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第95話 スルトさんのお願い

誤字脱字あるかもです。時間を見て後日修正します。

 スルトさんの計らいで屋敷に泊めてもらえる事になった、そのため本来なら宿かまたは外食をするつもりだったのだが、すでに屋敷で夕食を準備しているとの事だったので時間までは暇を持て余してしまった。



 何かする事は無いかなぁ~と屋敷の廊下を適当にブラブラしていると一つの窓からちょうど庭の状況が見えたのだが、少しだけ気になる物が見えた。どうせ夕食まで時間があるしちょっとだけ近くまで見に行こう。



 珍しく誰も伴わず一人で行動中、特に何か理由があるわけでもなくたまには良いかな?と思った。それだけだ。まぁそんな事はどうでも良いとして気になった物を目の前で見てみるとしよう。



 ソレの前に立ち眺めて見る・・・ふむ?一体コレは何なのだろうか?何処から見ても・・・。



「ただの大きな岩にしか見えないんだよなぁ・・・なんでこんな物がこんな庭にあるんだろう?飾り?それにしては無骨すぎないか?まぁ仮に飾りとして庭に設置しているのなら人の趣味にとやかくは言えないよなぁ。」



 と一人でどう見てもただの岩を眺めながらブツブツとつぶやいていると、そんな俺の様子を見ていた男性が話しかけてきた。



「これはこれは旦那様のお客様が屋敷の中に居りませんので確認しにきてみればこの様な場所におられましたか。ユーラ様・・・でよろしいでしょうか?」


「えっと?確かに自分は優良ですが・・・どなた様でしょうか?」



 俺が話しかけた男性は上下一式黒のスーツの様な物を身に着けており、まるで執事・・・いやもしかしなくても執事かな?



「失礼致しました、私の名はドスティーガ・レイブンと申します。この屋敷・・スルト・セッテ・フォースター伯爵様・・私は旦那様とお呼びしておりますが、旦那様に誘われて執事の真似事をさせて頂いております。ちなみに愛称はドスと言われております。よろしければユーラ様もドスとお呼びいただければ嬉しゅうございます。」



 そして一礼して自己紹介を終えた、何というか・・クセが強い執事だ。こう・・自己主張がすごいというか・・まぁいいか、俺も人の事はあまり言えないし。



「そうですか、ではドスさんとお呼びしますね?ドスさ・・「ドス・・とお呼びしていただければ」

え、えぇ・・ですからドスさ「ドス、と。」・・・・。」



 これはアレかな?敬称をつけずに呼び捨てにしろって事だよね?明らかに自分よりも年上の人を呼び捨てにするのは結構気を使うんだけど・・・なんかそれを許してくれなそうな気配・・俺が折れるしか無いのか・・はぁ・・。



「・・・ではドス・・は自分に何か用があったのでは無いですか?」



「ふむ・・(本来なら敬語も必要ないのですが、此処らへんが引き時ですかね?)さようで御座います。旦那様よりユーラ様を呼んできて欲しいと頼まれましたので探して居りましたところです。ご都合がよければ旦那様のところまで来てはいただけませんでしょうか?」



 聞こえないとでも思ってるんだろうなぁ、あいにくとバッチリ聞こえてます。あと敬語で話すのは諦めてもらおう、どうしても俺が気にしてしまうんだ・・。



「わかりました、行きましょうか。」


「では私と参りましょう、ユーラ様方はまだ当屋敷に馴染まれてないのでメイドなどの下働きの者達とも面識が無いでしょう?一人で旦那様の元へと行かれると不審者と勘違いされてもいけませんので。」


「ですね、では案内をお願いします。」


「畏まりました、では。」



 俺の前を歩き先導してする形で進んでいくドスさん、こうやって後ろから見ているとわかるがこの人かなり隙が無い。おそらく戦闘も出来る万能タイプと見た。全方位に警戒・・というか、注意を払っているのがよくわかる。俺もいずれ家を手に入れた暁にはドスさんやイルディオさん、セルディオさんのような出来る執事を雇いたいものだ。・・・・何時になるかはわからないけどね?



 考え事をしてる間にスルトさんの待つ部屋へに着いたようだ。ドスさんが立ち止まり部屋の中にいるであろうスルトさんに入室の許可をとりドアを開けて待っている。



「どうぞユーラ様、お入りになられてください。」


「ありがとうございますドスさ・・・ドス。」


「いえ雑事は執事の仕事で御座いますからお気になさらずに。スルト様あとでお茶をお持ちいたします。では。」



 音を立てる事なくドアを閉めて部屋を後にしたドスさん、すげぇな!ドアを閉めるのに音がまったく立たないとか。サイレント機能でも持ち合わせているのだろうか?



「どうしたユーラ?ほら、そんなとこでボサッと立ってないでここに来て座ったらどうだ?」



 ドスさんの執事スキルに感動しているところにスルトさんが声を掛けてきた。さて?スルトさんは俺に何の用があって呼んだのかな?



