表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

170/181

第159話 目標決定!

 光の柱へと身を投じて訪れた場所は正に見た目通り清浄な場所だった。


「おぉ……これが神界、かぁ。空気も澄んでるし、広がる風景も何ていうんだろう……清らかな田舎?って感じがして静かで住みやすそうな場所だ。すげぇ……」


 なんて清らかな場所なんだろう。こんなにも清浄な場所がこの世に存在するなんて……この世界のすべてを完全に廻れた訳ではないけれど、それでもここほど清浄な場所なんてないんじゃないかと思わされるほどだ。


「ここは凄い場所ねユーラ?この様な場所に私達が訪れてしまって良かったのかしら?もしかして私達がしてることって不敬ではないかしら?ここの様な清らかな場所に来てしまった事が恐れ多く思えて仕方ないわ」


「正に、ですね。王族の一員である私もこの場所には畏敬の念を感じえません。本当に素晴らしく思えます」


 王族のレナリアさんがも畏敬を抱くのか。いや、いくら王族と言えども比べる対象が人と神とでは比べるべくも無いことか。まぁ、仕方のない事なんだろう。で、だよ。リィサとレナリアさんは畏敬を持って大人しく振る舞っているのに、一部の連中ときたら……。


 やれ「すげぇっ!なんだここ!空気がウメェ!」とか「……とても広くていい場所、魔法の練習にピッタリ」なんていう危険は発言をしてるし「魔物はいるのか?いるとしたらどんな魔物だろうか?もしいたらユーラ殿と狩りに行くのもいいな!」という若干脳筋発言が聞こえたりとひたすらウキウキワクワクしている。一応ここにはおじいちゃん達の社を建てに来たというのは理解してくれてるのだろうか?先行き不安な人たちだ。だが、ソレに比べて意外と真面目な雰囲気を保っているのが我等が神楽坂姉妹である。


「ゆう君の手伝いをするにしてもどういう感じで手伝う?私は実技系は出来ないよ?せいぜい材料管理くらいかなぁ?」


「口惜しいですが私も葉津梛姉さんと同じですね。この世界に来てある程度の力を身に着けさせて戴けましたが、技術職は修めておりませんから」


「ワタシは実働で問題ないぜ。一応ある程度であれば連枝にも大樹兄も習っていたからな!優良の手伝いくらいは出来るはずだ」


「私は細かい作業程度ならいけるかも?まだ実地に至ってないから出たとこ勝負な感じかも?とりあえずはやってみてから判断したい」


「私も和泉梛と同じですね。通常の形としては問題はないはずですが、優良さんがどういう形で収めるかで手伝える範囲が変わってきますね。まぁそこは相談しながらで問題はないかと思います」


 おぉ!なんと心強い味方なんだろう。これなら多少くらいなら無理を通して理想の社を建てる事が出来るかも知れない。これなら意外といけるかも?


 今だ真剣な会話を交わしている神楽坂姉妹達から目を離して、リィサとレナリアさんとこれからの事を相談しようかと思ったらいつの間にか俺の側から離れてモニカ達の元へと移動していた。どうやら神楽坂姉妹と比較してあまりにも馬鹿騒ぎをしていたので注意しに行ったようだ。何故か年長であるはずのモニカ共々正座をさせられお叱りを受けているようだ。時折「ここへは遊びにきたわけじゃないのよ」とか「あなた達はユーラさんのパートナーとしての自覚は無いのですか?」とか聞こえてくる。まぁ、そこまでしなくともいいんだけどね?女性には女性の考えがあるとおばあちゃんも言っていた。こういう場合は少し見守って行き過ぎる様なら、そこで初めて止めた方がいいだろうって。今の段階なら軽い注意程度に見えるから放置でも問題はないだろう。それよりも……。


「そろそろおじいちゃん達を探すかな?周囲を見渡してもそれらしい建物が何処にも見当たらないのが気になる。周囲の気配を探っても何も感じられないし……一体何処にいるんだろう?」


 ここで待っていたら迎えが来るかな?でももし来なかったらそれはそれで困るな。探索がてら周囲を歩き回って見ようと思った瞬間だった。ほんの一歩踏み出しただけだったのに一瞬で周囲の風景が変わった。


 先ほどまでいた長閑のどかな田舎を思わす風景に続いて今度はその田舎に似つかわしくないまるでパルテノン神殿を思わせる大きな……正に神殿が目の前に現れた。なんというミスマッチ感だろう。ここまで風景と建物が相反する光景はあまりお見かけしないものだ。


 そしてここで今回の依頼者であるおじいちゃんとおばあちゃん。この世界の神のご登場……なのだが、思いっきり洋風建築である神殿からでてきたおじいちゃんとおばあちゃん和装である。


 そう着物を着ていた。以前までは確か以下にも洋装デザインの神様!って感じだったのに、今は日本にいそうな神様っぽくなっていた……なんで?


「えっと?おじいちゃんなんで急に和装?今までは如何にも西洋の神様って感じの服装だったよね?どうしてまたそんな格好を?」


 俺の問に対しておじいちゃんとおばあちゃんは少し嬉しそうな様子で話してくれた。


「うむ、実はなついこの間ちょいとばかり面倒な問題を片す為にとある場所へと訪れたのだが……そこで見掛けたこの衣装が素晴らしくてなぁ。ばあさんと一緒にいくつか見繕って来たんだが、思いのほか着心地が良くてのぅ。これからはこの服に切り替えようと決めたのじゃよ。どうじゃ優良よ?儂とばあさんに似合ってると思わないか?」


「そうだね。とても良く似合ってるよ。落ち着いた着こなしと雰囲気がピッタリだと思う」


 正に二人によく似合う、うん違和感なく似合ってはいる二人には!ただし、その出てきた思いっきり西洋の神殿には全くのミスマッチだ。この光景だけ抜き取ればパルテノン神殿に観光に来た純日本人にしか見えない。違和感がかなり仕事をしていた。


「そこで唐突なのだが優良よ。儂らのために建て替える社はこの様な神殿ではなく文字通り社に近い形でお願いできないものかのぅ」


 そうだね、二人がもしまた同じ形の神殿をお願いしてきたら俺から日本式のを薦めたいくらいだったから丁度いいと思うよ。と心の中で思う俺だった。



この話から終盤へと向かいます。変更が無い場合は社の完成が終着点です。

さて完走へ向けて頑張ります!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