都子ちゃんのこと 5
「この後、あのお兄さん達と皆で焼き肉屋さんに行くんだよね? 全員入れるかな?」
ふと疑問に思って聞いてみたら、母は「あの人数だと難しいかもしれないわね」と困り顔になった。
「ここって、最寄り駅から遠いって言ってたわよね?」
「はい。車を持っている人達が暮らすような地域なので……。でも焼き肉屋なら、ここから五分ぐらいのところにテレビ取材も来るような有名店があるんですけど」
「店名わかる?」
すちゃっとスマホを取り出した母と一緒に検索してみると、なかなか評価の高い店が出た。
「とりあえず相談だけでもしておきましょうか」
来店時間がはっきりしないまま予約は無理だろうけどと、相談の為に母が焼き肉屋に電話を入れた。
だが事情と人数を告げると、宴会の時だけ使う大広間が空いているから大丈夫だと言われて、即座に予約させてもらうことになった。
「親切なお店でよかったね」
「うん。一度あの店のお肉を食べてみたかったから嬉しい」
ふふっと都子ちゃんがちょっと照れ臭そうに笑う。
焼き肉はなにが好きかと、好きな部位をあーだこーだ話していると、ふと外から怒鳴り声が聞こえてきた。
怒鳴り声なんて滅多に聞くことはないから、怖くてどきどきする。
なにかあったんだろうかと、恐る恐る車の窓から外を見ると、若い男女の集団が駐車場に面した道路を歩いているのが見えた。
その中のひとりに見覚えがあった。
「……あれって美結?」
「都子ちゃんの知り合い?」
「はい。一昨日の夜、家を訪ねてきたクラスメイトです」
「だったら、あの人達がそうなのね」
都子ちゃんと母の会話を聞きながら、私は賑やかな一行を見つめたまま黙り込んでいた。
あまりにも怖くて身動きできずにいたのだ。
――集団の中心に、真っ黒い人がいる。
幼稚園の時に見た黒い男の人とは比べものにならないぐらい黒い。
全身から澱みが噴き出し、ぼたぼたと溢れ出していた。
真っ黒い人が怒鳴って、近くにいる人を蹴り上げると、蹴られた所に澱みがべったりとつき、同時にビチャッとしぶきが飛ぶ。
真っ黒い男の人が怒鳴りながら腕を振っただけで、やはりしぶきがビチャッと周囲に散っていく。
一行の半数の人達の身体は、真っ黒い人から溢れた澱みで半分以上覆われていた。
幼稚園の時に見た黒い男の人の身体から噴き出す澱みは、ねっとりとした感じだったけど、あの真っ黒い人から出てくる澱みはもっとさらっとしているようだ。その分、周囲への侵蝕が激しい。
「芽生ちゃん? どうしたの?」
通り過ぎていく一行をじいっと見たまま、カタカタと小さく震えていた私に気づいた都子ちゃんが、心配そうに肩に触れ声をかけてくる。
肩に触れた手の平の温もりを感じたことで、恐怖に強ばっていた身体からすうっと力が抜けていく。
私は身体の中から恐怖を押し出すように大きく深呼吸した。
「さっきの人達の中に、真っ黒い人がいたの」
私はさっき見たものを、都子ちゃんと母に説明した。
「ビチャッて……しぶきみたいに澱みが飛んでた。美結にくっついていた小さな澱みは、きっとあれがついたんだ」
つまり美結は、あの真っ黒い人とは直接接触することなく、一定の距離を取っているということだ。
都子ちゃんをこんな怖い目に遭わせた張本人だけど、それでも一応はクラスメイトなのでちょっとだけほっとした。
「あんな怖い人、はじめて見た」
後から後から噴き出す澱みは、あの真っ黒い人の心の中に溜まり、澱み練られた負の感情。
腕のひとふりで、周囲にビチャッと澱みをまき散らす姿にぞっとする。
あれが、あの真っ黒い人の攻撃性そのものに思えて……。
乱暴な怒鳴り声と粗暴な仕草、周囲の人を当然のように蹴り飛ばす凶暴性。
たとえ澱みが見えていなかったとしても、あの行動だけできっと恐怖を感じていたはずだ。
