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第106話 ユリーナさんはたくましい

お久しぶりでございます。

 いい加減飽きたので何度も掴みかかろうとする青年を怪我をしないように丁寧にすっ転ばして地面に適当に放り投げる。その際に「うわぁーー!とか聞こえた気がするけど……まぁ放置でいいだろう。



「スルトさん村や村の人達の様子はどうでしたか?他にも怪我人がいたなら快復しますが」



 声を掛けられたスルトさんは軽くため息を付きながらも周囲を見渡しながら答えた。



「……村人は問題ないみたいだが、一番の問題は俺の陣営から新たな裏切り者が出た事だな。この分だと他の村に送った兵士達も怪しいな。まさかここまで自分の懐に入り込まれていたとは思わなかったよ。はぁ、俺もヤキが回ったみたいだな……」



 自分の住む領都だけでなく自分の治める領地の村にまで裏切り者が出てしまった事態にかなり精神的に追い込まれているようだけど……こればっかりは仕方ないようにも思うんだけど、領主ともなればそうは行かないんだろう。


 落ち込むスルトさんは少し触れないようにしておき、村の様子を見やるとどうやら軽い怪我をした人達にはユリーナさんやレナリアさんとモニカとモモリスが回復魔法を使って癒やしてる最中のようだ。なおその治療の最中に彼女たちの胸を凝視したり、おさわりをしようとしたやからはその場で彼女たち自身の手によりバツを与えられていたりする(軽くビンタをされて吹っ飛んでいるが)……彼らが治療前より更に怪我がひどくなってしまったのは自業自得という事で良いとして……このまま王都へと向かって大丈夫だろうか?(この後もう一度治療されていた)


 軽く村の周囲に今より少し頑丈な柵でも作って置くだけでも良いかな?と考えながらスルトさんに相談しようと思って話しかけてもイマイチ反応が悪い。どうやら未だに精神的ショックから立ち直れずにいるようで、ブツブツと「俺がもう少ししっかりとしていればこんな事には……」とか言っている。どうしようかと思っていたらそこへユリーナさんが来て一言……と共に。



「いつまでクヨクヨしてるんですか?お・と・う・さ・まー!」



 あろう事かユリーナさんは持っていたモーニングなスター的な一般には鈍器と呼ばれるであろう代物で実の父親に対してソレを惚れ惚れするほどのフルスイングで奮ったのである!もちろんだがそんな物を振るえばどうなるか?



「ユリーナ何を……ぐぅべらばぁ!」



 すかさず防御をしたのは流石だが、如何せんそんな事如きでは俺によりパワーレベリングされたユリーナさんの一撃を防ぐ事が出来るはずもなく、面白いくらいに地面をゴロゴロと滑走していった。ふむ?漫画のように空へキラッ☆が理想だったが、実際にそうなれば回収しに行かなければならない手間も生じるし今回はこんなものだろう。



「いつまでクヨクヨグジグジしてるんですか?問題があったならそれを解決して見せればいいだけの事でしょう?お父様がそうしてウジウジしてる間も他の村では同じ様な事が起きてるかもしれないのですよ?それでも良いんですか?」



 娘にそこまで言われてハッ!としたかのようになるスルトさん。どうやら落ち込む前にすることがあるだろう?とスルトさんの事を思う一言と共に重い一撃を添えて送ったようだ。なるほど、素晴らしい親子愛?だな!



「そうだな…ユリーナの言う通りだ。俺がこんなところで落ち込んでいる間も他の村にはここと同じ様な危険が迫ってるいるかもしれないんだ。なら、俺がするべき事は一つだ」



 自身を鼓舞するかのようにして立ち上がるスルトさん。先程とは違い目が鋭さを増しており折れ掛かっていたであろう心を持ち直したようだ。その勢いのまま俺に視線を送ってくるスルトさん。あぁ~これまた王都に行くのが遅れるパターンかな?



