第151話 性癖?
あの後すぐにレナリアさんはライルさん……王様と王妃様を連れてきてくれた。どうやらこの二人もしっかりと近衛を連れてこないようにしてくれたらしいので、時間を掛けずに手早く説明をした。
「……という訳でして、これはそのまま王様が持っていかれますか?」
一応避難経路もとい隠し通路と隠し場所に関する諸々を説明したあとに地図の所在をどうするかの確認をしたところ……。
「ふむ……ユーラ君済まないのだが、それは君が持っていてはくれないだろうか?」
「理由をお聞きしても?」
「あぁそれは単純だよ。それを私達が保管していて万が一があっては困るのだ。我ら王族の誰かに裏切りが発生しないとも限らん。それに先日のように誰かに操られて……という可能性も有り得るだろう。それが敵の手にでも渡ってしまえば私達は終わりだ」
「そうでしたか……そこまでは考えてませんでしたね」
単純ではあるが重要な事を見落としていた。反省点が増えていく……。
「わかりました。そういう事でしたらお預かりさせていただきます。ですが、しばらくは持っていたほうがよろしいのでは?さすがにまだ覚えられないのでは?」
基本としてはメインの通路が一本だけではあるが、入口はあちらこちらに配置してある。勿論カモフラージュはしっかりとしてあるし、誰もが開けられるものではない。開くにはどうしても王族の血縁者でなくてはいけないようにしておいた。まぁそれはそれとしてそれだけ各所に入口を配置してあるのだ覚えるのにも時間が必要だろうと思ったんだけど……。
「いや、それに関してもすでに問題はない。開き方や閉め方各所通路の罠の発動のさせ方もそうだが、要所に設置してある万が一の武器などの保管場所も記憶したのでな。二人はどうだ?」
「私は問題御座いませんわ」
「私もです」
「ふむ、どちらも問題ないとの事だ。では、これはユーラ君が預かっていてくれ」
えぇっ!3人共覚えるの早くない?もし俺ならしばらく掛かりそうなのに……俺とは生まれた時からの初期スペックが違うとでもいうのかっ!(自分も大概おかしいことにはまだ気づいてない)
「3人共凄いですね!そんなに早く覚える事ができるなんて……いやぁ俺とは頭の出来が全然違いますね。羨ましい限りです」
「そ、そうか。(君が一番デキが違うと思うのだが……)」
「そんな事はないですわ(どう考えてもこの子が一番出来ると思うのだけど)」
「はぁ……本当にユーラさんは(自信の無さは相変わらず健在ですか……これもどうにかしていかないといけません)」
互いに色々と思うことはあったようだが、取り敢えず話にあった地図に関しては俺のマイバッグとポイしておいた。これに関してはこの世界中の誰も干渉できないと神様であるおじいちゃんからのお墨付きなので安心安全である。それを遠回しにレナリアさんに伝えたところ若干顔を引き攣らせながら王様と王妃様へ色々と濁しながら説明をしていた。感謝感謝である。
「では皆さん。これで全て説明を終えました。荷物の運び込みなどの手伝いはどうしましょう?もしもすぐに問題がないのであれば少し休ませていただけると嬉しいのですが」
とお休み申請をしてみる。特段物凄い疲れたとはない。精神的に疲れるとかもない。単純にちょっと休憩したいなぁと思っての発言である。イヤラシイ……じゃない。癒やしをください、というやつだ。
「いやいや!荷物の運び込みなどこちらでするから大丈夫だ。こちらにも給与を払って雇っている者たちだっている。給与分の働きをして貰わねばならないからユーラ君がする必要はないよ。君は十分以上に働いてくれたからあとはこちらに任せて休んでくれて構わないよ。……それと報酬はまた後でしっかりと払わせてもらうとするよ」
「そうですわね。ここまでの大仕事をさせておいて雑用までユーラさんにおんぶに抱っこではいけませんものね。あとはこちらで全て請け負いますわ。と言っても元々こちらが本来することではありますけども……まぁともかくも後はこちらで。ユーラさんはお休みがてらこの娘の相手をしていただけると嬉しいですわね」
そう言いながら俺の方へとレナリアさんの背中をポンッと押しやる王妃様。トトッと足踏みしながら俺の胸に手を添えて上目遣いで見てくるレナリアさん……可愛い、じゃないよ!こんな事王様の目の前でしたらグギギってならないか?と思いながら見てみたら……顔を引き攣らせながらこっちを見ていた……コッチ見ん……止めておこう。別にメシウマがしたい訳じゃないし。
「ユーラさん私達はそろそろ行きましょう?」
「そうですね。それじゃあお休みいただきますね、ではこれで」
王様が爆発する前に退散しようとしたら「ユーラ君」すぐに声が掛かった。に、逃げられなかったか。
「な、なんでしょう?」
恐る恐る振り返ると王様いやここはライルさんでいいか。ライルさんが血走った目で俺を見ながら一言。
「くれぐれも……くれぐれも遊びでなんて事が無いようにな?もし、そんな事になれば……」
「な、なれば?」
なんとなく言いたい事はわかってはいるが、つい聞き返してしまった。
「君に敵わないまでも呪いの一つも込めた一撃くらいはくれてやるつもりだ。私たちを……うちの娘であるレナリアを裏切ってくれるなよ」
「勿論です。それだけは絶対にしないと約束します」
「なら構わない。あとは……頼む」
そうして背中に哀愁を漂わせたまま王妃様と去っていった。その際に王妃様がライルさんの尻に手を当てていたのが気になった。そこは背中じゃないのか?と思ったが、まぁそれはあの二人の事なので気にしない事にした。藪に手を突っ込む事はしない主義、という事にしておこう。
「……私達も参りましょう?そのユーラさんとの時間をずっと待っていたんですよ?」
ニコリと笑いながら軽く体重を掛けてくるレナリアさんをそっと抱き寄せてお互いの体温を感じてしばらく抱きしめ合っていた。
しばらくしてずっとここにいたらいずれ誰かが来てしまうかもしれないと移動する事にした。俺はレナリアさんの背中に手を廻してソっと手を添えて歩き出した。レナリアさんも微笑みを浮かべてソっと手を添えてきた、俺の尻に……。
取り敢えず今回で御城の話は一区切りです。次に登場する時は短めの予定です。
次話からは5姉妹を交えた話を予定中です。