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始まり(3)
「どうやって僕のことを調べたか分かりませんが、しつこいようですと警察呼びますよ」
僕は少し怒りを感じていた。同時に、なぜ女が僕のプライベートを知っているのか、気味が悪かった。
女は沈黙した。
僕はため息をついて、再び自宅へ帰ろうと歩みを進めた。
小走りするくらいの速さで歩いた。この女のことなんて一切忘れて、家で目一杯ビールを飲みたかった。
「お兄さん、後悔しますよ」
また女の声が聞こえた。
僕の怒りが一層強くなり、思わず大声をあげてしまった。
「しつこいって言ってるだろ!」
振り向くと、そこに女はいなかった。
僕は困惑した。今、はっきりと背後から女の声が聞こえたのに、姿がない。隠れられるようなものは何もない道なのに。
不気味さに少し身震いした。
「ねえ、お兄さん」
さっきまで僕の背後にいたはずの女が、自宅に続く道の方に立ちはだかるように立っていた。
そして、女はフードを外していた。
その顔に、僕は心底驚いた。




