第147話 そろそろ終わらせたい
抱き合う二人を見て思う……美しきかな姉妹愛。ウンウン良きかな良きかな。ってあれ?待てよ?お姉様?レナリアさんって第一王女じゃなかったっけ?お姉様?どういう事?
「お姉様この度は本当に災難で御座いました。これからはそれも無いようにできると思いますので安心なさってくださいね!」
俺が思考を飛ばしている間に何やら話が進んでいるようだ。何々?……ほうほう?レナリアさんがあのお姉様を保護するっていうことなのかな?何やら当てがあるかのような言い回しをしている。王家から近衛兵でも派遣するのかな?
「安心してって……レナリアあなたそんな勝手に決めて大丈夫なの?近衛兵の派遣に関してはあなたの一存で決めていいことではないでしょう?」
あれ?そうなの?あんなに自信満々に発言してるから決定権?的な権利を持っているのかと思ったのに……違うんだ。
「近衛兵に関しては私には無理ですが……大丈夫です!私には強い味方がいるんですっ!それは……」
ドゥルドゥルドゥルドゥルとドラムロールが聞こえてきそうな間が空いた後に放ったレナリアさんの言葉はどこか予想できたものだった。
「私の自慢のユーラさんですっ!彼ならきっと大丈夫です!だって私の!――」
続けて何かを言おうとしたレナリアさんの背後からレナリアママさんが忍び寄りその口を塞いでしまった。
「レナリア待ちなさい。その先は簡単に口に出してはいけません。来たるべき時が来るまでは待ちなさい。早まった行動はどちらにとってもよくありません」
テンションブチ上がりだったレナリアさんはその言葉を聞いて消沈してしまった。凹んだ様子の表情で俺を見てきたので苦笑いで返しておいた。レナリアママさんが言わんとしていることもわからんでもないからね。お互い我慢ということで。
「はぁ……わかりましたお母様。少しはしゃぎ過ぎたようです。今は我慢しますわ」
今はねぇ……まぁいいか。レナリアさんの気持ちはわからないでもないし……俺も楽しみではあるからね。それにこの世界に葉津梛ちゃん達も来てくれたから若干俺自身もテンション高めになっているのは間違いないし……楽しみですっ!
さて、それはそれとしてレナリアさんの言葉から察するに俺を護衛として頼りたいという事だろうか?
「レナリアさん、それは俺に護衛をという事ですか?」
「ハイッ!その通りです!ユーラさんであれば並大抵の事ならば全てに対応できると信じていますので!」
「その信頼は嬉しいではあるんですけど……其処まで勝手に決めて後から怒られたりしませんか?大丈夫です?」
その問い掛けにレナリアさんはなぜか妙に自身満々に返事をした。
「それはもちろん!そこに関しては私に任してもらって大丈夫ですので!」
「そ、そうですか。なら問題ない、ですね?」
つい疑問形になってしまった。だって仕方ないよね?普段おとなしい性格のレナリアさんがグイグイ来られてしまって面食らってしまったのだから。
少しおかしな方向に話が進んでしまったが……護衛ねぇ?受けて上げたい所ではあるけど、俺は俺でやることがまだあるし……う~ん困ったね。俺がどうするべきかと悩んでいるとレナリアさんから提案を受けた。
「あのユーラさん、もしかして悩んでます?色々あって時間が足りないとかですか?」
「えぇっと、まぁそうですね。御城もまだ設置できてませんかね。そういえばライルさん……じゃなかった王様はどうしてるんですか?もしかしてまだ王城建設地で待ってたりしてますか?」
完全に王様達の事を忘れていた!!不敬になったりするのだろうか?でも、これも依頼の一つとして受けた訳だから問題ない……よね?
「そちらは問題ありません。既に引き上げております。再度建築される場合は声を掛ける様にと伺っています」
「声掛けをですか、まぁいいんですけど其処まで面白い見世物だとは思わないんですけど」
大した事ないでしょ?とばかりにレナリアさんに伝えると、とんでもない!と言われた。
「ユーラさんのアレは普通で片付けていいことでは決してありません!ある観点から見れば神の御業と言っても過言ではありません!」
「そ、そう?まぁそう言われて悪い気はしないですけど」
明らかに普通ではないのはわかっているけれどあまりにも常識から外れた行為に自分で行っているというより力を借りてそれを行使しているという感覚が強いから……うん、まぁアレも自分の力ではあると思っておこう。
「そうだ、レナリアさん護衛の件はもう少し待ってもらってもいいですか?先に御城をどうにかしましょう。あまり先延ばしにしても良くないでしょうから」
「それは……そうですね。お姉様達も大事ですが御城も大事な事に変わりありませんから。ではユーラさんにはかなりの負担をお掛けしますがお願いしてもよろしいでしょうか?」
「そこは勿論任せてください。引き受けた以上は必ず完遂させてもらいます。では今度こそ御城を完成させましょう」
「では父様に連絡をして参りますのでそれまでは待っていてくださいね」
それだけは伝えたレナリアさんはレナリアママさん達を率いて行った。あぁ~レナリアママさんには聞きたい事あったんだけど……まぁいいか。俺は取り敢えず王城建設地で待っておく事にしよう。それにしても……今度こそ邪魔が入らずに無事に城を建てられたらいいなぁ。
スランプ気味に加えて若干風邪気味なけだるまです。
今すこしばかり気を紛らわせる為に別作品を仮執筆中です。御蔭で多少マシになった気がします。この調子でエタらないよう気をつけていきたいです。