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第93話 大群一掃と謎スキルを創ってしまった・・・

 光魔法【瞬光ライトニングエッジ】を使用した事で門前にいた魔物を一掃する事はできた。あとは眼前に広がる平原を通りこの街に向かってくる魔物の大群だ。



 先程とは違いかなり接近してきており距離にしておそらくあと2kmも無いと言ったところだろう。あまり近づかれても街にどんな影響が出るかわからないのであと1kmくらいにきたら一気に片をつけよう。魔物の大群が1k地点にくるまであと5分もかからないはず、と俺はここであることに気がついた。あれだけの魔物の大群がいれば素材として使える奴もそこそこにいるのでは?と。



 なんとか魔物の素材を手に入れたいところだが、おそらく多少は街にも融通しないといけないはずだ。だけど俺も珍しい素材とかはどうにかして手に入れたい。

 けど俺が今ここから離れてスルトさんに交渉に行くわけにはいかないし、う~んと唸りながら考えていて思いついた。そうだ!俺は無理でも誰かに交渉を頼めばいいじゃないか!と。



 ここで俺が思いついた人物はレナリアさんだ、彼女ならうまく交渉できそうだし何より立場からしてスルトさんの上・・・そうなるとスルトさんも簡単には断りづらいだろう。少し・・いやかなり悪どい感じではあるが俺もタダ働きは御免なので卑怯かもしれないがこの作戦でいこう。



「という訳でレナリアさん!あなたにスルトさんと魔物の素材に関して交渉して欲しいと思いますが・・・どうでしょう?出来ますかね?」


『また随分と唐突ですねユーラさん?もちろん出来なくはありませんが・・・もしかして全ての魔物素材をご自分の物にされるのですか?』


「流石に全部をよこせとは言いませんが、希少な素材はなるべく多く手に入れておきたいところですね。ゴリニテ侯爵の屋敷を改築もとい新築した際にかなりの量の素材を使ったので今回の機会に多く集めて置きたいんですよ。」


『わかりました、なるべく多く希少価値の高い素材をいただけるよう交渉しますがこの街の民の事も考えての交渉をさせていただきたいのですが・・・それでもよろしいですか?』


「えぇそれで問題ないですよ、俺もそこまで欲をかく気はないですし。じゃあ後はお願いしてもいいですか?」


『はい任せておいてください、双方に損の無いよう交渉してみたいと思います。ユーラさんもどうかお気をつけて、あなたが無事帰ってくる事を心より祈っております。』


「ありがとうレナリアさん、無事帰れてたら皆で食事に行きましょうね?」


『それは楽しみですね!これは交渉にも気合が入るかもしれません。』


「ハハハ・・程々にお願いします。」


『任せてください!私がバッチリ決めてみせますから!』



 その勢いのある返事を最後に念話が切れた・・あの気合の入り方がどうも気になるな。やりすぎなきゃ良いけど。



「さてと、そろそろ出番かな?あれ?そうか・・下手に威力のある魔法を使ったり素材を傷つけるやり方だと勿体ないよな?ん~少しエグいけどこの霊刀【魂狩こんがり】であの技を試してみるか?」



 ぶっつけ本番になるがおそらく問題はないと思う、何故か?と言われれば勘?としか言えない。俺自体はそこまで戦いに関してプロと呼べる程のものではないからスキルか何かが自信を持て!的な事を伝えてるのだろう。



 そのおかげか俺も失敗するかも?という不安は無いので、うんまぁ・・なんとかなるでしょ。おや?色々と考えてる間に魔物の大群が目的の距離に近づいたようだ。このくらいの距離なら回収作業も楽できるだろう。



 霊刀【魂狩こんがり】を腰だめに構えて抜刀の体勢を取る、魔物に視点を据えて無駄な力を抜いていく・・ほんの少しだけ目を閉じて気を落ち着ける、そして・・・。



「抜刀!【断魂だんこん】!」



 素早く抜き放った霊刀【魂狩こんがり】から透明な刃が放たれていき大群の先頭を走っていた

魔物に当たった瞬間力が抜けたかのように脱力していき地面に倒れていく。先頭の魔物が倒れたのをきっかけにどんどん倒れていきわずか10秒もしないうちに全ての魔物が地面に倒れ伏した。



 この抜刀【断魂だんこん】と言う技は文字通りの魂だけを霊刀【魂狩こんがり】から放たれた霊刃れいばで切り裂き肉体から魂を断つ事で強制的に一撃死を与えるものだ。しかし肉体にはダメージを与える事は無いという技だ。一応言っておくとだんこんと言っているからと言って違うものと勘違いしないように・・いいね?



「よし!これにて任務完了だ!にいる魔物は倒したし、後は回収さえすれば俺の仕事は終わりかな?」



 回収作業に入ろうと思ったが目の前に広がる光景を見て思った事がある、これを全部回収するのか・・・すこぶる面倒だ。何か楽に回収する方法はないかと考えてみたが・・・無いな。人海戦術も悪くはないがそれだとどれだけの時間が掛かるかもわからない、その上あまり時間を掛けると腐敗してしまうかもしれない。わからんけど・・・。とにかく!それなら回収する為のスキルを創った方が良いかもしれないな。



という訳でパパッと創ったのがコレ!


