第115話 悪魔を浄化!(アッサリ)
ご無沙汰しております。理由は後書きにて。お楽しみ頂ければ幸いです。
地下3階から敵を警戒しつつ、5階を目指す。結局5階へ辿り着くまで会敵することもなく、5階の広間である大扉へと到着した。
「何事もなく着いたのはいいとして……この中から感じる嫌な感じ、できるものなら入りたくはないよねぇ。でもレナリアさんとの約束もあるし、行くしかないよね」
覚悟を決めて突入しようと大扉を押して中に……押して中に……アレ!?あ、開かない!!どうして?
「押して開けるタイプじゃないとか?なら引いてみるか。よし、ふ!んんんん~~!って引いても開かないし!まさか……スライド式とかじゃないよね?念のため試してみよう」
左右にスライドできるかと試してみるものの、やはり無理のようだ。もしかすると中にいる何者かが開けられないように細工しているのかもしれないな。さて、どうするかな?
「あまり時間を掛け過ぎて地下の生贄のやつみたいなのがここで発生しないとも限らない……ここは強硬突破しよう」
突入する前に大扉を鑑定し罠がない事を確認した上で、大扉を……力を込めて殴る!!爆音とともに砕け散る大扉だった残骸。アレ?待てよ、今殴った残骸って中にいる人達に当たってるんじゃね?
「まずい!どうしよう!!やらかしたかもしれん。と、とりあえず、中に入って確認して怪我してるようなら快復を……」
急ぎ室内へと駆け込もうとした瞬間、部屋の中から60㎝はあろうかという炎の塊、いわゆるファイアーボールが俺目掛けて飛んできた。
避けようにも俺はすでに駆け出している最中、実際俺のステータスなら十分避けることは容易いとは思うが、今の俺は敵の攻撃を受けるという可能性を失念していた。そうなると当然……。
ドオォォォン!
直撃を受けてしまうのは仕方ない事である。普通ならあれだけ大きなファイアーボールを受けてしまえば無事では済まない。最低でも肌は焼けただれてしまうのは間違いないだろう。しかし俺は普通ではないステータスを持っているので。
「あぁ、びっくりした!」
程度で済む訳だ。だからと言って攻撃を受けても気にしないわけではないのだ。
「こんな事する奴は誰だ!いきなり攻撃するなんて非常識だぞ!」
そんな俺の問い掛けに答える者がいた。
「許可も得ず我が城に踏み込んで来る愚か者には充分な対処だと思ったが?」
その声がした方向を見るとそこには茶髪に背が高めで細身の体型の男が貴族と思われる格好で立っていた。そしてその周囲には同じく貴族と思われる服装の女性と男性がうつむいて立ち尽くしていた。その姿たるやとても不気味な様子だ。
「え~と、あなたは誰ですか?って聞くまでもないかな?そこまで強烈な悪意を撒き散らしている以上は今回の騒動の犯人ですよね?」
俺に犯人と指摘された男は鋭い目つきで睨みつけてくる。
「いきなり不躾な奴め……だが、勘がいいな。その通りだ。私がこの事態を引き起こしたが、貴様に何の関係がある?」
どうやら俺が無関係の人間だと思っているようだ。第一王女であるレナリアさんとは色々と素敵な関係を築いてると教えたいところだけど、どうも嫌な予感をヒシヒシと感じるので適当に誤魔化しておこう。
「いやぁここまで大きな騒動を起こされると直接の関係は無くとも被害を受けるに決まってるじゃないですか。もちろん被害を受けたらそれに対応して行動するのはおかしな事ではないでしょ?」
「……フン、一理ある。だが、それでも普通の奴がここまで来るとは思えんな。貴様何者だ」
ここまで来て今更ではあるが、この目の前の人は一体誰だろう?レナリアさんがいればわかると思うが、いない上に状況がよくわからない。地下にあったものからろくでもない事を企んでいたというのはわかってるけど、なぜそれをしようと思ったのかだよね?……鑑定でもしとくか。
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ダリウル・デオ・シュツヘル
【LV】17
【HP】483
【MP】89
【種族】人間
【魔法】闇魔法(限定)
【スキル】―(喪失)
【状態】悪魔憑依・衰弱(大)
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【備考1】憑依した悪魔からの救出方法
光魔法を用いた浄化だけが唯一の方法。
それ以外の方法を用いた場合、憑依されているダリウル・デオ・シュツヘルは良くて廃人、最悪の場合死亡する可能性大。
【備考2】憑依悪魔の目的
ダリウル・デオ・シュツヘルに憑依した悪魔の目的は、この国の民を生贄に捧げ地獄門を開くこと。この国である理由は魔界の入口である地獄門が王城の地下深くに存在する事が主な理由。
