第129話 旅のお供
お久しぶりです。
あ~でもないこうでもないと考えを巡らせながら岩場を進んでいく。
色々と考えているのはクソ……もといテイムした猫タイプの魔物プランクキャットの名前である。
「どうせならイタズラに関した名前をつけたい……が!いまいちいい案がない。せっかくのテイムモンスターだし、しっかりとした名前をつけて箔をつけてやりたいところなんだけどなぁ~」
どれだけ捻り出そうとも中々出てこない、名付けってこんなに難しいものだったんだ。世間の子を持つ親御さん達は凄いんだなぁと思いながら歩みを進めていく。
考えながら歩いていたせいで、いつの間にかそばにいたはずのプランクキャットが見当たらなくなっていた。
「えっ!ま、まさか逃げられちゃったとか?テイム失敗だった?……うそ~ん、マジ?うわぁ~結構ショックなんだけど……」
テイムしたと思っていたモンスターがいなくなっていた――と思っていたら、近くの岩影から勢いよく飛び出してきた。
「ニャーーー!」
前足を掲げながらジャンプしてきた――俺に向かって。クルクルと空中で回転して胸元にすっぽりと収まってきた。その上でクリクリとした目で俺を見上げてきた。
「おぉ……なんかいいな。かわいい。ウリウリ」
俺の両手に抱えられているプランクキャットを片手で抱き直し頭を軽く撫でてみる。そのお礼とばかりに手をペロペロと舐め返してきた。
「うん、自分の良さをよく理解してるね、お前」
「ニャッ!」
まさかの返事をしてきたよ。もしかしてこちらの言葉を理解してるのかも?鑑定にはそんな事なかった気がするけど……まぁいいや。それにしても逃げたと思っていたのに何がしたかったんだろう?
「気にし過ぎかな?まぁ成功はしてたみたいだしいいか」
あまり考えすぎてもいい名前は思いつかないので、しばらくはこのままでいよう。
「お~い行くぞ~」
「ニャ~」
やっぱりこちらの言葉は理解しているようだ。賢いね、あとかわいい。
せっかくなのでプランクキャットを肩に乗せて歩いてみることにした。なんか使い魔っぽくていい感じがしたのでやってみたら、思いの外気に入ったあと気に入られた。ユラユラと揺れるしっぽが気分を表しているみたいだ。時折俺の頬を優しく撫でてくるのがくすぐった気持ちいい。
しばらくして森が見えてきた。どうやら目的地が近いようだ。それと同時に何か魔物とは違う気配も感じるが……やはり気の所為ではなさそうだ。懐かしい気配を感じる。けど、それはあり得るのか?考えても仕方のないし馴れないことは続けるものじゃない。どうせ行けばわかるんだし。
「そのままゆっくりと行くか、なっ?」
「ニャッ!」
プランクキャットの返事に満足した俺は目的地へとゆっくりと歩を進めていった。
台風一過の諸々を片付けてようやく一段落を得ました。
しかし今度は年末へ向けて忙しくなりそうで、また時間が取りづらそうです。あまり間を空けず投稿したく思いますが……期待せずお待ちいただければと思います。
いつも読んでいただきありがとうございます。評価して頂いた皆様もありがとうございます。
作者のモチベーションアップにも繋がり大変嬉しく思っております。