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第10話 初めての人助けと初めての街

今日になってそう言えばPVなるものがあったような気がすると思い初めて調べてみたらPV数が1000を超えていました!こんなに見て下さる人がいる事に感謝です。本当にありがとうございます!!これからの執筆に凄い励みになりました。これからも頑張っていきますのでよろしくお願いします。

 どうやら襲われてる?らしい馬車に少しずつバレないようにゆっくりと近づいていくと、貴族っぽい人が乗ってそうな馬車の周りには鎧を付けた人や何か汚らしい格好をした人が何人か倒れている。そして、それとは別に何やら声を掛け合っている人達が居る。



「お嬢様を優先して守るのだ!これ以上馬車に誰も近寄らせるな!」


「皆、聞いたな!馬車の守りを固めるのだ!盗賊共を絶対に近づけるな!!」


「オォッ!」



 やっぱり襲われてるみたいだな、でも見た感じ劣勢ではないように見えるからそのままいけば馬車を守ってる人達が勝ちそうだな。そのまま様子を見て大丈夫なようであれば、立ち去ってもいいだろう。出来るなら、貴族っぽい人に関わるよりも平民のほうが自分に合ってるからね。



「殺れぇ、男は殺して女は連れ帰って犯すぞー!滅多にない機会だ、絶対に逃がすんじゃねぇぞ!」


「ウヒャヒャ!男は邪魔だ!ぶっ殺してやるぜ―!女をよこせ―!」


「ヒヒヒ!金目の物も奪ってやるぜー!今日はうまい酒が飲めそうだぜー!」



 う~んなんだろう、あの盗賊たち明らかに劣勢なはずなのに、何故引き下がる事もせずに特攻してるんだ?意味がわからない。頭がおかしいのか?倒れてる人数にしても鎧を付けたのは2~3人ぐらいのに対して盗賊は14~5人は倒れてる。それに、残ってるよろ…もう騎士でいいや。騎士は12人程だが、盗賊は5人しかいないように見える。

それなのに、まるで勝てるかの様に突っ込んでいく姿は滑稽だ。何か秘策でもあるのだろうか?もし無いのに突っ込んで行ってるなら唯の自殺志願者だ。とりあえずもう少し様子見だな。



「よし、良いぞ!盗賊共はあと5人だ!そのまま叩き伏せるぞ!」


「オォッ!行くぞー、お嬢様をお守りするのだ!」



 俺が手出しする必要は無いかな?それじゃ、行こうかな。と思い移動しようとした瞬間だった。



    ―ドドォーン!



 「な、なんだ!何が起きたんだ!」



 そこで俺は馬車がいた方向に振り向くともの凄い土煙が立ち込めていた。まったく状況が見えない状態だ。なので土煙が収まるのを待って馬車のあった方角を見ると、そこはひどい状況になっていた。

先程まで優位に立ち回っていた騎士達が皆倒れているのだ。馬車も若干ではあるが破損しているようだ。そうだ!盗賊はどうなったんだ?見渡してみると盗賊と思われる奴らも倒れてるようだ。



 状況がわからない、何があったというんだ。クソッ!見過ごして行こうかと思ってたのに、結局関わらないといけないのか?なるべくなら関わりたくなかったのに、さすがにこれは見過ごせないな。



 馬車のそばに移動してきたが、コレはひどい状況だ。なにをしたのかは知らないが、盗賊と呼ばれてた奴らはほとんど、いや皆死んでしまってるようだ。なによりも死に方がひどい。

倒れてる一人の盗賊を見ると、内側から破裂したようになっている。もしかして、さっきの音はこいつが何かをして爆発したのか?それで周囲にいる残っていた奴らは巻き添えをくって死んだのだろうか?

自爆する意味がわからないんだが…手違いでもあったか?



