第146話 素敵な御山
さして問題もなく人質を奪還しお馬鹿さん達の拠点をあとにした。その際捕らえきれなかった残党がいたら困るので拠点はそのままにしておき中には捕縛用の大量の罠を設置しておいた。後日残りのお馬鹿さん達を回収しに来るとしよう。
それはともかくとして……今俺の後ろからゆっくりと付いてきている人質さんお二人なのだが、しきりに周囲をキョロキョロとして落ち着きがなさそうであった。
「(どうしたんだろう?何か気になる事でもあるのかな?)」
あまりにもキョロキョロとしてるものだからつい興味本位で聞いてみた。すると――。
「あのぉ先ほどからやたらと周囲を気にしますけど……何かありましたか?」
「えっと何といいましょうか、本当にあれだけなのかと思ってしまいまして」
「あれだけとはどういう事でしょうか?」
「そう、ですね。こちらの事情になるのですが襲撃者が他にもいる可能性があると思いまして……お父様の最近のやり方は急が過ぎる上にあまり良いやり方では無い事が多々ありましたもので」
「ははぁ……なるほど。そういう事でしたか」
一応捕らえられていた場所からずっと索敵は怠っていなかったが……ふむ、少し見方を変えて見よう。
索敵方法を公爵関係者に敵対する相手へと変更して、それからその範囲を王城までの道の間を全て確認すると……ん~これといって特に問題はないな。この二人が過剰に反応しているだけと見た。まぁだからといって油断するとあらぬ失敗をしそうなので注意を怠らないように気をつけよう。
「絶対、とまでは申しませんが、今の段階では襲撃者と思われれる気配はありませんのでご安心を。さぁ憂いが晴れた所で参りましょう」
「えぇっ!ちょ、ちょっとお待ちになってください!そ、それは本当なのでしょうか?疑う事は申し訳なく思いますが、私達は貴方様の事をそれほど知りません。それが事実であるかの確認もできません。それが本当だという事をお教え願えませんでしょうか?」
う~む公爵ママンが面倒な事を言い出したよ。どうするかね?あまり関係のない人にわざわざ自分の力の一旦を見せる必要は無いし……どうすっかねぇ。と、悩んでいると娘さんが問題を解決してくれた。
「お母様今はこの方を信じましょう。頼まれたとはいえ見知らぬ私達をここまで逃がして頂いた御方です。ここは最後まで信じるのが良いのではないでしょうか?」
「それは……そう、ね。わかりました、あなたの言う通りにしましょう」
公爵ママンは娘から俺へと向き直り頭を下げてきた。
「勝手ばかりを言ってしまい申し訳ありません。この後の事もよろしくお願い致します」
「えぇ、任せてください。では行きましょうか」
二人を伴いレナリアさんの元へと向かう道中は俺の予想通り何も起きることなく着いた。そして、たどり着くのと同時にレナリアさんが駆け寄って来たので、お!もしやこれは再会のハグかな?と思うのと同時に俺の中である考えが過った。
「(俺とハグすると勘違いして実は二人のうちの誰かという可能性もあるのでは?)」
もしこの考えが合っている場合俺は全員の前で凄まじい赤っ恥をかいてしまう!ここは様子を見て俺の方向に来たら受け止めよう。
ここまで思考する事わずか0,1秒ほど凄まじいまでのスキルの無駄使いである。だが恥をかくくらいなら多少の無駄使いは問題無しである。
ほんの少しだけ連れてきた二人とは違う位置に移動しておく。さて、駆け寄って来たレナリアさんの向かう先は!?
「お姉様っ!ご無事でしたか?何処もお怪我をされたりはされておりませんか?不届き者達に何かされたりは?」
早口で捲し立てる様に言いながらそれと同時に両手で娘さんの体をあちこちスリスリと触りまくっておられる。その光景にワクワクしてくるものがある。
「ちょ、ちょっとレナリア落ち着いて!落ち着いてってば!こら!レニー落ち着きなさいってば!ちょっとそこのあなた申し訳ないけどレナリアを取り押さえてください!あっ!こら!どこ触ってるの!何でもないんだから其処は触っちゃ駄目ぇ!」
ドキドキ、ワクワク、ここからどうなるんだろうなぁ?暴走するレナリアさんという滅多に見ることのない姿とその暴走するレナリアさんに体を弄られて悶える娘さんの光景!たまらんのぅ。
しかし、そんな夢のような光景を止めてしまう存在が現れてしまう。
「いい加減にせんか!レナリア!皆の前でする王女としての振る舞いではないぞ!時と場合を考えよ!」
素晴らしい光景を遮る声はレナリアパパもとい国王様でした。わかってはいるけど空気読め?声を掛けられた事によりハッとなり我に返った様子のレナリアさん……チェッ!もう少し楽しめそうだったのに。
「すいませんお姉様!……お姉様をこの目で見るまではもしかしたらと思っていましたので、こうやって無事帰ってきたのを見て安心と嬉しさで、つい……」
レナリアさんはそこまで言うと俯き加減になる、その様子を見た娘さんはフゥッ息を吐いて表情を柔らかくしてレナリアさんを包むように抱きしめた。
「心配掛けましたね、レナリア。でもあなたの御蔭で私もお母様も無事……?無事に帰って来る事ができました。ありがとうレナリア」
「お姉様……私、私は大した事はしておりません。全てはユーラさんの御蔭です。お礼ならユーラさんへ……」
「そのユーラさんを向かわせてくれたのはレナリアあなたなのでしょう?だから、ありがとうレナリア」
「お姉様……ハイ!本当にご無事で何よりですっ!」
お互いに思い合う間柄……ウンウン!良い光景ですなぁ!特に抱き合う二人の御山がムギュッ!なってるあたりが最高ですなぁ~。さて、目の保養をいいけどそろそろ遅れている作業を再開するとしようかな?
ちょいスランプ気味かも?何か間に挟んでみようかな?とか色々考えてます。
いつも読んでくださりありがとう御座います。