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第一話:俺って死んだ!?

第1話:俺って死んだ!?



 いつもの日常。いつもの平穏。わかっちゃいるけどつまらない!

 少年はそう思いながらいつものように下校していた。

 俺の隣を歩いている奴は翔也《しょうや》。おれの親友だ。

「あ〜あ。なんか面白い事でも起こらんかなぁ」

 そんな調子の俺に、翔也は苦い顔をした。

「どうした? テストの点が悪くなったからって現実逃避はいかんぞ。」

「ぎくっ」

 す、鋭すぎる……。

「とか思ってんじゃないのか。」

 なんだこいつは、エスパーか!?

「エスパーでもないぞ〜。」

 そう言って翔也は嘆息した。

「ったく。お前とどれだけ一緒にいると思ってんだ。」

 そう。翔也とは幼稚園のころから知り合ってからの仲なのだ。

 翔也は、成績優秀・スポーツ万能、それにイケメンである。この前のバレンタインだって学校の女性全員(先生も含む)が翔也にチョコを渡すなど、数々の伝説を残している。俺と同じ15歳とは思えん。

 それに比べると翔也と対照的な俺、竜灯 藤馬《りゅうひ とうま》。もちろん彼女いない歴15年である。唯一違うのは運動神経が良いだけだ。

 一時期、翔也の才能と美貌を恨んだこともあった。

 向こうがおれの考えてることが分かるなら俺にもわかるだろう。

「とか思っただろう。」

 ……手ごわい。

「だってお前の顔に書いてあるし。」

 と、いつもどおりの会話をする。

それから適当に翔也と世間話をし、いつもの道で分かれた。が、俺は翔也の後をついていった。

 特に理由はない。ただ単に、翔也にぼろくそ言われたのが悔しくて驚かそうとしたのだ。

 ただ、追いかけなかったらどれだけ良かっただろう。そして、追いかけてよかったと矛盾した考えになるのは少し先の話。


 人通りも多いこの道で、翔也の後をつける。あまりに怪しいと翔也はすぐ感知するので、あくまで自然に尾行を続けた。

 人ごみで、将也を見失わないようにしながら歩いていると小さい子供の泣き声が聞こえた

 始めは空耳かと思っていたが、耳を澄ませるとはっきりと聞こえてくる。

 翔也がそちらを見たので、つられて俺も見る。よく見ると、道路の真ん中に膝を抱えた幼稚園児ぐらいの子供が泣いていた。転んで怪我でもしたのだろう、親とはぐれちゃったのかな? と、呑気に思考している場合ではないことに気づく。

 トラックが蛇行しながら猛スピードで突っ込んでいたのだ。

 居眠り運転手に轢かれそうな幼稚園児。なんというアニメ的な展開に動きたくても動けない俺。

 翔也を見ると、道路に飛び出して子供の元に向かっていた。

「なっ!」

 子供を助けるつもりなんだろうが、あのままでは翔也も危険である。そう思った俺は、知らないうちに翔也の元へ走っていた。

 翔也が子供に追いつきそのまま抱えて走るが、あのままではトラックに撥ねられる。

 俺は無我夢中になって翔也の元に追いつき地面を思い切り蹴ってタックルをした。

 間一髪の出来事だった。

 後ろを向き、驚いた様子で俺を見る将也。俺は、翔也がトラックに撥ねられない距離まで飛んだことを確認し、今の状況を冷静に考えられる自分に驚いた。自分はトラックからの衝撃に耐えられないだろう。

 そう考えると背中から冷たいものが噴き出てきて、死の恐怖から目を瞑った。



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