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⒐王城でのお茶会にて

他の方々の小説に圧倒されていたら、気づいたらこんな時間でした(恐るべし)!

それから半年。二人の公爵邸出禁は続いている。


しかし半年間何もなかったわけではない。


お茶会でどちらかがいれば必ず口説きにくるし、二人ともいれば言い争いになる。


そして、私の悪役令嬢計画も徐々に始まっていた。


本当にいじめるのは私の精神もやられるので、失態を厳しめに叱ったり、いじめをしている他の令嬢や令息に突っかかったり、手が滑ったとかいってお茶を頭にぶっかけたりした。


そんな私を見て、何故かお義姉さまは厳しい物言いが格段に減った。


しかも、お義姉さまは私を本気では叱らず、優しく宥めるように叱る。


きっと悪役令嬢が私に移ってくることで、お義姉さまにかかる強制力が弱まったのだろう。


でも、ちょっと調子に乗りすぎちゃって、今いるお茶会はちょっと居心地が良くない。



「…あの子が殿下とマルクス様を誑かしている悪女でしょ。しかも外で作った子だって。」


「あら、卑しい身分で、ほんっと最低ね。」



こんな感じで私に聞こえるか聞こえないかのチキンレースを楽しむ子供たち(特に令嬢)がずっと私の噂をしている。


覚悟はしていたけど、かなり精神的にきつい。


今彼女たちに文句を言いに行ってもいいけれど、ああやって噂を広めてもらわないといけないので、噂以外に被害を受けるものでなければ、わざわざ行くつもりはない。



「…ノルマーン公爵家と言えばリアーヌ様も悪女と言われておりますわよね。」


「最近はお優しくなられたそうですけど。まあ所詮男でも釣りたいというところでしょうかね。」



はい。キレた。キレました。



「ちょっとあなた方!私、今聞き捨てならないことを聞いたのですけど。」



あからさまに令嬢たちが青くなった。


まあそれはそうだろう。


お茶会には出れるものの、社交界にデビューしていない10代のひよっこたちだ。


まさか注意されるとは思っておらず、言い訳を考えるので精一杯だろう。


しかもお義姉さまほど出ないにしろ、私は冷徹公爵の娘。


目元はしっかり吊り上がっており、赤い瞳は獲物を狙う蛇のようなのだから怖くてもしょうがない(お義姉さまは美人なのも合わさって睨まれたら私の倍は怖い)。



「あれ?エレンちゃんじゃん。いたんだ。全然情報なかったから来ないのかと思ってた。」



お義姉さまのことを言われて熱くなっていた頭は一瞬で冷えた。


やばい。今マルクス様に会いたくなかった。



「こんにちは。ビアード嬢にドナルド嬢。」



やばい奴がもう一人来た。


令嬢たちはメルとマルクス様にうっとりと頬を赤く染め、私は青くなる。


気づけば、令嬢たちはメルが追っ払っており、メルvsマルクス様の構図が成りったっている。



「今日は殿下もきていたんですね。気がつきませんでした。」


「うん。そうだよ。美しい姫がいらっしゃるって聞いたから。」


「その割には彼女に助け舟を出すのが遅かったんじゃないですか〜?」


「僕はやらなきゃいけないことがたくさんあってね。そういう君こそ…」



私は付き合っていられなくなって逃げた。


お茶会で会場から逃げるのは二回目だ。


なんで逃げなくちゃいけない場面がここまで多いのかが気になる。





迷った。


まあ確かに今回の会場は王城で大きかったから予測できた。


マルクス様が私が来ているのを知らなかったのに対し、メルが知っていたのは主催者がメルだからだろう。


でもまずい。


王城で迷うのは普通に怖い。


なんか人を避けるように逃げてきたから、今歩いているところは誰もいない。


どうしようか。



「…………ひっく……」


「え?誰かいるの?」



声が聞こえたような気がして、藁にもすがる思いで声の方向に走った。



そして、私は息を呑む。


何故ならそこにいたのは白髪で、澄んだ青空を連想させる神秘的な美少年が涙を流していたのだから。


たまに出てくる不義の子設定がちょっと可愛そうですね…

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