表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

165/181

第154話 立ちはだかるお山

新年明けましておめでとう御座います。

明けてからかなりの時間が空いてしまいましたが、今年もよろしくお願いします。

 風呂場へと現れた女子一同の中には葉津梛ちゃん達もいる!こ、これは流石にまずいのでは?俺は別に構わない、今更裸を見られたところで……ちょっと恥ずかしい程度で済ませるから。だが、葉津梛ちゃんを初め神楽坂姉妹はそうはいかないだろう。きっとその見目麗しき裸体を俺に見られたら恥ずかしさのあまり何が起きるかわからない。


 もしかしたら一人ずつであればまだ恥ずかしいっ!!くらいで済むかもしれないけど、今の姉妹は5人勢揃いのバリューセット?状態だ。この状況だとどんな化学反応が起こるかわかったもんじゃない。


「(うぉぉっ!この状況をどう打破するべきだ?え~と、取り敢えず急いで合流……絶対やっちゃいけないやつだ。最後の灯火が全焼してしまう結果しかない。ならどうすれば……出入り口は一箇所のみだし、ど、どうしよう!?)」


 あとになって気づいたのはさっさと転移で移動すればよかったのだろうけど、この時の俺は正常な判断が出来ておらず尚且つ葉津梛ちゃん達を見ていたせいで以前の自分の感覚に戻っており出入り口からでないとこの場から抜け出せないと思い込んでいた。力があっても心が追いつていないとこういう事が起きるのだという後の反省点になった。


「(どうするか?取り敢えずはここで身を潜めつつ皆の移動に合わせて少しづつ出入り口へと向かうとしよう)」


 幸いにもここは隠れる場所がそこそこあるので気配を抑えつついけばバレないだろう。と、俺は思い込んでいた。しかし、この時の俺はある人物を完全に失念していた……俺の存在を匂いで嗅ぎ分けてたどり着いてくるだろう人物。そう葉津梛ちゃんのことを。


「(まだここからだとそこそこ距離があるな……今ならこの濃い湯気にまぎれてあっちの柱に隠れることができる。よしっ!今だ)」


 できるだけ足音を立てないようにそれでいて遅すぎない速度でサッと柱の影へと隠れる事ができた。これを繰り返せば皆に気づかれないように脱出できる!これはカンペキだな!(発見までカウントダウン開始)




「うん?」


「お姉ちゃん?どうしたの?」


「う~ん、今向こうからゆう君の気配がしたような気がしたんだけど……気の所為かなぁ?」


「優良さんの?でも優良さんはお出かけしてるってリィサさんは言ってましたよ?」


「そうなんだけど……まぁいっか!サッサと体を磨いてこの後に備えないとねぇ~。う~ん楽しみだなぁっ!」


「た、楽しみですか?私はちょっと緊張してますけど……」


「何いってんの和津ちゃん!これは待ちに待った大イベントなんだよ!この機会は絶対に逃せないんだよ!」


「わ、わかったから!お姉ちゃん!あまり暴れないで!早く体を洗ってお風呂に浸かろう?ちょっと寒いかも?」


「おっと!そうだった!じゃあチャチャッと済ませちゃおう!サッサと洗っちゃおう!」


「もぉ~ちゃんとしっかりと洗わないと駄目なんだよ?」


「わかってるってば!それだけ早くって言う意気込みだってば!……うぅっ!ブルブル私も少し寒くなってきた。行こう和津ちゃん」


「だからさっきから言ってるのに……もぅお姉ちゃんったら」


「にへへぇ~いいじゃんいいじゃん!さて、洗い場はどこかなぁ~」




 危なかった!もう少しで葉津梛ちゃんに気づかれるところだった。そういえばあの娘は異様な嗅覚を誇っていたんだった。気をつけなければ……。しかし、俺のこの考えは甘いと言わざるを得なかった、確かに葉津梛ちゃんの嗅覚は異常と呼べるほどではあるが、それと同等と言えるものを何故他の姉妹が有していないと言えるのか。現時点での俺は脱出する事に頭が一杯でまったく考えていなかった。


「(次はあっちの仕切りに隠れよう。少し彼女たちに近づくことになるけどあれくらいの距離なら問題ないはずだ……今だ!)」


 素早く忍び足で移動し見事に仕切りへ裏側へと隠れる事ができた。出口まで目と鼻の先まで来れた。そこで俺は気が抜けてしまいお約束とも取れる事を仕出かしてしまった。


 油断からつい仕切りにもたれてしまいそこへ立てかけてあった何かが床へと倒れてしまった。そして――。



 カコォォーーン――




「(や、やっちまったぁぁーーーー!)」



 向こう側にいた皆が一斉にこちらへと視線を集めた事に気づくと同時に声が響き渡る。




『そこに誰かいるのっ!』




 逃げるべしっ!ここまで来たら後は出口まで一直線だった。以前の俺ならいざ知らず今の俺ならソッコウで逃げ切れる!そう思い出口まで身を屈めながら神速の縮地バリで加速!からのぉ~引き戸に手を掛けて素早く開ける!そして――。



 バイィィ~ン――!



 と言う擬音を付けたくなるような柔らかな衝撃と温もりそれと嗅いだことのある柔らかな匂い――この匂いと大きく柔らかな物体は――静梛さんだ!


 そう感想を抱いたと同時に俺の頭は静梛さん?の偉大な柔らかさを誇る巨山にホールドされた。やばい!これじゃあ抜けだ……したくないっ!そんな恍惚ともとれる状況にある中である意味で絶望とも取れる言葉がもたらされた。


「フフ捕まえましたよ優良さん?さぁ、皆のもとへと参りましょうか?」


 やってしまった!俺の目的は風呂場からの脱出だったはずなのに!自らのスケベ心が原因で俺は脱出劇の全てを台無しにしてしまったのだった。



今年はこの作品にある程度の目処を立てたいと目標を掲げているけだるまです。

どうぞ今年もよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