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悲しいときには泣き、そして笑うことがいいと思います。

 ルゥルゥにしばらく赤ん坊の世話をお願いし、居間に移動した。

 扉が閉ざされるとリョウは俯く。

 琉璃りゅうりは、


「お兄ちゃん……悲しい時には泣いて良いって、おじちゃま言ってたのよ?」

「お、俺は男だ!!それに、父を殺した男を捕まえてやる!!それまで、それまで……」


頬を伝うものに気がついた子明しめいは、ぐいっと少年の頭を引き寄せると、


「悲しみを流すのは涙だけだ。憎しみを流すのはまだ出来ないだろうが、親父殿を失って悲しいならまずは泣け。憎しみは生きる糧として残せ……そして今度、赦せる時まで心に残しておけ」

「俺は……」

「お前の喉まで迫る苦しい思いを、俺は解ってやれない。でも、共にいてやれる。一緒に親父殿を悼もう……それが息子として出来る最高の親孝行だ」


子明の言葉に、少年は堰を切ったように泣きじゃくる。


「父さん……父さん!!何で、何で!!昨日まで味方だった筈の、あいつらにあんな目に遇わされるんだ!!何であいつらが父さんや主君を殺すんだ!!何で!!」


わぁぁぁ!!


泣き続ける少年に、琉璃はりょうを見上げ、


「お兄ちゃん……哀しいね。琉璃ももし、亮お兄しゃまに何かあったら一杯泣くと思う」

「そうだね……お兄ちゃんも、この間の琉璃の大怪我がものすごく悲しかったよ。本当に……離れるんじゃなかった……」


 亮は琉璃を抱き上げ、子明に合図をすると、赤ん坊達のいる寝室に戻っていった。




 ルゥルゥは、やんちゃ坊主の大きい子供と遊んでいる。


「はい、坊や?二人もねんねしてますよ?ねんねしましょうね?」

「わぁう、めんめ!!」

「めんめ……?」


 キョトンとするルゥルゥに、亮が微笑みながら、


「駄目って言う意味ですよ。母上であるカランさまが言っていたのでしょう」

「そうなんですか……詳しいですね」

「そうですか?それよりも、ルゥルゥさんも休んで下さい。私と琉璃が見ていますので」


微笑むと、


「ありがとうございます。では、明日参りますね?」

「お仕事や勉強が忙しいでしょう?琉璃もいますから大丈夫ですよ。ね?」

「うん!ルゥルゥおねえしゃま。琉璃が頑張るの!!だから大丈夫なのよ!!」


琉璃の言葉に、ルゥルゥは、


「姫さまは本当にお姉さまになられたのですね。お姉さま、ご弟妹きょうだいをお願いしますね?姫さま……お姉さまは優しい方ですから大丈夫ですわね」

「うん!!おねえしゃまなのよ。大丈夫なの!!」

「では宜しくお願い致します。ですが姫さまはまだお疲れもありますので、お疲れになられたらお休み下さいね?」


優しい言葉を言い残し、頭を下げて部屋を後にしたルゥルゥを見て琉璃は、


「りゅうり、おねえしゃまみたいになりたいな。大きくなって、伯父しゃまや、おにいしゃまのお手伝いが出来るおねえしゃまになりたいの」

「じゃぁ、弟妹達のお休みをさせてあげようね?」


1才位の子供は、ショーン王子と言ったはず。

 やんちゃ坊主でこれからの成長が楽しみだと、上3人が女の子だったこともあり、父親のハウリスは本当に可愛がっていたと聞く。

 顔立ちはキリッとしたカランにも似ているが、眉はキリッとして顔立ちは整っている。

 世界の王族の美男子ランキングの上位に名前が必ずあった、ハウリスにも似ているらしい。


「じゃぁ、ショーン?琉璃お姉ちゃんがお休みのお歌を歌うから、ねんねしようね?」

「めんめ!!」

「めんめは駄目だよ?それに、二人が起きちゃうでしょう?」


 琉璃は亮に言われた通り、ショーンの横に寝転がり、とんとんと優しく叩きながら、そっと子守唄を歌う。

 むーっとした顔でじたばたしていたショーンだが、しばらくすると目を擦り、大きくあくびをしてすやすやと眠り始める。


「良かった良かった……って、琉璃も眠たいね、お休みなさい」


 子守唄を歌っていた琉璃は、いつの間にかすやすやと眠っている。


「じゃぁ、4人共、お休みなさい。又明日」


 亮は毛布を掛けなおすと、引き出しにいれておいた数台のパソコンを操作し、情報を探していくのだった。

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