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【コミカライズ】姉に婚約者を寝取られたので訳あり令息と結婚して辺境へと向かいます~苦労の先に待っていたのは、まさかの溺愛と幸せでした~  作者: やきいもほくほく
四章 愛情

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姉の言葉に強い怒りを感じていた。

悔しくて堪らなかった。


(何も知らないくせに……!勝手な事を言わないで)


言いたい事が沢山あり過ぎて、言葉にならなかった。

何よりゼルナを馬鹿にしたような発言が許せなかった。


手を上げてしまいそうになるのを必死で抑えながら、思いきり手のひらを握り込んでいた。

「違うわ!」と声を上げようとすると、後ろからそっと肩に置かれる手……。


ゆっくりと顔を上げると、そこにはゼルナの姿があった。



「うちの妻に、何か用かな……?」


「……ゼルナ様!」


「ウェンディ、一人にしてごめんね。今、話をしてきたんだが、みんな君に会うのを楽しみにしているんだ。是非来てほしいと伝言を預かったが…………その間にこんな事になっているなんて最悪な気分だよ」



ゼルナが二人を鋭く睨みつけている。


目の前にいるフレデリックとジャネットは、これでもかと大きく目を見開いている。


しかしジャネットの視線の先……ゼルナしか映っていないと気付いてゾッとした。

ほんのりと染まる頬に嫌な予感と焦りを感じていた。


そんな中、フレデリックが口を開く。



「ウェンディ、この人は……」


「ウェンディの名前を気安く呼ばないでくれないか?」



ゼルナが当然のようにフレデリックを咎めた。



「……ッ!?」


「ウェンディが何故こんな表情をしているのか、馴れ馴れしく名前を呼んでいるのか……僕に教えてくれ」



いつもよりずっと低い声……優しくて穏やかなゼルナが、こんなにも怒っているところを初めて見た気がした。

そんな彼の質問に答える前に、甲高い猫撫で声が響いた。



「ゼルナ様……!覚えていますか!?わたくし、ジャネットですわ!!以前のパーティーでご挨拶しましたよね!?」


「…………」


「ウェンディの姉ですわ!わたくし、是非ともゼルナ様とお話ししたいです!今、お時間ありますかッ!?」



興奮気味に此方に近寄ってくる姉は、いつものように腕を絡めて上目遣いで体を寄せようとしている。

そんな姿を見て、無意識にゼルナの服を掴んでから一歩後ろに下がった。


"取られたくない"


強く心で思うあまり体が強張ってしまう。



「是非此方にいらして下さい!その子は地味で愛想もなくて詰まらないでしょう?だから、わたくしと……っ」



こうして姉はどんどんと男性を虜にしていくのだろう。


(ゼルナ様も、お姉様に取られてしまうの……?)


ふと、視界が真っ暗になる。

そんな時、手を引かれて温かさに包まれる。



「………黙れ」


「!!」


「え……?」


「聞こえなかったか?黙れと言ったんだ」



ゼルナに抱きしめられているのだと気付いて、喜びと安心感に詰まっていた息を吐き出した。



「愛想がない?有り得ないな。それにウェンディは詰まらない女ではない……今すぐ撤回しろ。ジャネット・デイナント」


「え…………?」


「でなければデイナント子爵に抗議する。ウェンディを…… 愛する妻を侮辱する行為を、僕は絶対に許さない」


「……ッ」


「ジャネット、もうやめろよ!!」


「離してッ!!」



フレデリックはジャネットの腕を掴むが、直ぐに振り払われてしまう。

ゼルナの視線がゆっくりとフレデリックの元へ向く。



「君は……?」


「フレデリック・ニルセーナ、です……ジャネットの婚約者の」


「そうか、君が……」



それを聞いてゼルナの瞳が細まった。



「はい……!先程は申し訳ございませんでした!無礼を、っお許しください」



フレデリックが深々と頭を下げる。

こんなに焦っている彼の姿を初めて見た気がした。



「君は少しはまともなようだね……でも僕は君の謝罪で許す気はないよ。君の婚約者に、僕の妻に対する非礼を詫びて貰うまではね」


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