初めまして、未来の旦那様。
庭を案内していると小さな旦那様が口を開いた。
「とても、綺麗なお庭ですね。」
小さくもじもじしながらそう囁く旦那様はとても可愛らしく、つい頭を撫でてしまった。すると、旦那様は顔を赤らめ言った。
「歳は同い年で変わらないのだから、そういった扱いはやめていもらえると…」
「すみません…つい可愛くて…」
少し気まずい空気が流れたその時、後ろで剣を預けたメイドが叫んだ。メイドの方を振り向くと魔物が今にもメイドに襲い掛かる雰囲気を纏いよだれをたらし殺気立っていた。
「お逃げください…!お嬢様!」
メイドはそう叫んだがその言葉よりも早く私は魔物とメイドの間に立ちはだかっていた。
遠くてルシアンは逃げろと叫んでいたが、魔物は待ってくれない。私はメイドの手に握られていた預けていた剣を取り、魔物に立ち向かった。
「はぁぁぁぁ!!」
小さな体からは想像できない剣捌きで見事魔物に傷を負わせ魔物は一時怯んだが返って怒りを誘ってしまい、魔物の口から真っ黒な炎が吐き出された。
(こいつ、魔法が使えたのね…)
さすがに無事では済まないと覚悟をして剣に力を込めて炎に立ち向かった。
激しい爆発音と爆風により砂ぼこりが舞い上がり、ビビナの姿は見えなくなってしまった。
「お嬢様!」
「ビビナ嬢!」
二人が叫び砂ぼこりが落ち着くと二つの影があった。魔物とビビナの間に何かがあり貫通していた。
「あぁ…お嬢さま…お嬢様!!!!」
メイドは膝から崩れ落ちてしまった。辺りはドロッと黒いものが飛び散っており、悲惨な状況になっていた。二人はビビナが魔物に殺されてしまったと思っていたが、砂ぼこりが完全に落ち着くと状況は真逆だった。貫かれていたのは魔物だった。ビビナの剣は魔物を貫き辺りに飛び散っていたのは魔物の血だった。ビビナは無事だった。だが、様子が変だ。なんだか、近寄りがたいというのだろうか、ビビナは神々しい光に包まれていた。
「お嬢…様?」
ルシアンは咄嗟にビビナに駆け寄り抱きしめた。ビビナは驚き退いてしまった。
「ルシアン様!?ななななにを?!」
「すまない…どこか遠くへ行ってしまいそうで。それよりも何があったんですか?」
そうルシアンが尋ねると、ビビナは私にもわかりません。ただ、炎と対峙した瞬間力が湧いてきて、気が付いたら魔物を倒していたと。
そう話すとルシアンは恥ずかしそうに視線を逸らす。どうしたのだろうと自分のドレスを見ると焼け焦げ、はだけていた。体が幼いとはいえ、恥ずかしく隠すとルシアンはそっと上着をかけてくれた。
「ありがとうございます!」
礼を言うと彼は恥ずかしそうに再び視線を逸らす。その時だった。魔物の死体が彼の目に入ってしまった。彼は目を見開き死体を見つめていた。ここは過去とは変わらないのね。彼の好奇心は変えられない。だが、その好奇心が世界を救ったことも事実だ。
「気になりますか?魔物が。」
「…そうだと言ったら君は僕を嫌いになるかい?」
そう尋ねる彼は少し怯えているように見えた。
「いいえ?魔物の研究は未だ進んでないですし、好奇心旺盛なことは悪いことではありませんわ。」
そういうと彼は目を輝かせ嬉しそうにほほ笑んだ。
その後は騎士団を連れたお父様とヴィンセント公爵が来て、私たちは医者に診てもらうことになった。
二人とも怪我はなかった。だが、私の胸元に変な模様が刻まれていた。剣のような模様だ。医者はその模様を見て言った。
「これは…退魔の聖女の証ですね…」




