第102話 王都で何が合ったのか?
短いですがよろしければ……
やらかした後に更にやらかした。黒音の事を完全に忘れてしまったままの状態で、屋敷の人たちに謝罪し終えその上メンバーとスルトさん達と共に食事を終えて部屋に戻ってくると……部屋の隅で膝を抱えて座りイジケている黒音がいた。
そして部屋の中に入り明かりをつけると同時に俺を見ると同時に凄まじい勢いで低空タックルを仕掛けるが如く飛びついてきた。
「あ、あぁ……あ”る”じさ”ま”ぁ”~~(主様~)」
「ちょっ!おい!あぶなっ……」
あの姿勢あの位置だと勢いのまま俺のゾウさんに激突する!そう思い避けようと思ったが、咄嗟の事で間に合わない!と思っていたが……。
スルっと通り抜けていきそれと同時に感じる背筋のゾワッとする感覚。そうだったコイツ影だからぶつからないんだったな一瞬ヤバい!と思ってしまった。まぁあのゾワッもあまり好きじゃないのでやめてほしいんだが。
しかし当の本人はそんな事など気にも掛けずに主様と慕っているはずの俺に文句を言ってきやがる。
「こういう時こそ受け止めてくださいよ!それでも主様ですか!可愛い部下でカワイイ女の子が一人主に忘れ去られて放置されていたというのに!受け止めるのが主様の常識でしょう!もう!」
声高々に叫びながら地団駄を踏んでいる自称可愛い部下なカワイイ女の子?はそれはもう影とは思えない程に感情表現豊かに主と慕う俺を非難している。忘れてしまった事に関しては悪いとは思っているのだが、この状態のコイツに何を言えば収まるのかさっぱりわからない。というかもはやコイツの存在がよくわからない。一体コイツは何者なんだろう?不思議だな?
「お前がカワイイかどうかはともかくとして放っておいたのは悪かったよ、ゴメンな?それはそうとしてもお前影なんだから俺のそばに来るのくらいすぐにできたんじゃないの?」
「えっ?…………へ、へへへ、そうでしたね」
「……忘れていたのか、随分と間抜けだなお前」
「ま、間抜けはないですよ主様!それが頑張ってきた部下に対する仕打ちですか!全くもう!」
「わかったわかった、俺が悪かったよ。それで?何か王都で情報は得られたのか?」
すると今までおフザケな雰囲気を持っていた黒音が鋭い空気を纏い出した。お?なんか真面目な感じになったな。余程重大な情報を手に入れたのだろうか?
「主様……」
「な、何だよ?思わせぶりに」
張り詰めるような空気、影だから表情を読めないから余計に緊張感が漂う。そして……。
「主様!報告は……これと言って特にはないです」
「はっ?」
「ですからぁ~これと言って特にないんですよ。主様が特別気にするような事はないかと思います」
「いやいや!お前めっちゃ雰囲気出してたじゃん!いかにも重要な事話しますみたいな感じで!」
「それはまぁなんとなく?だってぇ初めての任務だったのに大した成果を上げられなかったので、せめて雰囲気だけでも主様にお届けできればいいかなって思いまして、てへ!」
「雰囲気って……お前なぁ、俺はてっきり何か重要な事でもあったのかと思ったんだぞ?それなのに雰囲気て」
「まぁまぁ良いじゃないですか主様。あぁそうそう主様?主様にとっては大した事では無いかと思うんですが、王都に関して一つ報告が」
「うん、なんだよ」
こいつの感じからして今からする報告もあまり重要な感じじゃなさそうだ。若干悪ふざけが入ってる感じが否めないし。この分だと今から聞くのも悪ふざけに値しそうだ。
「じつはですね?」
「うんうん、何だ?」
「王都の王城に魔族に取り憑かれている貴族がいましたよ?いやぁ変なヤツがいるなぁって思ってたんですけど、まさか魔族に取り憑かれてるとは思いませんでしたけどねぇ。ねっ!大した事ない情報でしょ?」
「へぇ~魔族に取り憑かれた貴族がいるねぇ。ふ~ん……って!それめっちゃ重要じゃねぇか!なんで大した事無いって言ってんだよ!」
めっちゃ面倒な事になってるじゃねぇか!だとしたら王都の人達って大丈夫なのか?すでに魔族に乗っ取られてたりするのか?そこを聞き出して対策しておかないと!
「お、おい!黒音!王都は無事なのか?その魔族に乗っ取られてたりしないのか?大丈夫なのか?」
「え~っと?確か今はまだ大丈夫ですね。ただえ~と公爵家の一つがまるまるっと乗っ取られてましたね。おそらく当主は直に体を乗っ取られているかと、その家族や周りの召使いとかは催眠を掛けられていました。あぁ!それとですね?その所為なのかはしりませんが、その公爵家の奥方が病に伏せてましたね。私が確認する分にはあれは魔族の生贄にされているのかと」
「まさかの次々明かされる衝撃の事実!おい黒音!何処が大した事ないんだよ!十分大した事あるじゃねぇか!お前それで大した事ないって言ったらそれこそお前が大したもんだよ!」
「……?いやちょっと何言ってるかわからないです」
「いやわかるだろ!わかれよ!わかるはずだろ!なんで俺を可哀想な感じで見てくるんだよ!おかしいのは俺じゃなくてお前だろ!?」
「まぁまぁ落ち着いてくださいよ主様。とりあえずお茶でも飲みましょうよ、ね?」
確かに事の重大さにパニックてになっていたのは間違いない。ここは落ち着く為にも一服するのもいいだろう。そう思い椅子に腰掛けて待っていたのだが……。
「…………」
「…………」
「ん?どうかしましたか?主様?」
「いやどうしましたか?じゃなくてお茶でも飲みましょうって言ったから俺は黒音がお茶を入れてくれるのかと思って待っていたのに、なんで一緒に待っているんだよ!」
何もせずにただ待っていたらバカみたいじゃねぇか!コイツ俺を馬鹿にしてないか!?
「あぁ、なぁ~んだそういう事でしたかぁ。それなら簡単ですよ?だって私は物に触れないですから」
「……くっ!」
「ですから主様が自分で準備して飲んでくださいね?もしくは私が物に触れる事が出来るようにしてくれたらぁ~この!私自ら!入れて差し上げますよ?」
よくわからない自己主張と共によくわからないポーズをとるスキルのハズな謎の生命体。いちいち構うのも面倒なのでサラッとスルーする事にした。
「さってと!お茶でも入れてこよーっと。」
「あぁ~主様ぁ~私を無視しないでぇ~」
お茶を入れながらどうやって王都へ潜り込むかを考えるが、いまいちいい考えが思い浮かばない。俺だけで行くか?はたまた皆で一緒に行くか?さて俺は一介の職人さんのハズなのに異世界に来て一体何をしてるんだろう。そんな事を考えながらこの先の事に頭を悩ませるのだった。
なるべく時間を見てちょこちょこ書いております。以前ほど文字数は少なめではありますが、全く投稿してないよりは良いかなぁと。落ち着くまではまだまだ掛かりそうなので毎回とは行きませんが出来得る限り投稿していきたいと思ってます。気長にお待ちいただければ幸いです。
それとブクマ&評価ありがとうございます!作品に対して評価してくれるのは非常に嬉しいです!作者がしっぽを振って喜びます。(しっぽがあれば)