【黒子】


命令に応じて行動する自身の分身を生み出すことできるスキル。生み出した分身の数に関係なく全ての分身のステータスが自身のステータスの10分の1のステータスを持っている。所持スキルに関しては新石優良の一存で決めることが可能。



 ふむ?なかなかいいスキルができたのでは無いでしょうか?本来なら自動で回収できるようなものにしようかとも考えたが、やたらめったら使えない物まで回収してしまい後で自分で選別するくらいなら初めから選別して回収できないかと考えて創ったのがこのスキルだ。



 ダラダラしてると関係ない魔物までおびき寄せてしまいそうなので、さっさと発動させてみよう。



「いでよ!黒子達!俺の代わりに使えそうな素材を回収してくるのだ!」



 何処からともなく現れる黒子達、全員が黒子の格好というよりも黒い全身タイツ着たような姿をしており今この場に現れた数はおよそ20人くらい・・・いや丁度20人のようだ。そいつらが俺に対して敬礼をした後にザザッと音を立てそうな感じで素早く散開していった。



 あれ?こいつら何処に行ったんだ?と思って周囲を見渡してみると俺が立っている街の出入り口である門からずっと奥丁度魔物の大群の最後尾だったと思われる場所から徐々に魔物が消えていくのが見えた。



 どうやら先程の黒子達が一番奥から回収作業を始めてくれたようだ、これってもしかして俺が動かなくとも黒子達が全部回収してくれるのでは?と思いしばらくその行動を眺めていると思ったとおりあと2~3分もしない内に回収作業が終わりそうだった。



「なんかすごいスキルを創ってしまったかもしれん・・・。相変わらず出鱈目な力だな、図に乗らないように気をつけないと。」



 周囲に誰もいない中独り言をつぶやいていると、いつの間にか一人?の黒子が俺のそばに立っていた。一瞬ビクッとすると何故かその黒子もビクッとしていた。いや!驚いたのはこっちだから!って待って?今コイツ人間みたいな反応を示した?どういう仕様なの?気になることは色々あるがまず何故コイツが俺の背後にいたのかを聞く必要がありそうだ。



「え~とぉ・・・なんで俺の後ろにいたんだ?何か用があるのか?」



 するとこの黒子は何か伝えようと身振り手振りのジェスチャーで何かを伝えようとしているが・・・正直全くわからない。解読を諦めるとこの黒子も何故か落ち込んだように肩を落としている。今のはわかるんだけどなぁ~。ちょっと尋ねてみるか。



「もしかして俺に何かを伝えたいのか?」



 コクコクとうなずく黒子、こんな感じで聞いてみよう。



「何を伝えたいんだ?」



 魔物の大群がいた場所を指差し拾う動作をした後敬礼をしている・・・拾い終わったと言いたいのか?



「拾い終わったって伝えに来たのか?」



 またもコクコクと頷く黒子、しかしよく見ると魔物の死体は先程よりもかなりの数が減りはしたが今だにあちこちに散乱したままだった。終わってないじゃん!言おうとしたらまたも何やらジェスチャーを始めた。



「ん~・・何?分けた?荷物を?違う?ふむふむ・・・もしかして取り分を分けておいたって言いたいのか?」



 俺の問いかけにコクコクとうなずき返す黒子、へぇ~ただ回収するスキルを創ったつもりだったが思いの外かなり優秀なスキルのようだ。しかしそれにしても人間くさい動きをしてくるな・・。まさかとは思うが中身が人間ってことはないよな?



「まさかとは思うけどお前・・・本当は人間ってことはないよな?」



 ブルブル!と勢いよく首を横に振る黒子・・何かもうこの反応が人間くさい・・どうにも疑わしいがいつまでもそんな問答を続けていてもしょうがない。まだ気になることはあるので質問を続けてみよう。



「まぁ今はこれ以上は聞かないでおくよ、それよりも回収した素材はどうしたんだ?お前達全員が手ぶらみたいだけど?」



 そう聞かれると黒子は手を何もない空間に手を伸ばすと黒い渦のようなものが発生し、そこから一体の魔物を取り出した後に俺を指差して肩から腰あたりに向かってジェスチャーするとパンパンと腰乃あたりを叩いた。



「?何が言いたいんだ?ちょっとよくわからないんだが・・。」



 すると今度は何処からか出したカバンのようなものを持ち出してカバンを指差したあとに黒子が自分自身を指差している。なんだ?そう思っているとまたも同じ行動を繰り返した。何?自分のカバン?



「あぁ!もしかして【マイバッグ】って言いたいのか?」



 どうやら正解だったらしくすごい勢いでコクコクと首を縦に振っている。そうか【マイバッグ】に入れてくれたのか・・・って待ってコイツラ俺の【マイバッグ】が使えるのか?