「夕食までまだ時間はあるから少し俺の話に付き合ってもらえないか?ちょっとお前に相談があるんだよ。」


「相談ですか?俺で相手になれれば良いんですが、俺あまり知識は豊富ではないですよ?」


「いや今回の相談にはどちらかというと知識なんて大仰な事を言う程ではないな。その真逆の事だよ。」


「真逆?と言いますと?」


「物理的にお前の力を借りたい、要は単純な戦闘力が必要なんだよ。」


「また何処かに魔物でも現れましたか?」


「いや・・そうではない、相手は・・人だ。」



 一瞬自分の眉間にシワが寄ったのがわかった。人か・・・まさかとは思うが俺の強さを目の当たりにして戦争にでも駆り出そうなんて魂胆じゃないよな?もしそうだとしたら、スルトさんとの付き合いを考えないといけないが・・。



「おっと!勘違いをしないでくれよ?俺は何も侵略戦争がしたいとかは考えてないぞ?あまり回りくどくなって勘違いされても困るから言うが、王都で起きてる反乱をどうにかしたいんだが・・俺の属する派閥では武装集団とは言えなくてね。力押し出来る奴が必要なんだよ。相手に少し厄介な奴が居てな?俺達だけではどうにもならないんだよ。そこでその俺達では手こずる相手を圧倒出来るやつが必要ってなった時にパッと頭に思い浮かんだのがユーラお前ってわけだ。」



 なるほど・・・しかしそれでも戦争では無いにしろ相手が人であるのは変わらないわけで・・ん~確かに俺は以前に盗賊を手に掛けた事はあるが、それは相手が明らかに悪事を働いていたからなわけで、今回の事に関して言えば相手が悪事を働いたのだろうか?これは俺にとってかなりネックになる。 俺は異世界に来たとは言え日本に居た時の倫理観まで捨てた覚えは無いし、これからも力に物を言わせて傍若無人の限りを尽くしてやろうとも思ってない。



 第一俺はこの世界に職人として求められて来たのであって何もこの世界を平和にするために呼ばれた訳でない。俺が力を奮っているのはあくまでも身内に危害を加えられそうな時や明らかな悪事を見かけた時、または素材欲しさに魔物と戦う時の為だ。

 今回の件に関してはどう考えても貴族の権力争いだし、俺が手を出すのは少し躊躇いがある。理由をつければ身内であるスルトさんの為とも言えるし、またはまだ見ぬレナリアさんの両親を守るためと取ってつける事も言えるが・・・ムムム!判断が難しいところだ。



「・・やっぱり気が引けるか?今回の事は魔物とは違うしな、ただ力で押さえつけるだけでは済まないところもあるにはあるが・・俺達が命の危機に瀕した時に助けてくれるか最悪そばにいるだけでもいい、どうにか出来ないか?」



 う~んそうだなぁまぁ殺さないでどうにか無力化する方向で手を貸すならいけそうかな?もし何かあって殺さないといけない場合でもよほどの理由が無い限りは手を下さない方向でなら力を貸しても良いかもしれないな、よし!これで行こう。



「スルトさん力を貸してもいいですよ?」


「ほ、本当か!それは助かる!なら・・「ただし条件があります!」・・・聞かせてくれ・・。」


「相当な理由が無い限り相手の命を奪う事はしません、基本は相手を無力化するだけしかしません。後の事に関してはスルトさん達におまかせします。」


「無力化するというのは理解した、だが相当な理由が無い限りというのは何処までなんだ?」


「相手がスルトさんの陣営の人の命を奪ったとか何の罪も無い人に手を下したとか、またはどう見ても改心の余地がない場合に限ります。不用意に人命を奪う事をしたくありません。」


「それが例えどんな悪人であってもか?」


「悪人でも色々あるでしょう?快楽殺人者であるとか罪も無い人の命を奪うとか、そういう相手ならば俺は躊躇いを持つ事は無いでしょう。」


「その相手が圧政を強いて領民が毎日の生活に苦しんでいてもか?」


「そんな相手なら領地を奪って監禁するなり若しくは更生させるなりすれば良いんじゃないでしょうか?」


「ふぅ・・・甘い、と言わざるを得ないな。だが、それは俺達貴族の仕事であってユーラのするべき事ではないか・・・わかった、それで頼めるか?ユーラは俺達が命の危機に瀕したまたは不利な状況になったら手を貸して欲しい。これでどうだ?」


「それに追加させてもらいますね?その時に相手をどうするかは俺に一任してもらうという一文を追加します。」



 俺をギロッと睨んでくるスルトさん、今の顔は自分の派閥に所属する貴族を纏める者としての顔なのだろうが・・俺にも譲れないものというのはあるのだ。それをなぁなぁにして後から自分が後悔するような事態にはしたくないんだ。そんな意思を込めてスルトさんの視線を正面から受け止めた。



