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閑話 響き合う心1

すいません!突然の閑話を許して下さい!!言い訳は後書きにて。

 謎の声が聞こえたあの日からもう一月ひとつきもたった。あの日を境に私達に不思議な事が起きるようになった。

 まず1つ私達5人姉妹がゆう君の夢を見るようになった。さすがに毎日ではないが、以前に比べればかなりの頻度で見るようになった。夢の中のゆう君は何故か若返っており私や和津梛かずなくらいの年齢に見えた。しかもとてもカッコ可愛い感じになっていた!!めっちゃ抱きしめたいと思っちゃったね!



 2つ目に私達が持っている水晶が頻繁に点滅したり一定時間光続けている事が増えた。これが何を意味しているのかは知らないが、私達5人がお互いに報告しあい確認したところ、どうやら水晶が光った日は高確率でゆう君の夢を見る事がわかった。詳細は不明だけど、私はゆう君と夢で会える合図みたいに思えるからあまり気にしてないんだけどね!



 3つ目が私達が過ごしている部屋で起きる現象だ。家の中は何も変わらないにも関わらずまるで何処か外にいるかのような雰囲気を感じる時がある。これが最もおかしい現象だった、不自然極まりないよね?



 大まかに言えばこんなところだけど他にも色々と細かく小さな現象はあったりするんだよね・・・知らない女の人の声が聞こえたりとか!またこれがヘンで聞こえるのは必ず夜で、その時の声がその・・・アレな声だから怖いというよりは悩ましい感じ?他の現象に関してはあまり気にならないけどこの現象に関しては一番どうにかして欲しい現象の一つだよ。



 まぁこれだけでもかなりの不思議だけど何より一番郡を抜いて不思議な現象が・・・。



「ねぇ和津梛~今日はどうだった?」


「?どうだったとは何がでしょうか。」


「もぉ~しらばっくれちゃって~ゆう君の事だよ~。見たの?ねぇ、どうなのさ~。」


「はぁ・・葉津梛はつな姉さんお願いですから話の内容はしっかりと伝えて下さい。なんで毎回私が気を使わなといけないんですか。」


「あんまりため息ばかりついてると幸せが逃げちゃうらしいよ?もっと元気よく行こー!」


「誰の所為でため息をついてると思ってるんですか・・全く。それで、確か優良さんの事でしたか?残念ながら今日は見ない日でしたね。そういう葉津梛姉さんはどうなんですか?」


「私も見なかったんだよぉ~よぉ~よぉ~YO~。」


「・・・巫山戯ないで下さい葉津梛姉さん。それで?本当のところはどうなんですか?」


「むむ・・私の渾身のギャグが通じないなんて!ってそんな冷たい目で見なくてもいいじゃんかぁ~。心にゆとりがないなぁ~和津梛は~。」


「葉津梛姉さんが自由すぎるだけですから。私は普通です。それよりもいい加減ごまかさないで教えて下さい・・・まさか!自分だけ見たからそうやって余裕があるのでは!」


「いやいや!ないない!そんなにがっつかないでよ。残念だけど見なかったよ、他に誰か見てないか聞いてないの?」


「いえ今こうやって事務所に来たのが葉津梛姉さんだけですね。静梛しずな姉さんも千梛せんな姉さんも和泉梛いずな姉さんも今日は事務所には来てないので、見たのかどうかは聞いてないですね。」


 ちなみに見た見てないが何の事かというと稀にゆう君の姿を家の中で見かける事ある。始めの内は自分達の気の所為だと思っていたが、ゆう君を見ていたのが私達姉妹だけでなく大兄や連兄、公佳さんも見かけるようになったので、ゆう君の手がかりになるのでは?と私達の間では?と予想している。それはともかくとして……。



「えぇ~そうなの?ふぅ~ん何処かに遊びに行ったのかな?私も一緒に行きたかったなぁ~。」


「葉津梛姉さんじゃあるまいし姉さん達が仕事を放り出して遊びに行くわけないじゃないですか・・。おそらく帰ってきたばかりなので大樹たいじゅ兄さんと連枝れんじ兄さんのいる現場を見に行ったんでは無いですか?」


