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第94話 俺はノーマルです

休日を頂いたので執筆時間に当てました。

 あの魔物の大群を殲滅してから2日ほど経ちました、あの戦いの後俺は早速ダラダラ寝て過ごそうと思い宿を見つけてそこに全員で宿泊する事にしたのだが・・・なんと俺はまる2日も寝続けていた。



 思っていた以上に疲労が溜まっていたのか、はたまた単純に俺がウルトラねぼすけなのかはさておいて俺が寝ている間に色々とあったらしい。



 色々その1、俺の事を探している人物がいる。

 コレに関してはスルトさんが既に調べてあるそうで、どうやらあれだけの魔物を一瞬で仕留めた俺を恐れた貴族の一派が内密に俺を始末しようとしたらしい・・らしいというのはその事実を知ることができなくなったから。その理由も至極単純で疲れて寝ていた俺やそんな俺を交代で見守っていたメンバーに知られる事なく、スルトさんの部下の手により逆に始末されたからだ。



 しかもその部下というのが初対面で俺に食って掛かったあの騎士さんスルトさんにジェイデンと呼ばれていた人がやったそうだ。あの人見た目は騎士のくせに諜報活動がメインだとかで誰よりもいち早く情報を手に入れるのと同時にスルトさんに許可を得るのを待たずして即殺したんだとか。流石に聴取や拷問の類もせずにいきなり即殺はどうなの?とスルトさんに言うと当の本人いわく『街の恩人に仇なす愚か者に生きる価値なし!』と言っていたのだそうだ。気持ちは嬉しいが何らかの情報くらいは聞き出してからにして欲しかった・・なんとなく某公爵とつながっていそうな気がした。



 さて次に色々その2、またこれも貴族関連なのだがこちらはどちらかというと俺と縁を持ちたいという人達。俺の強さを見てうまく取り入りたい要は旨味が欲しいという方達だ。だが単純に考えて早々簡単に俺の身内になれる訳もなく。この連中に関してはスルトさんとレナリアさんが対応してくれたようだ。これに驚いたのは貴族たち、スルトさんならまだわかるだがここにこの国の第一王女たるレナリアさんが関わってくるとは思いもしなかったようで、レナリアさんの『の大事な人に何か御用ですか?』の一言で皆一斉に散っていたらしい。



 このレナリアさんの一言は俺的には嬉しいのだが王女としての発言に問題はないのか?という質問に対しレナリアさんは『その時はユーラさんが私を守ってくれますよね?』とにこやかに微笑んだので俺は『もちろんです!』と気合を入れて返事をしておいた。あの時のレナリアさんの驚いた顔とその後の顔を赤らませた『はい・・。』の一言には胸を撃ち抜かれた。

 あとでぺr・・・デートしよう!



 続いて色々その3だが、こちらは悪い事ではなくどちらかというと良い事だ。その内容はこの街の人たちが街を救ってくれた恩人に是非とも貰って欲しいと育てた作物を持ってきていたそうだ。

 しかし、俺が中々起きない事もありスルトさんが自分の屋敷で引取りいずれ俺が起きた際には代わりの品物で対応させてもらう事になったそうだ。物によっては足の早い食材もあったようなのでコレに関しては仕方のない事だろう。



 さて最後の色々その4、こちらが一番インパクトがあった。それというのも街に住んでいる未婚の女性が平民・貴族を問わず殺到し是非とも自分をお嫁さんに貰って欲しいというものだったそうだ。俺はその話を聞いた時に超ハーレム展開がきたか!とついつい意気込んでしまったが周りで俺を甲斐甲斐しく世話をしていた女性陣から放たれた謎の冷気を受けて大人しくなった。一応この問題はどう解決したのかを聞いたところ、特別に何かをしたわけではなく女性陣全員で殺到した女性達の前に立ちはだかったそうだ。その立ちはだかる内の女性陣を見た街の女性達はしばらく彼女らを見据えていたが、しばらくすると一人二人と立ち去っていき最終的には全ての女性たちが去っていったそうだ。

 これに関してパーティーメンバーである彼女たちはよくわからないと言っていた。自分達は何かを言われたり無理やり俺のところに行こうとすれば何かしらの行動を取ろうとしたそうなのだが、街の女性達は内のメンバーを見て黙り込むとそう大した時間をおかずに一人一人立ち去っていったそうだ。



