閑話 魔王様を甘えさせてあげました
パートが正式に決まったので最新話を投稿します。
マヨネーズによって城内がまるでお祭りのようなムードになった、僕が魔王軍に迎え入れられた日。本来ならば僕は途方に暮れて死を待つのみだったのかもしれない。
ところが、率直に言ってこの世界の人間よりもよっぽど優しく、人情のある魔王軍の面々によって、僕はこの命を繋ぐ事ができた。
時計の針はとうに天辺を回り、魔王であるメリルは少し眠そうに瞼を擦りながら居住区の方へ歩いていった。
側近のシルヴィアさんが言うには、メリルは夢魔族の魔物らしく、本来ならこのあたりの時間の方が元気なようだが、先代の勇者が侵攻してきたときに両親を殺されてしまい、昼行性の鳥獣族の魔物(隠居した先々代の魔王)によって保護されて育てられたため、このくらいの時間になると逆に眠くなってしまうらしいのだ。
10歳の誕生日を迎える2週間前に先代の魔王が討伐され、魔王としての資質を全ての魔物から無作為に選出した一人に強制相続をさせた結果が今のこの現状、ということらしい。
しかし、"そういうこと"を知らない夢魔族であるメリルが、大人になって、"そういうこと"を学ばなければならない時になったら、困ってしまうだろう、というのがシルヴィアさんの一つの心配事だった。
宛てがわれた一室のベッドに腰掛けると、先んじて侵入していたらしいメリルが僕の背中に抱きついてくる。
「お兄ちゃん、一緒に寝よ!」
「眠れないの?」
「今日はお兄ちゃんと一緒がいいの!」
そう言って僕に抱きつくメリルに、少なからずロリコンの気がある僕は内心フィーバー状態で、同時にシルヴィアさんの心配事がどれだけ重大か、ということをこの身を持って知ることとなった。
まず、この年齢にしては早熟であると言わざるを得ないCカップ相当の胸の膨らみ。
ちゃんと膨らみが伝わる程度の柔らかなその双丘を無警戒に背中に押し当てられて、僕の薄氷のような理性は悲鳴をあげ続けていた。
そして、メリルのような夢魔族の声には、魔力を込めずとも、常に若干の魅了効果が込められている。これまでの旅路で魅了耐性を獲得していなかったら、この純真無垢な青い果実にむしゃぶりついていたであろうことは想像に難くなかった。
「お兄ちゃ……zzz」
僕の背中で早々に寝息を立てる可愛い我らが魔王様を優しくベッドに寝かせ、その隣で僕も瞳を閉じて夢の世界へ思いを馳せる。
さながら抱き枕のようにメリルを抱きしめてやり、優しくなでなでしてやると、嬉しそうに
「えへへ…」
と寝言混じりに、幸せそうな寝顔を浮かべてくれる。
寸でのところで本能との戦いを制した僕は、久方ぶりに心の底から安らいで眠りにつけたのだった。
新しい職場は、徒歩一分のところにあるリサイクルショップですw
投稿頻度も上がればいいなぁ…