第101話 お騒がせしております
お久しぶりでございます。
騒ぎの原因が何なのかを確認しようと【クラフトルーム】の外に出てくると、そこには黒音がいた。……こんな所で騒ぎやがって何してんだコイツは。
「お前ねぇ……こんな所で騒ぐなよ、一体何が合ったんだよ」
「騒ぐなって……それはないですよ!だって主様があんな場所に引きこもるから私が干渉できなかったんですよ?それなのに騒ぎ立てるな!はヒドイですよ!」
「あぁ~わかったわかった、俺が悪かったよ。だから落ち着けって!後あまり騒ぐな、屋敷の人たちが何事かと思うだろ?」
俺の言葉にハッ!としたようにリアクションを取り周囲を見渡し誰もいないのを確認すると汗を拭う様な仕草をする黒音……こいつ本当は全身黒タイツの知り合いとかじゃないよな?本当にスキルなのだろうか?イマイチ確証が持てないヤツだ。
「まぁそれはともかくとしてだ、お前戻ってくるの早くないか?まだそんなに時間経ってないよな?それともまだ出てなかったのか?それはそれで遅いと思うんだが」
俺がそう言うと黒音がびっくりしたかのようなリアクションを取った。両手を上げて仰け反る様な感じでだ。……リアクションが軽くウザいな。
「えぇっとぉ~……主様?今のお言葉は本気で仰ってます?」
「うん?そりゃそうだろうよ、なんで今のタイミングで冗談を言わなきゃいけないんだよ。それで?どうなんだ?今から王都に行くのか?」
困惑したかのようにもじもじとしていた黒音だったが、何かをブツブツと呟いた後に「ハッキリと伝えた方が良いよね?うん!」と聞こえるのと同時に俺に向き直った。
「えぇっと主様!ハッキリとお伝え致しましゅ!じゃなくて致します!私はすでに王都での情報収集を終えて戻って参りました!かなり有用な情報を得られたかと思います」
「おぉ!そうなのか?それは良かった!いやぁ~いくら俺がある程度強いからとはいえ搦め手で来られるとどうなるかわからないからなぁ。情報は重要だよ!よくやったな黒音しばらくは休んで?て良いぞ」
話を終えて休むように伝えたにも関わらずその場から動かずにこちらを向いたままの状態で立ち尽くしたままだった。うん?魔力でも切れたかな?
「不思議そうな顔でこちらを見ないでください主様?まだ伝える事があるので待っているだけです」
「まだ何かあるのか?この後も色々しなきゃいけないことがあるから伝える事があるなら早めにな?」
「わかりました。それならば主様!聞かせていただきたい事が」
「あぁ、何?」
「主様……主様が私に情報収集を頼んでからどれくらいの時間が経っているかわかりますか?」
「時間?そんな事が聞きたい事なのか?う~ん多分2~3時間くらいかなぁ?」
俺の言葉を聞いた瞬間膝から崩れ落ちorzの体勢になる黒音。一体どうしたんだ?
「あ、主様?本気で仰ってますか?今日は主様が私に命令を頂いた日から2日は経ってますよ?もしかして本気で知らなかったんですか?」
「えっ?2日?冗談だろ?そんなわけないだろ?もしそれが本当ならみんなが大騒ぎ……」
と言いかけた所で俺たちがいた廊下に大人数の大きな声が響いた。
『いたーーー!見つけました!ユーラさん発見です!』
いきなりの大声にビクッとしていると凄まじい勢いで俺の周囲を囲むリィサ達と戦乙女達、これはもしかしなくてもやらかしてしまったかもしれない。
メンバーを代表して一人俺の前に歩み出てくるリィサ、その目は物凄く何かを言いたそうな顔つきだ。うっわ!美人の怒り顔ってめっちゃ怖いんですけど!
「ねぇ、ユーラ?私達に何か言いたい事とか無いかしら?例えば……そうね?何も言わずにいきなり姿をくらました事とか?どう?何か心当たりとかないかしら?」
「へぇっ!あぁ、えぇっと、いやぁそのぉ~姿をくらました様な事した覚えはなくてですね?ただ部屋の中で王都へ向けての準備をしていただけと言いますか……」
悪い事をしたわけではないのだが、なぜか冷や汗が止まらない。おかしいな?マジで何も悪い事はしてないはずなのにどうしてこんなに後ろめたさをかんじるんだろう?