そこまで考えて、あの真っ黒い人と直接対峙しただろう父のことが凄く心配になってきた。
「芽生ちゃん?」
「待ってっ!」
私は車のロックを外して外に出ると、制止の声を振り切って走り出した。
都子ちゃんのマンションの正確な位置は教えられていなかったが、あの真っ黒い人が歩いてきた道には、まるでなめくじの這い跡のように澱みが残っていて迷うことなくマンションの入り口まで辿り着く。
だが、そこまでだ。
無情にもオートロックの壁が私の邪魔をする。
「もう、芽生ちゃんったら。ひとりで行かないで」
「都子ちゃん、鍵! 鍵ちょうだい!」
追いついてきた都子ちゃんに足踏みをしつつ手の平を差しだしたが、首を横に振られた。
「鍵はおじさんが持っていったでしょう? ちょっと待って」
都子ちゃんがインターフォンで自分の部屋を呼び出している間、私は少し遅れてスマホ片手に追いついてきた母に軽くコツンと頭を叩かれていた。
「めっ」
「……ごめんなさい」
「お父さんなら無事だから安心して」
「うん、ありがと」
父は予定通りに、部屋の所有者から明日の朝までに引っ越しを終わらせるようにと依頼されたと言い張って、お兄さん達と一緒にどやどやと部屋に押し入ったらしい。
居座っていた男達は、さすがにガタイの良いお兄さん集団相手に不利を悟ったようで、捨て台詞を吐きながら出て行ったとか。
母は電話で、父からそんな話を聞いていた。
スマホの存在を忘れ、突っ走ってしまった自分が恥ずかしい。
「芽生ちゃん、開いたよ」
「うん、ありがと」
エントランスを抜けエレベーターに乗る。
目的の部屋に辿り着いて、呼び鈴を鳴らすと父がドアを開けてくれた。
「おまえ達は、外でちょっと待ってろ。――夕香、頼む」
「わかったわ。――全員、両手を上げて、天井を見なさいっ!!」
「「「はいっ!!」」」
いつもおっとりと優しい母が厳しく命じる声に、お兄さん達が条件反射で答える声がする。
そして母はひとりでマンションの中に入っていってしまった。私も続こうとしたが、父に止められた。
「駄目だ。もうちょっと待て」
「なんで?」
「なんでもだ」
しばらくして、「もういいわよ」という、いつもの母のおっとりした声が聞こえて私達もマンションの中に入れてもらえた。
後で父から私だけこっそり聞いたのだが、この時マンション内には都子ちゃんの下着があちこちに散らばっていたらしい。
きっとあの男達が玩具扱いして悪戯していたんだと思う。もう最低だ。
だから母は、それらが都子ちゃんの目に触れる前に全部回収してくれたのだ。
ちなみに、父を含めた男性陣は、持ち主である都子ちゃんと会ったばかりだったせいで、散らばっている下着に触れることに気まずさを感じてしまって、どうしたらいいかと困り果てていたらしい。
「……酷い。たった二日でこんなに散らかすなんて……」
マンション内に足を踏み入れた都子ちゃんは、あまりの部屋の散らかり具合にショックを受けたようだった。
だが私は、部屋中に飛び散った澱みにショックを受けていた。
床はもう澱みだらけビチャビチャで、その下になにがあるのかはっきりわからないほどだ。あの真っ黒い人が部屋の中で暴れたのか、壁や天井にまでべったり澱みが飛び散っていた。
「あいつら、酷いことしやがる」「おまえの部屋より散らかってるな」「俺は食べ物をそこらに捨てたりしないぞ」「むしろ床に落ちてても食う」「もったいないもんな」「うるせぇ」
大学生のお兄さん達は、この部屋の状況に憤慨しつつじゃれ合っていた。
非日常の状況に興奮しているのか、色とりどりの大小様々な光が部屋中に元気に飛び回っていて、たまにパチッと弾けてはキラキラと消えていく。
