第165話 素材採取5
カツンッ!ガンッ!ガンッ!ツルハシとハンマーを使い分けながら採掘をする。何気にまともに道具を使って採取をする数少ない行動だ。
普段は基本的にスキルや魔法だよりだが、ここ神界に来てからはそれが出来ないでいる。全く出来ないのではなく、それを基本にしての行動が難しい。無理やり行使することも出来なくはないが、それをすると非常に負担が掛かる。感覚によるものだがおそらく地上の数十倍はキツイ。疲労感をかなり感じるのだ。ここに来てレベルが低下でもしたのか?と疑いステータスの確認をしてみたものの特に表記に変化はない。それどころか以前に確認した時に比べればレベルアップをしていたくらいだった。
「それなのにかぁ……。まるで地道に努力しろ!と言われてるような気がしないでもないよね。まぁそれもまた良し、と言ったところかもしれないなぁ。よいしょっと!」
ツルハシを頭上に掲げてから振り下ろす。ツルハシの先端が当たったところからガラガラと崩れてそこから白い鉱石が転がってくる。転がってきた鉱石を手に取り鑑定をしてみる。
神光石
神の手により創造された鉱石。
神界の環境状態で放つ光の種類が変わる鉱石。神気の量で光の色が変わる。
地中で取り込んだ神気の量で大きさ、重さ、硬度などが変わってくる、神界の洞窟などでは割と何処でも採れるが、場所によりグレードが変わる。
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【備考】
採掘の仕方
通常の採掘道具で採掘が可能。ただし魔法を用いての採掘を行うとかなりの速度で劣化が始まってしまう。採掘には手作業が必須。
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【備考2】
神光石の特性
白金‐神気回復率50%、魔力回復率10%
白銀‐神気回復率20%、魔力回復率5%
白‐神気回復率3%
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ふむ?神光の楢とは随分使用が異なるな。どうやら神光の楢はかなり良い物だったようだ。素材としては上質なんだろう。だからといってコレが悪い訳ではない。そもそも素材に回復効果があること自体が凄いことなんだから。
「幸先が良いと言っても良いのかな?あと何気なく手作業でやったつもりだったけど結果としては正解だったのか。これまた凄い偶然もあったもんだ。だけど……手作業必須なのかぁ。必要な量を取るのに一体どれだけの日数が掛かることやら……まぁ、それでもやらないってのはないんだよなぁ」
おじいちゃんとおばあちゃんにはかなり世話になったから、ここでしっかりとした社を建てて恩返しとしたい。二人なら気にしないで良いと言ってくれそうだが、そこはそこ。俺自身が恩返しをしたいだけなのでできたら受け取ってほしい。
「さて続きをしていくとしようかな」
久しぶりの労働感を覚えて作業を続けていく。途中何度かリィサ達が休憩のため呼びに来てくれたりした。コツコツと採掘量を増やしていく。採掘した鉱石はみんなにお願いして選り分けてもらった。どうも神光石以外にも似た色合いの全く違うものが混じっているようだった。それの仕分けをお願いし、俺はただひたすら採掘に集中し続けた。あっ!もしかしてマイバッグに放り込んで後から仕分けすれば良いんじゃないかって思いました?確かにそれをすれば早いし楽ではあるけどそれをすると彼女たちがまた何も出来ていないと思い込みそうなので敢えて手伝いという形でお願いしたのだ。
できることは自分たちで探すとは言っていたが、やはり今の段階ではすることが限られており全員がそれをできる訳でないようなので、仕事を振ったというわけだ。あとはまぁ、アレですよ。単純に俺が寂しかったので。こうやって俺達はしばらくの間ここに拠点を設けて採掘に従事した。
あれから5日間たった。初日以外は適切な作業時間を設けて今日に至る。
初日はまぁ面白いくらい鉱石が採れるので体力の続く限りアホの子のようにガンガン掘りまくっていたら案の定……怒られました。それはもうこっぴどく怒られました。
「どうしてここまで加減をしらないのですか?」とか「ユーラくんはアホなの?」とか「私でもここまで加減知らずに行動はしないぞユーラ殿」などなど。
確かに俺は加減をしらずにやり過ぎたけど、そこまで言わなくても良いじゃないかと思い反論しようとしたが、リィサの「バカな子ほど可愛いというじゃない。私達でしっかり見守って上げましょう?」という優しさの中にある鋭いトゲによりトドメを刺された俺を見た皆は「それもそうか!」とばかりに俺を連れてテントで強制的に休息を取らされるというなんとも苦い初日を終えていた。
次の日からは必ず誰かしらが俺のそばで監視もとい付き添いをするようになり、規則正しい無理のない作業をすることになった。皆の手により決められた作業時間を超えて作業をしようものなら付添人もとい監視員により強制的に連れ出され休息を取らされていた。
俺自身は作業時間が減ると採掘量が減ってしまう!と思っていたのだが、彼女たちの手により効率的な計画は無駄がなかったようで、最終日を迎えた今日に至るまでで十分な量の鉱石を取ることが出来ていた。
この結果に首をかしげていた俺に静梛さんが……。
「何事もただ無心に繰り返して行えば良いというものではありませんよ。効率的な作業には十分な休息も作業の一部なんです」
と、窘められた。まぁ、俺が愚直すぎたのかもと少し反省した。やはり俺には彼女たちの存在が必要なのだと思い知らされた日々だった。
なんとかコツコツと書き進めております。
素材採取はここまでです。細かいところは後々説明を入れつつとします。あまりダラダラと採取ばかりもどうかな?と。
次回からは早速社建築に話を進めてまいります。お待ちいただければと。
あっちなみに体調は全快とはいきませんが程々に良くなりました。ご心配をお掛けしました。
では今回はこれで、いつもご覧いただきありがとうございます。