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秋の選抜

来ていただいてありがとうございます!

ノーラ視点です




マーシ―の調子が悪いみたいだ。せっかく秋の選抜に選ばれて喜んでたのに、最近また元気がない。

「ねえ、ノーラ。今日エルベ先生が言ったの。今回は全員での演奏の他に少人数での楽曲にも挑戦するって」

マーシーは私が洗った皿をふきながら浮かない顔をしてる。

「へえ!今回はそんな企画を立てたんだね。前はハープとリュラ―をメインにした珍しい曲をやってたっけ。先生によってその都度演出が違うもんなんだね」

少人数での演奏は特に個人の()()や失敗が目立つから、やりたがらない教師が多いらしい。

「それでね。選ばれたのはハミルトン様とオルブライト様と」

「まあ順当だね」

答えながら少し嫌な予感がした。

「エイミーと……またセシリーなの」

エイミーが選ばれたことは驚きだったけど、セシリーに関してはまたかって感じだった。確かにリュラ―の腕は認めるけど、ちょっとエルベ先生は贔屓しすぎじゃないのかな。

「うーん。いつもオルブライト様と一緒だから過大評価されてる気がするよね」

才能のある人と一緒に演奏してるから、セシリーも実力以上に上手く見えてる気がするんだ。

「セシリーはとても頑張ってるし、上手だと思うわ」

マーシーは気が弱いところがあるけど、凄く優しいいい子だ。故郷の町では一番のヴィオラ弾きで、顔もエイミーと同じくらい可愛い。


「でも今度はハミルトン様とセシリーは独奏をするのよ。とても短い曲だけど。エイミーはオルブライト様のハープの伴奏で歌うんですって」

「じゃあ、次の秋の選抜はセシリーの本当の実力が分かるね。これで先生の評価もきちんとなるといいんだけど」

マーシ―は気持ちが弱いところがあって本番で実力が出せない時がある。でも一度気分が乗ってしまえば誰よりも最高の演奏ができるんだ。先生達はそういう所をちゃんと見て欲しいのにな。

「セシリーだって過度に期待されたらやりづらいだろうに。大精霊だってたぶんオルブライト様のハープに引き寄せられてきたんだからさ。あ、リオ村からついて来た白馬の精霊はまた別だけど」

「……そうね」

「マーシ―はそんな暗い顔してないで、いつも通りに演奏を楽しめばいいんだよ!そうすればマーシーのヴィオラは最強なんだから!」

「うん。ありがと。ノーラ。さあ!これを片付けたらちょっと練習に付き合ってくれる?」

マーシーは綺麗になった皿を持ち上げた。

「もちろん!あ、それは私が運ぶから!マーシーは布巾を洗っておいて」

「わかったわ。お願いねノーラ」


私とマーシーは急いで星降り亭の仕事を終わらせて、いつも通り夜の草原でヴィオラの練習を始めた。精霊達がふわふわと集まって来る。ほらね。私達だって精霊を集めることくらいできるんだ。セシリーだけが特別なわけじゃない。

「あ、帰っちゃったわ」

「え?もう?」

集まって来た精霊達が夜の草原の彼方へ飛び去って行く。

「今日は気分じゃなかったのかもね」

「……そうかしら。ううん、きっとそうよね」

マーシーと一緒の練習は楽しい。それよりなにより、マーシーのヴィオラを聞けるのが楽しい。仕事が無ければ何時間でも一緒に練習できるのになぁ。エイミーやセシリーみたいにさ。もっとたくさん練習で切れば、私はともかくマーシーは絶対星の音楽団に入れると思うんだ。でも今はこうやって頑張るしかない。私にできるのはマーシーの仕事の負担を減らして応援することくらいだ。

「マーシー、私の分も頑張ってよね!選抜」

「うん。頑張るね。いつもありがとうノーラ」


夜の草原に二つのヴィオラを音が響き渡った。






秋の選抜チームの演奏会は、講堂じゃなくて学園の園庭で行われた。より聖地に近い環境にするためだとか。エルベ先生も色々考えるよね。プログラムはまず楽器に合わせて声楽科の曲目、そしてエイミーとオルブライト様、ハミルトン様の独奏に続いてセシリーの独奏。最後に器楽科の合奏(最後に歌も入る)というものだった。


流石は選抜チームだ。野外ということもあって興味を持った精霊達が寄って来る。エイミーとオルブライト様の時もハミルトン様の時は更にたくさんの精霊たちが集まって来てた。でもセシリーの時は集まって来た精霊達が少し距離をとった。やっぱりね。あの白い馬の精霊も現れないし、セシリーの演奏はそれほどでもないんだ。そう思った時、園庭に眩い光が溢れた。

「なんだ?あれ」

「あの光は……」

「大精霊様?」

演奏を聴いていた周囲の生徒達がざわついてる。リュラ―を弾くセシリーの前に緑色の老人が立っていた。それ以外に表現のしようがない。だけどあれは大精霊だと思う。それもかなり力が強い精霊だ。だって園庭の花壇や木々の花という花が一斉に咲き誇ったから。


「ウィリディス様……」

マーシーの音を聞くために最前列にいたから、セシリーがそう呟いたのが聞こえた。あの凄そうな精霊とも知り合いなのか。緑色の大精霊はにっこり笑うとセシリーの頭を撫でた。その後の選抜チームの演奏を全部聞いてから、満足そうにまた笑って消えて行った。


その後あの白馬の精霊も来て

「出遅れたー」

って角を振ってしばらく地団太を踏んでたけど、その精霊も突風と一緒にどこかへ消えて行った。


「今回の選抜チームは凄かったな」

「あの精霊は大精霊様よね?」

興奮したように周りの生徒達が話し合ってる。

「オルブライト様じゃなかったんだ」

帰り始めてる生徒達の中で茫然として動けない。


なんでセシリーばっかり精霊にも贔屓されるんだ?













ここまでお読みいただいてありがとうございます!

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