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白雪姫  作者: 大熊 なこ
3/5

第3話

 数日たったある日の事だ。

 継母は、ついに兵士達がやっていた噂話を聞いてしまう。


「姫様、生きててよかったなあ。」


「ほんとに、よかった。楽しく暮らしいているだろうか。」


 すかさず継母は、この兵士達の妻と子供を連れてきて、監禁した。そして、妻子にナイフを突きつけながら、兵士たちに聞いたのだった。


「白雪姫は、どこにいる。」


 1人目の兵士は嘘をついた。


「すみません。隠していました。彼女は西の森の泉の近くにいます。おねがいします。家族だけは、傷つけないでください。」


 継母は、確かめるために1人目の兵士の妻子を連れて、西の森を探し回った。


「いないじゃないか。」


 そういうと、その兵士と妻と子どもをナイフで殺した。

 それを見て、もう1人の兵士は言ってしまった。


「東の森の……奥の方にいます……。」


 もう1人の兵士とその家族は、救われた。

 ちゃんと白雪姫はそこにいたのである。


「ふふ、ようやく見つけたぞ白雪姫。」




 小屋を立て終わった召使い達は、姫にご馳走を振舞っていた。


「さぁ、お食べ下さい。」


 白雪姫は、少しずつ元気を取り戻していた。


「まぁ、すごく、おいしそうね。」


 頬が、ぽっと赤く染まった。

 人間らしいものとは、なんと美しいのだろうか。


 白雪姫は、元気を取り戻すにつれ、今の生活に疑問を持ち始めた。理性が蘇ってきたのである。

 一緒に暮らしていた人達は、よく見てみると見覚えがある。あぁ、彼は兵隊だ。彼女は召使いだったではないか。この人たちは、私を生かしてくれているのだ。頭の良かった白雪姫はすぐにこの事実に気づいてしまった。


「ねぇ、貴方たちは、あの、えっと……。」


 言葉に詰まった。この人達は、私のために動いてくれている。

 その人たちを追い詰めるような真似はしたくない。けれど、私のために、きっと、命をかけている。そんなの、そんなの……。


「僕達は小人だよ。君のために、こんくらいのことしかできない。」


 召使い達も、白雪姫の気づきをなんとなく感じ取ったようだった。白雪姫は、今にも泣きそうだった。

 自分のために、こんなに動いてくれる人がいる。

 優しさとは、本当の優しさとはこういうことだ。こんな私を守ってくれる人がいたのだ。あぁ、暖かい。そしてそれ以上に、申し訳ない。



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