 俺はそれを聞いて納得した、街の女性達を見ていないからなんとも言えないが俺のパーティーメンバーは全員がかなりの美女・美少女だ、しかもそれだけならまだしも全員が全員と言えるほどにスタイルが良い。そんな彼女たちを見て普通の人ならまず立ち向かうの躊躇するであろうほどの存在なのだ。もし俺が街の女性達と同じ立場ならまっさきに諦めるだろう。彼女達はそれくらいに全員が綺麗所ばかりなのだ。そんな彼女達を好きに出来てしまえる俺・・・・いつか背後から刺されるかもしれん・(簡単には死なないけど)



 さて失礼かもしれないが雑多なところではこんなものだ。それとは別に俺が起きたら重要な話がしたいとスルトさんが言っていたそうなので、早速起きて腹ごなしをした後にスルトさんの屋敷へと行く事にした。



 腹ごなしをした後に久しぶり?初めて?全員揃って歩いてスルトさんの屋敷へと向かう事に。屋敷までの道中で俺が魔物を殲滅した姿を見た人からはお礼の言葉を掛けられたり人伝ひとづてに俺の事を聞いた人達からは食材だったり歩きながらでも食べられるものを貰ったりしてそれを皆でつまみながら向かっていた。



 スルトさんの屋敷が見え始めた頃だった、正面からフラリフラリとよたつきながら歩くガタイの良い5~6人の集団がこちらに向かって歩いてきた。俺達はソイツらとぶつからないようにとわざと距離を開けて避けたにも関わらず集団から一人がまるで駆け足のように突っ込んできた。どう考えても悪い予感しかしなかったので、俺達の周囲には結界を既に張ってスタンバイしていた。



 案の定その突っ込んできた男は俺が張った結界に阻まれてこれ以上此処へは進めないようになってしまった。顔が見事にブサイクな感じになっている。今の姿は良くテレビで見る芸人がガラスに阻まれて顔を面白い感じにしているあの状況が出来上がっている(笑)



 前に進めなくなった男は一生懸命に前に進もうと顔を突き出し手で空気を漕ぐようにしている。そんな彼を見て集団は俺達に向かってのそのそと歩いてきている。その姿は如何にもチンピラを思わせるような風貌だ。きっとこれからとんでもない光景(笑)を繰り広げる事になるのだろう。



「オイオイ!どうしたどうした?俺のツレに何してくれてんだ小僧!お前俺らに喧嘩売ってんのか?あぁん!」



 いかつい体で如何にもな発言をするおバカ1号いや彼は2号かな?1号は今も結界に阻まれた状態で愉快な表情を晒しているから。さてさて?彼らは俺達に何をご所望なのかな?



「俺達のツレにヒデェ事してくれてるじゃねぇか?うん?このカリはキッチリ払って貰わねぇといけねぇよな?わかってんのか小僧?」



 いやぁ~これまたなんともわかりやすい言いがかりだねぇ。さてその続きはお金かな?それとも彼女達かな?どっちにしろ痛い目にあってもらうけどな!



「カリの返し方わかってんだろ?ちょっと来いよ小僧、なぁ~に気にすんな痛い目には合わせねぇよ?ちょっとだけさ初めだけだよ痛いのはな?」



 うん?何か可怪しい・・話に違和感がある。俺を痛めつけてストレス解消でもしたいのか?でも痛いのは初めだけとか言ってるし・・・まさか!いやだがいくらなんでもこの人数にこのガタイの奴らが俺が思ってるような事をするだろうか?わからん、わからんが・・嫌な予感がする!



「ホラこっち来いよ!良い事しようぜ~ウヒヒ!」


「オイオイ!待てよ!今回は俺からだろ?順番はちゃんと守れよ!」



 こ、こいつら・・まさか・・やっぱりなのか!



「可愛らしい坊主だなぁ、安心しろちゃんと無事に帰らせてやるからよ!怪我なんてさせねぇからよ。」



 やっぱりだ!こいつ等ソッチ方面の奴だぁーーー!後ろにいるやつなんか気の所為か「ウホっ!」とか聞こえたし、嫌だ!絶対に嫌だぁーー!とその時俺の女神達が助けに入ってくれた。



「えぇい!気色悪い事この上ない!ユーラ殿に触れるなぁ!」


「そうです!この人は私達の未来の伴侶!あなた達が触れていい存在ではありません!そういう事は好き同士でしていなさい!」


『吹き飛べ!(なさい!)』



 シェイラとレナリアさんの掛け声を筆頭に全員が武器から放つ風圧で男達を上空へと吹き飛ばした!軽く5~6mくらいは飛んだだろうか?頭から落ちていった彼らはものの見事にゴミ捨て場と思しき場所へと落下しゴミの中へと「ドスン!」という大きな音を立てて見事に伸びてしまった。



『ゴミはゴミ捨て場へ!』



 ならず者の末路としては相応しいかもしれないが、内の女性陣も中々過激な事をする。彼女達を怒らせないようにしよう・・そう心に決めた一場面だった。

 それにしてもこの世界にもそういう方面に目覚めた人達って居るもんなんだな・・。あぁそういえばインペスタの街にもそういう人がいたような気がする・・悪い人達ばかりでは無いかもしれないが今後は色々気をつけておこう。マジで!