「はぁ・・わかった、わかったよ。お前には負けた!やれやれ存外固い意思を持ってるな?ユリーナや他の女達の前では言いなりになってる気がしたから結構いけると思ったんだがなぁ。」


「それはあくまでも彼女達が俺の恋人だからですよ?いくら恋人の親と言えども譲れないものは譲れないですからね。」


「かぁぁーー!俺もまだまだ読みが浅いな・・・かなり場数は踏んできたつもりなんだがな。」


「普通の人ならスルトさんの視線に押し負けたかもしれませんけど、あいにくと俺は普通では無いので。」


「普通じゃないって自分で言うか?まったくよぉ・・・まぁとにかくだ!近いうちに力を借りる事になりそうだから、それだけは覚えておいてくれ。そん時は声を掛けるからそれまでは家でゆっくりしててくれ。って言っても家に篭りっきりになれって言ってるんじゃないぞ?この街に居てくれたら良いからフラつきたくなったら街の中だけにしてくれ。もし、何か用があって街の外に出る時は俺かドスに声を掛けてくれ。俺もドスも今の内は街から出る事は無いからな。じゃあこれで俺の話はおしまいだな。」


「ふぅ・・思いの外時間が経ちましたね?そろそろお腹が空いてきましたよ。もし夕食がまだのようなら少し街をフラツイてきても良いですか?」



 と俺がスルトさんに告げた時だった。タイミングよくドアをノックする音が聞こえてきた。



「失礼いたします旦那様、お茶を・・と思っていたのですがどうやら夕食の準備が出来たようですので食堂へと移動していただけますでしょうか?」


「という事らしいぞユーラ?食べ歩きは次の期会にしたらどうだ?」


「ですね、せっかく準備して頂いたのにそれを無碍にはできないですからね。」


「だな!さてと、話も終えた事だしメシにするか!ユーラ行くぞ。」


「旦那様メシ・・はおやめくださいませ。貴族としてはしたのぅ御座います。」


「かたっ苦しいなぁ・・そういうお前も昔は言ってたじゃねぇか・・。」


「旦那様・・ユーラ様の前で余計な事は言われませんようにお願いします。・・折りますよ?」


「わ、わかった!わーーったから!そんなに凄むなよ・・。ったくなんでこんな堅苦しい奴になったんだか・・。」


「あなたがしっかりとしてれば私はそんな事は言わんでも済むんだがね?それに私にそばで仕えて欲しいと言ったのは何処の誰だったかな?もしかして忘れてしまったのかな?」


「グッ!いきなり昔の口調に戻りやがって!あーーもう!俺が悪かったよ!すいませんでした!」


「わかれば良いんです。・・さて?ユーラ様は口は固い方でいらっしゃいますかな?この場で見た事聞いた事は黙っていて下さると嬉しいのですが・・もしそうでないのであれば・・・。」


「大丈夫です!口は固い方です!(多分・・。)」


「・・少し不安なところがありますが、まぁ良いでしょう。その時はその時です。ではお二方食堂へと参りましょう。他の皆様はすでにお待ちでいますので。」



 そして俺達の前を歩くドスさん、その後ろで俺とスルトさんは小声で会話をしながら後をついて行ってた。



「(ちょっとちょっと!スルトさんあの人本当にただの執事ですか?どう考えてもスルトさんよりも上の立場にいそうな雰囲気を持ってましたよ?)」


「(あぁ、ドスはちょっと訳ありでな?色々理由があって俺の執事をしてもらってるが実際は俺なんかよりもデキる人物なのは間違いない。もしドスがこの街の領主をやっていたり俺の所属する派閥のトップだったら今みたいな問題も起きなかっただろうな。)」


「(マジですか?スルトさんでも結構やり手だと思ってたのに・・それ以上ですか?それはすごいですね。)」


「(あぁドスは実際俺なんかよりもすごい奴なんだ、だけど・・・。)」


「(だけど?)」


「(いや、やっぱりこれ以上はやめておこう。言ってもしょうがない事だしな。だからユーラお前もこれ以上は聞かないでくれよ?)」


「(そうですか・・気にはなりますけど、そういうならやめておきます。)」



 こうしてずっと小声で会話を打ち切ると辛うじて聞こえる声でドスさんの声が聞こえてきた。



「一応セーフって事にしておくとしましょう。それ以上話していたら・・フフ。」



 小声話していたはずの会話はどうやらバッチリ聞かれていたらしい。それ以上話していたらどうなっていたのか・・それを考えると恐ろしくなり食堂までの間俺とスルトさんはドスさんの後を大人しくついていくだけに専念したのだった。


前書きでも書きましたが、誤字脱字があるかもしれません。余裕がある時は下書き時に1回、清書時に一回、投稿直前に1回と確認するのですが、今回は下書き時の1回しかしてませんので多めに見てくれると助かります。今後の予定を組み立てていたら時間が無くなっていました。ご迷惑をおかけしますが諦めずに見てくれると嬉しく思います。いつも見てくれて下さる皆様に感謝です!

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