 騎士の人達を見てみると、鎧のおかげなのか死んではいないようだが深い傷を負っているようだ。

よく見てみると騎士の人たちは、皆気を失っているようだが、誰も死んではいないようだ。死んだのは盗賊の奴らだけみたいだ。そうだ、馬車の中の人は無事なのだろうか?一応確認しておくか。



 まずはノックをしてみよう。 ―コンコン― ……まったく返答が無いな。開けてみるか?引っ張ったら開くかな?んっんんー!あ、開かねぇ!ノブみたい物も無いしレバーみたいな物も無いけど中から鍵でも掛けてあるのかな?しょうが無い、そこら辺の騎士が目を覚ますまで待ってみるか。



 ―――――――――――――――



 そろそろ目が覚めるかな?もうすぐ日が暮れるから早く目覚めて欲しいんだけどなぁ。あぁ腹が減ってきた。夕飯の準備でもするかな、今日はどうしようかな?昼に作りすぎた串焼きでも食べるかな。ん?何やら音が聞こえたけど起きたかな?ちょっと確認しに行くかね。



「さて、よいしょっと。確かここらへんから聞こえたような…。」


「動かないで!何者ですか!何故ここに居るのです!盗賊の仲間ですか?だとしたら生きては帰しませんよ!」


 

 その声に振り返るとそこにはもの凄い美少女がいた。ウェーブの掛かった腰まである金髪、目は鮮やかな若草色とでも言えばいいだろうか?何よりも目を引くのがその豪華なドレスを押し上げるお胸様だ!デカイ!巨乳?いや爆乳?いやその間くらいだな。それに細い腰も素晴らしい!お尻は…残念ながらフワッとしたスカートの部分で詳細がわからない!残念だ!!是非とも詳細を明かしたいところだな。いや~可愛い上にスタイルがいいとか!もう、いいね!



「―――っと、そこのあなた!聞いているのですか!これはあなたがやったのですか?答えて下さい!あなたが私の騎士たちをこんな風にしたのですか?」



 おっと!いけない。どうやらトリップしていたようだ。いかんいかん、このままでは俺が犯人にされてしまう。ちゃんと弁明せねば。



「すいません、急な事態についていけなくて混乱してたんですよ。これはやったのは自分ではありません。自分は人里を探して旅をしていたのですが、その道中急に爆発音のようなものが聞こえたのでここに向かってきただけなので誰がこうしたのかはわからないのです。

そして自分がここにいる理由ですが、皆さん気を失っていたようなので、せめて目を覚ますまでは魔物に襲われないようにと見守っていた次第です。」


「…それは本当ですか?こんな何も無いような場所をたった一人で旅をされてるなんてとても信じられません。ここは辺境の地と呼ばれている場所です、よほどの事がない限り人が訪れるような場所では無いはずです。なぜそんな場所に一人で居るのです?もしや、私達がここにいると知ったあの者達の仲間ではないのですか?」


「いえ本当に偶然ですよ。自分は今まで辺境の森の中で祖父母と暮らしていたのですが、その祖父母がいなくなったので、一人で森の中にいてもしょうが無いと思って人里を探して旅をしてきたのです。だからここにこうして来たのも本当に偶然なんですよ。」


「…それらしい事をおっしゃってますが、無理があるように思えます。ここの一帯で森といえば【魔物の巣窟】と呼ばれている大森林しかありません。あの様な場所で人が住めるとは到底思えません。やはりあなたは盗賊の一味なのではありませんか?

さも助けに来たかのようにおっしゃってますが、本当は隠れて見てて旗色が悪くなったから、救助に来たように見せかけた、そんな所ではないのですか?」


「違いますよ、本当は爆発音が聞こえた時だってここに近寄るのをためらったぐらいなんですよ?それにもし自分が盗賊なら起きるのを待たずに金品を奪って逃げてますよ。」


「それは…そうです!きっと一人では逃げ切れないから私達を利用して街の近くまで連れて行ってもらおうと思ってたのではないですか?どうです?今ならまだ投獄するだけにとどめてさしあげますよ?降参なさって下さい!」


「………」


「ほら、言い返せないではないですか。やはり盗賊の一味だったのですね!観念してください!」



 うわぁ~めんどくせぇ~。確かに人里離れている場所にいたら怪しいのはわかるが、それでも目を覚ますまでそばに付いてた人に言うことではないと思うんだが、さ~てどうしようかな?この分だと他の奴らが目を覚ましたら更に面倒くさい事になりそうだ。