澱みだらけの部屋にいることで、お兄さん達の足や身体にも澱みがくっついてしまっているけれど、これだけ元気な光を放出している人達なら身体に憑いた澱みを消すのも簡単そうな気がする。
「高木、悪いが、皆で部屋のゴミをまとめておいてくれないか? 当分、ここには誰も住まないから、キッチンの冷蔵庫の中身も全部捨てておきたい」
「掃除もしとこうか?」
「いや、それはいい。後で業者を頼むから。――都子ちゃん、君の部屋に行って荷物をまとめよう」
「はい」
ショックを受けてすっかり顔色を悪くした都子ちゃんがふらふらと自分の部屋に向かう。
私は足にくっついてくる澱みへの不快感をこらえて、都子ちゃんの後を追い、そっと手を握った。
「大丈夫?」
「うん、ありがとう」
きゅっと手を繋ぎ合ったまま都子ちゃんの部屋に入った。
八畳ほどの部屋も一部荒らされていた。
「芽生、都子ちゃん。ちょっと目をつぶってろ」
父に言われるまま目をつぶったが、その時にはもう都子ちゃんのベッドが酷く乱れているのが見えてしまっていた。なににつかったのか一目瞭然だ。ああ、もう最低だ。
もういいぞと言われて目を開けると、ベッドの上の寝具はぐるっと丸められていた。
「芽生、澱みは見えたか?」
部屋のドアを閉め、家族と都子ちゃんだけになったことで、父が澱みについて聞いてくる。
「見えた。もう澱みだらけだよ。リビングは特に酷い。床が見えないぐらい」
「じゃあ、明日にでも除菌消臭スプレーしにくるか」
「……明日じゃ遅いと思う。この澱み、妙にサラサラしてるから、きっとその前に下に落ちてくよ」
というか、既に一部は下の階まで到達していると思う。
澱みは下に落ちる。
身体をつたい、建造物に浸透して下へ下へと落ちていって大地へと至る。
その間、太陽の光を浴びて消えるものもあるが、それ以外のものは時間をかけて地面に吸収されていく。私がやっつけている小さな澱みは、地面に吸収される前のものだ。
ちなみに、地面に染み込んだ後にどうなるのかはわからない。
想像力豊かな父は、きっと植物が吸収して、光合成しながら浄化しているに違いないと言っている。
でなければ大地はとっくの昔に澱みで汚れてしまっているだろうから、そういう浄化サイクルが出来上がっているはずだと。
そうならいいと私も思っている。
「う~ん、じゃあ、今のうちに除菌消臭スプレーして減らしとくか。芽生、何本持ってきた?」
「四本!」
私は大きな肩掛けバッグを叩いた。
「よし、じゃあ、三本くれ。――その前に家中を見て澱みの多いところを教えてくれるか?」
都子ちゃんに案内されて、マンション内を見て回った。
一番酷いのはやっぱりリビングで、次は主寝室。それからトイレとバスルームだった。
「じゃあ、大学生達に頼んでスプレーしてもらってくる」
「あ、お父さん。リビングと寝室は天井や壁にもスプレーしてって言っておいて」
「天井までか……。そりゃ酷いな」
父が高木さん達のところに行った後で、私達はまた都子ちゃんの部屋に向かった。
「この部屋にも澱みはついてる?」
母に聞かれて私は頷いた。
「……うん。でも、あの真っ黒い人は入ってないみたいだから、床に溜まってるってほどじゃない。ベッドとクローゼットの周りが特に汚れてるよ」
あの真っ黒い人から澱みをくっつけられた仲間達が荒らしていったんだろう。
着せ替え遊びでもしたのか、クローゼットの中はぐちゃぐちゃになっていた。服には澱みだけじゃなく、ジュースみたいなものがまき散らかされて、酷く汚れていた。
しかも都子ちゃんが言うには、バッグが全部と半分以上の服が無くなっているらしい。
「都子ちゃん、服は諦めましょう」
「……でも」
「言ってなかったけど、嫌な予感がしたから、昼間買い物にいった時に一通りの着替えも買っておいたのよ。パジャマや下着もね。――実を言うと、私もね、あなたぐらいの歳に似たような目に遭ったことがあるの。その時助けてくれた人達に言われたのよ。このお礼は、次の人にどうぞって……」
