが、ここまで変貌するのか……やべぇなぁ、こういうタイプの女性は嫌いじゃないかも?とりあえずしっかりと目覚めてもらおう。
「レナリアさん、ちゃんと目を覚まして下さい!早くしないとその姿を他の人に見られてしまいますよ、いいんですか?」
「…ふにゃあ?…おきてますよ~…ちゃん…と…おき…て………zzz~。」
マジか!!この状態で寝るってどういう事!?ここまで寝起きが悪いのか…どうしたら目を覚ますんだ、この人?普通に起こしても駄目なのか?リィサに任せても無理かな?
「リィサ~もう着替えた?着替え終わってるなら代わりにレナリアさん起こしてくれないか?俺が起こしてもなかなか起きてくれないんだよ。」
「…ん~その状態ならやっぱりユーラが起こしたほうが早いわよ?そうね…キスでもしたら起きないかしら?試してみたらどう?」
その手があったか!そうだなもうレナリアさんは俺の恋人になったんだ。キスしても別にいいよね!ターゲットは今だ夢の中だ、こっそり近寄ってそ~っとそ~っとよし!ターゲットロック!行くぞ!ファイヤー!
「レナリアさん……チュッ…起きて下さい朝ですよ。」
「……ふぁ?ユーラしゃん?って何でそんなに近いんですか!?…もしかして…その…キス…しました?」
「えぇしましたよ。お寝坊なお姫様を起こすのには効果的かと思いまして。」
「え?えぇ―パシ!んんんーーーーーーーー!」
あっぶねぇ!朝っぱらから大声とか勘弁だわ。まぁいきなりキスして起こした俺が悪いんだがね。やった事そのものには一切後悔してない!あ、そうだ!言い出しっぺにもしてあげなきゃ。でも、普通にしようとしたら避けられるかもしれないから、速攻をかけよう。
「―シュン!― リィサおはよう、チュッ。」
「ッ!ンッ!はぁ~…んもう、そんな事しなくても普通にしてくれたら良いのに…ばか…。」
そう言いつつも顔を赤くしながら嬉しそうにしているリィサ。いや~生まれて初めてこんなキザな事したけど、受け入れてもらえてよかったよ。した後に「はぁ?」とか言われたらショックを受けてめっちゃヘコむ所だったよ。あ、そういえばレナリアさんはどうしたんだろう?
「ふぇぇぇぇ~~~きしゅしゃれた~にゅーらさんにきしゅしゃれた~。」
この人全裸でまだ放心してるよ。やり過ぎたかな?まぁ俺が悪いな。見ていて素晴らしい事この上無いのだが、いつまでも放置する訳にはいかないだろう。そろそろ本気で起きてもらわねば困る。レナリアさんの全裸を拝んで良い男は俺1人で十分だ!というわけで。
「レナリアさん、嬉しいのは何となくわかったからいい加減起きましょうね?早くしないと俺以外の男にレナリアさんの裸を見られてしまいますよ?」
「それは嫌です!私の裸を見て良いのはユーラさんだけです!!」
「良かったそう言ってくれて嬉しいですよレナリアさん。それなら早く起きて着替えて下さいね。後はレナリアさんだけですから。」
は~いと言いながら着替え始めるレナリアさんを横目に今日の予定を立てる事にした。確かレナリアさんとリィサは女同士で話したい事があると言う事なので、俺は1人での行動になる。せっかくなのでこの街にいる大工や石工や彫金などの職人を探してみようかと思っている。一度この世界の職人のレベルを見てみたいのだ。その腕によっては俺は自身で考えて腕を磨かねばならない。いくら時間に余裕があるとはいえ少しは学ぶぐらいの事はしとかないといけないと思ったのだ。なので朝食を食べたらさっそく街を散策してみようと思っている。
朝食を食べ終えて少し休憩をして、伯爵に少し街を散策してくる事を伝えようと思ったのだが見当たらない。そうだセルディオさんに聞いてみるかな?と思い探そうとしたら、いつの間にかセルディオさんが目の前まで歩いてきていた。…この人も何か妙なスキル持ちとかじゃないよな?まぁいいや、伯爵の居場所を聞いてみよう。
「セルディオさん、すみませんが伯爵はどちらに居ますか?少し街を散策してくると伝えようと思ったのですが。」
「あぁそれでしたらこちらでお伝えしましょう。旦那様はゴリニテ様と用事があるとの事で外していますので、屋敷にはおりませんので私が責任を持ってお伝えいたしましょう。ユーラ様はお一人でお出掛けでしょうか?」
「えぇ少しこの街にいる職人の方達の仕事を見てみたいと思いまして、散策がてら見てこようかと思いまして。」
「この街の職人ですか…正直あまりいい腕をしてるとは言えません。職人の仕事ぶりをご覧になりたいのであれば王都に行って見るのが一番よろしいかと思いますが…。」
「そんなに非道いのですか?流石に普通に仕事をこなす事ぐらいは出来ますよね?それだけでも見せて貰えればいいのですが…もしかして見せる事自体が無理とかそういう理由があったりしますか?技術を漏洩しないようにしているとか…。」