「ゆ、ユーラさんも駄目ですよ?男同士なんていけないんですからね?」


「ユリーナさん・・変な気遣いをしなくても大丈夫です。俺にそういうのは無いので俺はノーマルです。」


「本当に?」


「マジです!お願いだからそこは疑わないでください・・。」


「わかりました!ユーラさんを信じますね。ではこれ以上変な人に絡まれたくないので早く我が家に急ぎましょう!」



 それは一理あるので全員で若干駆け足ぎみになりながら既に見え始めた屋敷に向かうのだった。





 これ以上絡まれる事なくなんとか無事スルトさんの屋敷へとたどり着いた俺達は門番の人にスルトさんへ取り次いでもらうように言うと程なくしてスルトさん本人が出迎えてくれた。



「おぉ!ようやくお目覚めか!起きてすぐに来てくれたのか?悪いなゆっくりさせられなくて。どうしても話して置きたい事とかもあるんでな?それで起きたら来るように頼んでおいたんだよ。すまんな。」


「大丈夫ですよ、結構休めたので問題ないです。それよりもスルトさんはしっかり休んでますか?幾ら俺が治療したとはいえ無理は禁物ですよ?」



 そんな俺のスルトさんを心配しての発言に更にかぶせてきた人物がいた。



「そうだ、もっと言ってやってくれ。幾ら私が言っても「問題ない大丈夫だ。」の一点張りで部下としては気がかりでしょうがないんだ。君からも休むように言ってくれ。」



 聞いた声に振り向くとそこには騎士の姿ではなく貴族の着るような服を着たジェイデンさんの姿があった。手には紙の束のような物を持っている事から事務仕事のような事でもしていたのだろうか?

 そして俺の前に立ち持っていた紙の束をそばの机に置くとしっかりと姿勢を整えて俺に頭を下げてきた。



「ユーラ様・・一昨日いっさくじつの戦場では申し訳ありませんでした、あなたのような武人に対して取るような態度ではなかったと今は反省しております・・申し訳ありませんでした。」



 静かに・・だがそれでいて強い気持ちを込めて謝罪をしているのがハッキリとわかる。あの時は魔物が押し寄せる戦場下にあったのだ、ジェイデンさんが取った行動が間違いではないとは思う。だがジェイデンさんは何か思う事のあっての謝罪なのだろう。今の俺に何故?どうして?一々問いただす気は正直いって無い。だから俺はジェイデンさんの謝罪を受け入れる事にした。



「ジェイデンさん頭を上げてください、あなたはあなたの役割を全うしただけです。あの時の俺が怪しかったのもその場ですぐに信用できなかったのもわかっています。俺が逆の立場でも怪しんだでしょうしね?だからこれ以上は気にしないでください。」


「ですが私はあなたに対して非常に無礼であったと・・・」



 なおも自身がどれだけ悪し様であったかを言おうとしていたので途中で手を差し出して止めた。ジェイデンさんに悪気はなかった、彼は命を賭して街を住民を守ろうとしていた。それはこの屋敷へと移動してくる街の人達からも聞いていた。「彼は悪い人ではない」「街を守ろうとしてちょっと頑固になっていただけ」「住民に優しく悪さをする奴らを取り締まる正義感の強い人だから」とちょっとした時間でこれだけの声を聞く事ができた。そんな彼をわざわざ貶める事もないだろう。



「あなたは街を・・住民を守るためにしただけでしょう?それなのにそんな人に謝罪を要求するなんて事出来ませんよ。もし今もまだ悪いと思っているなら・・そうですね・・。何処か美味しい食事ができる店を紹介してくれませんか?俺いろんなところで美味しい物を食べるのが好きなんですよ。それでどうですか?」



 美味しい物を出す店を紹介してくれ、と言われたジェイデンさんは一瞬呆気あっけに取られていたが、何を言われたのかを理解したらしく「良いところを知っている、任せておいてくれ。」と一言だけ言ったあと俺達とスルトさんに一礼するとその場を去っていった。