「へぇ~そうなんだ?そっかぁ・・じゃあ暇だし書類整理でもして待ってようかな?」


「あれ?てっきり部屋に戻ってゴロゴロされるのかと思いましたのに、どういう風の吹き回しですか?」


「ん~特に理由は無いけど、まぁ強いて言うなら和津梛と一緒にいた方がいい気がしたからかなぁ?」


「何ですかそれ?本当に適当なんですから・・まぁでも書類を整理してくれると言うならお願いしますね。」


「あいよ~っと、ん~これだけならそんなに時間は掛からないかなぁ。よし!それじゃあいっちょ頑張りますか!」



 はぁ・・書類の整理は別に嫌では無いし工務店の仕事に関わるのも嫌いではないけど、ここにいると嫌でもゆう君と一緒にいた事を思い出してちょっと寂しい気分になっちゃうんだよね。はぁ~・・ゆう君に会いたいなぁ。そうしてゆう君に想いを馳せていると和津梛がじっと見ている事に気づいた。



「葉津梛姉さん?その・・大丈夫ですか?どうやら気分が優れない様子ですけど・・無理に手伝わなくても大丈夫ですよ?私ももう少ししたら今日の分は終わりでしたので。無理せず休まれてはどうですか?」


「ん!大丈夫だよ!これくらいならパッパッと終わらせちゃうから問題無し!だよ。」


「・・葉津梛姉さんがそういうのであれば構いませんが、無理だけはしないようにしてくださいね?」


「あいあ~い!さ~てと素早く終わらせちゃいましょうかねぇ~。」


「………それならお願いします葉津梛姉さん。(自分が無理してるのを気づいてないのでしょうか?それとも無理してるのを隠してるつもりなんでしょうか?どちらにせよ注意深く見ておかないといけませんね。)」



 もしかして和津梛に私が寂しいと思ってるのを悟られちゃったかな?でもそれはそれとしても和津梛に私寂しいんです…なんて言えるわけないし、ここは姉としての威厳を保つためにも何事もない風を装わないとね!さてと!気合を入れて頑張りますかね!






 集中して書類を整理することしばらくしていつの間にか積み上げていた全ての書類を処理し終えてしまったようだ。まだあるのかと思い和津梛の座っていた事務机を見てみるとそこには誰もおらずそれどころか事務所には私しかいなかった。アレぇ和津梛は?おトイレかな?などと考えていると何やら淹れたてのコーヒーの香ばしい匂いがしてきたので、そのまま待っているとトレーにコーヒーとお菓子を乗せた和津梛の姿が、どうやらおトイレじゃなくてこれを準備しにいっていたようだ。おぉ~相変わらず和津梛は気が利くなぁ~。


「葉津梛姉さんお疲れさまです。ちょうど切りよく終わったみたいですし休憩しませんか?」


「おぉ~ありがとう和津梛~ちょうど喉乾いてたんだよねぇ~。じゃあ一緒に休もっか。」



 仕事を終えた私と和津梛は雑談しながら休憩をしていると複数の話し声が事務所に近づいてくるのに気がついたこの声は静姉達かな?と予想を立てているとおもむろに和津梛が立ち上がり部屋を出ていった、きっと和津梛の事だから静姉達のお茶を準備しに行ったのだろう。本当によく気が利くいい子だなぁ。そうしみじみとしていると事務所のドアが開かれて予想していた通り静姉達だった・・いや+αがいる。そしてその+αは私に目をつけると訝しげな視線を私に向けてきた。



「あら?葉津梛じゃないの一人寂しく休憩かしら?それとも和津梛をこき使って自分だけ休憩かしら?」



 母親である神楽坂かぐらざか沙羅さらはどうも私を怠け者か何かだと思っている節がある。私はこう見えて結構この工務店の仕事をこなしているつもりだ。おそらくだがこの工務店の事務処理の8割は私が片付けてるはずだ。というのにこの働き者の私をそんな目で見るとは…なんと嘆かわしい事か!



「ははぁ~んその顔はアレね?私はちゃんと頑張っているのにどうして褒めてくれないの!って顔ね?バカねぇ知ってて言ってるに決まってるじゃないの・・フフフ。」



 なんと底意地の悪い母親なのだろうか?よくこんな性格でお父さんと結婚できたね?お父さんはもしかしてこの母親に騙されているのではないだろうか?



