第15話 豚貴族現る!
皆さんに見て頂いてるおかげPV数が2000を超えました!やったね!本当にありがとうございます!これに慢心せずに書き続けていきたいと思います。まだまだ書きたい事が多いのでこれからも頑張りますのでよろしくお願いします。
「本当に街の近くまでで良いんだな?さっきも言ったが俺は街の中には入らないぞ。それどころかあくまでも近くまでだ。そこからは別行動だ構わないな?」
「はい、それで構いません。それでそのユーリさんが嫌でなければなのですが、何故トライフルの街から逃げられたのでしょうか?何か悪い事でもなさったのですか?」
「いや?違うよ。ただ街に入る時に入街税を払うだろ?その時に唯一持ってた金貨で払ったんだが、旅人が何故金貨なんか持ってるんだ?って一方的に怪しまれてね。それだけなら良かったんだが、俺の事を付け回す様な事をしてきたんだよ。それが嫌になってね。だから衛兵達にバレないように街から逃げ出したのさ。俺自体が何か悪さをしたってわけじゃないよ。」
「まぁ!それは本当ですか?それなら私が事情を説明して誤解を解かせていただきますよ?如何ですか?」
「いやそれはいいよ。結局それは誤解を解いた事にはならないはずだ。レナリアさんの権力で無理やり押さえつけているような事になりかねないからな。流石にこれだけ大きな街の衛兵ならレナリアさんの事は知っているだろう?だからいいよ、別に街はここだけじゃないしな。だから気にしないでもいいよ。」
「…そう…ですか。いえ、そうですね。無理強いはよくないですね、わかりました。では、当初話した通りに街の近くまでお願いします。遺品に関しても安全な場所に埋めておけばあとから回収しても問題ないかと思いますので、埋めてから出発しましょう。」
それから俺たちは二人で遺品になる部分を集めて、埋めていった。遺体に関してだが、放置していくのは流石にマズイと言う事で、穴を堀って焼却する事にした。穴を俺が掘って遺体を穴の中に入れていく、レナリアさんは目を伏せていたので、俺に任せて座っていてほしいとお願いした。始めはの内は一緒にやろうとしていたが、顔色があまりにも悪かったので無理やり休憩させた。まぁ無理やり休憩させるのも俺がしたい事を見せない様にする為でもあるんだが。今は教える気は無いがね。
遺品を埋めて後に遺体の処理も終えたので、遅くならない内に街を目指して歩きはじめた。さすがにフライトを使って空を飛んでいく訳には行かなかった。彼女には前に見られてるから構わんが彼女以外の誰かにバレたりしたくない。ある程度自衛手段として戦略級魔法を完成させて国レベルと対抗出来る手段が欲しい。俺のステータスならそれが可能だと思う。魔法そのものの開発は出来ているが、まだテストを行っていないので広くて人がいないとわかる場所が欲しい。そうすれば心置きなく試せるのだが…。
だいぶ歩いてきたそろそろ日が傾き始めてきたが、俺の目算が間違ってなければもうすぐ街が見えてくるはずだ。そうなれば俺はレナリアさんと別れて一気に他の街を目指せる。だが、そんな俺の思惑を砕くかの様にイベントが発生してしまった。なんと、街を目指す進行方向から土煙が見えてきた。
嫌な予感がしながらもそのまま歩き続けてると、案の定予感が的中した。おそらくだが、あれは街の衛兵達だと思う。俺を追ってきたのか、またはレナリアさんを捜索しに来たかは知らないが、俺にとっては最悪のタイミングになってしまった。
衛兵と思われる人達は思ったとおり衛兵だった。門番をしていたジョージと呼ばれていた兵士と小隊長のブラスさんがいたからだ。うわぁ面倒事の始まりだな、これは。明らかに俺を怪しい目で見ているが、それに対して俺は素知らぬ顔してレナリアさんの隣に立っている。それがさらに気に入らないのだろうか、俺を射殺すような目で見ているヤツもいる。え~と人数は1,2、3…と全部で12人とまぁ随分と多く集めてきたようだ。目的次第ではここで一騒ぎ起きる訳だが。さて、どうでるかな?
