第130話 懐かしき……
お久しぶりです。それと明けましておめでとうございます
今年もよろしくお願いします。
あれから更に歩き続けてたどり着いたのは、俺が初めてこの世界に来た森だった。このまま森へと歩を進めれば以前建てた小屋へと行き着くはずだ。
「……着いちゃったなぁ、ここに。あれからそれほど経たないけど……懐かしいな。さて?懐かしむのもいいけど俺が建てた小屋に集まる気配はどういう事だろう?」
勘違いならいいが、もし俺が知っている人物達であるならば何故ここへ?と聞いておきたい。
「手遅れになる前に行くとするか。何かあった後だと後悔してもしきれないし」
「ニャッ!」
「おっ!お前もそう思うのか?なら急がないとなって言ったそばから邪魔が入ったか。やれやれ」
俺達の前に現れたのは何時ぞやの熊さん(魔物)である。今なら前以上に敵ではない。
「無駄に時間を掛ける気はないぞ?」
言いながら魔力の塊をパチンコ玉サイズで打ち放ち、熊さんの眉間を撃ち抜いた。流れ作業でマイバッグへと収納し、スタスタと歩みを止めずに目的の場所を目指す。
ウサギ、熊さん、イノシシ、鳥?、相も変わらぬ獣シリーズを仕留めては収納を繰り返し、ようやく目的の小屋付近に着いたのだが……。
「あれ?気配が消えた?なんで?確かについさっきまで気配はあったのに?もう一回確認するか」
気配感知や生命感知を使用して確認するも……どうにもうまく気配を掴めない。どういう事だろう?謎すぎる。俺が予想した人達ならすぐにでも姿を見せそうな気がしていたけど……もしかして似ている気配なだけで単なる人違いとか?どちらにしても隠れる必要があるだろうか?
「俺もあれからそれなりの月日が経っているし気配を間違えてもおかしくはない。だけど、もし人違いにしても俺の気配を感知して逃げた?う~んスキルだよりとはいえ俺から逃げるってそう簡単ではないはずなんだけどな」
周囲を探るもいまいち感知しにくい。先程まで相手にしていた獣シリーズがそこいらをウロウロしてるのを感知してしまうだけだった。
「なぁお前はどう思う?ここに誰かいたと思うんだけど」
「シャーー!ニャ!ニャ!」
プランクキャットが何かを感じ取ったようだ。尻尾を逆立てて何もない場所を見ている。
「そこに何かあるのか?でも俺には何も……ん~?何だアレ?何か透明なモヤモヤしたのが見えるけど。アレってもしかしてステルス迷彩っていうやつか!だとしたら」
そこまで考えて行動を起こそうとしたが相手はそれよりも速く反応を示した。そこにあった透明なモヤモヤは消え去り凄まじい速度でいくつかの反応に別れて移動したのだ。
「くっ!意外に反応が素早い!プラン!こっちへ来い!」
「ニャン!」
プランクキャットと呼ぶのが面倒で省略して呼んだのだが反応してくれて助かった。こんな時なのに今の呼び方がそのまま名前になりそうだ。などと思考が横道に逸れてしまう。
そんな事を考えていたのが悪かったのか不覚にも相手に背後を取られてしまった。
「しまっ――」
「ぺろ~ん」
「はっ?なん――」
俺は知っているこんなふざけた事を言う人を。
俺は知っているそんなふざけた事を言いながら俺の尻を撫でる人を。
俺は知っているその一連の行動を取った人の声を―。
その愛すべき声の持ち主は―。
「葉津梛……ちゃん、なのか?」
「いぃぃえぇぇーーっす!優くんが大好きな葉津梛ちゃんだぜぇーー!」
そんな元気一杯な声を俺に届けてくれた。
2ヶ月?ぶりでございましょうか。年末年始の仕事で忙しくしていたのもありましたが、体調不良により通院したりとなかなか時間を取れませんでした。
今年は去年より筆を進められたと思っております。
去年一年ありがとうございました。そして今年もよろしくお願いします。
筆の進みの遅い作者では御座いますが飽きずに長い目で頂ければ幸いです。