表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

指定席

作者: つむぐいと

午前0時に投稿 真夜中に始まる恋物語


3年生のあなたが好きで

手紙で告白しました


勇気をふりしぼり

付き合って下さいと手紙を書きました


小さな手作りのサッカーボールのお守りと

一緒に入れて渡しました



みんなのあこがれの先輩だから

その他大勢のひとりでしょうね


それでも彼は丁寧に返事をくれました



「最後の大事な試合前で

 いい結果を残したいから

 今はそれしか考えられないので

 ごめんなさい」



まぁ

当然の事だとは覚悟していましたが

やっぱりしばらくはショックでした


勝手な片思いだったけど


私はサッカーをする人気者の

あなたじゃなくて

素直にあなたという人を

好きになっていたから


食事も出来ず

悲しくて涙がぼろぼろ止まらなかった…




先輩のあなたは先に卒業して

念願のプロ選手になっていましたね


私にはサッカーなんてまったく興味は

なかったけど

だんだん遠い存在になっていました



今でも

憧れよりも大好きなあなた

けど、もう手の届かないところに

いってしまいました




友達に誘われあなたの試合を観に行きました

2部リーグだけど沢山のサポーターが

いましたね


あなたは若手期待の選手、女性ファンも沢山いて


みんなあなたの出待ちでいっぱい


そんなファンのプレゼントに混じって

私も手紙を渡しました



つらつらと高校生時代の思い出ばなし

あなたには関係ない事だと思いながらも


あこがれの先輩が活躍しているのは

誇らしく思います…のような事



その他大勢の手紙なんて読んでもらえるはずはない


わたしの手紙はあなたに届くかしら

クラブの人が整理するのかな…



1か月が経たない頃に手紙が入ってた

まさかのあのひとからだった


ファンに対するお礼の文

同郷への親しみもあったのか

指定席のチケットが同封されていました


親切過ぎるかなと思いながらも


私はその試合を見にいきました



試合は0対0まま残り5分の時

彼はゴールを決めガッツポーズ


そして観戦しているメインスタンドの

私の前まで走ってきて

胸からあるものを出してこちらに向けました


それは懐かしい見覚えのある

あのサッカーボールのお守りでした



もうボロボロでボールかどうかも

分からないようなものでした


けど私にはしっかりと分かりました

私が恋した人に作ったものだから

忘れはしない



試合が終わり観客もいなくなっても

私はさっきの余韻に浸りながら

その指定席にずっと座っていました


すると


彼が来てドキドキしている私の横の席に座り



応援に来てくれてありがとう

さっきのゴールで1部に昇格するからさ

お守りのおかげで頑張れたよ


ずっとお守りをしてくれたのですか?


そうだよ、あの時はサッカーしか

していなかったけど

好きな人からもらったお守りは

ずっと俺の大切なものだった


お守りと一緒で君の事はずっと

忘れたことはなかったから



手紙では「まだひとり」だって書いていたから

俺の試合を見て欲しくてね


そんな事を書いていたなんて

どこかで期待してたのかな…



それとね

このとなりの席はずっと空いていたでしょう


私はたしかにずっと空いてたから

「ハイ」と……


この席のチケットは俺が持っているんだ


あの時の告白からずいぶん待たせたけど

これからはずっと隣にいていいかな••



私は信じられない言葉に小さく

「うん」と……


あの時とはちがう涙が止まりませんでした





つむぐいと

では詩をメインに投稿してます

最近は詩じゃなくなってますね

なんでしょうか?ショートストーリーなのかな?


★もし気に入っていただけたり、次作が気になる!

と思って頂けましたら

ブクマや下の⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎で評価していただけるととても励みになります……!

感想もお待ちしております

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] とても良いお話でした! ちょっと泣きそう!
2022/06/08 17:44 退会済み
管理
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