退魔の聖女
「これは…退魔の聖女の証…だと思われます。」
医者はそういうと一冊の本を取り出し、ぺらっとあるページを開いた。そこには、私の胸に刻まれたものと同じものが書かれ、その下に文章が綴られていた。
この証は、退魔の聖女の証。この世には二人の聖女がいる。結界の聖女と退魔の聖女。結界の聖女は、魔が入れない結界を作り出す力を持つ。結界の聖女は、聖杖を授けられる。退魔の聖女は魔に打ち勝つ力を持つ。退魔の聖女には聖剣が授けられる。この二つは選ばれし聖女だけが扱える。清らかな心を持ち、魔にも打ち勝つ強い力を持つ者だけが選ばれる。
「退魔の聖女…そんなもの聞いたことがありませんわ。」
「ふむ。この国には代々聖女様がいたが…皆、結界の聖女ではなく、聖女。ただその呼び名だったな。」
私とお父様が疑問を口に出すと、医者は答えた。
「おそらく、現れなかったのでしょう。魔王がいなくなりましたから。」
魔王。その昔、この世界を支配しようと企んだもの。魔王が現れてから、魔物が常に現れるようになった。だが、魔王が現れるときに退魔の聖女が現れるのだとしたら…
「魔王が復活する…?」
そう呟いた時、医者とお父様も頷いた。
お父様はすぐに神殿と皇帝陛下へ謁見の手紙を出した。
その数日後すぐに、私は神殿へ呼ばれた。神殿に着くなり、王都から来てくださった大神官様の元へ連れていかれた。そして、私の証を見て跪いてしまった。
「おやめください!!大神官様!!」
「我が、主よ。待っておりました。数日前に神からお告げがあったのです。退魔の聖女が現れると。そして、聖剣の封印を解きなさいと。」
だから、手紙を出してすぐに大神官様直々に来たのだと私は理解した。
「改めまして、お初にお目にかかります。ビビナ様。わたくしは、大神官、セリンと申します。」
大神官は落ち着きを取り戻すと、私を祈りの間へ案内してくれた。
「こちらで聖女が祈ると神が答えてくれます。それでは、わたくし達は外でお待ちしております。」
そういうと神官たちは全員出て行ってしまった。言われた通り、光が照らしている場所へ行き、いつもの様に祈りを捧げる。
「無事に聖女になれたようだね。ビビナ。」
声を掛けられ、顔を上げるとそこには。
「あの時の…神様。」