「ふふ~んミキ君は私にゾッコンなのよ~。あんたが何を言っても痛くも痒くもないわよ。」



 人の心を読むな!この妖怪ババアめ!ほっんとうにムカつく~~~。…はぁもうせっかくの休憩が台無しだよ…余計に疲れちゃったよ。



「せっかくの休憩を台無しにしちゃったみたいだし、その代わりに今思った事は見逃して上げるわ。次は気をつけるのね。」


「もういいから……お願いだから休ませてよ、お母さんの相手すると書類仕事するよりも10倍くらい疲れるから。」


「あら?それならもっと書類仕事を追加して上げましょうか?」



 また馬鹿な事を言いだしたこの母親に言い返す力もなくスルーしようとしたらそばに控えていた静姉が止めに入った。



「お母さんもそろそろやめて差し上げて下さい。これ以上は葉津梛が可哀想です。葉津梛もよ?心の中でだけ思ってるみたいだけど、あなたは割と顔に出やすいのだからもっと気を配りませんと。」


「え!?私ってそんなにわかりやすく顔に出てる?そんな事無いはずだけどなぁ・・。」


「ん~そうねぇ、葉津梛は前はそんな事はなかったのだけど……そうそう確かあんたがそこまでわかりやすく顔に出るようになったのって優良君がウチに務めるようになってからじゃなかったかしら?」


「ですね、私もそう思います。優良君が来た時の葉津梛は完全に優良君に心を奪われてましたから・・おそらく初めて出会った時にはもう葉津梛は優良君に釘付けだったのでしょう。・・そういえば顔に出やすいのは葉津梛だけじゃなく優良君もでしたね?もしかして葉津梛は優良君に無意識に自分を近づけているのでしょうか?もしそうだとしたらなんと可愛らしい行動なんでしょう。」


「そ、そんな事!そんな事……無いよ?違うよ?ホントだよ?」



 うぅ~顔が熱い~、もう母さんと静姉が変な事言うから妙に恥ずかしくなってきたじゃんかぁ!



「フフ、葉津梛可愛い。やっぱりうちの妹達は可愛い。」



 うぅ~和泉いず姉めぇ~ここぞとばかりに私に追い打ちを掛けてくるし~ムキー!ウチの姉とい母親といい少しからかいすぎだと思うよ……。



「はぁ……静姉も母ちゃんもそのへんにしといたらどうだ?葉津梛が逃げ出しちまいそうだぞ?」


「そうね、ここらへんにしておきましょうかしらね。あぁ、それと葉津梛?全員に話があるから逃げちゃ駄目よ。」



 なら私をからかうなと言いたい。と散々私がイジられ終えた後になってようやく和津梛が全員分のお茶を持って来た。……まさかとは思うけど和津梛は自分がイジられたくないからお茶を準備するふりして逃げ出したんじゃあ……そう思いつき和津梛を見ると視線を逸らされた。やっぱりかっ!



「来ると思っていたので皆の分も準備しておきました。どうぞ座って飲んでください。葉津梛姉さんもおかわりのお茶を準備してきましたよ。あとお菓子も追加です。」



 追加と口にして並べられたのは先程の物よりもちょっと豪華なお菓子だった。和津梛がこうやって奮発するということは話が長くなることを考慮して気晴らしも兼ねてるかも?普段は安い茶菓子や貰い物しか出さないけど、ここぞという時は良い物を出してくる。きっと全員が揃う事に何かを感じとったのかな?せっかくだしたんまり食べて溜めておこう!