「ユーラ頼みがある……俺がこことは別の場所にいくつかある村に連れて行ってほしい。そこにも俺が兵士を派遣した場所があるんだ。何の罪もない村人達を殺される訳にはいかないんだ、頼む!」


「えぇまぁそういうだろうなぁとは思ってましたから別に俺は良いんですけどね?王都の方は大丈夫ですかね?多少自分にも原因があるんで急ぐつもりだったんですが、これ以上となると流石にいざという事態に間に合わないとかなりませんよね?」



 俺も意地悪で言っている訳ではない、実際色々あって王都へと向かうのが遅れているのも事実なので、ちゃんと状況を確認しつつ行動しないといけないと思っての発言だ。しかし、スルトさんの返答はある程度状況を知った上でのものだったようだ。



「ソレに関してはまだ大丈夫だ。ある方法で王都の今の状況はある程度確認できている。良いとは言えないが悪くもないみたいだな」


「へぇ~そうなんですか?なんか意外ですね?てっきりこちらが遅れてる上に相手はこちら側よりも人数的に多いみたいだから劣勢に立たされているかと思っていたんですけど……」


「どうやら相手側の主戦力に何か問題が起きているらしいな。その所為……いや、その御蔭でところか?せっかくの人数の多さを活かせずに四苦八苦しているみたいだ。今の状況ならまだ余裕がある。王都にすぐにでも向かいたい気持ちはあるが、だからといって民を蔑ろにしていい事にはならない。だから今のうちに村の様子を確認しておいてそれから王都へ向かっても十分間に合う計算だ」


「…なるほど、そういう事ならわかりました。手を抜く訳ではありませんが俺に出来る限りで急ぐ事にしましょう」


「そうしてくれるなら助かる……それとなんだが、まぁこれは全く関係ない事なんだがユーラに聞きたい事がある」


「何でしょう?」


「うちの娘……まぁユリーナの事だがアレ一体どうなってるんだ?前はあそこまで過激な行動をするような娘じゃなかったんだが、お前何かしたか?」



 したといえばしたし、してないと言えばしてないけど……ユリーナさんの過激な行動に関しては多分だが素だろうな。そうなるように仕向けた覚えはないし、俺が気づいた時にはいつの間にかああなってたとしか言いようがない。

 そもそも俺も四六時中一緒に行動してた訳ではないし、おそらく関係があるとしたらたまに暇を見つけてはモニカ達と叫びの洞窟周辺で魔物狩りをしてたくらいだと思う。もし何かあったとしたならば俺が、ではなくモニカ達によるものかもしくはユリーナさん自身がその方向性を見出したのではないかと思う。

 とりあえずはそこら辺の事をスルトさんに伝えておけば良いかな?後はまぁスルトさんが勝手に判断してくれるだろう。


 というわけで説明をしたところ?



「おいおいそれは本当に言っているのかユーラ?」


「まぁ……そうですね。俺も全ての行動を監視する訳にもいかないので多少放置気味ではあったので全く責任がないとまでは言いませんが……」



 説明の後に俺がそういうとスルトさんは頭を抱えて座り込んでしまった。何やらブツブツと「あぁ…ユリーナだけはアイツと同じにならないように育てたはずなのに……なんで……」とか言ってる。どうやらユリーナさんがああなる原因の一端を知っているようだが……まぁ今はそこまでして知るような事じゃないし、この件が片付いた後に覚えていたらその時でいいだろう。それよりも今はするべき事をしよう。



「何はともあれスルトさん今はスルトさんの言う村を回りましょう。いくら時間があるとはいえそれもいつまで持つかはわからないでしょう?」


「それもそうだな。当面は考えないようにしておくとする……はぁ」



 かなりショックだったみたいだが、俺からすれば特に気になるほどじゃない気がするんだけどなぁ?これが物凄い筋肉バキバキになってしまった、とかならわからんけど?



「ふぅ……よし!行こうユーラ。なるべく早く片を付けたくなってきた。俺のためにも……」



 少し考え事をしてた所為もあり後半あたりがよく聞こえなかったが、ハッキリと言わないのであれば大した事ではないのだろう。早速俺はリィサ達に声を掛け集合して直様この村を後にした。なお防衛の為にわんダー達を配置しておいた。わんダー達なら十分な強さを持っているし警戒という意味でもかなりの性能なのでこの村くらいの規模なら余裕があるくらいだろう。


 さて?この村の事は一部の下らない事をしようとしてる村人以外に問題はないだろう。あとは気になる他の村へ向かうだけだ。まぁその村を立つ際にリィサ達を引き留めようとしていた一部の下らない事を考えていた馬鹿な男共は同じく村の女性達の手により捕らえられた。きっと今から制裁を受けるのだろう……馬車が空へと向かって上がり始めた時に数人の男共の悲鳴が聞こえてきた。どうやら刑は執行されたようだ。馬鹿な男たちの悲鳴を聞いた俺たちはその事に満足しながら次の村へと向かうのだった。

 予想していたより遅くなってしまいました。ゴールデンウィークは本当に休みなく働いていたので執筆時間皆無な状態でしたので、かなり遅くなってしまいました申し訳ないです~。

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