寝物語
子どもたちのための、この国では誰もが知っているお話ー
4代目のトラルス王がまだ小さな王子様だった頃のお話。
トラルス王子はお兄様の言いつけで、この国のことをもっと知るために、国の一番端っこの村の様子を調べに行きました。
その村へ行くには恐ろしい魔女の住むと言われる、深く暗い森を通らなければいけませんでした。
森に入ると、悪い魔女は次々とお供の兵や家臣たちをカエルやクモ、ヘビやコウモリに変えてしまい、ついには王子様は真っ暗な森でたった一人になっていました。
しかし、王子様は勇敢にも魔女に立ち向かいます。王子様の腰に差してあった美しく輝く水晶の剣で魔女に斬りかかりました。
その剣は王子様が王様から頂いた、神様の力を受けた聖なる剣でした。悪い魔女はひとたまりもありません。しかし、心の優しい王子様は魔女を殺さずに許してあげることにしました。
悪い魔女は王子様の心の清らかさに胸を打たれ、心をすっかり入れ替えて、良い魔女として王子様の家来になりました。
王子様と魔女がお城に帰ると、魔女の悪い魔法によって姿を変えられていた兵士や家臣たちはみんな元通りになっていて、王様や王妃様、お兄様たちといっしょにトラルス王子の帰りを喜んでくれました。
王様は勇敢な王子様を次の王様にすることに決め、魔女はお城の魔女として、トラルス王が亡くなってずうっと経った今でもこの国を魔法で守り、勇敢で優しく、次の王様になるのにふさわしい王子様に仕えているので、この国は今日もこうして平和なのです。
ーめでたしめでたし