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100回目のキミへ。  作者: 落光ふたつ
〖2章〗
23/42

〈気になる人①〉

「大宮さんは好きな人いないのー?」

 突然振られた話題に、あたしは用意もしていなかったから反射的に答える。

「いや、別にいないよ」

「えー? ほんとにー?」

 修学旅行の宿。

 くじで決められた大部屋には当然、普段は話さない人もいて。そういう人達を中心に盛り上がっている会話を、あたしは関わりも少ないからと半身で聞き流していたのだが、なぜだかロックオンされてしまった。

 どうも、他の子の話題が出尽くしてしまったらしい。手当たり次第だなぁ……

「別に好きじゃなくてもいいからさっ。タイプで言ったらだれっ?」

 しかも名指しが最低条件の強引な問答。それにあたしは顔を引きつらせながらも、まあ別に仲良くなりたくない訳でもないし、と観念して口を開いた。


「強いて言うなら……加納君、かな」


 口にした瞬間、意識していなかったはずなのに急に恥ずかしくなって。

 だけど念願の答えを聞けたはずの皆はキョトンとしていた。

「かのー、くん? って誰だっけ?」

「えーっとあれだよ、1組の、ナヨッとした人!」

 どうにかこうにか記憶を出し合い答え合わせをしている同級生達だったが、どうやら彼は印象が薄いらしい。その事実にあたしは苦笑しながらも、まあ確かに皆の言い分も分からないではないな、と彼の顔を思い浮かべては照らし合わせしていた。

「って、大宮さんってああいうのがタイプなの!? もっと筋肉系かと思ってたー」

「強いて言うなら、だから。それと、むしろがっちりした人は苦手かな」

 へーへー、と周りの目が輝く。途端に皆の仲間になれたような感覚で、まあ悪い気分ではない。

「で、かのーくんってどんな人なの? うち全く思い当たらないんだけど」

 と一人がそう言う。他クラスだし知らないのも無理はないだろう。他の子達もあたしからの言葉を期待して促してくる。

 それにあたしはつい微笑んでいて。


「加納君は、優しい人だよ」


 自慢するように、彼を語っていた。


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