「あ~なんだ、見ての通り悪い奴じゃないんだが、どうもうまく人付き合いするのが苦手らしくてな?色々言葉が足りないとは思うがここらで許してやってくれないか?」


「えぇもちろんですよ、俺も別に腹を立ててる訳ではないですし。あとでもう一度俺はもう気にしてないと言っておいてもらえますか?」


「あぁわかった、気を使わせたようで悪いな。あいつもそこまで言われればこれ以上は気にしないだろう。・・・ユーラ今回はお前のお陰で本当に助かった、礼を言わせてくれ・・。」



 そう言うとスルトさんは先程のジェイデンさんのように俺の前に立ち貴族さながらの立ち方をして言った。



「ユーラ殿今回の我が領都防衛またその後の魔物の素材の提供・・貴殿がわが領土にしてくれた貢献は稀に見る活躍であった。そしてこの街の領主として礼を言わせて欲しい。ありがとうユーラ殿!」



 少しだけ・・面食らった。普段俺と話してる時はユリーナさんの父親としてのスルトさんは見てきたが、貴族のスルト・セッテ・フォースターとしてのスルトさんをしっかりと見たのは初めてかもしれなかった。



「フォースター伯爵あなたのお言葉有り難く頂戴致します。今後ともこの様な事態があればお力になれればと思います。」



 本物の貴族の様に・・とはいかないが、自分ができる精一杯の丁寧な行動と言葉を心がけてスルトさんの礼に対応してみせた。そんな俺を見たスルトさんは一瞬目を見開いていたが、すぐさま持ち直して何時ものように話しかけてきた。



「あぁ~何だ、やっぱり俺は貴族ってガラじゃねぇな!言ってて背中がムズムズするぜ!ほらユーラお前ももう良いだろ?こんな真面目くせぇのはガラじゃねぇだろ?」



 ひどい人だ俺が折角普段しないような真面目な対応をしてみせたというのに!まぁそんな事を言ってはみたものの俺もそんなガラじゃないのは確かなので普段どおりに戻らせてもらおう。



「それもそうですね!俺なんかは特にガラじゃないですしね。はぁぁ・・慣れない事をするとお腹が空いてきましたよ。んんーーー!・・さてとそれじゃあ俺達はそろそろ宿に戻りますね?早く戻らないと夕食の時間に間に合わなくなりそうなんで。」



 今までのやり取りは何だったんだ?という感じの目で皆が見てくるが、あんな暑苦しい行為を長々と続けられる訳がないだろうに。それよりも早く宿に戻って夕食にありつきたい。マジで腹が空き過ぎてしんどいのだ。だが、そんな俺の言葉を聞いてスルトさんは予想していなかったことを言ってきた。



「何言ってんだユーラ?夕食は俺が屋敷で準備しておくって言っておいたじゃないか。なんだ聞いてなかったのか?あとお前が屋敷に来た時点でお前達が取っていた宿は引き払っておいたぞ?泊まるのも俺の屋敷に泊まれるようにしてあるから。」


「はぁぁ!ちょっと待って下さいスルトさん!俺そんな事一言も聞いてませんけど!」


「何?おかしいな?ちゃんとユリーナに伝えておいたんだが・・本当に聞いてないのか?」



 そして俺とスルトさんはその伝言を聞いたであろうユリーナさんを見ると・・・苦笑いをしながら逃げていくのが見えた。



「あぁ~なんとなく状況が掴めました、後でちゃんと俺が叱っておきますので。あと宿代は払わせてください。」


「それぐらいは気にするな、それに街を救っておいて色々優遇してもらったのはこっちの方だ。逆にお釣りが来るくらいだ。宿代くらいは払わせろ。俺にも領主としての面子ってもんがあるんだよ。」


「そういう事でしたらお願いします、ユリーナさんに関しては俺に任せて貰えれば。」


「あぁだけど程々にな?あんまり苛めてやるなよ?」


「大丈夫です、ちょっとしたお仕置きくらいはしますけどね?」



 俺の言葉にハハハ!と笑いながら夕食の手配をしてくると告げてその場を離れるスルトさん。お仕置きはお仕置きでも普通のお仕置きを俺がするわけがない。そしてその事をユリーナさんが知るのは夕食の後の事だった。

近いうちに閑話を投稿しようかと思ってます。そろそろ書いて置かないと本編に影響が出そうなので・・。皆忘れていないだろうか?

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