「そこの者!ここにいる御方が誰だか知ってその様に突っ立っているのか!平民ごときが何様のつもりだ。下がれこの下郎が!」
おっと?いきなり罵倒から始めてしまいましたよ。なんたる事だ、状況をよく理解してないんじゃないのか?あのおっさん…。もし俺が敵対勢力ならここで普通にレナリアさんの首にナイフでも当てて動くな!って言ってる所だな。どうやら小隊長のブラスさんは様子見をするようだな。止める気は無いようだ。同じくジョージとかいう兵士も見てるだけだな。どうあっても俺を助けたり弁護する気はないようだ。あわよくば捕まえて尋問でもしてやろうと思ってるのかな?それに周りにいる兵士達は、レナリアさんと俺に槍を向けている。この状態では俺たちを殺してやるといわんばかりだな。さて、次は何を言ってくるかな?場合によっては唯では済まさないがね。
「貴様!貴族たるバレブロ・ノランク・トライフル様の前だぞ!頭が高い控えろ!この平民の愚か者めが!」
俺にそう言ったのは、妙に細い体格のカイゼル髭のおっさんだ。俺を見る目はゴミを見るような目で見ているが、隣に立っているレナリアさんを見る目は実に厭らしい。レナリアさんも若干嫌がってるように見える。おそらく気持ち悪いのだろう。それにしてもレナリアさんを見てもこの国の第一王女だと誰も気付かないのだろうか?もし、気付いてないのであれば間違いなく面白…じゃないとんでもない事故が発生しそうだな。ん?あのバレブロとか呼ばれてる豚みたいな貴族がそばにいるカイゼル髭のおっさんに何か言ってるな?まぁ大体予想がつくけどね。
「おいそこの女!お前はこっちに来い!バレブロ様がお前の事を気に入ったそうだ。妾にしていただけるそうだから、バレブロ様に礼を言うんだ!平民如きが貴族であるバレブロ様に気に入られたのだ、お前は実に運がいいぞ!さぁさっさとこっちへ来るんだ!」
うわぁ!やった!言ったぞ!面白い事を言った!よりによってこの国の王族である第一王女のレナリアさんに向かって平民って言ったぞ。さ~てどうなるかな?放置しておけばさらに面白い事を言いそうだ。とりあえず黙って見ていよう。どうせコイツらぐらいなら1分もかからんで無力化出来るしな。今の状況を楽しみたい。ん?俺ってこんなに性格悪かったか?元から?まぁいいや!とりあえず観戦、観戦♪
「おい貴様!そこのみすぼらしい男!お前だ!早く女をよこせ!いつまで突っ立っているつもりだ。礼儀がなっとらんぞ!」
おい、このチュル髭それはお前だよ…。俺に振るんじゃねぇよ、絡むならレナリアさんに絡めよ。そうしないと面白くないだろ?もっとガッツリいけよ!そしたら楽しみが増えるのに。仕方ないので横にいるレナリアさんを見ると…うわ!無表情になってる。ハハこれは何か起きる前兆じゃございません事、奥様!ワクワク!よし、もう少しだ!とどめの一言を言うんだ!
「聞こえないのか、そこの女!バレブロ様が呼ばれておるさっさとしろ!まったくこれだから下賤の者は…申し訳ありませんバレブロ様。すぐに連れてまいります。」
「ブフフ、よいよい。さぞかし儂を見て緊張しておるのだろう、儂は高貴の者だからな。下賤の民とはいえこれだけの女なら儂が可愛がってやる価値が少しぐらいならあるだろう。よし、女は街へと連れて帰るぞ。男は…いないな。先程まで居た気がしたが気のせいだったか。よし、行くぞ。」
おっと!その発言は危険ですよ?つまり、俺は居なかったって事にして殺そうとしてるのかな?もしそうなら…おじいちゃんに貰ったライセンスの出番ですよ、いいのかな?隣にいるレナリアさんを見る。おぉっと!こめかみがめっちゃピクピクしてる。随分とお怒りのご様子、これはいいぞ!期待どおりの光景が見られそうだ。
チュル髭貴族がレナリアさんに寄ってきて、腕をつかもうとして…腕を払われた!それから…ビンタ…じゃない、―ボゴッ!―グーだー!グーでいったーー!倒れるチュル髭貴族、槍をレナリアさんに向ける兵士達、それを見ている豚貴族とジョージにブラス。見ている場合じゃないんだけどね。
