第148話 準備完了!そして御城ドーン!
さて事件の翌日である。
俺は前日に今日再度御城を建てる?設置する?まぁどれでもいいや。事をレナリアさんに伝えライルさんもとい国王にも伝えてもらうようにお願いしていた。
本日は天気良好!遮る物なしっ!邪魔者なしっ!全てヨシッ!(ヘルメットを被った猫のように)
ということでギャラリー(レナリアさん一家とその護衛達と家臣の方々)を伴い建築予定地に到着した。
「ではこれから御城を設置……建立?まぁどっちでもいいや、します。なので昨日も注意しましたが建築予定地には決して立ち入らないよう注意願います」
再度危険なので近寄らないようにと告知をしたら家臣の方々の一部から声が掛かる。
「もし万が一入った場合はどうなるので?是非ともお教え願えませんかな?」
やたらニヤニヤとした様子で質問をしてきたのは横幅がある奴だった。まぁぶっちゃけるとデブだ。
そいつが如何にも「どうせ大した事ないんだろ?」みたいな感じで俺を見ていた。……へぇ、いい根性してるな?こういう奴は少し強めに脅しておこう後で面倒な事になるといけないし?
「もし入ったら、ですか?そうですね強いていうなら……」
そう言いながら俺はマイバッグから向こうの世界でいう熟したトマトを取り出し地面に落として見せた。そうするとどうなるかといえば当然中身をぶち撒けて破裂すると同時に見事に潰れてしまうことになるわけで……それを見届けて一言。
「こうなりますね。ハハッ!」
視線を横幅に向けて笑いながら教えて上げた。『お前もこうなりたいのか?』と。口にこそ出しはしなかったが、俺の視線からなにかを感じたのだろう。凄い勢いで首を横に振りギャラリーの最後尾へと下がっていった。ヤレヤレ……そうなるくらいなら初めから人にちょっかいを掛けようとするんじゃないよ、全く。
「さてとまだ聞きたい事がある方はおられますか?……ふむ、いないようなので作業を開始していきたいと思います。皆様くれぐれも作業の邪魔立てをされないよう願います。では始めますね」
ようやく邪魔者がいなくなった。始めに邪魔者なしっ!ってやった俺の行動を無駄にしてくれやがって……なんかどうも最近俺の思った事に反した事が起きる気がするな?気の所為だろうか?まぁ今は気にしないでおこう。それよりもさらなる邪魔立てが入る前に始めよう。
予定地に合わせてホログラムを発生させる。早速それを見たギャラリーから歓声があがる。あちこちから「アレはなんだっ!」とか「魔法、なのか?」とか「何だ、何をする気だ?」とか聞こえてきた。……ちょっとだけ誇らしい気持ちになりながらも気を引き締め直して作業を続ける。
御城の向きを調整し事前に話し合っていた方向に出入口を向けるて……まずは御城(仮)の設置を完了。続いてその周囲に庭園や近衛専用訓練場それに関する付随設備などをどんどん設置していく。話し合い決めていた為スムーズに進んでいき、いよいよ本設置だ。なので念の為再度の声掛けをしておく。
「今から本設置をします。今までの幻影みたいなものなので大して影響はありませんでしたが、今からするのは物体を伴ったものになります。ですので絶対に近寄らないでください。万が一作業中にふざけ半分で立ち入った場合は……あらゆる責任を取りかねますのでご容赦を」
決してフリでは無いのだという意味を込めて周囲を見渡す。その際最後尾へと逃げ込んだ横幅貴族へと意思を込めた視線を送る『特にお前な』と。その視線を感じ取ったのか横幅貴族は焦った様子を見せて明後日の方向へと向いて見ないフリをした。
アイツに対してというよりアイツと同じ考えを持っている可能性のある奴も少なくはないはずなので、咄嗟の事態に気をつけておこう。
周囲に警戒と安全を確認しつつ設置を実行する。
「今から設置します。なるべく被害が及ばないようにしますが、それでも絶対とは言えませんので各人注意をお願いします」
注意をとの声掛けを気に全員が軽く身構えた。まぁ実際問題はないとは思うけど念の為の注意は必要だろう。