「な、なぁ?お前らって俺の【マイバッグ】を使うことが出来るのか?」



 それに対し首を横に振る黒子、しかしそれではどういう事なんだ?と思っていたら黒子が棒を拾ってきてそれで地面に丸を2つ書きそれを繋げて書いてみせた。



「もしかして繋がってるって言いたいのか?でもそれなら俺の【マイバッグ】を使えるのと変わらないんじゃないか?」



 またまた首を横に振りまた地面に何かを書き出した・・・何々?えっと・・・『入れる事は出来るけど取り出す事は出来ない、私達はマスターの不利になることは出来ないようになっている』って。



「お前文字が書けるのかよ!じゃあなんで初めから文字で書かないんだよ!」



 言われた黒子は後頭部に手を当てて如何にも「いやぁ~」と言わんばかりだ。というかそんな感じの想いがコイツから伝わってくるのがわかる。



「まぁ色々わかったけど・・・細かい事は後でな?そろそろ街の人達にも安全になったことを教えてやらないといけないし、また後でな?」



 するとこの黒子は俺に手を振りながら俺の影に溶けるようにして姿を消した、コイツ以外の黒子は?と思い見渡してみると既にその姿を見かける事はできなかった。どうやら俺達が話?をしている間にでも姿を消したのかもしれない。



 中に戻ろうかと思い【飛行フライト】で上空から街の中に入ろうとすると今までガッチリと閉まっていた門がギギッ!と大きな軋みを上げながら開き始めた。俺はまだ何も伝えていないのに?と思いながら門が開くのを待っていると中からレナリアさんやユリーナさんが手を振りながらこちらを見て街を囲う壁の上を指しているので見てみるとその上にはシェイラ達がおりこちらに向かって手を振っていた。



 そんな彼女たちに手を振りながら街の門に向かって歩きだしていると門をくぐって出てきた冒険者やら騎士達が一斉に飛び出してきたが、眼前に広がる光景を見て唖然とした様子を見せた。それもそのはず門の目の前には俺が光魔法【瞬光ライトニングエッジ】を使い倒した魔物の死骸が散乱しており凄まじい光景を広げていたからだ。



 何をしたらこうなるんだ?と言わんばかりに視線を俺に向けてくる冒険者&騎士の面々をスルーし中で待機していたスルトさんの前に立つ。



「スルトさん終わりましたよ、これで俺の仕事は終わりですよね?魔物の素材を拾うのは任せてもいいですかね?」



 街の外の様子を見てあっけに取られていたスルトさんだったが、俺に話しかけられた事で我に返ったようだ。



「ユ、ユーラ・・これ本当にお前が一人でやったのか?」


「そうですけど・・・もしかして俺以外に他に外に出ていた人がいたんですか?」


「い、いや!いない!いなかったが、だからこそ信じられないんだ。あれだけの大群を30分・・いやもしかしたら10分も掛かっていないだろう。そんな短時間であの大群を全滅させたのか?今目の前に広がる光景を見ていても信じられない気持ちでいっぱいなんだよ・・。」



 そうしてまた呆然とし始めるスルトさん、まぁ信じられない気持ちは理解出来ないでもないけどこれ現実なんですよねぇ。



「あのぉ~それでスルトさん?素材の回収任せてもいいですかね?ほんの少しだけなんですけど疲れたんで休ませてもらいたいんですけど・・。」



 ハッとなり俺を見るスルトさん、自分がまた呆然としていた事に気づき返事をしてくれた。



「すまん!あまりにも予想外の事が起きてうまく処理できなかった。素材の回収だったな任せておいてくれ、こちらで回収して後でしっかり渡すからな。」



 どうやら素材を俺に分けるつもりでいるらしいが、先程ちょっとだけ【マイバッグ】の中身を見たするとかなりの量の素材があるのを確認できたので、これ以上は俺には不要だろう。どうやら黒子達はレアな素材を中心に回収したらしくそれ以外は比較的簡単に手に入る物のようなので、どうしても必要ならば自分で狩りをして手に入れればいいだろう。そういう事なので・・・。



「いえ素材はいりません、回収した素材は冒険者や騎士団で分配してくれていいですよ。俺は必要な物は(レアな素材)既に手に入れてますから。」


「な、何!お前本当にいらないって言うのか?これだけの量だぞ?かなりの金額が手に入るっていうのにいらないって・・・。」


「本当に良いんですよ、俺の事は気にせず皆で分けてください。それじゃあ俺は休みますね?」



 さぁて!働いた事を口実にしばらくはゆっくり出来そうだな!久しぶりの休みだしまったりダラダラ寝て過ごすも良し!皆を連れて買い物に行くのも良し!有意義な休みを過ごすとしよう。


今回も駆け足になってしまいました。誤字脱字には気をつけたつもりですが、お目汚しになってしまったら申し訳ありません。

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