第3話
数日たったある日の事だ。
継母は、ついに兵士達がやっていた噂話を聞いてしまう。
「姫様、生きててよかったなあ。」
「ほんとに、よかった。楽しく暮らしいているだろうか。」
すかさず継母は、この兵士達の妻と子供を連れてきて、監禁した。そして、妻子にナイフを突きつけながら、兵士たちに聞いたのだった。
「白雪姫は、どこにいる。」
1人目の兵士は嘘をついた。
「すみません。隠していました。彼女は西の森の泉の近くにいます。おねがいします。家族だけは、傷つけないでください。」
継母は、確かめるために1人目の兵士の妻子を連れて、西の森を探し回った。
「いないじゃないか。」
そういうと、その兵士と妻と子どもをナイフで殺した。
それを見て、もう1人の兵士は言ってしまった。
「東の森の……奥の方にいます……。」
もう1人の兵士とその家族は、救われた。
ちゃんと白雪姫はそこにいたのである。
「ふふ、ようやく見つけたぞ白雪姫。」
小屋を立て終わった召使い達は、姫にご馳走を振舞っていた。
「さぁ、お食べ下さい。」
白雪姫は、少しずつ元気を取り戻していた。
「まぁ、すごく、おいしそうね。」
頬が、ぽっと赤く染まった。
人間らしいものとは、なんと美しいのだろうか。
白雪姫は、元気を取り戻すにつれ、今の生活に疑問を持ち始めた。理性が蘇ってきたのである。
一緒に暮らしていた人達は、よく見てみると見覚えがある。あぁ、彼は兵隊だ。彼女は召使いだったではないか。この人たちは、私を生かしてくれているのだ。頭の良かった白雪姫はすぐにこの事実に気づいてしまった。
「ねぇ、貴方たちは、あの、えっと……。」
言葉に詰まった。この人達は、私のために動いてくれている。
その人たちを追い詰めるような真似はしたくない。けれど、私のために、きっと、命をかけている。そんなの、そんなの……。
「僕達は小人だよ。君のために、こんくらいのことしかできない。」
召使い達も、白雪姫の気づきをなんとなく感じ取ったようだった。白雪姫は、今にも泣きそうだった。
自分のために、こんなに動いてくれる人がいる。
優しさとは、本当の優しさとはこういうことだ。こんな私を守ってくれる人がいたのだ。あぁ、暖かい。そしてそれ以上に、申し訳ない。