大人になって誰かを助ける余裕ができたら、その時に困っている誰かを助けなさい。
そう言われたのだと母が言う。
「だから、都子ちゃんもそうして?」
「……はい。ありがとう……ございます」
「芽生ちゃん、机周りは大丈夫なのね?」
「うん。引き出しとか漁ったみたいだけど、小さいのしかついてないから気にしなくても大丈夫。あと本棚は綺麗。全然触られてない。――都子ちゃん、後で少女漫画読ませてね」
父の書庫には少女漫画はほとんどないのだ。
だから読みたいと素直に言うと、それまで泣きそうな顔をしていた都子ちゃんが、ふっと気が抜けたように笑った。
「いいわよ。すっごく面白いから楽しみにしてて」
「うん」
「じゃあ、手分けして段ボール箱に詰めていきましょう」
お兄さん達から引っ越し業者の段ボールを貰って、教科書類や書籍、雑貨などを次々に詰めていく。汚された服はゴミ袋に捨てた。
「澱みって、人につくとなにか悪いことが起きるの?」
「よくわかんない」
作業をしながら都子ちゃんに聞かれて、私は曖昧に首を振った。
「他の人から出た澱みをつけた人が、怒りっぽくなったり暗くなったりすることもあるけど、でもそれも仕方の無いことかもしれないし……」
すでに澱みを発生させている人は、なにか問題がある人だ。
今日会ったあの真っ黒い人は暴力的だったし、幼稚園の時に見た黒い男の人は表面上は普通だったようだけど、その後事件を起こすほどに追い詰められていた。
そんな人の側にいれば、誰だって自然と影響は受ける。
怒ったり苛々している人の側で、脳天気に笑ってなどいられないものだから……。
「でも、なんか、こう……あれをくっつけてるのってよくない感じがするの」
ほんの些細なことが気に触ったり、いつもなら我慢できることにも怒ってしまったり。普段なら身体の中に留めて置けるはずの負の感情を噴き出すきっかけを、身体にくっついた澱みが作ってしまうような気がするのだ。
ただの勘で、なんの根拠もないんだけど……。
「たぶん、ヨーグルトの種みたいなものなんじゃないかしら」
牛乳に市販のヨーグルトを入れて放置することで自家製ヨーグルトを作るように、普通の怒りや妬みに澱みがくっつくことで、変質してより悪い負の感情になってしまうのではないか。
私の話を聞いた母がそんな風に補足してくれた。
「澱みは身体から出てくる光とぶつかると相殺されて小さくなっていくみたい。だから都子ちゃんは大丈夫だよ。苺ちゃん達はいつも元気だからね」
さっきも一瞬ショックを受けてふらふらしたりパチッと弾けて消えてしまったりしたけれど、その後すぐ、負けるもんかと言わんばかりにビュンビュン元気に飛び回っていた。
光の動きは心の動き。
だから都子ちゃんは澱みなんかに絶対負けたりしない。
「そう。教えてくれてありがとう。凄く心強い」
「どういたしまして」
都子ちゃんがこのマンションに引っ越してきて、まだ三ヶ月程度、元々荷物は少なく、あっという間に荷造りは終わった。
リビングに戻ると、除菌消臭スプレーの効果か、床が半分ぐらい見えるようになっていた。
だが、さすがに全部は消えてない。
後は自然にまかせるしかないのだ。
「よし、じゃあ撤収だな」
「あ、私が先に出る!」
私は、バッグに残っていた除菌消臭スプレーを手に玄関に向かった。
自分の足にスプレーしてからスニーカーを履く。湿っててちょっとじめっとした。
「外に出る前に、スプレーするからひとりずつね」
澱みがくっついている服と足にスプレーしてから、ひとりずつ部屋の外に出てもらった。
きっとお兄さん達の足も、じめっとしているだろう。申し訳ないとは思うが、心を鬼にして頑張った。