「部屋の中、ねぇ。その部屋の中も調べて屋敷中あっちこっち調べてなお街の中にも捜索範囲を広げてもどこにも居なかったのだけど?ユーラの部屋ってどこにあるのかしら?地中にでもあるのかしらね?それとも?何かを準備しようとしてスキルを使って中に篭もって居たのかしら?でもそれなら連絡くらいくれそうなものよねぇ?でしょ?」
これは完全に俺が何をしていたかまでわかった上で言ってるな?居なくなった事に怒ってるというよいりは何も言わずに姿をくらました事に対して怒ってるみたいだ。あぁ~久しぶりに一人で行動していたからついぼっちの時の感覚で行動をしてしまっていたな。要反省事項ですわ。
「そのぉごめん!久しぶりに一人で行動してたからつい一人だった時と同じ行動をしちゃったんだよ。皆ゴメン!」
勢いつけて頭を下げた俺に「はぁ~っ」とため息まじりに呆れた感じの雰囲気を漂わせる女性陣。俺自身悪気はなかったが、それにしても女性陣に余計な心配をさせてしまったようだ。
「……ユーラに何処に行くにも連絡をしろとか言うつもりは無いけど、せめて軽くでも良いから声を掛けて欲しかったわね。ユーラにはスキルで連絡をすることだって出来るでしょう?私達全員ユーラが一人で王都に乗り込んだんじゃないかって皆で心配していたのよ?」
「え~と、ゴメン」
涙ぐみながら俺を見てくる女性陣、うぉおお!めっちゃ居た堪れない気持ちになるんですけど!悪いのは確かに俺なんだけどさぁ~全員でそうやって見られると心にクルものがあるんですよぉ~まぁ何が言いたいというとマジすいませんでした!
それともう一つだけと言った後リィサが下がり今度はユリーナさんが前に出てきた一言。
「えぇっとぉ~お父様がぁ~俺がもしかして調子に乗って色々言ったからぁ~ユーラはぁ~一人で出ていったのだろうかぁ~って言ってましたよぉ~?」
あぁ~……やっべぇ!マジか!もう一人気を使わないといけない相手がいる事を忘れていた!
「ちょ、ちょっとゴメン!みんな悪いけどまた後で話をしよう!ちょっと行ってくる!」
走り出して行く俺を見て微笑ましい感じで見送る女性陣の視線には気づかずに駆けていく。なんとかスルトさんを探し出し、一生懸命今までしていたことを説明しなんとか事なきを得ることができた。その時スルトさんに「屋敷の皆も心配していた、出来たら誰か一人にでも声を掛けておいて欲しい」と言われたので誠意を見せるべく屋敷中を奔走したのは完全な自業自得であった。
はぁ~今回はなんともなく事を終えたが、次からは気をつけるとしよう。報連相って大切だね!と社会人を辞めてなお気付かされるとは思わなかったよ。うん。
そういえば?何かを忘れているような気が……気のせいだろうか?
「主様……私の事完全に忘れてるよね?」
えぇ皆様お久しぶりでございます。
ここまで投稿間隔が空いてしまったのは理由がありまして、もう一つの作品の方では前回投稿時に説明していたのですが、改めたここでもさせていただきたく思います。
現在作者けだるま……職を失うかもしれない危機を迎えておりまして、その問題をどうにかするまでは執筆時間をまともに取れそうもない状態であります。ですのでしばらくの間は投稿間隔がかなり空いてしまうかとは思いますが、それでも構わない待つよ?と言う方はぜひ待っていただければ非常に嬉しく思います。まだまだ時間は掛かるとは思いますが、どうか気長にお待ちいただければと思います。
そしていつも作者の作品を読んでくださる皆様方へどうもありがとうございます!厚かましくも評価やブクマをしてくれると作者が喜びます。あ!あともう一つ今更ながら誤字脱字の報告ありがとうございます。