【備考3】地獄門がこの地にある理由
地獄門がこの地にあるのは、はるか昔にこの国が建国される前に他の大陸にからきた者達により、まだ人が居ない安全な土地として封印された為により存在している。
封印する際に、目立たぬようにかなり地下深くに封印された為あとからこの地に来た者たちが、その封印に気づかず村をつくり、街へと発展させその内に国なってしまったが為誰にも気づかれずに今まで時間が経過した。
【備考4】憑依悪魔がこの地にいる理由
偶々、偶然、目的を持って訪れたのではなく、この地に来て偶然地獄門の存在に気づいたから「どうせだから開いてやろう」というただそれだけ。
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……こいつ無茶苦茶だな!偶々ここに来たから「じゃあ開いてみるか!」って事だろ?なんてはた迷惑な奴だ。こんな安易な考えで犠牲になる人がいるなんて到底許せる事じゃないな。
これだけ傍迷惑な奴だ、目的を達成なんてさせずにさっさと浄化してやろう。いい迷惑だ。
「黙っていないで答えろ!この私が言っている事が聞けないのか!」
「うわぁ~貴族面が鬱陶しいなぁ」
「……何?私はどこからどう見ても貴族であろうが!見てもわからんとはこれだから平民のクズは嫌なのだ」
「黙れ悪魔。お前のそのエセ貴族ぶりは見るに堪えないだよ。どんだけ自分に自身があるんだか」
「な、な!貴様っ!なぜ私の正体に気づいたのだ!誰に教えられた!答えろ!」
えぇ~あっさり自分の正体~とか言い出したし。少しくらいは誤魔化そうとするかな?とか思っていたのに……コイツ結構抜けてるな。
「誰にも聞いてないよ。というか見たらわかるよ」
「見ただけでわかるわけがないだろうが!何の為に此奴の体を奪ったとっ!」
「いやいや、そこでいきなり口を噤んでもとっくにバレてるから意味ないって」
俺にバレてると分かった悪魔は憎々しげに俺を睨んでいたが、急に笑みを浮かべて言い放った。
「私……いや、正体を知っているなら今更取り繕う必要はないだろう。俺の正体を知っているのはどうせお前だけだろう?ならここでお前と一緒にコイツラもまとめて殺してくれるわ!」
そう言うと同時に公爵の体からドス黒い煙のようなものが吹き出てくる、そしてそれが人型を型どり始め最終的にはよくアニメなどでみるまんま悪魔が姿を現した。
「どうだ!この姿が恐ろしいだろう!おそれ……」
自ら公爵の体から飛び出てきた!チャーンス!
「くたばれ!おバカ悪魔!光魔法【聖光浄化】
聖光による浄化の力が悪魔の体を浄化していく。それと同時にこの部屋に籠もっていた瘴気も浄化されていく。
「な、なんだコレは!馬鹿なあり得ない!お前の様な冴えない奴に消されてたまるかぁ!」
「誰が冴えないだ!ボケ!コラァ!お前みたいなバカな悪魔にだけは絶対言われたくないんじゃあ!さっさと消えろやぁ!」
「お、おのれぇ!せっかくここまで時間を掛けてきた計画が、こんな、や、つ……に」
最後の最後まで口の減らない奴だった。悪魔は先程の姿が無かったように、ただの灰の山となっていた。全く!職人に戦闘を強いるんじゃないよ。
ん?ちょっと待てよ?あの悪魔だった灰ってもしかして素材だったりしないかな?ちょいと見てみよう。
【悪魔の灰】
闇属性、闇耐性を持っている灰。様々な用途に使用可能。
「一応素材ではあるみたいだな。使う機会があるかどうかはともかくとして拾っておくか」
あっさりとではあるが一応の問題は片付いた。全部ではないけど俺の手には余る事なのであとの判断は未だ立ち尽くしている人達を元に戻してから丸投げしよう。
前書きでも言いましたが、ご無沙汰しております。けだるまです。
いやぁ~参りました。ぶっちゃけるならば……今まで自分にはありえないと思っていた持病があることがわかりまして、それから体調が悪化して病院に行ったりしておりました。
え~と確か発作性頭位めまい症の可能性があるとか。薬で症状を緩和できるそうですが、パソコンの画面などを長時間見るのは控えるようにと言われました。
一度無視して小説を書いていたら急にめまいを覚えて椅子に座っている事すら困難な状況になりましたので、それ以来症状が良くなるまではと自重しておりました。
そして今回ようやく良くなってきたので再開する事としました。これからは不定期で続けていこうかと思っておりますので、気長にお待ち頂ければと思っております。
もしかしたらコイツもエタッたんじゃね?とか思われてそうですが、気が向いたらとか待ってたぞ!とか思っていただけるのであれば是非とも読んで頂ければと思います。
なんとかエタらずに話を最後まで続けて行きたいと思っておりますので、どうぞこれからもよろしくお願いします。