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第162話 素材採取2

 スパンッ!スパパパッ!軽い音が静かな森に響き渡る……。


「せっせと頑張りますよ~。あーよいしょーどっこいしょー!!」


 掛け声は力強いかのようだが実際にしているのは鋭く薄く圧縮した風魔法を放っているだけだが、まぁ伐採しているっていう雰囲気は重要だと思う。それにしても……。


「一人で作業は寂しいなぁっと。あぁーよいしょー」


 かなりの数を収集したのでそろそろ目処をつけるべくマイバッグに収納してある木材の数を確認する。


「え~と……120ってところか。ふむ、一応の数としては十分だな。よし、とりあえずこの木に関しては此処までだ。皆に声を掛けて他の素材を調達しに行くか」


 少し離れた場所に建てた簡易小屋で皆は休憩中だ。あの後様々な方法で伐採を試してもらった。力を溜めてからの斬撃だったり、魔力を通常より込めた魔法だったりとそれぞれにできる方法をお願いしてみたのだが……。


 結果は残念なものだった。とにかく硬い。物理的にも硬いが魔法でも無理となるとどうにもならなかった。唯一俺が放つ魔法だけが通じるのだが、これは以前におじいちゃんに聞いた俺が放つ魔法だったり物理攻撃は神気を帯びていると言っていたので、おそらく推察するにこの神界に存在する動植物は神気を用いないとどうにもならないのでは?という考えに至った。となると?





『私達じゃ無理!!』



 となった訳ですね。

勿論俺だってそれで納得する訳にはいかなかった。この神界には決して遊びで来た訳じゃないのだ。なので出来れば何かしらの作業を手伝って欲しいと思っている……んだけど。


 色々調べてみたのだが、神気とはかなり特殊なもので普通の人間が習得するのはほぼ不可能。全員を鑑定した結果、誰一人その素質を持っていなかった……無念なり。


 採取も無理もちろん加工なんてほぼ……いや確実に無理だ。そこまでの結論が出たことで彼女たちの役割は主に俺が社を建てる際の補助をお願いすることにした。素材の収集は俺が全てを行う事にした。


「おーい皆!そろそろここから移動するから中から出て来てー」


 小屋からぞろぞろと出てくるメンバーの皆。会話が弾んでいたのだろう、小屋から出てくる最中も話しが止まらないようでずっと喋っている。だが、どうも様子がおかしい。いや、何か剣呑な雰囲気とかではない。楽しげにというよりは真面目な会話が続いてるという感じに見受けられた。


 問題はなさそうに思うが流石に雰囲気だけで判断するのはまずいと思い、直接聞いて確認することにした。


「どうしたの?何か真面目な話?まさか喧嘩とかではないよね?」


 するとそれぞれが違う違うと言ってきた。よかった。今の様子を見る限り違うようだ。油断はできないが、疑い過ぎるのも良くない。


「それじゃあ何か真面目な話なのかな?ちょっと楽しいって感じじゃなかったから気になってね」


 ちゃんと気になった理由を伝えておく。妙な曲解はされたくないので。


「あぁ~なるほどね?私達が真面目にしてるから気になったってところ?」


「まぁ、うん。大丈夫だとは思ったけど一応確認は必要かと思ったからね。じゃあ喧嘩じゃないならどうしたの?」


「そこはホラ!アレよ、今の私達ってただただ付いてきただけって感じでしょ?それじゃあここまでユーラを追ってきた意味が無いじゃない。だから真面目に今の私達で出来る事を探すためにって本気で話し合いをしてたって訳よ」


 そこまで言って胸を張るモニカ。同じくモニカと話しをしていた静梛さんは頷いている。


「私達はただの付き添いとして役割を終わらせるつもりはありません。向こうで培った知識や技術は無駄ではない事を示してみせます!」


 静梛さんにしてはかなり力強い言葉だ。少し、いやかなり珍しい事だ。現に葉津梛ちゃん達が少しびっくりした様子を見せている。


「おぉ……それは助かりますが具体的には何をしてもらえるんですか?」


 何をしてくれるのだろうか?何気に期待しているので問い掛けてみた。


「それは……」


「それは?」


 何処ぞのクイズ番組かとツッコミたくなる間を取る静梛さんをほんの少しの緊張感を持ち続きを待つ。そして……。


「それは!……まだ思案中です……。りょ、良案をお待ちいただければ幸いです」


 ガクッとなってしまった。いつも隙の無い余裕を持っている静梛さんだが今回ばかりは難題だったらしく結果を出すのは厳しかったようだ。だが、何かを手伝ってくれようとしてくれる気持ちは嬉しく思えた。


「ま、まぁ、取り敢えず今は移動しましょう。次の採取地を見つけたらそこで続きをしてください」


「そ、そうですね。わかりました。すぐに準備しますね」


「はい。あぁ~それと」


「な、なんでしょう?」


「静梛さんに限りませんが、俺の力になろうとしてくれてありがとうございます。とても嬉しいです」


「~~~はいっ!こ、此処は私にどーんとお任せください!!」


 豊かな胸を張りぽよ~んと音がなりそうな感じに胸を打つとスタタッ!と走り去っていく静梛さんそんな可愛らしい後ろ姿を追いかけるように皆が声を掛けつつ追いかけていく『こらーそこは私達!でしょうが~』と聞こえてきた。まぁ皆同じく心強く思っているので後でしっかり一人一人に声を掛けようと思いながら次の目的地は何処に向かおうかな?と思いを馳せるのだった。




お休みがもらえたので朝から執筆しておりました。珍しく2日連続での投稿です。

次回からはまたいつもの投稿間隔に戻るかと思いますが忘れたとかではないのでよろしくお願いします。

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