「な、な、何をする!私が誰だか分かってるのか!私はこのバレブロ様に仕える貴族のガリキテ・ノランク・ガリーノ様だぞ!下賤の女如きが、よくもこの私を殴ったな!許さん!コイツラを叩きのめせー!」
あ~言っちゃった~。完全にアウトー。さて、ここまでにしておくか。レナリアさんを見るとやる気は満々だが、それなりに人数がいるから何かあったら俺まで被害を受けそうだ。ここはいっちょ俺が片付けるかね。
「止めといたほうがいいんじゃないか?そもそも俺たちが何者なのかをちゃんと聞かないでもいいのかな?後で問題になるかもしれないぞ?それでもいいのか?」
そう言いながら俺はレナリアさんの前に出る、この兵士たちさっきから見てると妙にガラが悪い。槍を構えながらもヘラヘラしてるし、豚貴族の側に控えているちょっと偉そうな兵士もニヤニヤしてる。ハッキリ言おう気持ち悪いにも程がある。豚貴族に至ってはよだれを垂らしてレナリアさんをずっと見ている。キモい。こういう奴らに手加減は必要ないが、殺してしまうと後で面倒になりそうなので、1ヶ月程動けない程度にはさせてもらう。正直俺もレナリアさんを見るコイツラの視線は苛立ちが抑えきれないのだ。…あれ?なんでイライラしてるんだ俺?まぁいい、とりあえずゴミをかたづけよう。あとはそれからだな。
「ふん!身分だと?貴様らなどせいぜいどこかの騎士爵の雇われ冒険者程度だろう?そんな奴らが子爵であるバレブロ様に逆らうとはな!愚か者め、主従ともども死罪にしてくれるわ!」
「うむ、そうだな。そやつらは本来なら死罪だな。だが、女が儂に頭を下げて儂の物になるというなら…そうだな、男は鉱山奴隷で許してやろう。どうだ、嬉しいだろう!ブフフフフッ。」
頭悪すぎだろ、コイツら。もう聞くに耐えんさっさとお片付けしなきゃ怒られちゃう。レナリアさんを見る。頷いてるよ。え?殺ってもいいの?あっ頷いた。というか、俺が考えてるのわかるのかよ。あっまた頷いた。なんでわかるのか疑問だが許可は得られた何かあっても問題ないだろう。間違って1人ぐらい死んじゃうかもしれないけどいいかな?チラッ―頷いてるよ。なんでわかるのさ。
とりあえず疑問は後にして、まずコイツラには動けなくなってもらおうかな。
「今からあなた達は動けなくなりま~す。『スタンフロア』!」
―バチチッ!バチ!バチッ!――バタバタ!ドタン!ドサ!
お豚様が落馬致しました~。その上にお馬さんが倒れていきました。死んだ?あ!よく見たらチュル髭もお豚様と一緒に巻き添えをくってる。兵士達は金属製の安そうな鎧付けてるから、通電が良かったのかな?キレイに意識を失ったようです。死んだやつは…いないか…チッ!下衆共が!運がいいな。レナリアさんを見てみると…めっちゃニッコリしてる!いい笑顔だな~。惚れてしまいそうだ。
「さて、レナリアさんどうしますか?コイツらどう考えても不敬罪じゃないんですか?ここで殺っちゃいます?それとも、レナリアさんが殺りますか?いいストレス解消ができるかもしれませんよ?」
「手が汚れるので嫌です。気持ち悪いので触りたくもありません。なので、お願いしてもいいですか?」
「それは殺ってもいいって事ですか?」
「違います、縛り上げて貰えませんか?王都に連絡を取ってこの者達の処分をお願いしますので。」
「な~んだ、ピチュンしてみたかったのに…。残念だな。」
「なんですか、それ?よくわからないですけどやめてくださいね。コレはしっかり国王の判断で処分しないと、後が面倒なんですよ。本当に気持ち悪いですよね、コレ。」
ゲシッ!と側に倒れていた豚貴族の頭を蹴った!オイオイ!やるなぁ~王女様、おしとやかに見えたのは気の所為だったか?黒い笑みを浮かべてるぞ…。お!こっちに振り返った。なんで俺の所に歩いてくるんだ?嫌な予感がする!おい!こっち来んな!