「おまえの足が臭いから」「いや、おまえだろ」「俺じゃない。悪いのは水虫だ」「「「えんがちょ」」」「その靴下、昨日も履いてなかったか?」「穴あいてるの見られた」
私が重点的に足にスプレーしたことで、なにやらお兄さん達の間で誤解が生じたようで、二重に申し訳なかった。
都子ちゃんの荷物を軽々と持ったお兄さん達と共に駐車場に戻り、車に荷物を詰め込んでから予約を入れていた焼き肉屋さんに皆で行った。
お兄さん達の中には未成年もいるし、父も高木さんも車なのでアルコールは無し。
その分、しっかり食ってけと、山ほど肉を注文して、みんなでモリモリ食べた。
父の命令で私達はお兄さん達から隔離された端っこの席に座った。
「タン塩美味しー」
「芽生ちゃん、こっちのハラミも食べてみて。このつけ込みダレ、すっごく美味しいの」
「こら二人とも、肉ばっかり食べてないで野菜も食べなさい」
ゴマ風味のサラダやカクテキ、冷麺なんかも頼んでシェアしてお腹いっぱいになるまで食べた。
私達がデザートに柚子のシャーベットをいただく頃になっても、お兄さん達はまだまだ肉を焼いていた。
「凄い食欲ね」
「お店の肉、全部食べちゃうかも」
その間、お父さんはお兄さん達ひとりひとりの注文を聞きながら色紙に簡単なイラストとサインを書いていて大忙しだ。
スポンサーなのに、まだほとんど食べていない。
あまりにも可哀想なので、書きながらでも食べられるよう「あーん」してもらって焼いた肉を口に詰めてやった。
「うまい! 生きてて良かった」「天使ちゃん、俺も俺も」「こっちも」「「あーん」」「肉をアミに乗せてくれるだけでもいい」「黙れおまえら、殺すぞ」「ひゃー、怒られた」「界太あんぐりー」
はしゃぐお兄さん達に、お父さんが怒る。
やんややんやとお兄さん達が騒ぐ度、皆から放出された色とりどりの光が部屋中を飛び回る。
お父さんが怒ると特大の光達が放出されて、お兄さん達に体当たりしていく。大人げないことに、どうやら本気で怒っているようだ。
でもその甲斐(?)あって、店を出る頃には、皆の身体に少し残っていた澱みもかなり薄くなっていてほっとした。
除菌消臭スプレーを地肌に吹き付けることはできないので、けっこう残っていたから心配だったのだ。
「大丈夫だ。あいつら、ラグビー部だって言ってただろう? 毎日太陽の下で身体を鍛えてるんだ。少しぐらい澱みが残ってても、すぐに消えるさ」
「高木さんは?」
「あいつも外でトラック運転してることが多いからな。否応なく光は浴びるだろ」
「それならよかったです」
帰りの車での父の言葉に、都子ちゃんもほっとしたようだった。
「お父さんが一番お日様に当たらない生活してるよね。天気予報では明日も晴れだから、日中散歩してね」
「はいはい。夕香、一緒に散歩しよう」
「散歩よりバルコニーの掃除を一緒にしてくれるほうが嬉しいわ」
「我が女神の為なら喜んで」
「都子ちゃん、私達も登下校で日光浴しようね」
「それなら、道順を覚えたいから一度徒歩で登校してみたいんだけど。いい?」
「もちろん。だったら、その分、明日は少し早めに出ようね」
「今日持ち帰った荷物の整理は、明日学校から帰ってからにするといいわ」
「そうします。――芽生ちゃん」
「なに?」
「あの……迷惑じゃなければ、今日も一緒の部屋で寝てもいい? さすがに今日は、あの酷く散らかった部屋を思い出して、ひとりじゃ眠れそうにないから」
「もちろん! 喜んで」
やったぁと喜ぶ私の周りを、苺ちゃん達も嬉しそうにくるくるっと舞い踊る。
なぜか両親の光も、ぽぽぽぽんと新たに追加されて、あまり広くない車内を楽しげに舞い踊っている。
あまりの眩しさに目がしょぼしょぼした。
次話は、学校にて芽生無双。(かなり嘘)