「いえ、まずユーラ様がおっしゃる普通の仕事がどの程度を指すのかはわかりませんが、そもそもこの街にいる職人と呼ばれる者達は元が冒険者あがりの者達だったり、怪我をして引退した者達がなるものなのです。ですから、技術そのものが大したものではありません。この領主館である屋敷にしてもそのもの達のなかで割と腕がいいものに作らせたものなので、王都にある屋敷に比べれば天と地ほどの差があるのです。それでもよろしければご覧になってもいいのでは無いでしょうか?」
う~んこれは困ったな…まさか職人と呼ばれる人が1人も居ないとは…大樹さんや連枝さんにも言われていた事だが、職人の技術を身につけたい場合は、最低でも職人と呼ばれる人間をしっかりと目で見て盗めと言われていたからな…中途半端に見て変な技術を身に付けるぐらいなら、まだ俺自身が向こうで身につけた技術で物作りをしたほうがまだマシかもしれない。…この街の大工達を見るのは少し遠慮したほうがいいかもしれないな。
「わかりました。なら職人を訪ねるのは遠慮する事にします。ですが、街の散策だけはしてきますね。どんなものがあるのか見て回りたいので。」
「左様ですか…では行ってらっしゃいませユーラ様。」
セルディオさんに見送られて、屋敷から離れていく。どうやら今回は後を付けてくるヤツは居ないようだ。それもそうかレナリアさんどころかリィサまで屋敷にいるからな。さすがにあの2人を置いて俺がこの街を立ち去るとは思ってはいないだろうしな。久しぶりに1人か~。まずはぶらぶらしてみるか。
初めてこの世界の街を散策してるのだが、あまり珍しいと思えるものが無いな。屋台はもちろんの事露天商の様なものすらいない。あくまでも店舗をかまえてる人だけが店を商っているって感じだな。本当に以外なんだよな、この世界にそもそも屋台や露店商という考えが無いのか。それとも、この街に無いだけなのか。屋敷に戻ったらリィサとレナリアさんに聞いてみるか。
セルディオさんは見てもしょうが無いみたいな事を言っていたが、一応自分の目でも確かめてみようと言う事で情報を集めながら家具や家の修理を請け負っている店に来てみた。…今その件の店の前に来ているのだが…俺は店を間違ってしまったのだろうか?なんだこの掘っ立て小屋は…。とても家の修理を受けている様な店には見えない。これはあまりにも非道い。俺自身今だに未熟な職人としてはいいとこ半人前って所だが、そんな俺が見てもこの建物はさすがにない。
向こうにいる時に工務店の仕事が偶々なくて事務所で大樹さんや連枝さんと話をしていた時に聞いた事がある。家を建てる職人にとって自分が住む家は自身の技術を全て注ぎ込んで作るべきだと、先々代からずっと言われ続けてるそうだ。その理由がこんな仕事に就いていながら自分の家は大した事ないんですね。と言われた事があるそうだ。その時に仕事が忙してくて自身の家にまで手が回らないと伝えた所、『そんなのはいい訳だ、本当に自分の技術を押して相手の家を建てたいと思うなら、自身の全てを注ぎ込んで自身の家を建てるぐらいしないと相手はきっと納得しないだろう。』と言われたらしい。
それ以来先々代は暇があれば自身の家を建て直す機会を伺って計画をして、無事に自身の技術の全てを注ぎ込んで家を建て直したらしい。それを2人から聞いた俺は『じゃあ賃貸の物件に住んでいる人はどうなるんですかね?』と率直に何も考えずに返した所こう言われたのだ。『相手が言ってるのはそういう事じゃなく、持ち家があるのにも関わらずに自身の事も出来ない人が人の為になる事をするのは、どこかで無理が出てくるって事を伝えたかったらしいんだ。』なんとも傲慢だな。とその時は思ったもんだ。それをどうするかは、結局はその人次第ではないかと思ったからだ。ただ単に自己犠牲を顧みない人かもしれないじゃないか!とも思ったが、今ならその一部ぐらいならなんとなく理解出来る。
この様な掘っ立て小屋に住んでる人に家の修繕を依頼するのはかなりためらいがある。もしかしたら、いい加減に作られてしまうのでは無いか?と思わざるを得ない。もしかしたらその注意を促した人物は、自分の家を自身の腕で建てるまたは修繕する事で見た目や機能性をよく見せる事で、『自分はこれだけの事を出来るのです。』と思わせる事が出来るぞ?と言いたかったのでは無いかと勝手に解釈している。
だが!もしも、もしもだ!単純にお金がないとかぎりぎりのラインで仕事を請け負っているから、家を建て替えたり修繕が出来ないとかなら、まだ救いがある。なので期待はしないが、一応は店の人に話を聞いてみよう。それから判断しても遅くはないはずだ。と言う訳で店のドアらしき場所をノックしてみる。
―コンコン!コンコン!
「すいませ~ん!どなたかいらっしゃいませんか~。」
返事がないな?もしかして仕事で出掛けてるのかな?もう一度だけノックしてみよう。
―コンコン!コンコン!