ガバッと俺に抱きついて来やがった!お、おぉ…や、柔らかい、当たってるよ?あの2つのお山さんが当たってるよ。凄いよこれ!リィサよりおっきいよ!リィサのはムニュンって感じだけど、レナリアさんのはフワァって感じなのだ。当たってるのは当たってるのだが、何ていうか俺の胸板が包まれてる感じ?うまく伝えられないがそういう風にしか例えられないのだ!ちょっと、ほんのちょっとだけ胸元を見てみる。おぉ~絶景かな絶景かな。たまらんぞこれは。リィサでかなり解消されてるはずなのだが、どうやら俺はまだまだ底を見せてないようだった。このままではイカンですよ。俺が爆発する。急いで離れなくては!そう思い離そうとしたのだが、よく見ると震えているようだ。もしかして、怖かったのだろうか?よく考えたら彼女は前も隠れてたように思う。もしかして、さっきまでの強がり?だとしたら俺は一体何をしていたのだろうか。段々と恥ずかしくなってきた。
「レナリアさん、大丈夫か?もう大丈夫だからとりあえず離れてもらっていいか?早くコイツらを縛っておかないと目が覚めたら面倒だからさ、ね?」
その俺の言葉に我に帰ったように離れるレナリアさん。あぁ自分から離れてくれとは言ったが、あの感触は惜しいものだったな…。ただくっついてるだけなのに気持ちよかった。実に惜しい…。血の涙を流さないか心配だ。…さて冗談はここまでにしておいてコイツらを縛り上げていかないといけないのだが、こんな事もあろうかと俺は魔法で縛り上げるものを開発しておいたのだ、その名も風魔法『エアーロープ』だ!この魔法単純な名前はともかく空気がある場所ならどこでも関係なく縛り上げる事が出来るのだ。始めに縛り上げる時だけは俺の視界に入ってないといけないと言う制限はあるが、使い勝手はかなりいい。しかも縛り上げた後も俺から半径100kmも離れない限り捕まえて置かなくても、解けることはないのだ。縛り上げるだけしか出来ないがこれだけでも充分チートだと思う。ちなみに俺自身が解除しない限りはいつまでも縛られたままだ。魔力消費も始めの1回だけであり、維持するための魔力は周辺に漂っている魔力を自動で吸収して維持を続ける。
「悪しき者達を捕縛せよ!『エアーロープ』!』
悪しき者達を~とか言いはしたが、実際この掛け声は必要ないんだよね!如何にも俺は悪者じゃないとアピールする為のものだ。側で聞いてる分には俺が正義に見えるはずだ。ニヤリ。ほら、レナリアさんも魔法を唱えている俺をみてキラキラした目で見てるし、計画どおりだ、やったね!
「ユーリさん、凄いですね。これだけの人数を一瞬で縛ったのですか?凄い魔法を使えるのですね?初めて見ました。」
レナリアさんの初めていただきました!ってボケをかましてる場合じゃないな。早くコイツらを街に連れて行ってレナリアさんに頼んで王都に連絡をとってもらおう。運がよければコイツらを王都に連行するついでに一緒に連れて行ってもらえるかもしれないしな。もし、王都に行くのに都合が悪いようなら途中に街が無いか聞いてみて、そこに途中下車するのもアリだ。とりあえずの目標はコイツらの引き渡しだな。さてと、さっそく運ぶかね?
「それほどでもないですよ。それよりもレナリアさん、この連中をさっさと街に運んでしまいましょう。暗くなると魔物に襲われてしまうかもしれませんから。」
「あぁ、そう言えばそうでしたね。早く街に向かいませんと。でもユーリさん、これだけの人数をどうやって運んだらいいのでしょう。何かいい案がありませんでしょうか?不甲斐ないのですが、この状況を解決する手段をもっていないのです。何度も厚かましいお願いをして申し訳ないのですが、お願いできませんでしょうか。」
「それに関しては俺に任せてくれるなら問題ないですよ。割と簡単に出来ますので。それで構いませんか?」
「はい、それでお願いします。私では何も思いつかないので。」
俺に任せてくれるそうなので張り切ってみる事にした。まぁ運ぶとは言ったがただ運ぶのでは無いのだが、任せてくれるなら新魔法の実験台になってもらおうかな?クククッ。
さて豚貴族は現れたかと思いきや颯爽と退場になってしまいましたね。多分これっきりですね。ただ出してみたかっただけなので。出たとしても名前だけになりそうです。