星まつり ③
来ていただいてありがとうございます!
ポロス学園の演奏会最終日、最後のグループの演奏は圧巻だった。演奏が終わった舞台の前には二人の大精霊と何故かゲイルの姿。もちろんたくさんの精霊様達の光も乱舞してる。
代表者のコリンナ・ハミルトン様が前に進み出てグループのメンバー達がお辞儀をすると、大精霊様達は微笑んで
「これからも精進しなさい」
との言葉を残して消えていった。誰も何も言えずに静まり返ってる。そんな中誰かが思い出したように手を打った。そしてそれにつられるように物凄い拍手の音が!!もちろん私もいっぱい拍手したよ!でもゲイルの言葉に滅茶苦茶焦ってしまった。
「セシリーとフィルと同じくらいよかったー」
ゲイルはそう言って流星の空に駆け上がり消えていった。
「もう!ゲイルってば、何言ってるのよ!!」
「はは……褒めてもらえたんだからいいんじゃない?」
フィル様は苦笑しつつも拍手を続けてる。
「ハミルトン様達、素晴らしかったですね!ああ、もう一度聞きたいです!」
「……本当に楽しそうだ。良かったね」
「本当に良かったです!!」
こうしてポロス学園の演奏会は無事に終了した。あとは今夜と残り二日。いっぱい楽しもうと思った。
ノーラとマーシーのことは気になったけど、私にはどうすることもできないからとりあえずは一旦頭から追い出すことにした。
「ねえ、セシリー、うちあげをやらない?」
まだ興奮が冷めやらない会場で、フィル様は周囲を見回してる。
「うちあげですか?」
「そう。僕達の演奏が上手くいったお祝い。ほら、前にオズホーンさん達との演奏会の後にやったよね?」
「ああ!なるほど!」
そうだった!演奏会の後はうちあげだった。ジョディ―さん達はお酒を飲みながら演奏の反省会なんかもしてた気がする。きっとそうやって親睦を深めたり次の演奏会の課題を探したりしてるんだろうね。
「いい?じゃあ、星まつりの最終日に見物がてらどこでか一緒に昼食をとろう」
「はい。わかりました」
「……ふぅ……」
「あれ?フィル様お疲れですか?」
暑い中で毎日練習してたんだから、それも当然だよね。私だって疲れてないといえば嘘になる。でもおまつりの雰囲気が楽しくて、開放的な気分になってて、疲れてるのがもったいないと思っちゃう。
「あ、いや……大丈夫だ。それで?この後はどうするの?」
「できるだけ星の音楽団の演奏を聞きたいと思ってます。定期公演の最終日ですし」
「そうか。それなら……」
「それでしたらわたくしたちも御一緒しますわ!!」
「なっ……!」
またしても突然の声かけ。私服ドレスに着替えたハミルトン様達が後ろに立っていた。びっくりした。
「セシリーさん!昨日の演奏聞かせていただきましたわ!とても素晴らしかったですわ!」
そう言って私の両手を握ってくる。
「あ、ありがとうございます、ハミルトン様」
「まあ!そんな!私達同じ学生同士でしょう?コリンナとお呼びくださいませ!」
「えっと、コリンナ様」
「はい!ねえ、セシリーさん、わたくし達なら十分星の音楽団を目指せると思いますの!これからは一緒に切磋琢磨してまいりましょう!」
「あ、はい!頑張ります!」
コリンナ様達はちょっと興奮気味。あんな素晴らしい演奏をしてさらに大精霊様が三人(?)も来てくれたんだもの当たり前だよね。
その後は何故かコリンナ様達と一緒に夕食をとって、星の音楽団の演奏を一緒に聞くことになってしまった。街を歩いてる間中ずっとコリンナ様に腕を組まれててかなり戸惑った。フィル様はコリンナ様のグループの男子生徒と楽しそうに話してる。確か三年生の子爵令息様だったと思う。貴族ばかりの中でかなり疎外感を感じてしまった。コリンナ様が予約していたレストランもかなり高級店で、緊張してどんな味だったか全然覚えてない。せっかくの機会だったのに残念。
それでも星の音楽団の定期公演最終夜は本当に素晴らしくて、徹夜して聞いたかいがあった。ちょっと遠かったけどジョディ―さんやクラークさんの姿も見えた。みんなお揃いのローブを着ててかっこいい!定期公演ではみんな星のエンブレムのついたお揃いのローブを着るんだって。それに他国の聖地の歌姫達も参加したり、初めて聞く曲もたくさんあったり、なんと最後にはこの地にすまう大精霊様達が全員姿を見せてくださった!たくさんの星が流れる中に顕れた大精霊様達は、とても幻想的で神々しくて夢を見てるような光景だった。
「私もいつかあの舞台に立ちたい……!」
思わず声に出して呟くと、隣のフィル様が頷いた。
「僕もだ」
あれ?隣にいたのってコリンナ様じゃなかった?コリンナ様を探すと、いた!ベンチに座ってご友人の令嬢ともたれあうように寝ちゃってる。コリンナ様達は今日、(もう昨日だけど)演奏だったから疲れてたんだろうね。コリンナ様達はそのあとすぐにお家の人が迎えに来て帰って行った。
「ああ、楽しかった……。でもさすがに限界……ふわぁ……」
眠くてあくびをこらえきれない。明け方とは思えないほど混雑した街を歩きながらちょっとだけふらついてしまった。
「おっと!」
フィル様が腕を掴んで支えてくれなかったら人にぶつかってしまうところだった。
「すみません、ありがとうございます、フィル様」
「危なっかしいな。寮まで送っていくよ」
「いえ!そんなご迷惑をおかけするわけにはいきません。一人で大丈夫ですから!」
「駄目だ。今のセシリーを一人で帰したら誘拐されそうだ。ほら、行くよ」
「え?!」
フィル様はそのまま私の手を握って歩き出した。手、このまま?繋いだまま歩くの?誰かに見られたら恥ずかしいっていうか、フィル様困るんじゃないかな?フィル様、嫌じゃないの?
「あ、あの、私……その……手を……」
「セシリーは小さい子みたいで危なっかしいから離さないよ。迷子にでもなったら困る」
「……うう。すみません」
子ども扱いだった……。残念なようなホッとしたような。
結局そのまま寮まで送ってもらった私はその日は昼過ぎまで爆睡してしまったのだった。なんだか幸せな夢をたくさん見た気がする。星の音楽団の定期公演も終わり、まだ小さな演奏会はあるものの、星まつりは今日を入れてあと二日で終わってしまう。でも今日はゆっくり休んで、明日の最終日のフィル様とのうちあげに備えよう。遅めのお昼を食べた後、ベッドに横になった私はまたうとうとしていつの間にか眠ってしまった。ずっと、涼しくて優しい風が頬を撫でてくれていたような気がしていて、目が覚めるともう夕方になっていた。頭も体もとってもスッキリしてる。
「初めての星まつりだし、明日は何か記念になるものを一つ買おうかな。練習がんばったし、一つくらいならいいよね。そんなに高くないアクセサリーとか!あー明日楽しみー!」
窓の外、また薄暗くなってきた空にまた一つ星が流れ始めた。
ここまでお読みいただいてありがとうごさいます!




