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第119話 竜種との交流

 海中遊泳を続けることしばし。狩り始めに失敗してしまったサメの魔物ストーカーシャークなる魔物を多めに狩りながら、食用にフリータニィというマグロっぽい魚をそこそこの数を仕留めた。他にも様々な種類の魚介類を集める事ができた。



「(そろそろ切り上げ時だな。次の目的地に行くとするか)」



 海から上がり、そのまま空中へと飛び上がる。次は確か人が立ち入るのを躊躇うくらいの山――名前はフィアード山というらしい。なにやら特殊な環境下にある山らしく、その環境をよく理解して慣れた者が同伴しないと危険な場所らしい。



「特殊な環境下に関しての情報は、なんか聞く人皆教えてくれなかったなぁ。どうしてなんだろう?何も問題が起きなきゃ良いけど……」



 今にして思えばこれがフラグになったのだろう。この出来事に遭遇するまではフラグなんて偶然の産物程度にしか思っていなかったが、これをきっかけにただの偶然ではあり得ないと思うようになった。




 件の山の目前まで来た時だった、ふと何気なく山の頂上あたりからゾクッとするような視線を感じたので、すかさず視線を感じた方向を見たのだが、視線を感じたのはその一瞬だけで、それ以上は気配も視線も感じる事ができなかった。



「今のは一体……念の為にいきなり頂上に降りないで麓から散策していこう。なんか嫌な感じがする」



 嫌な感じが拭い去れないまま麓へと降り立ち、素材を採取する為に準備を始めて探索を始めた。



「さっきの視線は感じないな。気の所為だったのかな?一応は気を抜かずに進むか」



 徐々に山の中腹あたりに差し掛かったのだが、やはり何も感じなかったので採取を続けていた。



「ここは中々いい場所だな。特に石材と木材が良いのが手に入れる事ができたな。うんうん!」



 採取自体は順調そのもので、俺が望んでいた物に近い素材も手に入れる事ができた。このまま頂上へ向けて進んでいると――何かの気配を感じた。



「気配を感じるな……魔物か?触らぬ神になんとやらだな、頂上の行くのはやめて帰る事にしよう」



 素材は充分に確保できた、欲を言えばもっと手に入れて置きたい所だけど欲をかいて面倒を引き起こすのも馬鹿らしい、そう思い城へ戻る事を考えて行動していると何かが凄い速さで接近してくるのに気づいた。



「戻ろうと思った矢先にコレか。もしかしなくても始めに視線を向けられた時から狙われていたのかな?」



 戦闘になることを予想して身構えていると激しい衝撃音と同時に周囲の木々がバラバラに砕け飛び散る。その範囲はかなりの物で自分がいる周辺がちょっとした広場になるほどのものだった。



「デタラメな勢いだな。一体どんな奴が突っ込んだ来たんだ?」



 土煙が徐々に晴れていく、うっすらと突っ込んできた奴のシルエットが見えてきたのだけど――もしかしなくても突っ込んできた奴の正体って。



「俺の認識が間違っていなければコイツってドラゴン、だよなぁ」



 そう――突っ込できたのはまごうことなきドラゴンで見た目はよく物語でみる西洋竜だ。今は四つん這いの状態で俺をめっちゃ睨んでいる上、口をほんの少しだけ開いてこちらの様子を見ている。まさかブレスでもカマすつもりなのか?


 距離を取ろうにも俺が一歩後ろへと歩を下げると相手は俺へと歩を進めてくる。これそのまま続けたら堂々巡りになりそうだ。一度立ち止まり相手の動向を見てみよう。下がるのを止めて相手の様子を伺う、すぐに何かを仕掛ける訳でもなく相手も俺の様子を見ている様な気がする。――どうしよう?このやり取りも堂々巡りになりそうだ。通じるかどうかは知らないが話掛けてみるか?



「なぁもし言葉が通じるなら退いてくれないか?無用な争いはしたくないんだ」



 通じるとは思えないが、物は試しにとばかりに話して掛けてみると―。



『ふむ、我が領域テリトリーに成らず者が侵入してきたと思い来てみたが――存外物わかりの良さそうな奴だな。いきなり攻撃を仕掛けてくる訳でもなく、まずは会話で事態の収集を図ろうとするのは悪くないぞ』



 まさかの言葉が通じるパターンだった!これはビックリだ。初めて人種以外と言葉を交わした事で若干テンションが上がっている、これはファンタジーの王道と言えるだろう。とりあえず会話ができるみたいだし話をしてみよう。



「え~とどうも、まずは勝手にあなたの場所に入ってきてしまいすみません。まさかこの山が竜の住む場所だと思わなかったもので、許可なく素材を採取してしまいました」



 戦って勝てる相手だとは思うけど、だからといって何をしても良い訳ではないからな。穏便に済むならその方が良いに決まってる。



『なんだそんな事を気にしていたのか?それなら気にするな好きに持っていけば良いだろう。それよりも我はお前が我に戦いを挑んでくる愚か者ではないかと思い来てみたのだがな……お前はそうではないようだしな、我が許可しようこの山にあるものは好きなだけ持っていくがいい――その代わりといってはなんだが、たまにで良いから我の相手を―話相手になってはくれぬか?』



 良かった、どうやら不穏な事にはならないようで安心した。そういう事なら。



「話相手ということなら喜んでさせてもらいますよ。ただ、しばらくはやることがあるのでかなり後になるのですが、それでも良いですか?」


『む?やる事ととな。まぁ良い、我には時間はたっぷりとある。時間ができた時で良いから来てくれると嬉しい』


「わかりました、その時は必ず。ついでに色々食べ物とか持ってきますね」


『それは楽しみだ。できれば酒もあると嬉しいな。我は酒が好きでな―もうかなり長い事口にしておらん。ふむ、そうだな。人間は物を手に入れるのに貨幣でやり取りしていたな?今まで勝手に侵入してきた不届き者達の落とし物にあったはずだ』



 そう言って竜は空間に穴を開けるとそこから大量の革袋を俺の目の前に落としていった。



『それで出来るだけ頼むぞ。我は大食らいだからな少しじゃ全く足りないぞ』


「分かりました。次に来る時は必ず持ってきますね」


『あぁ頼んだぞ。あぁそうだ我はしばらくここにいるから欲しいものがあれば遠慮なく好きに持っていけ』



 竜の許可を得た俺は本当に遠慮することなく様々な素材を拾い集めていった。せっかく許可も得たことだし、頂上まで採取範囲を広めてみることにしてるとしようかな。





今年最後の投稿になります。どうぞ皆様良いお年をお過ごしくださいませ

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