やっぱり関わるべきじゃなかったか~。う~んよし!決めた!放置しよう!幸いそろそろお付きの騎士達も起きるだろうし、警護はいらんだろう。いくら美少女でもこんな礼儀知らずにこれ以上関わりたくない。さっさとずらかろう。



「もうすぐ騎士たちも目を覚まします。その時はあなたを捕縛させてもらいますよ。ってちょっと何処に行く気ですか?勝手に行くと許しませんよ!」


「せっかく人が魔物に襲われないようにと思って見張っていたら、返ってきた言葉がそれならこれ以上ここにいる必要はないよ、はっきり言って不愉快だ。あとは勝手にやってくれ。じゃあな。」



 その言葉を最後に俺は【飛行フライト】の魔法を発動して空に上っていく。下から何か言ってるがもうどうでもいい。俺はこの世界でまで卑屈な生き方をしたくない。だから、いくら人助けになると分かってても礼を失する人間相手にはそれ相応の対処をする。今度こそ自分なりの生き方をするんだ。



 先程の場所から移動すること15分ほどたっただろうか?なにやら街のような場所が見えてきた。

これ以上魔法で飛んでいると騒ぎになる可能性もあるから、一度降りて走って行くか。これぐらいの距離なら5分もあればつくだろう。もう日が暮れてしまうから、宿を探したい所だ。



 街の入口は何処だ?外壁で囲まれているから、そのまま外壁づたいに行けば見つかるだろう。

あった!入り口らしき場所に衛兵のような人が槍を携えて立っている。とりあえず入れるか聞いてみよう。


「ん?そこの男そこで何をしてる、何故そんな場所から来たんだ!」


「あ~すいません、その~ここまで旅をしてきたのですが、この街に入ることはできるでしょうか?」


「何?旅をしてきただと?こんな辺境の街にか?珍しいやつだ。街に入るには、身分証明になるものとお金が必要だが、ちゃんと持っているか?あと犯罪歴の確認もさせてもらうぞ。」


「あのお金はなんとか少しなら持ってるのですが、身分証明は持ってないです。」


「身分証明をもってないだと?馬鹿な!たとえ平民でも身分証明ぐらいは普通にもっているぞ。ましてや成人したやつならなおさらだ。お前一体何処から来た!」


「実は自分は今まで森の中で祖父母と暮らしていたのですが、祖父母がいなくなったので、いつまでも森の中にいてもしょうが無いと思いまして、思い切って森を出て人里を目指して旅をしてきたんです。なので身分証明はおろか人里そのものが初めてなんです。」


「何?う~ん、少し俺では判断しかねるな。ここで少し待て。いいな不審な動きをするんじゃないぞ。今、上司に掛け合ってくる。」



 大丈夫かな?大事にならなきゃ良いんだけど、なるべくなら穏やかに済ましてくれないかな。あ!なんかもう一人誰か来たな、あれが上司かな?無事にすみますように!



「やぁ君が森から一人で旅をしてきたという者かな?私はここの街の衛兵の小隊長を努めているブラスという者だ。君の名前を聞いてもいいかな?」



 名前、名前かぁ~。どうしようかな?よく中世の時代じゃ貴族と王族以外は名前だけで、名字を持たないと言うから名前だけで通しておくかな。



「ん?どうしたんだい?名前を忘れたのかな?それとも名乗りたくない理由でもあるのかな?」


「あ、いえ!久しぶりに名前を聞かれたので戸惑っただけです。名前は優良ゆうらといいます。

よろしくお願いします。」


「なるほどユーラ君だね?よろしくね。じゃあとりあえずここにある水晶に触れてくれるかな?これは【破魔の水晶】と言ってね。嘘をついてたり、犯罪を犯した者を見抜く事が出来るんだ。これに触れて何も無ければ入街税を払って、仮身分証を発行すれば入れるからね。さぁ触れてみて。」