ホログラムから御城を始めとした設備群を入れ替える様に次々と設置していく。設置した瞬間に衝撃がズシンッと響くと同時に土煙や砂埃が立ち込めていく。次々と設置したせいでどんどん土煙が舞い上がり御城の全貌が隠れていく。折角の綺麗に仕上げた御城が汚れてはつまらないので風魔法を使い土煙や砂埃を一箇所に集めて設備群に被らないようにしておく。作業は最後まで気を抜いてはならないのだ。
連続で響いていた音がようやくおさまる。すなわちそれは作業の終了を意味してるという事だ。衝撃から守るために張っていた結界を解除して、集塵を兼ねていた風魔法もゴミを邪魔にならない所へと移動して解除した。後の仕事は待っている皆へのお披露目だけとなった。
結界によりぼかされて(後の楽しみの為にと敢えて見辛くしていた)見えていなかった御城の様がハッキリと見えると歓声があがるかと思いきやシーンと静まり返っていた。アレ?期待に添えなかったのかな?と思いギャラリーを見てみると皆ポカーンと口を開けて唖然とした様子で固まっていた。
「あぁっ!なるほど!大した事ないとかじゃなくて驚いて固まっていただかなんだな。あぁ良かったぁ~。大掛かりな仕事を熟して満足してたのに受け入れて貰えなかったら悔しい気持ちになるからなぁ……取り敢えずは問題なさそうで良かった良かった!」
と、俺が自己満足に浸ろうとしたところで凄い勢いでギャラリーからツッコミが入った。
『いやいやいや!絶対おかしい!』
何がだろう?
「皆さんどうしました?何がおかしいんですか?デザインですかね?それとも配置?話し合いで決まった様に進めたと思うんですけど?」
俺が惚けたと思われたようでギャラリーを代表して国王であるライルさんがツッコんできた。
「違う、そうじゃない。そうじゃないんだよユーラ君。私達がおかしいと言ってるのはこの事態に対して言っているんだよ。君の話からおおよその予想は我々もしていたがね?それにしたってこの異様は可怪しすぎるんだよ。予想通りだね、とはとても言えないような状況で正直言って今見てるこの状況も実際に存在してるようには見えないんだよ。どちらかというと幻を見せられていると言ったほうがまだ現実感があるほどだ」
ここまで懸命に頑張ってきた俺の努力をまさかの幻扱いとは……実際にここに存在しているんだから素直に受け入れて「ワーイ!新しい御城が手に入ったよ!」って喜べばいいじゃない。
「なんとなく君の顔からして納得してないようだが、それは我々も一緒なんだよ、方向性の違いはあるようだがね。ま、まぁ折角ユーラ君が建ててくれたのにこれ以上何もしてない我々が愚痴るのはおかしい、か。う、うむ、まだ少し納得いかないところではあるが、いつまでもそれを言っていても仕方ないな。ユーラ君もう中へ入っても構わないかね?」
良かった。どうやらなんとか受け入れて貰えたようだ。俺の苦労が無駄にならずにすんでよかった。これで名実ともにレナリアさんは俺のものになったな。これで加減せずにレナリアさんを可愛がれる。今まで手加減していたからなぁ、と思いながら何気なくレナリアさんを見るとその表情がまるで「お前嘘だろ?」と言わんばかりの驚愕の表情を浮かべていたので、それに対して俺は親指を立ててグッ!しておいた。一瞬呆けた顔をしていたが何を連想したのか顔を赤らめながらライルさんのもとへと走っていった。
「あらやだ何あの表情可愛いったらありゃしないじゃないの。こいつはあれだなソノ時が楽しみだな!今よりもいい表情が見られるかもしれないにゃ~」
可愛らしいレナリアさんの表情を見て少し可笑しなテンションになった俺だったが、仕事はまだ終わった訳では無い。ライルさん達が迷子にならない様に案内もしなきゃいけなかった。それに気づいた俺はレナリアさん達の背中を追いかけていった。
けだるまです。いつもより遅れました。
単純に内容を詰めすぎておかしくなってしまったのでわかりやすくするためにちょっと大雑把に仕上げてみました。細かくし過ぎて説明口調がクドくなってしまうのもなんかなぁ~と思ったので。
いつも読んでくださりありがとうございます。