「葉津梛姉さん?大丈夫だとは思いますが、考えなしにがっつくような真似はしないでくださいね?」



 くっ!食べる前に釘を刺されてしまった!どうやら私が考えている事は見抜かれていたみたいだ。



「し、しないよ?そんな事。私は落ち着きある女性だからね。しとやかに必要な分だけしか手を出さないよ?」


「そうですか?それなら良いのですが……もしかしたら食べ溜めておこう、などという考えが無きにしもあらずだったのでつい口を挟んでしまいました。すみません葉津梛姉さん。」


「い、いいよ!べ、別に私は全然気にしてないし!アハハ~…。」


『(考えていたのか……。)』


「さてとお菓子にご執心の葉津梛は置いておくとして、今回はちょっと特殊な情報を手に入れてきたわよ。聞きたいかしら?」


「ん?(もぐもぐ)何の情報?(もぐもぐ)」


「葉津梛……あなたは本当に……。もう良いわ、葉津梛に構っていたら何時まで経っても話が進みそうにないし。特殊な情報というのは他でも無いわ……優良君に関してよ。」


「おぉ!ゆう君の新情報!聞きたい!早く!早く教えてお母さん!」


「あなたはお菓子なの?それとも優良君が優先なの?どっち?」


「ゆう君で!」


「そこは即答なのね。じゃあいいわ、とりあえずお菓子はしばらく我慢なさい。話が落ち着いてからにして頂戴?結構ハードな内容だから。」


「ハードって……。」


「そこも含めて話すからまずは聞きなさい。質問は私が話終えてからにして頂戴。」


「わかった……じゃあ話してお母さん。」



 厳しい顔つきになるお母さん……一体ゆう君の何を話すのだろうか?前に務めていた会社の事ならとっくに聞いてるし、それを今更ハードなことだからと言って話すとは思えない。本当に何を話すんだろう?



「事前に言っておくけど前に勤めていた会社の事では無いからね?今から話すのは優良君の家族に関する事と優良君自身の生い立ちに関する事よ。」


「ゆう君の生い立ち……。」


「それと家族ね?これから話すって時になんだけど、私はこの後どうしても外せない用事があるから手短に話していくわよ。心構えは出来てるかしら?」


『大丈夫!(です)』


「そうじゃあ心して聞いて頂戴……私は…いえ私とミキ君それとお義父さんとお義母さんはいなくなってしまった優良君を探すために色々な手段を用いて多方面から情報を集めていたのだけど、ある時有力な情報に繋がりそうな人物に出会えたのよ。いえ……人物というよりは人物達という方が正しいわね。」


「それは誰なの?お母さん!」



つい勢い余ってお母さんを問い詰めてしまったが、気にしないでいてくれたようだ。



「落ち着きなさい葉津梛、ちゃんと今から話すから。その人物達というのは優良君が幼い頃に住んでいた近所の方々よ。」


「ゆう君の幼い頃…。」


「そう幼い頃、そこで私達は重点的に情報を集めていたのだけど優良君の今の所在はわからなかったわ。」


「そっか…「その代わり!」何?」


「優良君の幼い頃の生活状況、それに家族に関する情報を手に入れたのだけど……正直言って異常な事がわかったわ。」



 ゆう君に関する事がわかったのは良いが、どうも前フリが長い聞いててイライラというかまどろっこしくて嫌だ。どうせならパッと話せばいいのに!



「葉津梛……この中でおそらく誰よりも……正直病的と言ってもいい程にあなたが優良君を好きなのは知っているわ。だからこそ前置きをしっかりとしておきたいのよ。もう一度だけ聞くわね?……心の準備はいい?心して…本当に心して聞いて頂戴。」


「わかった!わかったから!だからお願いお母さん、早くゆう君の事を教えて!」


「……ふぅ、わかったわ。よく聞いて頂戴ね。端的に言うなら優良君には家族はいない。いい?よく聞いて。いなくなったんじゃないのよ、元からいないの。父親も母親も兄や姉、妹も弟もいないのよ。家族の存在そのものがないのよ。」


「ゆう君の家族が……元からいない?」



 意味がわからない、それなら以前にゆう君が話していた家族の話は一体何だったんだろう?嘘を付いた?それとも……。ここに来てゆう君に関する謎が増えてしまった。ゆう君は一体何者なの?




前書きでも謝罪しましたが、すいませんでしたーー!今このタイミングで投稿しておかないと後の投稿にかなりの支障が出ることが判明したので、急ぎ書き起こして投稿しました。いつもより改行や誤字脱字が多いかもしれませんが、暇を見て修正させていただきます。なおこの閑話を見てわかると思いますが、文字数が多くなりそうだったので分けさせてもらいました。時間を見てまた投稿させていただきます。早く本編を読みたいという方今しばらくお待ち下さいませ。

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