「ハイ!分かりました。では触れてみますね。」


「……うん、問題ないようだね。それじゃあ仮身分証を発行する間に入街税を払ってくれるかな?入街税は銀貨1枚だよ。」


「銀貨1枚ですね?分かりました。はい、コレでいいですか?」



 そう言われて俺は金貨を1枚出して渡した。いきなり金貨1枚を出すことに違和感があるかもしれないがこれはちゃんと理由を考えた上で出している。



「おや?金貨を持っているのかい、珍しいね?旅をしてる人はなかなか金貨なんて持ってないものだけど珍しいね、危ないとは思わなかったかい?」



 そう言いながら訝しげに俺を見る小隊長さんだが、俺は考えておいた理由を説明する。



「この金貨は祖父母が自分達に何かあったらコレを持って人里に向かいなさいと残してくれた金貨です。だから、自分はこの金貨1枚が全財産です。この金貨以外は持ってないんです。だからこれを失ったら無一文になってしまいますね。」



 そう説明すると少し考えて納得したように言ってきた。



「しかし…ちょっと待っててくれるかい。なかなか金貨で入街税を払う人はいないからね。流石に金貨からのお釣りとなるとこの釣り銭入れには入ってないんだよ。今、衛兵小屋から持ってくるよ。」



 そう言って近くの小屋に釣り銭を取りに行って、直ぐに戻ってきた。



「待たせてすまないね。ほらちゃんとお釣りも渡しておくよ大銀貨9枚と銀貨9枚だね。なくさないようにするんだよ。」


「あ…はい!ありがとうございます!なくさないように気をつけます。」


 ちょっと親切な感じの返答が来たので感動したかのような返事を返す。さっきの件もあったのであまり素直に感動はできない。俺はまだこの世界の人を信用したわけじゃない。しばらくは人間関係は注意が必要だ。



「仮身分証の発行おわりました。どうぞ小隊長。」


「うんご苦労様、はいユーラ君これが仮身分証だよ。これがあれば問題なく街の出入りが出来るよ。ただしコレは期限があって1ヶ月しか使えないんだ。もし、これからも滞在するかもしくはこれからさき旅を続けていくなら長期間使える本証明を登録したほうがいいよ。」



 本証明か…。どうしようか?ここでずっとやっていくのも迷うな。ここにいたらおそらく2~3日中には、あの巨乳娘達がここに来る可能性もあるしな。そうなればまたトラブルになる可能性が大いにありうる。それを考えればここでは仮登録で凌いでおいて別の街に行ったほうが安全な気がするんだよな。う~ん、よし!それで行こう。ここでは宿で一泊して明日には立ち去ろう。

銀貨一枚がもったいないとは思うが、捕まって面倒を引き寄せるぐらいなら、さっさと離れたほうがいいだろう。



「いえここで一泊したらすぐに旅を続けようと思います。出来れば王都と呼ばれる場所まで行ってみたいんです。」


「ふむ、それならなおの事何処かのギルドに所属し本証明を取得したほうがいいと思うんだが…。まぁそれは個人の自由かな?うん、でももし必要になったら訪ねてみるといいよ。それじゃあ改めてようこそ辺境の街【トライフル】へ!」



 優良が小隊長達にお礼を言い街の中に入っていく背中を見送りながら、小隊長が部下に告げていた。



「ジョージ、彼がこの街の中にいる間誰かを見張りに付けておけ。どうにも怪しすぎる、こんな辺境に対した用もなく旅を続けてきたというのがどうにも信用できん。この街は大体が兵士か冒険者がほとんどだ。滞在してる理由も大森林から溢れてきた魔物の駆除や隣国からくる奴らを牽制するためだけにいるのにだ。この国に住む人間ならほとんどが知っている事だ。そんな場所に旅をしてきた?さすがに鵜呑みにする事はできん。」


「では小隊長はアイツが隣国から潜入してきたと?もしそうなら今のうちに捕らえてたほうがいいんじゃないですか?」


「まぁ待て、もしかしたら本当に森から出てきて旅をしている可能性もありうる。それに【破魔の水晶】も異常を示してないからな。あくまでも隣国の間者の可能性もあるというだけだ。だから、忘れずに見張りを付けておけよ。」


「わかりました、すぐに手配します。」


「普通の旅人のような格好をしていたが、どうにも気になるただの旅人に見えない妙な覇気を感じた。一体何者なんだ。」



 去っていく兵士を見送りながらつぶやいた言葉は誰に聞かれることもなかった。



さてそろそろヒロインを出すことを考えてますよ。だいぶ長かった気がしますが…。

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