「すいませ~ん!いらっしゃらないんですか~?居るなら返事をしてくれませんか?聞きたい事があるのですが~。」
……駄目だな。出てこない、やはり出掛けているのかもしれない。しょうが無いな、今回は縁が無かったって事で帰りますか。そう思いこの場から立ち去ろうと振り返ってみると目の前に女性が立っていた。
「ここに用があるんですか?もしかして、家の修理を依頼しに来たとか?それなら、やめたほうがいいですよ?ここに住んでる人って大して仕事は出来ないくせに威張り散らしてくるから、見てて腹がたつんですよ。その上仕事もろくに熟さないで朝から晩までお酒ばっかり飲んで、飲みすぎて気分が悪くなればそこの小屋に帰ってきて寝てばかりいるんですよ?絶対にやめといた方がいいですよ。」
「そ、そうなんですか?それは…また何というか…。」
とても非道い飲兵衛のようだな、これは流石にイカン。毎日の仕事を終えて一杯とか大仕事をこなす事が出来たから、その打ち上げで朝まで飲み倒すとかなら、まだ許容範囲だが毎日仕事もせずに朝から酒を飲んで暮らしてるのは…ちょっと駄目だな。これは、駄目だ。引き上げよう。それならまだ自分の技術のほうが上だと思う。悪評が立つような人は流石にイカン。だからセルディオさんが良くないって言ったのか。一応聞くだけじゃ駄目かと思い、自分の目でも確認しようかと思ったが、いくら何でもたった2人とはいえその2人から似たような悪評を聞くとか……。はぁ、しょうが無いな。屋敷に戻って自作の何かを作ってみるかね。おっと!そうだ。教えてくれたこの人にお礼の挨拶ぐらいはしとこうかね。
「わざわざ教えてくれてすいません。そういう事なら帰りますね。どうもありがとうございました。」
女性にお礼を言って立ち去ろうとしたら件の掘っ立て小屋から酒臭いおっさんが扉を勢いよく開け放って出てきて女性に文句を言ってきた。
「オイ!そこの糞女!何勝手に人んとこの客を帰そうとしてやがる!余計な事をするんじゃねぇぞ!」
「ハッ!何が客だよ、アンタみたいにろくな仕事も出来ないやつが客を取るって?そんな事したらお金を払う人が可哀想だね!いっちょ前に客を取って仕事をするって言うならね。私の店の壁をちゃんと修理してから言いな!なんだいあの継ぎ接ぎだらけの隙間だらけは!雨風が入ってくるだけならまだしもアレじゃ虫や害獣まで入って来放題だよ。商売になりゃしない!せっかく美味しいメシを作ってもね、アンタに壁の修理を頼んだせいでこっちはいい迷惑だ!金を返しな!」
「何が美味しいメシだ!あんなクソまずいメシを作って客に出すお前の気がしれないぜ。よくあんなので客が取れるな!それと金は返さねぇぞ、俺はちゃんと言われた仕事はしたぜ?だってお前は外の通りから見えない様に壁を直してくれって言ったじゃねぇか。だから俺は見えないように板を張ってやったんだ。それを後から雨風が入るとか虫が入るとか言われても知ったこっちゃないぜ。」
「何屁理屈こねてんだよ、このろくでなしの糞男!お前なんて私が頼んだ仕事以外じゃもう3年近く仕事をしてないじゃないか!何でかわかる?それはね、お前の腕が下手くそだからだよ!もういい加減にしな!アンタはそのまま人に迷惑を掛けずに一生静かに過ごしていればそれでいいんだよ!」
「何だと!この糞女!てめぇなんかなぁ……。」
まだまだ続きそうなのでもう勝手に離れる事にした。あとはご勝手にどうぞ~。
先程の場所から離れて、別の店を探してみるがやはりセルディオさんが言ったように大した人はいなかった。例をあげればこちらがどういう仕事をしてるのか見せてほしいと言うと相手が『ただで職人の仕事を見ようなんてそれは無いんじゃないか?』と言ってきた。ただそれを言うだけなら技術の秘匿をしたいのかな?と思ったのだが。それとは別にこう言われたのだ。『もらえるものを貰えたら見せてやっても良いんだがな~。』と言われたので、それなら必要ありません。と断って立ち去った。
「はぁ、本当にろくな職人がいない…。少しは期待していたんだけどな。これ以上は仕方ないな。屋敷に戻って自分で何か作って気分を晴らそう。」
屋敷に向かって歩いていく。その間に何を作るかを考えてみる。伯爵の屋敷にあるものをとりあえず作り変えてみたいんだよね。一番に気になったのが屋敷の正面入口のドアだ。あのドア作りがハッキリ言ってすごい雑なのだ。俺のイメージにある領主館と言えば、木製なら厚みがあり家紋や動物の彫刻をされてる物。金属製なら彫金細工を施したちょっと成金チックなドアだ。と言う訳で勝手には出来ないが屋敷に泊めて貰ってるお礼に作らせて貰えないかをセルディオさんあたりに聞いて実行してみよう。さ~てどう言えば作らせてもらえるかな?
ようやくの建築です。うまく伝わるか心配ですが、できるだけわかりやすく書いてみるつもりです。




